ヘッドライン
[CSD]2008年5月11日号《ヘッドライン》
[CSD]2008年5月11日号《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
★ペンテコステ・メッセージ:「聖霊降臨のすばらしい恵み」 記・木坂 聖一
= 2 面 ニュース=
★「中国のキリスト教ブームを解く」——NCA関東活動センター新所長・薛恩峰氏講演
◎ホーリネス教団:「人権問題としてのセクシャル・ハラスメント」を公式ホームページ掲載
http://www.jhc.or.jp/jinken/sexual_harassment/
★世界福音同盟:米紙に声明「ユダヤ人に福音を」の全面広告
★米国:世論調査結果で「米国人は聖書が好き」
★<教界ニュース>同盟福音、ウェスレアン・ホーリネス、信教の自由・人権と政治学会
★<落ち穂>デシーザ氏の捕虜獄中での回心
= 3 面 =
★<教会の実情を知る:教会ルポ>[9]創立60年以上の教会が少ないのは…
★<教会の実情を知る:集計データから>[13]閉塞感を感じる分野——「教会の伝道」に7割が閉塞感
★<オピニオン>身近な所から地球家族の生活始めよう 記・杉本 玲子
= 4 面 ビジネスパーソン=
★ヴォーリズの語り部に——芹野 与幸さん[上]([株]一粒社ヴォーリズ建築事務所経営管理室長)
★<コミュニケーションのヒント>[7]イベントの成功の鍵は… 記・森宗秀敏
= 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『移住者と共に生きる教会』谷 大二ほか著(女子パウロ会、1,155円税込)
★BOOK:『幼子の救い』ロナルド・H・ナッシュ著(新教出版社、1,995円税込)
★BOOK:『神の庭のように』サラ・C・ヤングスト著(日本キリスト教団出版局、1,890円税込)
★REVIEW:『カルバリー・チャペルの特徴』チャック・スミス著(カルバリー・チャペル・ジャパン・パブリッシング、1,050円税込)
= 6・7 面 ペンテコステ特集 =
◎世界宣教の起点~ペンテコステ:第3回ローザンヌ会議の焦点—今日の世界宣教の中心課題
★今この時代における世界宣教の意味——日本の教会にとって 記・倉沢 正則
= 8・9 面 放送伝道特集 =
★放送・文書両面からの伝道続け——ルーテル・アワー「心に光を」
★イエス様に集中した番組を——キリスト教ラジオ放送局 FEBC
★「偶然」でも見てくれる番組を——PBA「ライフ・ライン」
★テレビ番組を伝道に——日本CGNTVが無料アンテナ設置
★8ヶ国語で世界に発信!——BBN聖書放送
= 10 面 教会学校 =
◎深刻化する性の問題に危機感——「キリスト教性教育研究会」第1回公開研究大会
★<CS分級アイデア>ゲーム:連携プレイでゴール目指せ! 記・みどり野キリスト教会「JFキッズ」
= 11 面 クリスチャンライフ =
★女性のいやしと回復の場——「Pray & Hope」プロジェクト発足
★「信仰の遺産」妻から夫へ——
= 12 面 教会 =
★新潟中越地震から4年、新会堂と共に新たな歩みへ——伝道福音・小千谷福音キリスト教会
◎ホーリネス教団:「人権問題としてのセクシャル・ハラスメント」を公式ホームページ掲載=0805110
4月8日に「当教団牧師による性的加害問題の経緯と再発防止への決意」を公表した日本ホーリネス教団(内藤達朗教団委員長)は、再発防止策の一環として同教団人権対策室(島津吉成室長)が作成したパンフレット「人権問題としてのセクシュアル・ハラスメント」を同教団ホームページ上に公開した。このパンフレットは今年1月にセクシュアル・ハラスメント防止・相談室(斉藤善樹室長)が電話等による相談業務を開始したのに先立ち、教団内諸教会に啓発資料として配布したもの。「決意」公表以来、同教団にはパンフレットを送ってほしいとの要望が他教団などから相次いでいた。
内容は「人権/セクシュアル・ハラスメントについての私たちの指針」に始まり、この問題を広く「教会で守られるべき人権」の一環と位置づけている。人権は法律で保護された権利であるとともに聖書が示す人間理解でもあるとし、個人情報を祈祷課題に挙げる際の注意や、献金・奉仕・集会出席を強要するカルト同様の人権抑圧が教会でも問題化していることと並んで、ハラスメントの本質が立場の弱い者に嫌がることを強要する構造であることを指摘。聖書と実際的観点の両面から、クリスチャンの心得や防止策、被害者・加害者になったときや相談を受けた場合の対処を述べている。
