[CSD]2009年8月9日号《ヘッドライン》

[CSD]2009年8月9日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎内戦で傷つく子どもにマンガ聖書1千万冊を——新生宣教団がプロジェクト展開
★8・15は「いのちありがとうの日」——終戦の日と新たな希望の日に

 = 2 面 ニュース=
◎精神科医・平山正実氏「自死者の名誉回復宣言」を発案——偏見捨て 遺族をケアの対象に
★神の愛と癒し 日本に届けたい——韓国のCCM歌手ソン・ジョンミさん
★聖学院大1日牧会サマーセミナー——牧師自身の癒しと自己開示のために
★北朝鮮:聖書配布のキリスト者を処刑か
★バチカン:米大統領90年ぶりにバチカン訪問
★<落ち穂>横浜海岸教会の鐘の音

 = 3 面 =
★第10回シンポ地方伝道より信徒を交えたチームで孤立化を防ぐ
★追い詰められる統一協会——霊感商法全国弁連が各省に申し入れ
★<オピニオン>戦争・平和を考える季節を若者の心に 記・高木 実

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★病院通いしながら教会へ——北條 浩司さん[中]([株]近江屋呉服店代表取締役)
★<ストップ・ザ・不祥事>[8]財務・法務・税務結ぶ哲学必要 記・山龍一

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★CD:「天使のパン」くめさゆり さんびか集([株]ミディ、3,150円)
★BOOK:『マンガdeキリスト教入門』春名康範著(日本キリスト教団出版局、1,680円税込)
★REVIEW:『ダビデのように』マックス・ルケード著(いのちのことば社、1,890円税込)評・永倉恵子

 = 6 面 前面広告 =
☆月刊ディボーションガイド「マナ」 創刊9月号 特別価格200円
創刊2号(10月号)より定価500円
ホームページ http://www.wlpm.or.jp/manna/

 = 7—9 面 8・15特集 =
★「避けられる死」——生と死から問う戦争
★8・15関連集会
★座談会:次代を担う若者が考える戦争そして平和

 = 10 面 教会学校 =
★<教会学校の実情を探る>「「楽しいから待ち遠しい」教会の英会話教室——単立・貫井南町キリスト教会
★<CSもうひと味>『子どもに愛が伝わる5つの方法』ゲーリー・チャップマン、ロス・キャンベル共著(CS成長センター、1,470円税込)

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎戦争の影 今に残る問い——『平和を実現する力』四竃 揚著(日本キリスト教団出版局、1,890円税込
★映画「花と兵隊」——南方で戦い、還らなかった兵士たち(8月8日からシアーター・イメージフォーラムでロードショー)
★<痛みに中に生きる>[25]若者編 神様の導きはどこに

 = 12 面 教会 =
★地域招いて韓国料理に舌鼓——同盟基督・椎名町教会

= I—IV面 別刷カラー日本宣教歴史地図 =
★開港150周年記念 その足跡を訪ねて
★47都道府県の「宣教事始め」ダイジェスト版
★日本プロテスタント宣教略史


◎内戦で傷つく子どもにマンガ聖書1千万冊を−−新生宣教団がプロジェクト展開=0908090101

 アフリカ東部に位置する内陸国ウガンダ。クリスチャン人口80%のキリスト教国だが、1962年独立以降、度重なるクーデターで、多くの国民が殺されてきた。そんな痛みを抱えるウガンダの子どもたちのために、新生宣教団(ロアルド・リーダル総支配人)はウガンダの教会、聖書配布団体と協力し、マンガ伝道用冊子「ザ・メサイア」を贈ろうという「ウガンダ伝道プロジェクト」計画を進めている。

