[CSD]2011年6月26日号《ヘッドライン》

[CSD]2011年6月26日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
★欧州脱原発の源流デンマーク——荒廃から自然エネルギーで回復、背景にユグノーの信仰 記・山本文夫

 = 2 面 ニュース=
◎政治家が一致団結できるよう——3か月目の3・11超教派一致祈祷会で祈り要請
★一緒に祈る日:最大の人災は無関心——「復興の道を知る神に聴こう」
★藤本光悦氏(元仙台ラブリ聖書教会牧師)をパワハラ提訴——藤本氏側は棄却求め争う姿勢
★心の世界を学ぶシンポジウム——聖学院大学で7月1日開催
★<落ち穂>幕末のジャンヌ・ダルク山本八重を大河ドラマ化

 = 3 面 =
★<竜馬をめぐる人々>[49]坂本直寛の章:8——冷ややかだった義母の回心 記・守部喜雅
★「伝道は内なる神の解放」——クレイグ・カックス氏 新しい日本人伝道を提言
★JEA社会委員会:大阪府の「君が代」条例に抗議
★<オピニオン>求められる神の家族共同体 記・森谷 正志

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★小渕 暁さん[中]([株]ひかり塗装代表取締役)——塗装業は神が決めた仕事」 記・清水 茂則
★<会計基準の黒船来る>[12]震災関連損失合計1兆円超 記・篠松次郎

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『未来は誰でも変えられる』進藤龍也著(学研パブリッシング、1,365円税込)
★BOOK:『流浪の教会』佐藤 彰著(いのちのことば社、900円税込)
★REVIEW:『イエスとその目撃者たち——目撃証言としての福音書』リチャード・ボウカム著(新教出版社、7,980円税込)評・遠藤勝信

 = 6・7 面 Annversary =
★関西聖書学院創立50年——「十字架と聖霊、そして宣教」開拓精神養い実践力ある伝道者育成
★時代と対話し、新しい革袋求め続ける 記・大田祐作(同学院長)
★「未来に向かうパートナーシップ」——50周年記念式典10月17~19日開催へ

 = 8・9 面 横浜特集 =
★隣人愛に立ち続け140周年——横浜共立学園
★語学的天才宣教師の足跡——N・ブラウン『新約全書』を現代仮名字体で復刻
★10年越しの夢 教会が後押し——横浜ろばの店
★若者のたましいと生活のために「神の共同者」の場を——K2インターナショナルグループ

 = 10 面 教会学校 =
◎震災による心の傷 子どもの心をケアする——ファミリー・フォーラム・ジャパンから小冊子
★<CSもうひと味>『苦難の時にも』(ジェームズ・ドブソン著)ダイジェスト版

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎神奈川にも帰国者クリスチャンのネットワーク——幅広い世代巻き込み全国から各地へ広がり見せる
★「心が熱くなる」復興支援応援歌——神戸の牧師が作詞作曲「エマオのおまえ」
★<また行きたい! 教会の魅力>[18]キーワード「ヴィジョン」?——ビジネス街に置く教会コミュニティ

 = 12 面 教会 =
★「人生やり直せる」を体現——JRL・シロアムキリスト教会富山伝道所


◎政治家が一致団結できるよう−−3か月目の3・11超教派一致祈祷会で祈り要請=1106260201

 東日本大震災発生後、毎月11日に開催されている「東日本大震災復興支援 3・11超教派一致祈祷会」(同世話人会主催)の第3回が6月11日、東京・新宿区百人町の淀橋教会で開催。仮設住宅建設促進チーム事務局次長として岩手県宮古市、福島県南相馬市などの被災地を訪問した柴橋正直衆議院議員が語った。

