ヘッドライン
[CSD]2007年9月16日《ヘッドライン》
[CSD]2007年9月16日《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
◎韓国教会の宣教活動に波紋——アフガン韓国人拉致被害者ら帰国
◎ペルー地震:世界のキリスト教界ネットワーク緊急支援に乗り出す
= 2 面 ニュース =
★第15回信州宣教講座:戦争を知らないことはプラス——戦後の戦争責任を再考 記・高木 寛
★第36回更新伝道大会:メソジスト教会の源流を見つめる——C・ウェスレー生誕300年
★日本キリスト者医科連盟:平和への「京都宣言」採択
★日本友和会:脱原発社会への転換促す
★<落ち穂>
= 3 面 教界ニュース =
★<戦争を知らないあなたへ>[4]いかに死ぬかを教えられた——宗像 基さん
★第39回日本伝道の幻を語る会:伝道の幻語れば、神の民が生まれる
★<オピニオン>主から受けたことを次世代に伝える使命 記・瀬底 ノリ子
= 4 面 ビジネスパーソン=
★仕事充実…でも「人に疲れてきた」——徳光 正子さん[中](料亭「花外楼」女将)
★<セールスウーマンの楽しい伝道>[2]聖書は世界のベストセラー 記・渡辺明日香
<ゴールデンルール>[3] 記・田上(たのうえ)昌賢
<更正の手がかり>[2]半歩違ったことをする 記・梅津 善一(公認会計士)
= 5 面 牧会/神学/社会=
◎「自立と連帯」の課題探る——第8回地方伝道を考えるシンポジウム[中]
★<精神障害と教会>[11]孤立感と断絶感からの脱却 記・向谷地 生良
= 6 面 全面広告=
☆ハンディな年刊教界情報誌「クリスチャン情報ブック2008」
いよいよ9月15日発売 定価4,725円税込を——年内特価4,410円税込
ホームページ http:jpnews.org/
= 7 面 法律特集=
★裁判員制度を考える——あなたは人を裁けますか? 記・今村和彦
★裁判員制度とは
★裁判員の選ばれ方/裁判員の仕事と役割
= 8 面 企画=
★引きこもりの人に寄り添い続ける——NPO法人・青少年生活就労サポートセンター名古屋
= 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★MOVIE:「マザー・テレサ メモリアル」9月15日より公開
★BOOK:『特攻兵器蚊龍艇長の物語』宗像 基著(社会批評社、1,680円税込)
★REVIEW:『はじめてのカルヴァン』C・エルウッド著(教文館、1,995円税込) 評・吉井春人
= 10 面 関西だより =
★韓日の文化輝く——「オモニの福祉」を堺市が表彰
★イスラエルの学ぶ再臨への道程——BFPジャパンが講演とツアーを企画
★リストバンドで「仲間的気持ち」広げよう——ミニストリー・フォー・クライスト
★集会案内
= 11 面 クリスチャンライフ =
★荒れた心も「凪」に——北九州市に生まれたギターデュオ「アサナギ」
★賛美・祈りで日・韓・中の若者一つに——第15回KOST-JAPAN開催
★ルーテル派教会『教会讃美歌』普及に追い風——讃美歌自動演奏機「めぐみ」発売
= 12 面 ひと=
★目立たない仕事にも忠実に、喜んで——山岡志伸さん(女性用シューズデザイナー)
= 別刷特集 クリスチャンライフガイド =
★若者の進学・進路を考える——大学編・学校編・神学校編
★卒業生座談会:この時代だからこそ求められるもの
★学校教育でまかれる福音の種——チャプレン・牧師の役割とは
◎韓国教会の宣教活動に波紋−−アフガン韓国人拉致被害者ら帰国=0709160101
