[CSD]2008年9月7日号ヘッドライン

[CSD]2008年9月7日号ヘッドライン
《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
★互いの悩み分かち合えた——イムマヌエル初の全国青年大会
★米国:大統領候補の初顔合わせ実現——サドルバック教会

 = 2 面 ニュース =
◎「人権守り、苦しむ者の友に」——韓・台民主化運動の旗手が講演
★カルト集団「摂理」の鄭明析(チョン・ミョンソク)教祖に懲役6年の判決
★<教会の実情を知る:ルポ>[22]人口流出・経済の衰退——教会まで出て行くのか
★<落ち穂>福音の季節を迎えつつある国

 = 3 面 教界ニュース =
★韓国民主化運動と日本の関係問い直す——「日本は政府に眠らされている」
★「子どもの権利」に焦点——全国キリスト教学校人権教育セミナー
◎教育現場の「人権侵害」批判——全国キリスト教学校人権教育研究協議会
★主の祈りから平和宣言——バプ連盟・堺キリスト教会
★<オピニオン>李明博韓国大統領への反感から学ぶこと 記・根田 祥一

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★牧師とレストラン経営と——荒井 孝喜さん[上](レストラン「みくに」創業者)
★サーバントリーダーシップ[2]組織のミッションを明確に 記・真田 茂人

 = 5 面 牧会/神学/社会=
★北京オリンピックに思う——中華文明帝国の魂は論語?
★<精神障害と教会>[34]誤作動体質断ち切る内容  記・向谷地 生良

 = 6・7 面 全面広告=
☆「キリストがすべて」——東京キリスト教学園
9月15日オープンキャンパス&LYREコンサート
ホームページ http://www.tci.ac.jp/

 = 8 面 全面広告=
☆9月から特別展「聖書の世界と文字」開催——聖書考古学資料館
ホームページ http://www.tmba-museum.jp/

 = 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『栄光の輝き』チャールズ・キャサリン著(生ける水の川、1,995円税込)
★BOOK:『自由自在なる人生』チャールズ・コーウィン著(ダビデ社、1,200円税込)
★CD:「I・N・O・C・H・I」(ミクタムレコード、3,000円税込)
★REVIEW:『北朝鮮の食糧危機とキリスト教』富坂キリスト教センター編(新幹社、2,100円税込)評・大津 健一

 = 10 面 関西だより =
★少数派神学生の架け橋に——トリニティ神学校初の日本人女性学生会長誕生
★「プレイズ・ワーシップ」12周年に——ミッション宣教の声
★<提言>脱・閉塞感[3] 重荷を下ろし、キリストのいのちを体験する 西川 弘志氏
★日韓教役者・リーダー研修会——今年は李大統領の出席教会で

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎支援の手立ては必ずある——ミャンマー・サイクロン被害 現地報告
★<弱い私の自慢ばなし>[10]牧師・牧師夫人のお手伝い? 記・斎藤 望

 = 12 面 ひと=
★回答者の姿に自己犠牲見た——尾崎 喜光さん(国立国語研究開発部門研究員)