特に教職が留意すべきこととして、教会でセクシュアル・ハラスメントが起きる可能性、牧師が陥りやすい過ち、福音・権威・赦しの理解、援助のあり方、聖書的倫理、教会管理者として踏まえておくこと、教会内で被害が起きたときの対応と回復へのプロセスなどについても言及している。
◎世界宣教の起点〜ペンテコステ:第3回ローザンヌ会議の焦点−今日の世界宣教の中心課題=0805110
全世界に福音を宣べ伝える宣教の起点となったペンテコステの出来事から約2千年、今日その世界宣教の使命はどのような状況に直面しているのか——2010年に南アフリカ・ケープタウンで開催が予定されている第3回ローザンヌ世界宣教会議は、その一つの指標といえよう。包括的全人的な
神の国の福音へ
1974年に15か国から2千700人の教会・宣教リーダーを集めて第1回会議を開いたローザンヌ世界宣教運動は、福音派教会の宣教の理解を大きく広げた。それまでの福音派はこの世のことにあまり関心を払わず、福音を「魂の救い」に限定してとらえる狭い理解だった。それに対して、第1回ローザンヌ世界宣教会議で英国の神学者ジョン・ストット氏が中心となって起草したローザンヌ誓約は、福音宣教を「ホーリスティックミニストリー」という概念で表し、社会の変革をも含む全人的で包括的なものととらえ直した。
先ごろ来日したローザンヌ世界宣教委員会のダグ・バーゼル委員長は、ローザンヌ運動の意義について「『救いの神学』から『神の国の神学』へ福音派の視野を広げた」ことを挙げた。
未伝地の使命確認
同時にローザンヌ運動が再確認したことは、世界にはまだ福音を聞いたことがない「未伝」の民族が残されているということだった。この「アンリーチトピープルグループ」に焦点を当ててローザンヌ運動は、世界宣教の使命が未達成であることに注意を喚起した。以来ローザンヌ運動は「全教会が、福音のすべてを、全世界に」とのビジョンを掲げ続けてきた。そのビジョンは2010年の第3回会議にも継承されている。
だが、74年の第1回会議から今日までの間に世界は劇的に変化し、教会も変化に直面してきた。バーゼル氏は「福音それ自体は変わらないが、問題は21世紀の世界にどうやって福音を伝えるかということだ。2010年の会議はその点に焦点を合わせる」と言う。
唯一の主を示す
第3回ローザンヌ会議が世界の伝道にかかわる課題として挙げている3つの項目が、今日の世界宣教の焦点を如実に示している。
その第1は「多元化したポストモダンの世界におけるイエスのユニークさ」。価値観の多様な現代の世界において、私たちはどのようにして、キリストが究極の答えであることと、神に至る唯一の道であることを提示するのかというチャレンジである。
苦難の現実
第2は「世界における痛みと苦しみの問題」。HIV/AIDS(エイズ)や自然災害、テロリズム、飢餓、貧困といった世界が抱える諸問題に対して、私たちはどのようにして、苦難の現実にしっかりとした神学と実践をもって対応した初代教会のように、憐れみ深く福音の模範を示すことができるのか。
未成熟という危機
第3は「今日の教会における霊的成熟と適切な弟子化の欠乏」。皮相的な繁栄を求める今日のキリスト教界の指向に対して、私たちはどのように対処し、主の弟子としての霊的な成熟をもたらすことができるのか。
バーゼル氏は「過去の歴史を見ると、教会の将来が危ぶまれるような危機の時代に、ニケヤ会議など重要な会議が開かれてきた」という。異端や指導者のスキャンダルといった内的問題と、迫害や思想的な挑戦といった外的問題——今日、教会とキリストの福音はこの両面からチャレンジを受けているとバーゼル氏は指摘する。
「これらの問題に今のうちに対処しなければ、次の世代に混乱をもたらすことになる。第3回会議はそのような危機意識の下で開かれようとしているのです」
最大の課題は教会
全世界に福音を伝えるために残された宣教の課題とともに、その福音を担い携えていく教会とクリスチャン自身が抱える課題に対して、バーゼル氏は次のように強い危機感を示した。
「21世紀の最も大きな問題は、他宗教からの挑戦でも経済的な困難でもない。今日の教会そのものがイエスが願われた教会のようではない、そのことが問題なのです。福音自体ではなく、クリスチャンの一致やきよさの欠如が人々のつまずきとなっています。16世紀、宗教改革前のカトリック教会が聖書の福音から離れて免罪符を売っていたように、今日の教会では、聖書の福音の本質を知らずに幸せな生活を願うだけの繁栄の福音を求めるクリスチャンになっている。こうした教会の実態に対して批判的な預言者的視点、21世紀の宗教改革が必要です」
世界の劇的変化