アフガニスタン東部ガズニ州でイスラム原理主義勢力タリバンに拉致されたセムムル教会(韓国・京畿道城南市、パク・ウンジョ牧師)の医療ボランティアチーム19人が解放され、9月2日帰国した。この事件でペ・ヒョンギュ副牧師とシン・ソンミン氏が殺害されたが、拉致被害者の証言によると「イスラム教への改宗を強要されたが、2人が先頭に立って抵抗したため殺された」など、新事実も明らかになってきた。この事件に対し韓国教会内では、19人が無事帰国できたことを喜ぶ一方、軽率な短期宣教のあり方への非難と反省とともに、「海外宣教をやめてはいけない」などの声も上がっている。 帰国した19人は仁川空港で記者会見を行った。朝鮮日報によると、ユ・ギョンシクさんが代表して「私たちが受けてきた愛をアフガニスタンの人たちに与えたいと思い、出発したが、意図せず人質として捕らえられ、国民の皆さんと政府に多大な迷惑をかけた。本当に申し訳ない」と謝罪。「一緒に帰国できず先に天国に行ってしまった尊敬するペ牧師、愛するシンさんの遺族に心から哀悼の意を表したい」と述べた。
またメンバーの証言から、人質が3、4人ずつ5グループに分かれ別々に移動し、民家を転々としていたことや、タリバンが改宗を要求し、銃を突きつけ、脅迫していたことも判明。ラジオのニュースで初めて2人の殺害を知ったメンバーや、解放後、ホテルに全員そろった時初めてその事実を知り、泣き崩れるメンバーもいたという。
韓国政府の「アフガニスタン旅行自制」勧告を無視し、メンバーの家族に知らせず短期宣教チームを送ったセムムル教会への非難も高まっている。パク牧師は「あのような事態を招いたことを心から謝罪する。政府からの賠償要求には最大限応じる」と述べているが、「無理な宣教活動に対する反省が見られない」との指摘もあるという。
この事件に関して韓国教会の反応は様々だ。
サラン教会日本語礼拝担当牧師の坂本兵部氏によると「2人の死が明らかになるにつれ、やはり彼らの信仰は評価しなければならない、彼らの死は殉教と呼んでよい、との声がある」という。
一方で、ソウル日本人教会牧師の吉田耕三氏は「短期宣教チームの軽率な行動で、コツコツと宣教活動を続けてきた各分野の長期奉仕者たちまでも撤退しなければならなくなったのは韓国教会にとって大きな痛手になると思う。韓国教会の宣教熱の背後には、競争心も働いていたのでは。しかし、今回の事件で韓国教会は、地域や国によっては海外宣教において慎重にならざるを得なくなった」と述べた。
韓国基督公報によると、「韓国教会の共通の関心は、宣教は持続しなければならないことだが、教会によって見解に違いが見られる」という。
韓国基督教教会協議会(KNCC)は「より慎重な検討が必要」とし、韓国基督教総連合会(CCK)は「宣教は中断されてはならない」という立場を表明した。韓国政府とタリバンとの協定項目に、「アフガニスタン国内でのキリスト者の布教・医療・教育ボランティア活動などの全面禁止」があることを受け、KNCCは「韓国教会の海外奉仕と宣教を振り返り、もう少し効果的で安全な奉仕と宣教ができる形態にしたい」とした。CCKは声明で、政府と交渉代表団に感謝の意を表し国民に心配をかけたことを遺憾としながら、「アフガン人質事件によって韓国教会の海外宣教が萎縮してはいけない」との意思を表した。
いずれにせよ、この事件が韓国教会に及ぼした波紋は大きく、海外宣教にも大きな影響を与えそうだ。
◎ペルー地震:世界のキリスト教界ネットワーク緊急支援に乗り出す=0709160102
8月15日に発生したペルーの首都リマの南南東沖を震源とする大地震を受け、世界のキリスト教会ネットワーク、ACT(Action by Churches Together)の3団体LEA(Lutheran World Relief)、PREDES(Centre for Studies and
Disaster Prevention)は、被害が大きいにもかかわらず支援が届きにくいワンカベリカ県カストロビレイナ郡、チンチャ郡など約350家族を対象とした緊急支援を開始。シェルター、水、食糧などを被災者に提供し、さらにコミュニティーの復興努力を促すための様々なトレーニングを行っている。
日本キリスト教協議会国際わかちあい委員会(徳弘浩隆委員長)は、ペルー被災地の人たちの救援と復興のための祈りを要請すると共に、ペルー地震救援募金を募っている。郵便振替00180・4・7578
