ヘッドライン
[CSD]2011年8月14日号《ヘッドライン》
[CSD]2011年8月14日号《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
◎福島未来会議:全県の復興支援に一歩——各教界の報告と夢を語り合う
★大塚国際美術館で名画と名曲で描いた聖書の世界——「最後の審判」の前で演奏会
= 2 面 ニュース =
◎ヘドロ悪臭たちまち消えた——微生物活性液EM散布 被災地で威力発揮
★<逝去>ハ・ヨンジョ氏(韓国・オンヌリ教会主任牧師)急逝——日本の救霊に情熱注ぐ
★<落ち穂>
= 3 面 教界ニュース =
★<竜馬をめぐる人々>[55]坂本直寛の章:14——青年たちへの獄中書簡 記・守部喜雅
★「福島未来会議宣言」文
★菅内閣に靖国不参拝継続を要望——平和遺族会、NCC靖国委員会など
★新潟に記録的豪雨——教会関係の被害
★<オピニオン>米国財政危機から再興への鍵 記・渡部敬直
= 4 面 ビジネスパーソン=
★橘 陽司さん[上]([株]文悠 代表取締役社長)——同じフィールドで違う役割 記・清水茂則
★<ビジネス本>『地上最大の成功者』デモス・シャカリアン述(FGBMFI、1,000円税込)
= 5 面 牧会/社会/神学 =
★考古学最先端No.3:ペリシテ人の神殿——メソポタミア以来のタゴン崇拝
★<精神障害と教会>[102]な・つ・ひ・さ・お——「悪口を言われる」訴えを否定しない 記・向谷地 生良
= 6・7 面 8・15特集=
★明日の世代へ希望つなぐ証言集——『子どものとき、戦争があった』発刊
★戦争反対の気持ちが子どもたちに根付いてくれたら作者冥利——映画「はだしのゲンが見たヒロシマ」
★なぜ大人は人を殺したがるの?——映画「やがて来たる者へ」
★隠せない事実を語る——映画「ぼくたちは見た~ガザ・サムニ家の子どもたち~」
★8・15関連集会
= 8 面 全面広告=
☆信徒伝道者の養成を目指す—— 超教派 日本福音学校
2011年秋季学生募集 Tel.03-3359-9539 Fax.03-3359-5791
= 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★お知らせ:インドネシアツアー参加者募集
★BOOK:『NEXT GENERATION』佐々木拓也著(ジェネラルスギバーズ、1,575円税込)
★BOOK:『シャローム』白鳥良明著(日本キリスト教団出版局、1,260円税込)
★REVIEW:『ルター教会暦説教集』マルティン・ルター著(教文館、3,465円税込)評・正木牧人
= 10 面 関西だより =
★安らげる故郷のような新会堂——草津キリスト教会献堂
★「共に生きるために」公共福祉を考える——賀川デーで100年シンポジウム
★『聖書力』の中野雄一郎氏トーク&サイン会——8月27日にオアシス梅田店などで
= 11 面 クリスチャンライフ =
◎核廃絶を世界に訴えたバーバラ・レイノルズさんの記念碑が広島・平和記念公園に
★ケニアの子どもたちが東日本大震災被災地へ義援金——バナナ1房「お金に換えて、送って」と
★Movie:「沈黙の春を生きて」——化学薬品に壊されている人間そして自然環境
= 12 面 ひと=
★渡辺 翔さん(棒高跳び選手)——「神に栄光」意識してバーを飛ぶ
◎福島未来会議:全県の復興支援に一歩−−各教界の報告と夢を語り合う=1108140101
