[CSD]2010年11月14日号《ヘッドライン》

[CSD]2010年11月14日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎苦悩する世界に「全福音」を——第3回ローザンヌ世界会議「ケープタウン決意表明」

 = 2 面 ニュース =
★第37回日本基督教団総会「一致はいずこに?」——未受洗者配餐めぐり紛糾
★日本基督教団総会後に部落解放劇——「あなたの隣人とは」
◎感謝・感激・感動で信徒育成を——OBI創立20周年 使命新たに前進
★<逝去>長岡輝子氏(女優、日本基督教団馬込教会員、102歳)——「聖書物語」朗読CD遺し
★<逝去>石原 寛氏(ルーテル学院理事長、石原法律事務所所長、80歳)
★<落ち穂>世界に祈られている日本

 = 3 面 教界ニュース =
★<竜馬をめぐる人々>[30]勝海舟の章:10——アンナ・ホイットニー物語 記・守部喜雅
★第3回ローザンヌ世界会議——「ケープタウン決意表明」1011140302
★<オピニオン>テーブルに載った世界への祈り—— 記・根田祥一——

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★加藤誠一さん[中]([有]渚商店代表取締役)——神様はビジネスの中にも…
★<会計基準の黒船来る>[4]有形固定資産を評価 実態重視 記・篠松次郎

 = 5 面 牧会/神学/社会=
★クリスチャンが裁判に訴える時とは 記・坂本兵部
★<精神障害と教会>[85]自分を助ける(1)——人と人を繋げる弱さ  記・向谷地 生良

 = 6・7 面 シリーズ宣教の課題を追う/福井・石川・富山=
★心病む人々の病院を訪問20年——福音放送で出会い
★閉塞社会だから外に目が向く——能登観光の町で英会話
★ゆっきり、無理せず できない人も一緒に——心の重荷を何でも言える
★弱い人に合わせて人間理解——カウンセリング
★富山県で初のホームレス自立支援——ほっとけない
★聞こえない人も共に礼拝——教会員らが手話通訳
★外国人労働者が集う夜礼拝——どんな人も来られる教会

 = 8 面 全面広告=
☆第46回 日本ペンテコステ教役者大会
「今こそ、聖霊による宣教と教会形成」
2011年2月1日(火)~4日(金) 会場:ヤマハリゾートつま恋
大会事務所:VCF可児福音教会 Tel.0574-62-6272 Fax.0574-63-6304

 = 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『走り続けよう——ウルトラマラソンと信仰』杉本常雄著(ハレルヤ出版、無料 Tel.06-6325-8613)
★BOOK:『いのちのことばをしっかり握って』ケネス・マクビーティ著(いのちのことば社、1,050円税込)
★BOOK:『互いに罪を言い表し、互いに祈りなさい』ニール・コール著(いのちのことば社、1,890円税込)
★REVIEW:『宣教学入門』レスリー・ニュービギン著(日本キリスト教団出版局、5,460円税込)評・矢口洋生

 = 10 面 関西だより =
★関西フランクリン・グラハムフェスタ:キッズ・フェスでディケンズの名作から子どもたちへ
★関西フランクリン・グラハムフェスタ:華やかにレディースフェスタ
◎関西フランクリン・グラハムフェスタ:バンケットで北城恪太郎さん証し
★グラハム大会の実 新クワイア誕生
★OCCコンサート——芸術の秋にショパンを楽しむ

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★映画「黒く濁る村」カン・ウソク監督に聞く——現代社会の善悪の共存と対立描くミステリー
★同胞への愛に燃やされて——第3回東海岸日本語教会合同ファミリーキャンプ 記・立石尚志

 = 12 面 ひと=
★太田多門さん(漫画家)——神様は諦めていなかった




◎苦悩する世界に「全福音」を−−第3回ローザンヌ世界会議「ケープタウン決意表明」=101114010

 1974年スイス・ローザンヌで開催された世界宣教会議(ローザンヌ会議)から36年。第3回ローザンヌ会議「ケープタウン2010」が10月17~24日、198か国から4千200人の代表を集め南アフリカ・ケープタウン国際会議場で開かれた。イエス・キリストの福音の中心性にしっかり根を下ろしながら社会に対するキリスト者の責任に視野を開きホリスティックな福音(福音の全体性)理解に道標を据えた74年の「ローザンヌ誓約(カベナント)」、続く89年第2回ローザンヌ会議の「マニラ宣言(マニフェスト)」を継承し深化発展させた「ケープタウン決意表明(コミットメント)」は、激変する世界の現実の諸課題を見据え、今後の世界の宣教の方向に指針を与えるものと言えよう。

