ヘッドライン
[CSD]2007年10月7日号《ヘッドライン》
[CSD]2007年10月7日号《ヘッドライン》= 1面 創刊40周年特別企画 =
◎教勢・財政面だけでは計れない教会の閉塞感——「現代日本の教会の実情を知る」アンケート中間報告(関連記事2-5面)
= 2 面 現代日本の教会の実情を知るアンケート =
★問い直される信仰のあり方——閉塞感を感じる8つの要因
= 3 面 現代日本の教会の実情を知るアンケート =
★内向きと形式化への懸念——求められる教会の体質改善
= 4 面 現代日本の教会の実情を知るアンケート =
★伝道牧会に閉塞感は感じない
= 5 面 現代日本の教会の実情を知るアンケート =
★閉塞感を感じる教会への提言
★「現代日本の教会の実情を知るアンケート」設問項目
= 6 面 ニュース =
★教団教派を超え子ども伝道の重荷負い合う——NCC教育部100周年「全国教会教育フェスティバル」
◎エリヤ会シンポジウム2007——「教会は変われるか?」
★<落ち穂>40年前10月第1日曜号からの週刊発行
= 7 面 ニュース =
★<戦争を知らないあなたへ>[7]一瞬にして倒壊した長崎で——竹市 終一さん
★<逝去>岳藤豪希氏(教会音楽家、エヴァンゲリウム・カントライ創設者、72歳)
★<逝去>亀谷荘司氏(日本宗教連盟前理事長、日本福音教会連合検見川教会牧師、81歳)
★<オピニオン>首相交代の風をどう読むか 記・根田 祥一
= 8 面 全面広告 =
☆各種団体・福祉事業・企業ほか
= 9 面 ビジネスパーソン =
★ひたすらの祈り、そこから道が開かれる——加藤 哲夫さん[中](カナン建物[株]代表取締役)
★<セールスウーマンの楽しい伝道>[3]あなたは命がけで愛されている 記・渡辺明日香
= 10・11 面 特集/日本宣教地図 =
◎全国に8,008教会 前年より59増——「クリスチャン情報ブック2008」教勢調査レポート
・人口減の地域でも教会増——5年間に全国で216増
・首都圏・関西圏に信徒の集中化——礼拝出席率は地方が高い
= 12 面 全面広告 =
☆各種団体・福祉事業・企業ほか
= 13 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★CD:「神の家とは」内藤容子(びぶりか企画、2,100円税込)
★BOOK:『神とともに歩む』万代君恵著(日本地域社会研究所、1,500円税込)
★BOOK:『遠藤周作の世界』兼子盾夫著(教文館、1,575円税込)
★REVIEW:『祈りと瞑想』古田 暁訳(ゴフェルトゥリープロダクション、1,890円税込) 評・吉田 隆
= 14・15 面 新聞から見た教界の40年 =
★週刊「クリスチャン新聞」創刊の頃——沸き立っていた時代の空気 記・守部 喜雅元編集長
★変化迫られた激動の90年代——福音理解の深まり紙面に反映 記・根田 祥一前編集長
★混迷の21世紀に遣わされて——生活の中から世界を考える 記・中野昌正編集長
= 16・17 面 ザ・対談 =
★創刊40周年記念特別対談「現代の閉塞感の中に立つ教会」
・教会の存在目的は救霊にある——救霊の情熱が教会を変える
対談者:奥山 実 vs 永井信義
= 18 面 教会学校 =
★<いまどき子ども事情>最終回「キレる」子の変化——新松戸リバイバルチャーチのレポート
★<CS分級アイデア>使命感の重要さ 記・みどり野キリスト教会
= 19 面 クリスチャンライフ =
★歌って踊れる伝道師・陣内大蔵さん——著書の出版記念チャリティで新潟地震被災地応援へ
★<私の子育て失敗談>「神様、時間が足りません!」 記・斎藤 望
= 20 面 教会 =
★新会堂献堂を機に旧会堂を子ども向けソロモン図書館に——単立・八街グレイス教会
◎教勢・財政面だけでは計れない教会の閉塞感−−「現代日本の教会の実情を知る」アンケート中間報告=07
「閉塞感がある」46・3%、「閉塞感がない」53・7%、本紙の行った「現代日本の教会の実情を知る」アンケートから、半数近くの教会が伝道牧会に閉塞感を感じているという中間結果が出た。本アンケートは2年後の日本伝道会議のプロジェクトとして、日本伝道会のプログラム委員会とクリスチャン新聞の創刊40周年の共同企画として実施した。過去5年間の教勢に関して、「のびている」37・0%、「横ばい状態」46・7%、「減少している」16・0%となっており6割以上の教会が横ばいないしは減少という現状だ。横ばい状態の教会では「閉塞感がある」と回答した教会が「閉塞感がない」という教会を若干上回り、「減少している」教会では「閉塞感がある」と回答した教会が大幅に上回るものの、「閉塞感がない」と答える教会も3・9%あった。
