[CSD]2010年8月1日号《ヘッドライン》

[CSD]2010年8月1日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
★福祉国家から福祉社会へ——「友愛」実現化への提言『公共福祉という試み』
★「祈りの家」への施設拡充進む——「日光オリーブの里」2号館が竣工

 = 2 面 ニュース =
★私を救った1個のおにぎり——横浜・寿町でイエスと出会った記録作成
◎カンパは「つながり」の第一歩——深刻な米不足訴える路上生活者支援連絡会
★エジンバラ東京会議[10]世俗的な欧州人に届くために——急速な都市化、礼拝出席は激減
★<落ち穂>機銃照射を逃れた記憶さえも…

 = 3 面 教界ニュース =
★<竜馬をめぐる人々>[16]西郷隆盛の章:5 ——「敬天」の由来は儒教か? 記・守部喜雅
★イエス様と歩く旅 今年は中山道へ——9月6日からウォーク・ウィズ・ジーザス中山道
★参院選不出馬の木俣佳丈氏、政治活動休止へ
★ロバート・H・シュラー牧師(83)隠退
★<オピニオン>首相の所信表明演説に見る福祉の構造改革 記・稲垣 久和

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★澤田 猛さん[上]([株]竹中工務店東京本社設計部副部長)——教会で結婚式したかった
★<人生何とかなります>[10]今しかできないことをしよう 記・佐藤 敏

 = 5 面 牧会/神学/社会=
★日本人キリスト者の見た「日韓併合」[3]鷹揚な親のように歓迎した植村正久 記・山口 陽一
★オランダ:ルターの信仰義認は「反ユダヤ」?——ユダヤ系神学者が教義修正を提起
★<精神障害と教会>[78]多剤多量(1) 回復のための5つの条件 記・向谷地 生良

 = 6・7 面 特集/日光オリーブの里 =
★神の御声を聴く「祈りの家」
★静かな自然の中で癒しを——「病む人に開放したい」3号館着工

 = 8 面 「日の丸・君が代」強制——都立高校教師は今=
★処分取消求め第3次訴訟第1回口頭弁論——「些細なこと」と放置すべきでない
★「聖書に従い不起立」——岡田明さん=の陳述詳報1008010802=
★人格の完成を手伝うのが教師だから——処分3回でも従えない

 = 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『新版 ゴスペルの本』塩谷達也著(ヤマハミュージックメディア、1,785円税込)
★BOOK:『LYRE SONG BOOK』(ライフ・クリエイション、2,200円税込)
★REVIEW:『殉教と殉国と信仰と』高橋哲也ほか共著(現代書館、1,680円税込)評・朝岡 勝

 = 10 面 関西だより =
★賀川豊彦を語る記念碑完成——神戸市兵庫区の生誕地で除幕式
★壁 取り去るイメージ込めて——古川勝之個展「正立方体の黄色い家」(俵屋画廊で8月8日まで)
★フランクリン・グラハムの素顔と信仰語る伝記完成
★悔い改め共に祈り前進!——F・グラハム レディース大会決起大会開催
★神戸・垂水朝祷会スタート

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎愛知発 教会難民防ぐ道しるべ——「あいちゴスペルネット」
★苦手な「数」も絵で親しみを——安野光正「すうがく絵本展」銀座・教文館ウェンライトホールで開催(8月22日まで)
★<MOVIE>「フェアウェル さらば、哀しみのスパイ」7月31日よりシネマライズほか全国順次公開
http://jpnews.org/pc/modules/smartsection/item.php?itemid=74