 ケープタウン決意表明は、その枠組みを概観する序文と、主に対する愛の応答としての信仰の姿勢を表明する第1部、世界に対して仕えるために行動への決意を表明する第2部からなる。ケープタウン会議ではこのうち序文と第1部の草案が発表された。第2部はケープタウン会議参加者と世界95か国700か所の会場をインターネットで結んだ「グローバリンク」参加者(約10万人)からの声を反映して11月末までに全文を確定させる予定。同表明は会議の公式言語である英・独・スペイン・ポルトガル・仏・ロシア・アラビア・中国の8言語で発表されたが、日本ローザンヌ委員会(金本悟委員長)は日本語訳の公式翻訳指定を受け、現段階でほぼ確定している「序文」の日本語訳を公表した(3面に掲載)。

 ローザンヌ誓約は、伝道を「全教会が、全世界に、福音の全体をもたらすこと」と定義した。今会議の構成はその定義を意識したものだ。会期中4千人を超す参加者らは指定された5、6人ずつで連日同じテーブルを囲んだ。国籍も背景も異なる者同士が互いの国の事情や教会が直面する問題を知り、共に聖書を学び、分かち合い、祈り合い、議論を交わす。テーブルグループは「世界教会の縮図」という位置づけだ。
 主題聖句は・コリント5・18~20で、特に19節「神は、キリストにあって、この世をご自分と和解させ」が焦点。毎日のプログラムは賛美・礼拝に始まり、主題聖句を意識しつつ新約聖書の教会論の土台であるエペソ人への手紙を読み進める。みことばからの示唆を各自が自国の文脈に当てはめて考え、テーブルで互いに分かち合う。メッセージを聞いてさらに話し合う中で、「全世界(Whole world)」や「全教会(Whole church)」の理解が広げられ、「福音の全体(Whole gospel)」というキーワードの概念が深められていく。 
 初日の歓迎挨拶で議長のダグ・バーザル氏(ローザンヌ運動総裁)は、「神がこの会議を通して教会を一つにしてくださることはすばらしい」と期待を述べた。
 続く午前の全体講演では日ごとに、福音(多元化した世界にキリストの真理をもたらす、分断され破壊された世界にキリストの平和と和解をもたらす)、世界(他の宗教の信仰をもつ人々にキリストの愛を証しする、キリストのみこころにかなう優先課題)、教会(謙遜・誠実・簡素へのキリストの教会の召命、新しい世界の均衡へのキリストのからだにおける関係づけ)に焦点を合わせた。午後は、24の分科会、150以上に及ぶ討議集会に分かれ、さらに具体的なテーマについて論議を交わした。1日の終わりは頌栄と祝祷で締めくくられ、最終日には奉仕者やオブザーバーも含め約5千人の聖餐式で閉じた。
 諸講演やテーマに関連する世界各地からの証し、映像、寸劇などを通して、教会には初期から今日まで迫害があること、世界が貧困、戦争、エイズなどの病気、生態学的危機、気候変動、世俗化などにより傷つき苦難の中にあることが浮き彫りにされた。半面、それらすべてに解決と希望を与えるのは「和解の福音」であることも強調された。
 「ケープタウン決意表明」の起草責任者クリス・ライト神学委員長は、「世界の宣教を妨げているのは他宗教でも迫害でもない。福音にはそれらを突破する力があるが、神の民がその召しに生きていないことが問題だ」と指摘。力や成功を求める今日の「繁栄の福音」の傾向を、欲望を神とする偶像礼拝によって神の福音ではなく自分たちの成功を伝えようとしている、と厳しく戒めた。