教勢が「のびている」と答え、かつ「閉塞感がない」と答えた教会が27・6%だが、教勢がのびていながら「閉塞感がある」と答えた教会が9・6%あった。教勢の傾向と閉塞感の有無には少なからず関連性があるが、教会によっては必ずしも教勢を閉塞感のバロメーターと見てはいないようだ。
一方で、教会の財政は全体で見ると、「増加している」24・1%、「増加傾向」19・5%、「横ばい状態」30・0%、「減少傾向」19・1%、「減少している」7・4%となっており、「増加している」「増加傾向」を合わせて43・6%にのぼり、教勢が伸びている率より上回っている。
「増加している」「増加傾向」のうち閉塞感がないとの回答者が30・7%を占め、閉塞感があるとの回答者の12・8%を大きく上回った。逆に「横ばい状態」、「減少傾向」「減少している」の回答者は閉塞感があるとの回答者が多い。
教会の集会のもち方にもここ数年動きがあるようだ。
過去中止した集会で最も多かったのは、青年会で、全体の15・2%、ついで教会学校が13・6%、婦人会・女性会11・3%と続く。祈祷会5・4%、日曜以外の礼拝3・9%、日曜礼拝3・9%を挙げた教会もあり、教会によっては活動の縮小・停止を余儀なくされる状況にあるようだ。
近年、日本の教会は教勢、財政面から見ると、頭打ちあるいは斬減傾向が続いていると言われている。最近は「閉塞感」ということばも頻繁に使われるようになっている。確かに近年の頭打ち傾向は本紙の発行する『クリスチャン情報ブック』の調査においてもその断片が現れている。しかし、最近言われている「閉塞感」が本当に日本の教会にあるのか? またあるとしたら、いったいどんな事柄が日本の教会に「閉塞感」をもたらしているのか? 本紙では日本の教会と教会を取り巻く状況についてアンケート調査を行い、その実像に迫ろうと企画し、第5回日本伝道会議プログラム委員会とクリスチャン新聞創刊40周年の共同企画となった。
調査は5面に掲載したアンケートを無作為に選んだ全国3千491教会に送付し、9月3日の締め切りの時点で600を超える教会からの返信があった。
今号では中間結果として、257教会のデータを元に集計した。全体の集計はクリスマス号に行い、今後本紙では、継続的に本アンケートの分析を行い、追加取材を行い、教会を取り巻く現状をリポートしていく予定。
◎エリヤ会シンポジウム2007−−「教会は変われるか?」=0710070602
日本の教会の閉塞感がささやかれるなか、「エリヤ会シンポジウム2007」(同主催)が9月17日、東京・千代田区のお茶の水クリスチャンセンターで開かれた。テーマは「今、教会は変われるのか、日本を変えられるのか? 活き活きとしたクリスチャンを生み出すために!」。姫井雅夫(総動員伝道代表)、D・リトル(カナダ福音自由宣教団宣教師)、趙南洙(同盟基督・招待キリスト教会牧師)、稲垣久和(東京基督教大学教授)、樋野興夫(順天堂大学医学部教授)の各氏が発題した。◇
姫井氏は40年間における総動員伝道の働きを振り返り、「やるべきことは何でもやってきた。だが、結果は1%の壁を超えられなかった」と語る。「時代と共に教会が協力して宣教することが困難になってきた」点も指摘。だが「最近、新しい波も起き始めている。時間がかかり、忍耐が必要だが、種をまき続けるならば日本の教会は必ず変わる」と述べた。
リトル氏は「日本でのポストモダニズムにおける相対主義の問題は、最近のことでなく以前からあった。日本に自殺者が多いのは、ポストモダンの特徴である不確実さに対する不安があるから」とし、「真理は言葉で伝達可能。普遍的・客観的真理としてのイエス・キリストを教会は明確に語るべきだ」と語った。
趙氏は「教会を開拓するより、今の教会を変えることに時間をかけるべきだ」と提言。「教会が体質を変えない限り、開拓教会も同じになる。リーダーが変わらないと教会は変わらない。日本には、日本全体に影響を与えるためのメガチャーチが必要。また、日本のコンテキストの中で教会がどう取り組むべきか、が課題だ」と述べた。
稲垣氏は「日本人の宗教意識はキリスト教から遠いところにある。一方でスピリチュアルブームが広がっているが、キリスト教はそれに代わるものを提供できていない」と指摘。靖国神社問題や福祉の問題を例に挙げ、「戦死者遺族の悲しみを共有するブリーフワーク、高齢者介護の働きなど、様々な必要に答えられるよう、自分自身が変えられ、応答していく自立したクリスチャンにならなければ、(変わることは)難しい」と語った。
樋野氏は、自身の内村鑑三、新渡戸稲造、南原繁、矢内原忠雄との出会いを証し、「確信をもった人の確信によって、確信に入る、といった出会いが少ないのでは。一人でもいいから、教会から尊敬すべき人物が出たら変わる」と述べた。