 ウガンダは62年、4つの王国を内包する連邦国家としてイギリス領より独立。だが66年大統領に就任したミルトン・オベデは反対者を弾圧、粛正するという独裁政治を行い、71年クーデターで政権を掌握し大統領になったイディ・アミンは、30万人の国民を虐殺するという恐怖政治を行った。
 85年、自らを神の子と主張するジョセフ・コニーが反政府勢力「LRA(神の抵抗軍)」を結成。LRAは約3万人にも上る子どもたちを次々と拉致。子どもたちを洗脳し殺人兵器に仕立て上げ、自分の家族、親族を次々に殺させた。政府はLRAを制圧できず、子どもが親兄弟、親族を殺すという悲劇は10年に及んだ。
 そんな極限の中、あるクリスチャンたちは偶像礼拝を悔い改め、まじないやお守りを取って捨て、拉致被害児童のクリスチャンの親は拉致した人を赦し始めた。その結果、子どもたちの心が解放されていき、その時からウガンダにリバイバルが始まっていった。
 新生宣教団がウガンダと関わりをもったきっかけは、現地の教会や聖書配布団体と協力して聖書を贈呈したことから。現政府は、キリスト教が治安維持につながったとして、公立学校で聖書を教えることを推奨。だが、教える先生が聖書を持っておらず、その必要性が生じたためだ。
 次に贈ったのが、『マンガ・メサイア』(頒布版)。80万冊を1年かけて私立学校の子ども向けに送ったところ、非常に喜ばれた。「ウガンダには、フルカラーの印刷物というものがありません。ですから物珍しさもあり、子どもたちが興味をもちました。日本のマンガというステイタスも大きいと思います」と新生宣教団宣教部の赤松清さんは言う。
 何十年にもわたる内戦で親兄弟、親戚を失い、心に痛みを抱えている子どもたちに、何としても聖書のメッセージを届けたい…。そこで、新生宣教団はウガンダ側に『マンガ・メサイア』を64ページにまとめたダイジェスト版伝道小冊子を提案。ウガンダ側からは「できる限り資金を集めるから1千万冊送ってほしい」との要請が来た。
 新生宣教団は、年内に第1弾として20万冊(1コンテナで運べる量)を送る準備を進めている。そのためには500万円が必要。「1冊25円、千円で40冊送ることができる。ぜひこのプロジェクトのために祈り、献金してほしい」と支援を要請している。振り込み先は郵便振替00100・3・759926、NLL海外宣教部(通信欄に「ウガンダ献金と明記」)。問い合わせTel.049・296・0706、Email gospel@nlljapan.com 、新生宣教団・宣教部。URL http://www.nlljapan.com

◎精神科医・平山正実氏「自死者の名誉回復宣言」を発案−−偏見捨て 遺族をケアの対象に=0908090

 1998年以降、日本では毎年3万人を超える人が自ら命を絶っている。警察庁の発表によると、09年は上半期で1万7千76人。過去最悪に迫る水準という。自殺が社会的な問題となり、対策が求められる一方で、根強く残る偏見や中傷が遺族を二重に苦しめている現実がある。こうした問題を重く見て、平山正実氏(精神科医、北千住旭クリニック)ら遺族を支援する専門家がこのほど「自死者の名誉回復宣言」をまとめた。「死へと追い込まれた自死者の、そこに至るまでの思いに目を留めてほしい」と願う。
 「私の体験で言うと、好き好んで死ぬ人は少ないと思います」。発案者の平山正実氏が、40年の臨床経験から感じ取ったことだ。「世界保健機関の統計によると、自死した人の7~9割が、何らかの精神疾患に罹患していたとされています。自分で決意して死ぬよりも、病気や社会的な圧力によって追い込まれ、死を選択することが多いのでは。多くの場合、彼らは社会環境や病気の犠牲者」
 平山氏ら自死遺族の支援者が、「自殺」でなく「自死」という言葉を使うのも、そういった理由からだ。「『自』を『みずから』と読めば、本人の自由意志で死を選ぶという意味合いが強いですが、『おのずから』と読めば、自分の意志に反して死なざるを得なかったと解釈でき、この違いは大きい」
 近年「自死」という言葉は浸透してきたが、いまだに根強い偏見が残ると、平山氏は指摘する。「『自殺者は敗北者』、『死ぬのはわがまま』といった批判的な意見が、自死者に対して投げつけられることが少なくありません。そのため、自死遺族も負い目や恥の感情をもってしまう」。突然愛する人を失った悲嘆に加え、偏見や誹謗中傷によって深く傷ついた遺族の苦悩を、平山氏は長年にわたって見てきた。
 「偏見や非難に対し、自死者には一切弁解の余地が与えられていません。自死行為の美化、推奨は慎むべきですが、自死者の名誉や人格の尊厳は回復されるべき。自死遺族の悲嘆が緩和されるためにも、自死者を偏見の目をもって見る風潮をなくさなければ」
 また、教会にもこの動きを知ってほしいと平山氏は願う。「『自殺は、神から授かった身体をあやめること。それは罪である』という認識がまだ少なくありません。その人が死に追い込まれた苦しみに寄り添うことが大切なのに、結果だけを見てしまいがち」
 ある男性は、クリスチャンでない母親を熱心に教会に誘っていたが、その母親が自殺。牧師に言われた「信仰告白をしていなかったから、お母さんは救われていないだろう」の言葉にショックを受け、うつ病を発症した。
 「一番苦しんでいるのは遺族。裁く視点ではなく、ケアの対象として見る方向転換が必要です。自死は社会全体の『共通罪』と言え、当事者だけに罪を押しつけるのは間違い。そういう面で私たちは悔い改めるべきで、私たちも罪を指摘されているという謙虚さをもつ必要があるのでは」と平山氏は語った。
 平山氏がまとめた『自死遺族を支える』を希望者に進呈。問い合わせはTel.03・3879・4565、北千住旭クリニックまで。