 柴橋氏は、地元岐阜に向かう新幹線の中で震災に直面。翌日上京し、「岡田克也民主党幹事長の補佐役として党の地震対策本部での仕事をいただいた」。その後、応急仮設住宅建設促進チームに志願。「神様から?やれ?との迫りを受けた」という。
 ミッションは、お盆までに5万2千戸の仮設住宅を造ること。すでに4万7千戸は見通しがついたという。だが様々なハードルも。「宮古市では用地確保が最大の課題だった。津波で浸水したところに仮設住宅を建てるわけにいかない。被災者は住み慣れた地域から離れたくないと考える。様々な思いを受け止めつつ、用地確保に奔走する自治体関係者のご努力には頭が下がった」
 宮古市田老町には、世界一の防潮堤が沖合に流されてしまった場所だ。「『防潮堤があるから油断して逃げなかった人もいた。自然と戦ってはいけない』という市長の言葉が印象的だった」と語る。
 福島第一原発から20030キロ圏内の南相馬市では仮設住宅を建てられない事態に直面。「南相馬市は福島市、郡山市よりも線量が低い。中心部に仮設住宅を建てさせてもらえば職場に近いなどメリットがある。20キロ圏内のわずか数メートルの所に工場があり、そこで働けるようになれば給料が入り生活もできる。なので仮設住宅を建てられるよう対策本部に交渉しているが、なかなか難しい」
 若手議員と共に「ファームサンクチュアリ」という家畜の命を守る取り組みについても語った。「20キロ圏内は、家畜は放置状態。政府方針では全頭処分だが、それだと家畜農家の気持ちが持たない。それで、家畜を何とか救いたいとの一人の議員の願いからファームサンクチュアリ構想が持ち上がった。現在、放射線を浴びた家畜の研究という大義名分で受け入れてくれる牧場もある」
 「私もいろいろな局面で祈ってきたが皆さんの祈りが頼り」と柴橋氏。「この東日本大震災支援復興に向け、日本の政治家、リーダーたちが正しい判断をし、神様にあって一致団結できるように祈っていただきたい」と要請した。
 次回は7月11日午後7時より、淀橋教会で。メッセージは嶺岸浩氏(保守バプ・気仙沼第一聖書バプテスト教会牧師)。

◎震災による心の傷 子どもの心をケアする−−ファミリー・フォーラム・ジャパンから小冊子=110626

 東北を襲った大地震の爪痕は、跡形もなくなった町の景色や壊れた家屋、建物の損傷ばかりではない。人の心に深い傷と影を落としている。とくに、子どもたちの受けた影響は計り知れないものがある。トラウマや心的外傷後ストレス障害(PTSD)の危機については地震直後からマスメディアを始め、様々なところで指摘されていたが、実際にどのように子どもたちと接すればよいのか、親や周囲の大人の注意点とは。それらについてわかりやすく説明されているパンフレット「子どもの心をケアする」がファミリー・フォーラム・ジャパン(FFJ)から出された。

 FFJでは今回の大震災を受けて「何か家族に対してできることはないだろうか」と考え探っていた。そうしたところ、2009年にアメリカのFocus on the Family,U.S.A.から出された「悲劇の中の子育て」(グレン・ラトジェン著)に出合い、日本でもこのような冊子が必要だという思いに至ったという。09年にアメリカで頒布された時点では当然、日本の津波や地震を全く想定していなかったが、「様々な危機的状況の中で親は子どもにどのように接したらよいのかわからないという点では、共通して言えることがあると思います。版権の承諾をいただき、加筆修正しながら、翻訳と編集にとりかかりました」と編集者・翻訳者の前島常郎さんは語る。
 原本にはなかった地震の被災者に向けた言葉や津波、原発、地震災害といった言葉はオリジナルで盛り込んだ。また、 臨床心理学者の藤掛明氏(聖学院大学大学院准教授)からも助言を受けつつ、短期間で完成した。
 印刷したパンフレットのうち、大半をクラッシュ・ジャパンなど被災者支援を行うキリスト教団体に委託し、それらを通して頒布している。前島さんも実際に頒布のために東北に行ったが、「直接手渡すことは禁止でした。しかし、『ご自由にお取り下さい』というかたちで避難所に置くことができました」
 注文も思いがけないところからあった。「東松島の公立小学校の教頭先生が、どこかでこれを読んだようで、『ぜひうちの生徒と保護者、教職に読ませたい』とまとめて注文してくれました。クリスチャンであるなしにかかわらず、このような形で用いられることは大変うれしいですね」と前島さん。 