そのほか、「制度の教会と共に、信徒の賜物が発揮される有機体としての教会が必要。信仰と生活が密着しなければ、教会は日本社会から孤立してしまう」(稲垣)、「日本のキリスト者は、クリスチャンでありながら愛国(国を愛する)ができない。君が代、日の丸に対して心から敬意を払えない。この代案を出すことが日本の教会の宿題だ」(趙)、司会の三谷康人氏(伝道師)からは、「海外生活を経験した牧師の教会が、発想が多元的で教団の枠にはまらないので伸びている。会社が変わる時は危機の時。同様に今、教会は一番変わる時だ」との発言もあった。
エリヤ会は、クリスチャン人口1%を超えられない日本の教会の現状を打破するためにはどうすればいいのかについて、牧師、宣教師、信徒の三者がボランティアで参加し、調査、討議するという形で02年にスタートし、毎月1回例会を行っている。
◎全国に8,008教会 前年より59増−−「クリスチャン情報ブック2008」教勢調査レポート=071
クリスチャン新聞が毎年調査・発行しているキリスト教界情報誌の年刊『クリスチャン情報ブック2008』が9月15日に発売された。今回の教会アンケート調査では、全国のプロテスタント教会・伝道所数は8千8教会との集計結果だった。今回の教会調査から概要をレポートする。全国のプロテスタント教会を対象に、2月16日から3月2日までを締め切りとして実施した今回の教会教勢調査では、8千8教会・伝道所(教会)で前回調査より59教会増の結果であった。教会の増加は堅調で、この5年間では216教会も増加している。
人口および教会数の地域別年次推移を見ると、東北地方は、年々人口が減少傾向にあるが、教会数は5年間で6教会増加。同様に、中国・四国地方も教会数はほぼ横ばいで、前回に比べて7教会増加している。とりわけ関東地方の教会数の増加が顕著で、5年間で113教会も増加している。人口密度と教会の設置は相関関係にあるが、教会増についても一極集中の傾向は否めない。
都道府県別の前回調査との比較を見ても、人口が増加している所は15か所なのに対し、教会数が増加している所は25か所もある。特に、青森県・新潟県・山口県は、人口が五千人以上も減少しているにもかかわらず、3教会増加している。逆に、大阪は1万2千人以上も人口が増加しているが2教会減少し、広島は2千人以上の人口増加だが4教会減少している。
地域別の人口の割合と推定信徒数(教会数×平均教会員数)の割合を比較すると、関東・近畿地方の人口は全国の50%なのに対し、関東・近畿地方の推定信徒数は全国の65・1%にも達する(昨年は64%)。信徒の中で特に大都市集中化の現象が顕著のようだ。
都道府県別の平均礼拝者数を見ると、最も多い東京が66・2人で、最も少ない島根は18・9人と、3・5倍の開きがある。また、推定礼拝者数の割合に関しても、関東・近畿地方が全国の63・5%を占めている。
地域別の教会員数に対する礼拝者数の割合(教会員全員が礼拝出席した場合を100%とした場合)は、東北地方が70・5%と最も多く、次いで中部地方が70・4%、近畿地方が59・1%と最も少なく、中国・四国地方が59・8%という結果になった。また、全国平均は63・7%だった。
教会員数と礼拝者数の人数別の割合をみると、東京の教会員数56人以上の教会の割合は56・8%にまで達するが、礼拝者数56人以上の教会は30・5%程度と、教会員数の割合の約半分である。しかし、関東圏から離れた宮城の教会員数56人以上の教会の割合は29・4%で、礼拝者数56人以上の教会は22・9%もあり、教会員数の割合の8割近くに達する。以上のことから、信徒が集中化している首都圏・関西圏の教会は、会員数の割りには礼拝者数が少ない傾向にあるといえる。また、東京と宮城の礼拝者数の割合や、東京には礼拝者数500人以上の教会が8か所もあることから、東京都の礼拝者数は、少数の規模の大きい教会が平均値を大きく引き上げているとも言えるのではないか。
「信徒1人あたりの未信者数」(人口から推定教会員数を割って算出した数)をみると、首都圏・関西圏から離れた地域は、信徒1人に対するクリスチャンでない人の人口が多いという傾向がみられる。全国平均では246・5人であるが、富山が744・3人と最も多い。最も少ない東京の111・4人とでは実に6・7倍もの差がある。近年の地方自治体の編入・合体の影響もあるが、地域別にみても首都圏・関西圏が突出してクリスチャンでない人の割合が低い結果を示している。統計値からは首都圏・関西圏の宣教が進展しているともいえるが、さらに地方の教会建設が進み、人口密度とクリスチャン人口の比率向上も宣教方策の目標として重要性をもっている。
年刊『クリスチャン情報ブック』の教会教勢を実施し、ここ5年間の傾向として見受けられることは、教会・伝道所が全国的に増加傾向を見せていても、教会員数・礼拝者数は横ばい傾向であること。特に関東地方では、教会数の大幅な増加にもかかわらず、依然として信徒の数は微増にとどまっている。また、閉鎖や休止の教会も少なくなく、その辺りからも日本での宣教の重荷の大きさがうかがえる。