[CSD]2008年10月12日号《ヘッドライン》

[CSD]2008年10月12日号《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
◎インド・ハリアナ州に「子ども村」建設進む——売春、麻薬…狙われる少年たち
★中国:米国務省「宗教の自由」報告書に強い不満

 = 2 面 ニュース=
◎信徒、教職らの交流深め宣教の活力に——「神のかたちの回復としての宣教」主題に東海宣教会議
★日本伝道者協力会:25年の活動に幕引き
★<教会の実情を知る:教会ルポ>[27]教会の存在が知られていない——「足りなさを補う」視点で地域への貢献めざす
★<落ち穂>元祖便利屋の心意気を映画化

 = 3 面 =
★東アジアに900人の宣教師を——OMF日本総主事に管家庄一郎氏
★関西超教派クリスチャン戦争罪責告白者会:韓国の元従軍慰安婦への謝罪と献金を
★国際:WCCがコビア総幹事の任期延長へ
★<オピニオン>社会の波に翻弄されない教会へと 記・中野昌正

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★「私はイスラエル国と一体」——三宗 司郎さん[下]([株]アトリエ ベー代表取締役社長)
★<信仰の中の日本語>[3]父よ彼らをお赦しください 記・尾崎 善光

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『こどもとの宗教対話』F・シュヴァイツァー著(教文館、1,995円税込)
★BOOK:『教会生活のハッピーアドバイス』矢田幹太著(グローリーブックス、525円税込)
★CD:「A Generation United For His Renown」(ライフ企画、CD・DVDセット=2,310円税込)
★REVIEW:『私たちに現された神のみこころ』清水武夫著(いのちのことば社、1,890円税込)評・関野 祐二

 = 6・7 面 特集/西九州宣教座談会 =
★かつての伝道が問われる時代——経験のない枠組み下の伝道活動

 = 8・9 面 ワーシップ特集 =
◎水野源三さんの賛美歌詞に作曲——佐藤泰平氏がオルガン伴奏でCD&楽譜に
★自信もって大胆に賛美して——「Oh Happy Day」作者エドウィン・ホーキンス氏
★日本、韓国の架け橋に——在日韓国人ゴスペルユニット・Rina&Kana
★10月13日にPassion Conference 東京公演

 = 10 面 教会学校 =
★教会に五輪がやってきた——埼玉:KFG・志木キリスト教会
★<CSもうひと味>うちわや風船使って種目別競技

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★「無限の可能性を実感」——写真とアートのコラボ展開いた常田美香さん
★米国:不安のウォール街で、頼りは宗教?
★<僕の子育てライフスタイル>[9]一つの願い 記・堀井洋二

 = 12 面 教会 =
★広い敷地を菜園に活用——同盟基督・茨城:ひたち光教会

◎インド・ハリアナ州に「子ども村」建設進む−−売春、麻薬…狙われる少年たち=0810120101

 8月下旬、東部オリッサ州でヒンズー教原理主義者による大規模なキリスト教迫害(9月28日号既報)が起きたインド。同国が抱える社会的な問題は多岐にわたるが、最も大きな問題の一つが貧困だ。インドは90年代後半から急速な経済発展を遂げたが、所得配分の不平等や人口急増、カースト制度の影響により、富裕層と貧困層の間に格段の差がある。貧困ゆえ、都市部へと出稼ぎに来てストリートチルドレンとなる子どもたちの問題も深刻だ。元日本基督教団派遣宣教師、牧野由紀子さんは、路上生活で命の危険にさらされている子どもたちのため、「子ども村」の建設を進めている。