福島県の原発問題は揺れ動く。先の見えない中、どんな未来を描けるだろうか。県内の諸教会が震災復興を話し合う「福島未来会議」(「声なき者の友」の輪〈FVI〉主催)が、7月25日から28日、福島県郡山市のホテルで開催された。牧師・家族とFVIスタッフ約30人が参加し、近況を聞き合い、未来を話し、祈り、つながるときとなった。最後に参加者の決意を全体でまとめ、宣言文とした。FVIは震災後福島県を中心に30以上の教会訪問、4か所で原子力の講演会を行った。昨年FVIを創立した代表の神田英輔氏は本会議の経緯を「訪問して支援の偏りを知った。原発問題があり、県全体で集まりが必要と呼びかけた」と話す。
1日目は自己紹介をし、2日目午前中は、天地創造から新天新地までの歴史を聖書的観点から見直した。壁一面の年表に参加者が歴史項目と聖書的解釈を書き込んだ。
午後は「神の国」がテーマ。神田氏は新約聖書全体で「神の国」が主題だと確認し、「神の国」は神の主権が及ぶ範囲であり、「『ハデスの門もそれには打ち勝て』(マタイ6・18)ない」と神の国の現在性を強調。原発建設の背景について、「『もっと便利に快適に』という貪欲があった。価値観を正し、神の国をもたらそう」と話した。 3日目午前は参加者の報告があった。福島市の久場政則氏(保守バプ・北信カルバリー教会牧師)は震災後、教会員から「私たち教会が何かできることはないか」と呼びかけられた。音楽奉仕をできる人中心に避難所でミニコンサートを開催した。心のケアの必要を感じ、クラッシュジャパンの心のケア訓練会を教会で行った。教会員は継続的に仮設住宅を訪問する。「いろんな情報を聞き『やらなきゃ』と焦るが、小さくても手にある『からし種』をまいていきたいと思います」
いわき市の住吉英治氏(同盟基督・勿来キリスト福音教会牧師)は、「今後は神の国を広げるため、福島全体の協力と宣教会議開催を願う」と呼びかけた。救援拠点となった単立・グローバルミッションセンター牧師の森章氏は「教派を超えて一致した。『楽しくて仕方がない』とまた来る人がいる」と喜びを語った。
スマトラ島沖地震で同僚を亡くしたカナダのスーワン・パーク氏(リージェントカレッジ)は海外の視点で、被災地教会・資金援助団体・神学校が連携し、祈り、学び合い、アイデアを創造する「グローバルラーニング共同体」を提案した。
午後は夢について。「放射性物質の除染」、「核廃棄物処理プラント」、「人材派遣会社」などをつくるという具体的な夢、「あらゆる人間の尊厳があらわされる福島」、「家族の回復」という魂に関する夢、「キリスト教の一貫校」、「年間100人の献身者を出す訓練所」などをつくるという宣教の夢があった。
郡山市の三箇義生氏(アッセンブリー・グレースガーデン・チャペル牧師)は仮設住宅やアパートに移った避難者に家電・日用品などを支援。「伝道できるときもあるが、被災者に会うと、まず必要に応えなくてはいけない」
福島市の木田恵嗣氏(ミッション東北・福島聖書教会)の教団は県内中心に5つの教会のみ。「グループの中だけで精いっぱい。大きなことはできない」と実情を話した。また「色々なプログラムを紹介してくださるが、現地の声を聞いてくださる団体は少ない。本会議では普段会えない先生たちと会えて良かった」と本音を語る。
会津若松市の上森泰造氏(日本イエス・待望教会牧師)は、建物の被害はほとんどなかったが、町には放射線の不安で疲労感がただよう。本会議について「地元の牧師の意見を吸い上げてくれた。自由時間でも1対1で話せる場となり、横のつながりができた。次回は私たちが地元の人を呼びかけていきたい」と抱負を語った。
◎ヘドロ悪臭たちまち消えた−−微生物活性液EM散布 被災地で威力発揮=1108140201
鼻をつまみたくなるような悪臭がたちまち消えていく。東日本大震災から4か月。日本全国からボランティアチームが被災地を訪れ救援活動を行っているが、まだまだ復興、復旧にはほど遠い。特に被災地では、津波によりこびり付いたヘドロの悪臭が悩みの種だ。ところが今、微生物の力で臭いを分解するEM(エフェクティブ・マイクロオーガニズムス)が威力を発揮。今、キリスト教支援団体で注目を集めている。EMとは発酵食品に使われている乳酸菌や酵母などの微生物を集めた活性液で、微生物が悪臭の素となる腐った魚、石油、ヘドロなどを分解し、取り除く効果がある。