◎“感謝・感激・感動”で信徒育成を−−OBI創立20周年 使命新たに前進=1011140203

 主に仕え教会に仕えるをモットーに、信徒育成教育を推進し創立20周年を迎えたお茶の水聖書学院(OBI=世良田湧侍理事長・学院長)では、10月25日に東京・千代田区のお茶の水クリスチャン・センター(OCC)で記念式を開催した。
 創立時から学院長を務め、20年間OBIを先頭に立ってリードしてきた増田誉雄前理事長・学院長が9月4日に天に召されており、開会祈祷に続いて理事の三浦喜代子氏が追悼の言葉を述べ、故人のOBIへの情熱と人を感動へと励ましながら用いていく人柄を偲んだ。
 増田前理事長・学院長の後を引き継いで新理事長・学院長に就任した世良田氏は、この日参列者に贈られた記念誌に増田前学院長の巻頭言が載せられていることに触れながら、「OBIには、特別な感謝を表す言葉として感謝・感激・感動という3つのKがあります。一般社会では負の意味で使われる3Kですが、私たちはポジティブな意味で3K学院と学生たちの間でも呼ぶようになりました」と、みことばを基に生まれた感謝・感激・感動の体験を求めていく学院の思いを新たに語った。
 また、これからの展望については主に仕え教会に仕えることをモットーにしてきた原点を見据えながら、「主の宣教に仕える信徒を立てあげるため、またアジアにあって女性の働き人を立てあげる課題にも取り組んでいきたい」と語った。
 記念礼拝では、OBI卒業生で理事の平松庸一氏(新潟大学准教授)、飯島延広氏(山崎製パン〔株〕社長)、湊晶子氏(前東京女子大学学長)らの挨拶、祝辞および村上宣道氏(OCC理事長)が聖書からメッセージを語った。村上氏は、OBIの前進がレイマン・リーダーズ・セミナーを一つの原点としていることに触れ、聖書の使徒の働きには「信徒の働き」と表現したいほど、最初の殉教者ステパノやエチオピアの宦官に聖書を解き明かしたピリポはじめ多くのレイマン(信徒)が散らされて福音宣教が進展したことが記されている。そこをもう一度見直す必要がある。神のために使命を与えられた神の民がレイマンの語源。レイマンだからこそ、社会に大きな証しをしている。そこにOBIポスト20周年の証しがあると思わされている」と語った。

◎関西フランクリン・グラハムフェスタ:バンケットで北城恪太郎さん証し=1011141003

 大会2日目午後には、ビジネスマン対象のフェスティバル・バンケットが大阪・中之島のリーガロイヤルホテルで開催された。定員400人のバンケットは人気が高く、満席で締め切り後も申し込みが相次いだという。
 「各界で活躍するトップの人たちに福音を伝えたい」との願いで企画されたバンケットには、土肥隆一氏(衆議院議員)をはじめ国会議員や地方議員、法曹界、ビジネス界から多彩な顔ぶれが出席した。「トーク」のゲストとして招かれたのは、日本IBM最高顧問で、経済同友会元代表幹事(現終身幹事)の北城恪太郎氏。
 北城氏は1967年に行われたビリー・グラハム国際大会で信仰の決心をしたいきさつにふれながら、自身の信仰とビジネスについて語った。
 北城氏は、社会人としての歩みを始める時に自分が正しいと思うことが必ずしもそうではないという現実にぶつかり、聖書を通して「自分の後にいて私を見守ってくださる方がいる。社会人として歩む時、その方が一緒にいる」との確信にいたった。「企業人として、どんなにむずかしい局面にも心にストレスを持たずに取り組めた。いつも心に平安がありました。私に与えられた賜物はビジネスマンとして仕事をすること。神様はいつも人生の節目で歩む道を示してくれた。それがクリスチャンビジネスマンの特権」と語る。
 また最近の日本経済の厳しさにふれ、「厳しい状況が普通だと考えなくてはいけない。景気が悪いと政府のせいにするのでなく、新しいものを生み出さなくてはいけない。仕事がなければ自分たちでつくるイノベーションに挑戦することだ」と訴えた。
 音楽ゲストには、ゴスペルシンガーソングライターの本田路津子さんが招かれ歌声を披露した。また小堀英さんが会食中、ピアノでのBGMを担当した。