ヘッドライン
[CSD]2008年5月4日号《ヘッドライン》
[CSD]2008年5月4日号《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
◎イラク戦争から5年 平和への願い強く——ウラン弾で小児ガン増加を警鐘
★平和をつくり出す宗教者ネット:「航空自衛隊の活動は憲法9条違反」判決を評価
= 2 面 ニュース =
◎教会に社会にインパクトを——日本福音同盟が創立40周年
★日本に合った伝道方法を——日本伝道者協力会「春の1日セミナー」
★米国:宗教接触の脱北者弾圧——諮問機関が調査報告
★<教界ニュース>日本福音教会連合、日本イエス・キリスト教団、基督兄弟団
★<落ち穂>「いと小さき者に…」
= 3 面 教界ニュース =
★<教会の実情を知る:教会ルポ>[8]無牧のリスクと牧師招聘のリスクを考える教会
★<教会の実情を知る:集計データから>[12]「閉塞感はない」理由と状況——状況は厳しいがすべきことはある
★<オピニオン>恥意識ではなく正しい罪意識を 記・碓井 真史
= 4 面 ビジネスパーソン=
★部下の嫌がる仕事を——石丸 武史さん[下](神戸バイブル・ハウス事務局長)
★<更正の手がかり>[15]独り善がりの商売は成功しない 記・梅津 善一(公認会計士)
= 5 面 牧会/神学/社会=
★戦争責任を検証する[3]戦責告白から平和論構築へ——ホーリネス教団が「平和説教集」刊行
★<精神障害と教会>[26]教会の連帯(2)——苦悩を負い合う教会間のつながり 記・向谷地 生良
= 6・7 面 特集/キリスト者にとっての憲法=
★聖書から憲法を考えると——憲法の基礎にある聖書 記・櫻井 圀郎
★「横浜事件」免訴確定——キリスト教会への影響 記・上中 栄
★
= 8 面 全面広告=
☆月刊「百万人の福音」集中特集——家族をテーマに
= 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『永遠のシャローム』日本ホーリネス教団編(1,890円税込)
★BOOK:『見えないアジアを歩く』見えないアジアを歩く編集委員会編(三一書房、1,785円税込)
★REVIEW:『ヘンリー・ナーウェン』酒井陽介著(ドン・ボスコ社、1,050円税込)評・後藤敏夫
= 10 面 関西だより =
★レンタル教会から100倍の実を結ぶ教会へ——大阪ELIMキリスト教会の開拓10周年
★ラブ・ソナタ継続集会を開催——5月13・14日にクレオ大阪で
★なにわゴスペル・フェスタ10周年記念
★桃谷キリスト教会60周年
★小坂 忠&ユーオーディア 出会いのコンサート
= 11 面 クリスチャンライフ =
◎心病む人の友として——CMCC17年間の歩みを聞く
★ヴィーガンフードを提供するお店——京都のCAFE PROVEERBS[15:17]
★<弱い私の自慢ばなし>[3]1人では生きていけない! 記・斎藤 望
= 12 面 ひと=
★父が生きると家庭が生きる——キム・ソンムク(Durano 父の学校運動本部国際本部長)
◎イラク戦争から5年 平和への願い強く−−ウラン弾で小児ガン増加を警鐘
2003年3月19日にイラク戦争が始まって5年。その間、フセイン政権崩壊、米軍による占領、新政権の誕生など、状況は目まぐるしく変化してきたが、現在は内戦や駐留軍へのテロなど治安が極度に悪化。市民が危険と隣り合わせで生活している。「世界の飢餓を考える会」では、イラクの今について知り、何ができるのか考えようと講演会「イラク戦争から5年—子どもたちは今—」を企画。現地への支援を続ける日本イラク医療支援ネットワーク(JIM—NET)事務局長の佐藤真紀さんを招き、4月5日、ギャラリー喫茶「柿の木」(埼玉県所沢市)で開催した。
JIM—NETは、現地で医療支援を行うNGOや医師とネットワークを結ぶことで支援の重複を防ぎ、効率化する働きを担っている。イラクでは、91年の湾岸戦争以降、劣化ウラン弾による影響で白血病やガンに罹る子どもたちが増加したが、「イラク戦争で再びウラン弾が使用され、今後も病気が増える可能性がある」と佐藤さんは言う。
01年にリンパ腫を患ったディアールは、イラク戦争で難民となりテント生活を強いられた。JIM—NETの働きかけで06年にようやく設備の整った隣国ヨルダンの首都アンマンの病院に入院できたが、末期のため治療を拒否された。今はこの世にはいない。
骨のガンで足を切断したアヤは、07年、突然家に押し入ってきた男たちに叔父を誘拐された。イラクでは、多額の身代金が家庭の貧困の一因になっているという。
佐藤さんは、戦争によって傷つき、死の恐怖が常につきまとう中、懸命に生きている子どもたちの様子を紹介。広く支援を呼びかけた。
JIM—NETでは現在、イラク南部のバスラにおける政府軍の軍事行動で、病院などが窮地にあるとして緊急支援を実施、協力を呼びかけている。郵便振替口座00540・2・94945、口座名「日本イラク医療ネット」。問い合わせTel0263・46・4218。info-jim@jim-net.net
「世界の飢餓を考える会」は、06年に開催された所沢市内の教会による協力企画「エチオピアの風を感じる集い」をきっかけに、戦争や飢餓などの社会問題、人権問題について、ともに学び考える場をもとうと、長老教会・所沢聖書教会のメンバーが中心となりスタートした。2か月に1度学び会を開いており、今回で6回目。
◎教会に社会にインパクトを−−日本福音同盟が創立40周年