このEMを散布する活動を始めたのは宮城県気仙沼市在住の足利英紀さん(理想産業有限会社代表取締役、バプ同盟・日本バプテスト気仙沼教会員)。足利さんは20年間、EMを使って海をきれいにしたり、塩田、田畑の改良に応用してきた。
「EMは黒または茶色の液体で、通常、単一種類で扱われるのが普通だが、EMでは嫌気、微好気の微生物が複数共存している。80種類の微生物の組み合わせにより幅広い対象に有効で、酸化したものを中和し、不快な臭いを取り除く複合共生の微生物資材という点が特徴です」
足利さん自身、今回の大震災で津波に遭い、全財産を失った。途方に暮れる中、「あなたにはEMがあるじゃないの」と妻のひと言で我に返った。「EMを散布することで、悪臭を消し、復興支援のお役に立てればと思った」
今年4月、ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会の被災地支援活動「アガペーCGN」を通じて気仙沼市に来ていたウェスレアン・ホーリネス教団復興支援委員会委員長の小寺隆さん(九十九里みぎわ伝道所牧師)は、そこで足利さんと出会う。市街地や保守バプ・気仙沼第一聖書バプテスト教会(嶺岸浩牧師)の信徒宅でEMを散布。臭いは見事に消えた。このうわさを聞いた同県名取市の教会の信徒から「自分の住む地域でも散布してほしい」との依頼があった。小寺さんも、復興支援活動の一環としてEM散布を行いたいと願った。
その後、同復興支援委員会は宮城南部復興支援ボランティア(MSR+)をクラッシュ・ジャパンとの協力関係で立ち上げ、6月、岩沼市にセンターを開設。EM散布で悪臭を抑えることを主な支援活動とし、これまで3回にわたり、亘理町逢隈高屋、荒浜、長瀞、吉田などの地区の民家約350戸にEM散布を実施した。
7月4日には足利さんの指導と支援を受け、MSR+と岩沼市のボランティアと一緒に、遺体安置所として使用されていた市体育館の天井、側面、床に高性能の噴霧機でEMを散布。線香の臭いなどがこびりつい体育館は、EM散布によって見事に臭いが消えた。
悪臭の除去は、消石灰を撒くのが一般的だ。だが「消石灰は強アルカリで良い菌も悪い菌も殺してしまう。土壌の消毒が目的なので、時間が経つとまた汚泥や瓦礫から悪臭がたちこめる」。それに比べ、EMは一度撒けば臭いは大方消え、しかもローコスト、ハイクオリティーで、環境や人体にも安全だという。
EM散布の効果が実証されたことで、多方面から依頼が来ている。また、クラッシュジャパンなど他のキリスト教支援団体と協力し、EM散布を実施している。
MSR+は、海水が入った水田や畑にも効果があるEMを、希望の見えなかった地元の農家の畑に試験的に散布した。水だけの処理では3、4年必要とされる塩害からの回復が、EM処理をすると1年で完了すると言われている。
MSR+は8、9月にもEM散布を中心としたボランティア活動を行う。
詳細はhttp://wh-sinsai.jimdo.com/ で。問い合わせはTel.090・4554・5362、Email miyagiem@gmail.com (担当・川上)まで。
◎核廃絶を世界に訴えたバーバラ・レイノルズさんの記念碑が広島・平和記念公園に=1108141101