◎「人権守り、苦しむ者の友に」−−韓・台民主化運動の旗手が講演=0809070201

 アジアが「キリストの十字架による神との和らぎ」を得るため私たちに何が求められているか学ぼうと、基督教共助会(飯島信会長)が8月6日~8日、夏期信仰修養会を静岡県函南町で開催。「アジアの平和とキリスト者の責任」を主題に、韓国民主化運動のリーダー朴炯圭牧師(85)、台湾民主化運動のリーダー高俊明牧師(79)が講演した。
 朴炯圭氏は、朴正熙、全斗煥の両大統領による軍事独裁の70年代~80年代、労働者らの基本的人権を獲得する運動を担った。5回投獄され、牧師を務めたソウル第一教会が政府機関の手先による暴力的な圧力で教会堂に入れなくなった80年代には、警察署前で路上礼拝を続けた。
 そうした韓国の民主・平和・統一運動を概説した朴氏は、預言者エレミヤが神から召命を受け恐れた聖書記事を引き、「私はエレミヤと同じようにしり込みした。水道も電話も切られ、食物もなくなり、降伏しようと思ったが、絶対だめだという青年たちと女性伝道師に支えられた。私は弱い人間。神の舞台に引き出されて歌ったり踊ったりした」と当時の心境を語った。
 また、韓国の民主化運動にはWCC(世界教会協議会)や日本のNCC(日本キリスト教協議会)などの多くの人たちが連携したことに言及。戒厳令下の韓国から教会や学生運動リーダーのアピールをひそかに国外に持ち出し、公開して国際的な世論を喚起した経緯を話した。共助会の飯島会長はその一端を担った。
 そして朴氏は、米国産牛肉の輸入再開などをめぐり李明博大統領に対する抗議デモが起きた現在の状況について、「李明博氏は教会の長老だが、政権に出身地と所属教会の人脈を身びいきして反感を買った。民意を無視してブッシュ大統領に媚びるような態度を国民は嫌った」と説明し、「時代は違うが、神様は見えない手で民主化への動きを続けていると思う。政治家は国民を無視してはいけない」と述べた。韓国では李大統領をクリスチャンだからと支持する教会と、それに反発する仏教徒や国民に「そんなクリスチャンばかりではない」と示そうとして抗議デモに参加する教会との間に溝があるという。
 高俊明氏は、台湾から見た「アジアの平和に対する日本の責任」について講演。日本が武力を持たないと決意した憲法により国際平和に貢献することへの大きな期待を述べた。半面、植民地時代の日本が台湾人に人権や自由を与えなかった問題を指摘。「自由を求める人たちの多くが投獄、迫害、殺害された。非人道的なことと闘うことが人間の務め。最大多数の最大幸福ではない。いと小さき者の一人を愛することがイエスを愛すること。本当に苦しんでいる人の友となり、彼らをイエス様に導くことが我々の務めではないか」と提起。
 また、正義や真理ではなく自分の国の利益を求めるという点で、日本だけでなく全人類が同じ罪を犯しているとも指摘。「自分の国の利益だけでなく、全人類の救いを求めることが私たちの責任。人間の尊厳を守ることが日本と全世界の責任だ。神様に造られた者として人間らしく生きるべき。そのために平和をつくり出すことが、神の子に課せられている」
 女性の人権軽視、児童労働・買春、劣悪な労働環境、チベット問題、韓国と北朝鮮、台湾と中国など、アジアの苦悩と危機を列挙。台湾人や原住民の人権のために働いてきた台湾基督長老教会の取り組みを紹介し、愛と正義に基づいた聖書的な平和を求めることを強調。「人間は不完全だから、いくら努力しても永遠の平和は来ない。しかし神様が最も良いと思われる時に新天新地を実現して下さると信じて、世界の平和のために努力しましょう」と訴えた。
 高氏は台湾基督長老教会総幹事だった80年代、美麗島事件(台湾民主化に影響を与えたデモが国民党政府に弾圧された=高雄事件)の首謀者をイエスの愛に基づいてかくまい逮捕され、4年3か月余り投獄。妻子も激しい圧迫を受け、娘は精神を病んだ。「後悔しているかとよく聞かれるが、全然悔いていない。ただ台湾を愛するゆえにかくまった。私を愛するように小さな者の一人を愛しなさいと言われたイエス様のみことばに従っただけ。刑務所に入れられたことで多くの人にイエス・キリストを宣べ伝えることができた」と語った。

◎教育現場の「人権侵害」批判−−全国キリスト教学校人権教育研究協議会=0809070303

 全国キリスト教学校人権教育研究協議会(関田寛雄会長、全キリ)は8月9日、第13回総会を開催し、「日の丸・君が代強制反対の声明」など、7通の声明を決議。各該当責任者にあてて送付した。
 決議したのは、「『日の丸』・『君が代』の強制に対する声明」を福田康夫首相、鈴木恒夫文科相にあてて、「根津公子さん(都立中教職員)への停職及び強制異動処分に対する抗議声明」を大原正行東京都教育委員会教育長、木村孟同教育委員長にあてて、「『ピースリボン』裁判への支援表明」を鈴木文科相、石原慎太郎東京都知事、大原教育長、木村教育委員長、関口博国立市長、早川晃弘同市教育長、及び最高裁第三小法廷にあてて、「『外国人指紋制度』に反対する表明」を保岡興治法務相にあてて、山口・下関市の嶋倉剛教育長が6月26日、山口朝鮮学園の関係者に、朝鮮半島における日本の植民地支配について「歴史的事実に反する」と発言したことに対する抗議声明(7月27日号既報)、2004年四国学院大学で、処分理由が明らかにされないまま教職員5人が懲戒、2人が解雇された事件に関し、処分の撤回要請を山下慶親同学院理事長、末吉高明同大学学長にあてて、の7通。
 声明では、教育現場における「日の丸・君が代」の強制と、個人の良心や信仰上の理由からそれに従わない教職員への処罰、また教育現場での「人権侵害」を批判。教育が「個人の良心の自由は、なきに等しい状況」となりつつあることなどに強く懸念を示している。全キリでは、「これらの声明に込められている祈りがキリスト教界でひろく共有され、『みむねが成ること』を求めて、さらなる議論と行動が展開されるよう」願いを込めている。