日本福音同盟(JEA)創立40周年記念感謝会(同主催)が4月21日、東京・千代田区神田駿河台のお茶の水クリスチャン・センターで開催。JEA加盟団体の牧師、各種伝道団体のスタッフなど、105人が集った。記念礼拝では、JEA理事長の峯野龍弘氏(ウェスレアン・淀橋教会主管牧師)が「福音的社会変革と教会のインパクト」と題してメッセージをした。JEAは1968年4月、日本プロテスタント聖書信仰同盟(JPC)、日本福音連盟(JEF)、日本福音宣教師同盟(現・日本福音宣教師団=JEMA)の3組織を創立会員とする連合体の形でスタートした。
その後、86年に組織形態を教団や教会を会員、伝道団体を協力会員という形に変えて再編成し、聖書信仰に立つ諸教会の連絡・協力・交流機関として活動してきた。
また、これまで日本伝道会議を4回開催してきており、来年9月には北海道札幌市で第5回日本伝道会議を開催する。
峯野理事長は、元JEA理事長・泉田昭氏(日本キングス・ガーデン連合会長)が戦後の日本のキリスト教を10年ごとに分析した表現を引用。
「泉田氏は戦後、日本のキリスト教は、復興期、発展期、混乱期、成長期、成熟期を経て、04年までの10年は混迷期だという。05年以降はどう命名されるか興味深いが、決して閉塞期や老衰期と命名されてはならない」と指摘。
「社会は混迷し閉塞し、窒息しそうな状態だが、そんな社会に対してキリスト教会はインパクトを失ってきた」とし、「福音は社会を変革する力をもっている。今後は教会学校の活性化、悩む家族へのカウンセリング、高齢者福祉にも力を注ぎ、具体的な受肉した福音の提示が必要だ」と述べた。
記念礼拝では、40年を振り返り、ビデオ・プレゼンテーションも行った。その後、芳賀正氏(東京FM・小金井教会協力牧師)、尾山令仁氏(聖書キリスト教会会長牧師)、泉田氏がJEAの思い出を語った。
JEA救済委員会委員長だった芳賀氏は「阪神淡路大震災の時、JEAでは1億円を集めようとした。諸教会は力も何もなかったが信仰により1億円を超える献金が集まった。すばらしかった」と回想した。
泉田氏は「本当に聖書信仰に立って宣教のため一致した。それゆえに激動の70年代が守られ、教会が祝福され、80年代を迎えられた。そして日本だけでなく、アジアを始め世界の教会とも交流をもつようになった。これからも、歴史に学びつつ歴史を創造するJEAであってほしい」と期待を込めた。
またJEFから今井洋氏(同理事長)、日本基督教団から内藤留幸氏(同教団総幹事)、JEMAからデール・リトル氏(同会長)が祝辞を述べた。
◎心病む人の友として−−CMCC17年間の歩みを聞く
「心病んでいる人たちの友となろう」を合い言葉に1991年に立ち上げられたキリスト教メンタルケアセンター(CMCC)。電話や手紙、面談で心の悩み相談を行っており、当事者、家族を含め年間9千件近くの相談が寄せられている。また、00年にNPO法人になり、17年間一貫して運営のすべてを無償ボランティアで行っている。CMCCの副理事藤崎義宣牧師(日基教団・久が原教会、臨床心理士)と事務局長中村喜よめさんに話を聞いた。「17年前は世間一般でもうつや心の病への理解も少なく、珍しがられました。しかし、社会の様々なストレスで心を病んでしまったり、心や魂の救いを教会に求めて来る人は多くいます。教会がそういった方々の居場所になるようにとの願いから始めました」。そのために、電話相談の働きだけを担うのではなく、公開講座やクリスチャンメンタルフレンド(CMF)の養成講座を開き、相談員の育成にも設立当初から力を入れている。「講師も皆クリスチャンです。また、CMFと呼ばれるCMCCの相談員もクリスチャンであることが条件です」
CMCCのもう一つの特徴は「カウンセリング」や「心療内科」のような立場とも違うことだ。「相談者と寄り添うためにカウンセリングマインドを参考にすることはありますが、カウンセラーとは違います。また、医師でもないので相談者の治療が目的でもありません」。あくまでも、相談者の心の悩みにとことん付き合い、「友」となることが目的だ。「cureでなくcareというのがCMCCのスタンスです。カウンセリング手法に頼ってしまいがちですが、キリスト教精神で祈りと信仰をもって相談者の魂の声を聴くことが目的」と藤崎氏は語る。だからこそ、余計な言葉かけやアドバイスは極力しないという。「『お祈りしてますからね』といったことも言いません。つい言ってしまいそうですが、それは相談員が胸の内で思い祈ることであって、こちらの思いを伝えるようなことはなるべくしません」
近年は相談内容も複雑で深刻化しているという。「家族の問題と個人の問題が複雑に絡み合っていたり、高齢者からの相談も多くあります。ただ、どんな問題、難しいケースでも相談者の精神、魂に寄り添うことは時代にを問わず求められています。また、似たケースがあったとしても、『全く同じ』ことは絶対ないから経験に頼ってケースをカテゴライズすることもできないのです」
「友となる」ことを目指すCMCCでは、1度きりの相談で終わりということはほとんどない。「心の病はたちどころに治るものでもないし、万能な治療法や処方箋もありません。誰にも言えなかった心の苦悩、思いを少しずつ吐き出して、相談者が自分で道を探り、自分にとっての意味や道を見つけていく、その過程を受け止め、ありのままを聴くのが相談員の役割です」と中村さん。
「いろいろな人の思いで支えられここまできたと思います。これからも、教団教派にとらわれず、キリストを柱として歩んでいきたい」と藤崎氏は抱負を語った。