 = 12 面 ひと=
◎藤田義愛さん(韓国安養市にテコンドー留学中)——五輪代表目指すテコンドー少年




◎カンパは「つながり」の第一歩−−深刻な米不足訴える路上生活者支援連絡会=1008010202

 日本キリスト教協議会(NCC)、新日本宗教団体連合会、庭野平和財団、仏教NGOネットワーク、立正佼成会、などが参画する「路上生活者支援連絡会」(世話人=野口陽一)が、支援に必要な米の緊急カンパを、広く社会に呼びかけていくことを決定。各界の記者を招いての懇談会を7月16日、日基教団・早稲田教会(東京都新宿区)で開催した。主食となる米は炊き出しなどで特に需要が高いが、端境期にあたる6縲怩X月は、毎年不足が問題となる。 当日は、支援団体「セカンドハーベスト・ジャパン(2HJ)」、「企業組合あうん気付『フードバンク』」、社会慈業委員会「ひとさじの会」が、支援の現状と方法について語った。「フードバンク」の中村光男氏は「問題は物質的貧困だけでなく、社会とのつながりが途絶えてしまっていることにある。カンパは、量の問題ではなく関心をもってくださること自体が貴い。被支援者にとって食糧は、もう一度生きる方法を考えるきっかけ」。2HJの島一匡氏は「私たちが提供する以外に、地方など支援の輪に入れない人もいる。いろんなところに拠点が必要。地域のお寺や教会が担ってくだされば」と話す。
 米のカンパは段ボールに梱包の上、「企業組合あうん」へ(送料は各自負担)。〒116- 0014東京都荒川区東日暮里1ノ36ノ10、Tel.03・5850・4863。http://www.geocities.jp/food_bank2007/HTML/

◎愛知発 教会難民防ぐ道しるべ−−「あいちゴスペルネット」=1008011101

 「教会、教団、教派の垣根を越えて町のために祈ろう」。そんなビジョンのもと、15年前にほんの数名の祈りから始まった「あいちゴスペルネット」は、県内のプロテスタント、カトリックの教会の情報ガイドや教会の地図を作成し、ネットワークを築く役割を果たす。愛知県で印刷会社を経営する近藤高史さん(単立・昭和橋キリスト教会員)は、その中心メンバーの一人だ。この働きには近藤さんの体験が大きく影響している。

 近藤さんは10代の頃、さまざまな悩みを抱えていた。大学は米国・サンフランシスコに進んだが、1年ほどで行き詰まり、学校に行かなくなったという。その頃、クリスチャンの知人に導かれて教会に通うようになった。「中学時代の恩師が自殺して亡くなって以来、自分も追い詰められたら死んでしまうかもしれない。漠然とした不安がいつもありました」
 キリストに出会い、受洗。漠とした不安から解放される経験をした。その後、牧師館に住み込みをして職を探した。「一文無しで何のキャリアもない私を住まわせてくれました。幸い、7か月で仕事も与えられて2年間、アメリカで働きました」
 後に妻となる千絵さんは米国留学中にキリストに出会い、シアトルで洗礼を受けた。夫と出会う前に千絵さんは不思議な体験をしたという。フェアウェルパーティーの席で、「良き結婚相手が与えられるように」と祈られたのだ。海外でクリスチャンになった人が帰国後に、信仰を保つ難しさはよく言われるが、その要因として「クリスチャンでない人と結婚したから」という理由が上位にあるという。「帰国しても信仰生活を続けられるようにという祈りでもあったのだと思います」
 同じ時期に帰国したクリスチャンというよしみから2人は出会い、結婚に至った。「共に海外でキリストに出会い、洗礼を受けました。そのため、日本の教会についてほとんど知識がありませんでした。どこの教会に行ったらよいのか悩んだ時期がありました」
 その経験から「どこにどんな教会があるのか、情報のネットワークを作りたい」との思いが近藤さんの胸にあった。同時に「教会や宣教団体はそれぞれで活動しています。せっかくよいことでもお互いにそれを知らないでいるのはもったいないと思いました。一教会ができること、把握できる情報は限られていますが、ネットワークを通して情報共有できたらと思いました」。それは、地域のどこに教会があるのかを、互いに知ることでもある。「そこからお互いの教会、地域のために祈るきっかけになる」との思いもあった。
 02年に発行された「チャペルガイド・あいち」は、教会のイエローページとも言われ、愛知県の多くの教会に用いられている。教会の所在地や連絡先だけでなく英語礼拝やポルトガル語礼拝をする教会を各言語で紹介し、キリスト教の基礎知識も盛り込まれており、海外から来た人や初めて教会に行く人にも使いやすい。「ただ、新しい情報を瞬時に更新できない難点もあったので、今後はインターネットで情報を発信していく予定です」。 すでに開設されている「あいちゴスペルネット」はさらに幅広く活用されている。「『ミニストリーフォーラム』がサイト内にあり、ここでは各宣教団体が情報交換をしたり、祈りの課題を共有できる横の繋がりの場になっています。ネットの中は上も下もなく、縦横無尽に繋がっていける場所です。この働きの目的はそこにあります」
 地域の連携を強めることは、ひいては日本全体の宣教に大きな力になる。他地域でも、近藤さんの働きに触発され、ネットワークを築く動きが進んでいるという。
http://www.aichigospel.net/