公立校でも活用

 実際、パンフレットの中身はというと――。
 19のトピックスがあり、「言葉以外の表現も受け入れる」、「自分自身の痛みと向き合う」、「感情が表に出てこない時」など様々なシチュエーションに応じたアドバイスがある。子どもならではの反応であったり、受け止めのケースもあるが、大人の反応にも当てはまり、「自分のために役立った」という声もあったという。
 「この中には、聖書の言葉やキリスト教用語もほとんどなく、神様や信仰といった言葉もほとんど出てきません。被災して子どものケアに悩んだり困っているご家族の方々のお役に立てれば。そういう思いで頒布しています」

 非売品で無料頒布されている同パンフレット。夏休みなどを利用して被災地の復興支援に行く人は、励ましに添えてこのパンフレットを渡したり、地域教会を通して頒布するなど今後も有効に用いられていくだろう。また、原本がこのような大災害を想定していたものでないために、災害以外の場面でも役立つのではないだろうか。

◎神奈川にも帰国者クリスチャンのネットワーク−−幅広い世代巻き込み全国から各地へ広がり見せる=110

 仕事や勉強のために海外に行くことも海外から人が来ることも珍しくなくなった今、海外でキリストに出会い、クリスチャンになって帰ってくる人たちも多い。90年に発足したアーバナ会を前身とする日本人クリスチャンフェローシップネットワーク(JCFN)では、そのような帰国者クリスチャンのサポートを行っている。また、近年ではAll Nations Returnees Conference(ANRC)も開かれ、帰国者クリスチャンが一堂に会す機会も増えている。そのような中から、日本国内の各地で帰国者クリスチャンのフォローをしようとネットワークが立ち上がっている。神奈川県エリアの帰国者クリスチャンを対象にしたReturnees in Kanagawa(RIK)の第1回が5月28日にあった。

 当日はあいにくの雨。だが、会場となった鷺沼キリスト教会には55人ほどの人が集まった。「賛美を第1部のプログラムのメインにした」とRIKコアメンバーの1人、村野友香さんが言うように、ワーシップリーダーのリードによって様々な賛美歌を歌い、神様に心を向けていくうちに参加者の緊張もほぐれた。その後、証しや近藤泉牧師(保守バプ・田園グレースチャペル)のメッセージへ。
 続く第2部では5、6人ほどのグループに分かれてそれぞれの自己紹介や近況、第1部の感想を報告し合った。どこの国にいたか、何年海外歴があるか、海外に行った目的もキリストに出会った背景も十人十色。だが、「海外でクリスチャンになって、日本に帰り、神奈川県に住んでいる」という共通点が心の隔たりを取り払う。
 参加者の一人、Aさんは、ハワイに在住していたが、夫の転職に伴い帰国したという。「ハワイの教会の牧師たちは、私たちが帰国後、日本の教会にスムーズに移れるようにと配慮してくださいました。だから、それほど困難を感じずに日本の教会に行くことができた」と言う。一方、アメリカ本土で洗礼を受け、2年前に帰国したBさんは、「日本に帰ってから、クリスチャンが身近にいなくて教会もほとんど行ってない。どんな教会があるのか、どういう集まりがあるのか、情報がほとんどなく、子育てに追われる中で、教会から遠のいていた」と語る。「この集会は知り合いに教えてもらって、近所だったので参加できた。礼拝に出席することから始めたい」と話した。
 再び全体集会へ。賛美と祈りのうちにプログラムを終えた。4時間という長いプログラムにもかかわらず、久しぶりの再会を懐かしんだり、スモールグループで知り合った人たちと話し込む姿があちこちであった。

 RIKが立ち上がる前まで、神奈川県の帰国者クリスチャンはJCFN関東集会で活動していた。だが、「若い人ばかりでなく、家族連れや大先輩の声をもっと聞きたいと思いました。大先輩の方たちも帰国者クリスチャンのために何かできることはないかと考えていてくださっていました」と村野さんは語る。全世界からの帰国者クリスチャンを対象にしたRIK。集まった55人近くは口コミで知ったという。
 次回は10月の予定だが「その前に夏に何かイベントができたら」と村野さん。近藤牧師は「帰国以来、教会に行ってなかった」という人も集会に来たことを通して「改めてRIKの働きや使命、今後の具体的支援のネットワーク作りなど課題も見えてきました」と語る。