原爆犠牲者を心に刻み平和を祈念する8月6日、内外から広島を訪れた多くの人々は、平和記念公園に今年新たに加えられた米国人クリスチャン女性の記念碑を目にした。広島を拠点に核廃絶・平和運動を展開し、1965年ワールド・フレンドシップ・センター(WFC=現在は特定非営利活動法人、広島市西区東観音町8ノ10)を創立したバーバラ・レイノルズさん(1915~1990)。その碑には、被爆者たちに共感した彼女の言葉「私もまた被爆者です I, too, am a hibakusha」が刻まれている。バーバラさんは平和主義を信条とするクエーカー教徒。1951年、被爆者の放射能被害の研究調査に派遣された夫アール・レイノルズさんと3人の子どもたちと共に広島にやってきた。3年後、一家はヨットで広島港を出港。世界中を航海するうちに世界平和への関心が高まり、自国の水爆実験を阻止しようと南太平洋の禁止海域に入って拘留されたり、旧ソ連の核実験に抗議するためナホトカに向かい上陸を拒否されたりした。
やがてバーバラさんは広島に戻り、被爆者や原爆孤児の若者を連れて核保有国を含む国々に平和巡礼団を組織、核廃絶を訴えた。そして1965年、友情を築き平和を促進する場所としてWFCを設立した。
WFCでは被爆者の証言を通訳付きで提供し、原爆養護老人ホームの訪問や、平和公園の記念碑をめぐるガイドツアー、ピースセミナー、海外との平和交換使節などに取り組んできた。そうした活動が評価され、75年には広島市の特別名誉市民に選ばれた。そして今年、原爆投下国である米国の女性を記念する異例の碑が、平和記念公園南東緑地に設置された。
6月12日に行われた除幕式には、10代を日本で暮らしたバーバラさんの長女ジェシカ・レンショウさんが米国から列席。母親の平和活動の原動力ともなった信仰覚醒の出来事を明かした。
1964年9月、当時49歳のバーバラさんは、離婚のつらさのただ中にあった。そんな彼女を友人の僧侶が、瞑想と断食と祈りで過ごすようにと六甲山の寺に招いた。
「そこで1週間、母は結婚の失敗を嘆き、自らの生きる目的とは何か、大声で泣きながら天に問いかけたのでした。母はもともと他の神々の上に立つ神様を信じていました。母はこの神を、創造主であり宇宙を支配する強きものとして知っていました。でも六甲山での1週間を過ごすまで、母は、その偉い神様が、私たちの身近で生きている父なる神様であることを知りませんでした。1週間の終わりに、神様は母の心に語りかけ、母を愛していると、そして母を赦すと言われました。母の涙は喜びと平安の涙に変わりました。神様はその時、母が受けた愛を広島へ届け、被爆者の皆さんにお仕えすることで神の愛を示すことが、母の生きる目的であると啓示されました」
その召命に忠実であろうとバーバラさんは被爆者の話に耳を傾け、一緒に泣き、仕える者となった。その従順からワールド・フレンドシップ・センターは生まれたと、ジェシカさんは紹介した。それまで社会から疎外されていた被爆者たちも、心を開いて真情を明かしてくれるようになった。苦しみながら生き抜いている被爆者たちに尊敬と共感を覚え、痛みを分かち合う、その経験の中から「私も被爆者です」という言葉が出たという。「母はノーモアヒロシマという被爆者のメッセージを世界中に広げ、地球上のすべての人々が平和を選択しヒロシマの恐怖と惨事を二度と誰にも味わわせないようにと呼びかけようとしました」
最後にジェシカさんはチェルノブイリ、スリーマイル島、福島の原発事故に触れ、スピーチをこう締めくくった。「放射能は戦争と平和の違いを選びません。核兵器の放つ放射能は戦争が終わった後でも人々を殺戮し続けます。原子炉からの放射能は、事故があろうとなかろうと、近隣の住民の発ガン率を高めます。こうして放射能にさらされた方々も原子力利用の被害者なのです。私たちはここに、すべてのヒバクシャに向かって、私たちは彼らの苦しみを決して忘れないということを誓います。私たちは、あなたがたのメッセージをこれからの世代に伝えます。『ノーモア広島! ノーモア長崎! ノーモア福島!』」