◎支援の手立ては必ずある−−ミャンマー・サイクロン被害 現地報告=0809071101

「支援の手だては必ずある」——ミャンマー・サイクロン被害 現地報告

 今年5月2日から3日にかけて、大型サイクロンが上陸し、南部地域に甚大な被害を受けたミャンマー。その被害と現在の支援状況の報告会が東京・新宿区西早稲田のキリスト教会館で開かれた。

 現地の状況を報告したチャーチワールドサービス(CWS)は、サイクロン上陸の2週間後に現地入りし、被害の大きかった南部のデルタ地帯で支援活動を続けてきた。ミャンマーの軍事政権の支配下で、支援活動には制限があるものの、CWSでは複数の支援団体とパートナー関係を築き、情報共有や役割分担をして支援を進めてきた。
 報告会では、被災直後の村全体が水没していたり、倒木によって人命、家畜が失われ遺体も埋葬する余裕がない、被災者が一定期間を過ぎると、軍によって復興できていない村へ強制送還されるなど、映像を交えて報告。また支援には、緊急支援と復興支援などがあるが、「まずライフラインとなる米や水などをミャンマー周辺の国で調達して現地に届けるシステムを作り、支援してきた」という。緊急支援は、これまでも世界各地で支援をしてきた経験から、「比較的スムーズに進んだ」が、「ノウハウやシステムが整っていなかったりパートナー団体と信頼関係ができているかどうかが、支援の成功を左右する」とも。
 緊急支援と平行して行われている復興支援に関しては、「雨水をビニール製の簡易シェルターに溜めて塩素を入れて消毒し飲み水として有効利用したり、雨で体力が消耗しないよう、ビニールを屋根にかけて雨漏りを防ぐ」など、生活基盤を整えるところから始まっている。7月は種まきの時期だったこともあり、「農業復興も急務。1年に何度もない種まきの時期を逃すと農業復興が進まない」など、復興支援の緊急性も語られた。また、被災で4千校もの学校が全壊したが、子どもたちへの教育も復興支援の課題となっている。とくに、「災害に遭った子どもたちが身体的なダメージ以上に心にダメージを受けているとの報告もある。そういった子どもたちへの継続的なケアは学校の役割」と訴えた。そのほか、災害によって感染症などが発生していないか、医療面も復興に欠かせない重要な支援だ。
 もう一つ、現在のミャンマーが抱えている問題に、少数民族の問題がある。少数民族の中には反政府派がいることで知られている。今回のサイクロンで被害に遭った中には、少数民族のカレン族の人々も多く含まれているが、カレン族の多くがクリスチャンであるため、軍事政権は教会やキリスト教団体に監視の目を向けている。
 このような背景があり、ミャンマーの災害状況について「軍の圧力による支援、報道の難しさ」ばかりクローズアップされ伝えられていたために、支援の現状が見えない問題があった。しかし、「軍の制約があったとしても、必ず支援する手だてはあります。支援団体のネットワークや協力関係が守られていれば、支援が無理ということはない」という。「広報、経理、財務や支援スタッフなどシステム化され、きちんと支援のスキーム(枠組みをもった計画)があれば支援は被災者に届きます」。そのためにも必要なのが、「支援団体が支援プログラムの規律を守ること」、「確実に支援が被災者に届いていることを報道すること」だと述べた。
 具体的に今、求められていることとして、「農業復興が軌道に乗るまで、人々のライフラインは整わない。緊急支援はまだこれからも必要がある。これらの状況は、被災直後よりも悪化しているのが現状」という。支援金に関しても、「必要目標額の半分程」という。
 引き続き、災害支援が求められている。
 ◇CWSに関する働きは、ジュネーブのACT(教会共同行動)を通して行われ、窓口はNCC(日本キリスト教協議会)となっている。
 ◇募金先…郵便振替0080・4・75788 名義=日本キリスト教協議会 通信欄に「ミャンマーサイクロン救済募金」と記名。