8、日本キリスト教協議会(通信欄に「ペルー地震救援募金」と明記)。
◎「自立と連帯」の課題探る−−第8回地方伝道を考えるシンポジウム[中]=0709160501
第8回「地方伝道を考える」シンポジウム(8月20、21日、北関東神学研修センター主催・仙台バプテスト神学校共催、会場・同神学校)のテーマは「自立と連帯」。1964年から14年間山形県新庄市で、78年から27年間盛岡市で伝道牧会し、05年から盛岡郊外の岩手郡滝沢村(人口5万2千人)で開拓伝道をしている若井啓治牧師が全体講演をした。その長年の地方伝道の経験に裏打ちされた話から、格差社会の中でさらに都会との格差が広がる地方教会の、並大抵でない「自立と連帯」の課題と宣教の本質が浮き彫りにされた。【本紙編集顧問・根田祥一】
各個教会が「自立」し、その後の成長をもたらす「連携」がよく機能してこそ、そこに健全な教会形成がなされていると言える。教会「自立」は、特に地方教会では重大課題となっている――地方教会が「自立」していない現実を背景に、若井氏はそう指摘する。
牧会していた教会の会員の転出問題について、クリスチャン新聞が77年に取り上げた。当時、その教会で若者会員の流出が続き、登録会員の34・4%が転出した。様々な理由から、会員としてとどまる数は3分の1程度。そうした実態に対して、記事で若井氏は「地方教会は吸い取られっぱなしということから、逆転して都会で信仰を持った若者が大量に帰郷してくる時期がくるんではないでしょうか」とコメントしていた。だが、それから30年が経過した今、格差拡大は今日の一大社会問題となっており、その大波は地方の小教会に容赦なく押し寄せて来ているという。
こうした物理的な闘いに加え、地方特有の異教的伝統文化による困難もある。2年前に若井氏が転入した滝沢村は、数百年間ほとんど変化のなかった村社会の中に造られた新興住宅地。年一度の村の神社の祭りが近づくと、隣組回覧板に各家庭の氏名が印刷された寄付金募金の要請書が挟み込まれてくる。集金は隣組が担当し、輪番制で5年に1回当番が回ってくる。町内会長にただしたところ、時代が時代だけに自由意思で断っていいとのことだったが、ほとんどは「村の仲間入りをしたのだからよろしく」と、地域のしきたりに従うのは当然という感覚。
このような地域性、時代性などが重なり、真理追究心や生きる意欲などの無力感が全体をおおっているようにも思える、と若井氏は述べた。努力が報われない時の焦燥感や挫折感、他と比較しての自己憐憫や嫉妬心など、精神的な弱さは誰にでもある。そのような中で依存志向(集団帰属化)が強まり、自立心は徐々に喪失し、また怠慢にもなりやすいという。「教会『自立』を妨げる諸課題の前に、まず各自の信仰者としての『自立』が問われるように思う」と若井氏は感じている。
そして、正しい「自立」が他者への「共感」を生み出し、それが正しい「連携」を生み出していくことになるのでは、と問題提起した。連携を阻害するのは共感の不足ではないかというのだ。その半面、連携を育むのは共感の共有だ。「重要なのは共感であり、行動価値ではなく存在価値。憐れみであって支配ではない。事業中心の行き方には大きな落とし穴がある」
そして聖書を考察。「イエス・キリストは臨在の主。重要なことはそこに在ることです。主は人々を見て『かわいそうに思い』『深くあわれみ』共感されるお方。そのようなイエスのお心にふれることなく宣教することでいいのでしょうか」
長年の牧会を通して出会った信仰に生きた証人たちは、障害や難病や試練を負った人々だった。彼らはイエスとの深い共感にたどり着いたのだと思う、と若井氏の考察は単に地方伝道の問題にとどまらず、教会と福音宣教の本質に及ぶ。
◇
若井氏が述べたような都会との「格差」の実感や焦燥感は、地方教会の多くに共通する。地方教会からの転入者を受け入れる都市教会は、どれだけ送り出した教会の痛みを感じているか。この問題提起に対して、都市の教会はどのように「共感」を示せるのだろうか。