 牧野さんは、1967年から04年まで、宣教師として北部・アラハバードで多くの人々の自立支援に携わってきた。農村開発指導者の育成や女性の教育、少年労働者のための夜学「アーシャニケタン」の運営など、様々な活動を展開してきたが、現在はデリーで、子どもたちの救済事業を行うカトリック施設「ドンボスコー・アシャラヤム」の働きに加わっている。デリーには、貧困や虐待など、様々な理由で多くの子どもたちが農村地帯から出てくるが、暴力団に物乞いや売春を強要されたり、麻薬によって命を失うケースも後を絶たない。
 アシャラヤムでは、駅や寺院、スラム周辺で路上生活をする子どもたちを集めて規則的な日常生活、教育、職業訓練などを提供。多くの子どもたちが希望を見いだし、職を見つけて巣立った。「農村の事情を知っていること、ヒンディー語を話せること、底辺に生きる子どもたちの実態を知っていることなど、これまでの37年の活動は、このためにあったのだと確信しています」と牧野さんは言う。
 しかし、40人の子どもを収容するためにつくられたアシャラヤムに、現在は150人もの子どもたちが生活していること、また、子どもたちには集団生活ではなく家族として生活する場が必要であることなどを痛感し、牧野さんは「子ども村」建設の構想を抱いた。
 現在、プロジェクトは着々と進みつつある。06年6月には、デリーに近いハリアナ州に1万3千坪の土地を取得。また日本大使館の援助を受け、多目的ホールの建設も始まった。電気も引かれ、レンガ塀や井戸などの設置も終えることができた。
 「子どもたちも子ども村に興味津々です。私のオフィスに飾ってある大きな完成予想図を見て、毎日たくさんの質問をしてきます」と牧野さん。07年のイースターには、アシャラヤムの140人の子どもたち、独立した若者たち、神父、シスターら総勢200人で建設中の村を見学に出かけた。「建物が建っていない現実を見せて、実現の祈りを捧げることができれば、との思いからです」
 家庭生活と学校教育の場、及び職業訓練所の建設、農場やグラウンドの整備など、取り組むべき課題は山積みだ。鉄やセメントの高騰などの問題もあり、多くの費用が必要となってくる。「こども村」建設にはこれまで、「アーシャー子ども村を支える会」が活動資金を募ったり、アピールをしたりとプロジェクトを支えてきた。現在は500以上の支援者、教会、団体が加わり、支援を続けている。「子ども村」建設のため、「支える会」では引き続き多くの人の協力を呼びかけている。Tel&Fax.048・443・4837(四津)、郵便振替00120・8・777421。ホームページ=http://www2.ocn.ne.jp/~ashavill

◎信徒、教職らの交流深め宣教の活力に−−「神のかたちの回復としての宣教」主題に東海宣教会議=0810

 愛知、三重、岐阜県など東海地区の宣教と教会の交わりを目的にした「東海宣教会議」=河野勇一実行委員長=が、愛知県名古屋市の名古屋港湾会館を会場に9月22~24日まで開かれた。第5回となった今年、祝日をまたぎ、多くの人が参加できる日程だったこともあり、600人近くが同会議に出席した。
 今回の会議のテーマは「神のかたちの回復としての宣教~こころ・からだ・いのち~」。基調講演を河野勇一(緑キリスト教会牧師)、主題講演をジェラム・バーズ(米国・カベナント神学校教授)、講演を柏木哲夫(金城学院大学学長)の各氏が行った。
 河野氏は、今回のテーマ設定について「これまで『宣教』や『教会』などが主題だったが、今回は宣教する『福音』の内容を取り上げ、現代社会の抱える様々な問題を人間の『こころ・からだ・いのち』の面から考える機会としたい」と期待を込めた。続いて「銀貨10枚をもつ女」のたとえ話から「銀貨が本来の価値と働きに復帰したように、私たちも『神のかたち』に回復された者として、その完成を目指し、固有の召しにつくこと」の重要性を述べた。その上で、「今会議の諸講演や分科会がその刷新の場となり、お互い理解し、楽しむひとときにしましょう」と呼びかけた。
 3日間通して行われたバーズ氏の講演では、「神の似姿として人間は造られた、尊厳ある存在。人間の尊厳を中心とした社会のために、伝道者としてのイエスが示してくださった、他者へ寄り添う態度、かかわりから学び、罪によって欠けある私たちが、イエス・キリストにあって『神のかたち』に回復されるよう、祈り求め、社会の中で実践し自らをささげていこう」と力強く語った。
 また、柏木氏は精神科医、ホスピス臨床医として約2千500人を看取った経験、現在の大学教授の立場などから、今会議のテーマでもある「からだ・こころ・いのち」について講演。「生命は有限的であるのに対し、いのちは無限のもの。ホスピスは、生命といのち両方を見て初めて完成する。また、いのちは霊、魂と連動している」として、「私たちはからだの存在、こころの存在、魂(いのち)の存在である。そして、キリストによって再会の希望と永遠のいのちを約束されている」と死の間際にあってキリスト者がもつ希望、力について語った。
 これらの講演のほか、小堀英郎氏、下田葉子氏夫妻による賛美、レセプションや分科会で、信徒も教職も親しく交流する場を設けるなど、新たな試みもあり、活気ある宣教会議となった。