◎戦争の影 今に残る問い−−『平和を実現する力』四竃 揚著(日本キリスト教団出版局、1,890円税込

 広島に原爆が落とされた1945年8月6日。当時、14歳だった四竃揚さん(日基教団引退牧師)は、教師に使いを頼まれて作業場から1キロ南の中学校に向かった。作業になったことを知らずに登校してくる学友を引率して作業場に戻る予定だった。しかしその使いが生死を分けた。作業場の学友は220人全員が亡くなったからだ。
 8時15分。閃光の一瞬、机の下に潜り、死を免れた。市内には両親と姉の4人がおり、別々の場所で被爆した。
 ともあれ、家族6人は再会し、弟のいる疎開先で身を寄せ合う生活が始まった。だが、平穏な日々は長くは続かない。まもなく長女の佑子さんが敗血症にかかり、9月4日に亡くなる。これらの出来事や日々、その後の歩みが遺された家族らの手によって記され、このほど『平和を実現する力』にまとめられた。

 女児から少女へ。将来の希望や兄弟、家族への思い、神様への信頼がきらきらと育っているさなかの出来事だった。16年の生涯は、一発の原爆によってふっつりと途絶えてしまった佑子さん。
 胸を裂かれるような母の思い、牧師として親として気丈に見つめる父の思い、姉の面影を慕う弟たちの思いなど、被爆とその後の歩みを本書は五人五様の視点から描く。
 四竃さんは本書をまとめた理由に、「被爆者が少なくなり、伝える責任があると感じたこと、すぐ下の弟、更さんが現職牧師のまま亡くなったこと、広島教会120年史が上梓されたこと」をあげる。
 「自分は『生かされた』という気持ちがとても強くある」という四竃さんの目に今の時代はどう映っているのだろうか。
 被爆時の話をするといつも悪夢にうなされるが、子どもが中学生の時に話して聴かせたことがあった。「お父さんがその時死んでいたら、僕らはいないんだね」。そのひと言に、生かされたいのちは自分だけのものではないと感じた。「誰でも、いのちの危機を超えて人は生きています。原爆は人間の罪の極限だと思うのです」。平和をつくり出す者として長年、平和活動関わってきた。だが近年は、体験を語る人も積極的に聴く人も年々減っていると懸念する。
 いのちの危機は自分のことだけではない。無関心が誰かのいのちを脅かしているかもしれないと警鐘を鳴らす。「被害の側面からだけ原爆を語るのでなく、容易に加害者になりうる加害の側面からも核兵器廃絶を訴えていかなくては」
 教師に頼まれたことで被爆死を免れた四竃さんは、頼まれ事はなるべく断らないようにしている。被爆体験を語るよう依頼されたときは特にそうだという。「最近は若者がおとなしくなっていると感じます。積極的に若い人に平和活動に参加してほしい」。本書がそのきっかけになればと願う。
 原爆が落とされた歴史事実は変えられない。しかし、現在、未来のために平和を現実にしていく積み重ねは、今の私たちに委ねられた責務だとこの本は教えてくれる。