第3回ローザンヌ世界宣教会議では、このような諸課題について世界200か国から4千人の教会・宣教リーダーが一堂に会して討議し、神学的かつ実践的な戦略を練ることになっている。
開催地のケープタウンは象徴的な場所だ。200年前の1810年、近代世界宣教の父といわれるウィリアム・ケアリーは、ケープタウンで世界宣教会議を開催しようと構想したが実現しなかった。それから100年後の1910年、世界教会協議会(WCC) は英国のエジンバラで世界宣教会議を開いた。当時、世界宣教の中心は英国だった。しかしさらに100年後、世界は劇的に変化し、宣教の中心はアジアやアフリカに移っている。
ケープタウンでの会議を終えたとき、宣教における一致、福音をどのように21世紀の社会に提示するのか、何に優先的に着手するのかが明らかになっていることを願う、とバーゼル氏は言う。
◎深刻化する性の問題に危機感−−「キリスト教性教育研究会」第1回公開研究大会=0805111001
深刻化する今日の性の問題を前に、人間が「神の似姿」として創造された事実に立ち返り、「人格と性の尊厳」に基づいた性教育の研究を進めることで教会教育・学校教育を支援・貢献しようと07年、「キリスト教性教育研究会」(富永國比古会長)が発足、4月29日、東京都三鷹市の国際基督教大学で第1回公開研究大会を開催した。その中から、テモテ・コール氏(ファミリー・フォーラム・ジャパン代表)による講演「性と性教育の現在?日米の比較を通して?」を紹介する。研究会の開始にあたり、富永氏は「ますます深刻化する若者の性の問題を前に、私たちは立ち尽くしています。一体どこに解決の糸口を見いだせばよいのでしょうか。皆さん、必死な思いで今日ここに集ってくださったことと思います。キリスト教性教育研究会の設立は、おそらく日本で初めての教派を超えた、学問的な、また実践的な試みとなるでしょう。日本の子どもたちが滅びないために、真剣に祈り、力を合わせていきましょう」と危機意識を語った。
コール氏は、「今の時代が最も取り組むべき深刻な課題は、性教育に関する問題です。性感染症はし、UNAIDSの統計によると、07年の世界のHIV/AIDS感染者総数は3千320万人、死亡者総数は210万人です。中絶も増加の一途をたどり、日本における戦後の中絶件数は6千700万件以上。また06年の日本のポルノ産業の収入は20兆円で、これは世界第3位です。もはや世界規模で性的危機に陥っていると言っていい。これは性倫理、生命倫理の崩壊の結果です」と現状を語った。
しかし、「深刻な問題だという認識はあっても、世界観の違いによってその原因や解決方法は違ってくる」とコール氏。「一つは、世界を造られた設計士がいて、この通りにすれば幸せになれるという図面(聖書)を与えてくださり、それに従って生きていくという価値観。もう一つは、図面などにしばられず自由に生きたいし、設計士が存在することも認識していない価値観です。特に性教育は、どちらによるかによって大きく違ってくる」と語り、「アブステナンス(控える)性教育」と「包括的性教育」を比較しつつ解説した。
包括的性教育は1914年、アメリカのマーガレット・サンガーが提唱した、避妊による「産児制限」の考え方に端を発する。?若者の性行為は本能的なものであり、自制するのは非現実的である、?すべての人に性的決定権、性と生殖の権利がある、??であるから、リスクを減らすことを目指すべきである、?情報はすべて提供すべきである、?伝統的価値観、結婚、家庭にとらわれるべきではない、とする考え方を特徴とし、1964年以降、全米へと広まっていった。
対してアブステナンス性教育(AE)は、包括的性教育を「?汎神論に基づいている。はっきりした倫理観を若者に与えるべきである、?若者の性問題は増える一方であり、効果をもたらしていない、?若者の判断力や人格を育てる訓練に成り得ない」の3つの点で批判し、?性的自制こそが妊娠や性感染症を避ける唯一の方法である、?結婚外の性的行為のリスクを正確に教えるべきである、?人格教育の重要性、?「NO」と言える能力を育てる、?メディアに関しての判断力を養う、?創造主に与えられている不変、絶対的な倫理、モラルに基づくべき、?避妊や性行為の指導をしない、?やり直しと神の赦しの強調、を提唱。アメリカでも徐々にAEを取り入れる学校が出てきているという。
コール氏は旧約聖書の創世記の言葉を引用し、「人間は神の本質に基づき、結婚関係の中で親密な関係を味わう存在として造られている。性教育はハウツーではなく、いかに人格を尊重し結婚を求める価値観を教えることができるか。大きなビジョンをもって、若者を救う運動を聖書の価値観に基づいて展開していくべき」と促した。