◎水野源三さんの賛美歌詞に作曲−−佐藤泰平氏がオルガン伴奏でCD&楽譜に=0810120801

 脳性麻痺にもかかわらず、瞬きで神への感謝、喜びを数多くの詩、短歌、俳句などに表した故・水野源三さん(1937~84年)。源三さんは「多くの人々に歌ってほしい」との願いから賛美歌詞も多く遺している。その願いを実現しようとリードオルガン奏者の佐藤泰平氏は、源三さんの47の詞に曲をつけた。また、今年6月には47曲から20曲を選びCD「水野源三讃美歌集20曲」(録音・視聴覚まるごと研究所、発売・パンプオルガンの会)を発売した。

 佐藤氏が初めて源三さんの賛美歌詞に曲をつけるきっかけは76年。新しいさんびか50曲『ともにうたおう』を作る時、源三さんの詞「何のために生きるのか」の作曲をするよう日本基督教団讃美歌委員会から依頼を受けたことだった。「その頃は、雑誌『信徒の友』を通じてしか源三さんのことを知らなかった。重い病気をもち、何のために生きるのかをお母さんに瞬きで伝え、書いてもらっている。どんなメロディーがいいのか、源三さんの気持ちを受け止められるのか悩み、締め切りぎりぎりまで考え、やっと作った」
 その後、「信徒の友」賛美歌投稿欄に載っていた源三さんの「キリストの愛」にも曲をつけた。詞の3行目にひかれたためだった。このデモテープを、手紙を添えて源三さんに送った。
 本人からは何の返事もなかった。だが、その歌が源三さんの告別式で歌われていたことを後で知った。「源三さんも病床訪問をしていた牧師も、私の作ったメロディーを歌っていたことに、びっくりした」
 「キリストの愛」の歌詞が源三さんのものと「信徒の友」に載ったものとは違うことも知った。選者の由木康氏が手を入れていたのだ。「源三さんと由木先生は本当に師弟のような関係だったと思う。由木先生は手厳しかったが、源三さんの創作を心から応援していた。だから、源三さんの詩作が向上していったのだと思う」
 源三さんは、賛美歌詞を300篇以上遺している。だがそのほとんどは作曲されないままだった。「もったいない。源三さんの意思を実現させたい…」、そう思い、45の詞に曲(旋律のみ)をつけた。そして02年、先の2曲と合わせ47曲の楽譜集『水野源三讃美歌集・キリストの愛』を自費出版した。
 しかしその後、源三さんの曲が教会で歌われている気配はほとんどなかった。「自分の力不足だった」と佐藤氏は言う。だが「楽譜だけでなく伴奏もつけ、音で届ければ口ずさむ方が出てくるかもしれない」と思い08年、20曲を選んで賛美歌集&CD「水野源三賛美歌集20曲」(歌・リードオルガン伴奏:佐藤泰平)を制作した(写真)。
 現在、この賛美歌を礼拝の会衆賛美で歌う教会も出始めているという。佐藤氏はこのCDを通し、源三さんの賛美歌がいろいろな教会で歌われることを願っている。
 楽譜集『水野源三賛美歌集20曲(伴奏付)』は1冊600円(送料込み780円)、CD1枚千円(送料別)。点訳(1冊400円)もある。楽譜集、CD、点訳本希望者はTel&Fax.022・278・7756、佐藤まで。