◎藤田義愛さん(韓国安養市にテコンドー留学中)−−五輪代表目指すテコンドー少年=1008011201

 シドニーオリンピック銅メダリスト岡本依子さんの活躍で日本でも知られるようになった韓国の国技テコンドー。小学校6年生でクリスチャンの藤田義愛さん(12)は、2016年のリオデジャネイロオリンピック・テコンドー日本代表を目標に、現在、韓国・安養市でテコンドー留学中だ。今年4月には、安養市のテコンドー大会で小学校6年生の競技部門とプンセと言われる型の部門で優勝し、見事、金メダルを2個獲得した。

 安養市にある教会が運営するテコンドー道場を訪問した。小学生たちが一堂に集まり、テコンドーの基本動作を繰り返す。その集団の中に、明らかにほかの少年たちとは技の切れが違う少年がいた。藤田義愛さんだ。
 安養市は韓国の中でもテコンドーの強い地域。市内のテコンドー大会の出場者は、日本のジュニアオリンピック全国大会より多い。その強豪ぞろいの中で優勝したのだから、実力は半端ではない。しかし、義愛さんはそれで満足しない。最終目標は、テコンドー代表選手として、オリンピックで優勝することだからだ。
 テコンドーを始めたきっかけも、義愛さんが5歳の時、「オリンピックに出るんだったら教えてあげる」という韓国人のひと言からだった。この最初のコーチの指導は非常に厳しく、技が下手だったり、遅かったりすると、傘で叩くというスパルタ式だった。「韓国では根性棒というのがあるのですが日本にはないので、傘で叩いていました。その傘も何本折れたかわかりません。下半身はいつもあざだらけでしたが、義愛は練習を嫌だと言ったことはなく、絶対に休みませんでした」と母の加織さんは言う。
 08年夏、小学校4年生の時、韓国のテコンドーナショナルチームの練習に参加。そこで出会ったコーチから「中学からだと遅いから、今から来なさい」と言われ、翌年1月、 韓国にテコンドー留学した。
 現在、義愛さんは、安養市内の小学校に通いながら、教会が経営するテコンドー道場で汗を流す。韓国では、テコンドー伝道が盛んだ。テコンドーは、今では世界のスポーツとして広がっているので、宣教ツールとして用いられている。この教会の目的も、テコンドーによる世界宣教にある。
 この義愛さんを物心両面で支えるのが、母の加織さんだ。加織さんは「義愛には絶対、神様のご計画がある」と言う。こんなエピソードを語ってくれた。
 大衆伝道者の本田弘慈氏が、日基教団・渋谷教会で生前、最後の伝道集会を行った時のこと。加織さんはまだ幼児の義愛さんを連れて参加。「神様に従ってきたいという人は前に出てきなさい」と本田氏が招くと、「地下の部屋にいたにもかかわらず、持っていたおもちゃを捨てて、ガーッと走り出し、本田先生の前まで走っていった」。本田氏は「坊や、よく出てきたね」と手を置き按手した。義愛さん自身はそこのことを全く覚えていないが、加織さんは「その時の光景が忘れられない」と言う。
 義愛さんがテコンドーでオリンピックに出場し、優勝を目指すのはあくまでも宣教のためだ。「テコンドーを通して神様を証ししていく」、これが義愛さんと加織さんのビジョンでもある。自宅も「テコンドー・オリンピック・ミッション・センター(TOMC)」と呼んでいる。
 来年は、テコンドー国家代表選手がいる中学に進学することが決まっており、さらに高みを目指すことになる。リオデジャネイロオリンピックが行われる2016年には、義愛さんは18歳。その時、クリスチャン・テコンドー選手としてどんな活躍をし、世界中から注目を集める中で、どんな証しをたてているのか、今から楽しみだ。