ヘッドライン
[CSD]2011年8月21日号《ヘッドライン》
[CSD]2011年8月21日号《ヘッドライン》
= 1面 ニュース=
◎本郷台キリスト教会 石巻市に救援拠点――心に寄り添うために
★日韓共同でLED十字架プレゼント――被災地の空に希望の光を
= 2 面 ニュース=
◎外国人の安否情報が欠落――第15回外登法問題国際シンポ
★県全域の教会から100人重荷と祝福分かち合い――2011宣教 フォーラム青森
★アルコール依存 回復の家 青十字サマリヤ館 老朽化で改築募金
★マレーシア宗教局が教会の救援活動牽制
★<落ち穂>
= 3 面 教界ニュース =
★<竜馬をめぐる人々>[56]坂本直寛の章:15——監獄は神の実地の神学校 記・守部喜雅
◎和解の遺志継ぐ決意――第17回 英連邦戦没捕虜追悼礼拝
★英最古の聖書大英図書館へ
★<オピニオン>核攻撃を正当化する倫理と聖書 記・根田 祥一
= 4・5 面 大阪特集/地域宣教の課題を追って=
★あいりん地区で60年——ペンテコステ教団・大阪救霊会館 栄一仰牧師
★祈りの拠点から被災地に祈り――大阪クリスチャンセンター
★老いることは楽しむこと――高齢社会の課題 教会で無料セミナー
★壊れかけた家族にも賛美の力――ゴスペルで種蒔き
= 6 面 ビジネスパーソン =
★橘 陽司さん[下]([株]文悠 代表取締役社長)——信仰は継承され?3代目? 記・清水茂則
★<定年後の挑戦>[4]リタイア・ライフの起承転結 記・星野 隆三
= 7 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『聖書ものがたり 第3巻』文・武井博、画・小林豊(フォレストブックス、1,680円税込)
★BOOK:『サウロ キリスト教回心以前のパウロ』マーティン ヘンゲル著 梅本 直人訳(日本キリスト教団出版局 2,520円税込)
★BOOK:『クワイ河に虹をかけた男 ―元陸軍通訳永瀬隆の戦後』満田康弘著(梨の木舎 1,785円税込)
★REVIEW:『パウロの選択 ~受け継がれる自活伝道の精神~』矢島徹郎著(いのちのことば社 1,890円税込)評・根田祥一
= 8 面 ひ と =
★誕生日に還暦ライブ――ゴスペルで福音を伝えるラニー・ラッカーさん
◎本郷台キリスト教会 石巻市に救援拠点――心に寄り添うために=1108210101
東日本大震災後5か月を過ぎた被災地では、今も地震や津波の爪痕が生々しく残っている地域が多い。大震災発生の10日後から被災地に入り支援活動を行ってきた横浜のJECA・本郷台キリスト教会は、地域社会奉仕活動を目的とする「一般財団法人オアシス」(池田恵賜事務局長)の働きとして、宮城県石巻市八幡町に「お茶っこはうすオアシス」を開設。8月1日、開所式を行った。「お茶っこ」とは石巻で「お茶出し」を意味する。「石巻の人々が気軽にお茶を飲み自分の思いを語り合える、オアシスのような場所となれば」と「お茶っこはうすオアシス(以下・お茶っこはうす)」と名付けられた。
東日本大震災後、オアシスは日本国際飢餓対策機構(JIFH)と協力し、主に宮城県の被災地に物資を運んだり、炊き出しをするなどの支援活動を行ってきた。だが支援が物資援助から人々の心のケアへと移っていく中で、「もっと被災地の人々と深く知り合い、その心に寄り添うための拠点を設けるべきではと思い始めた」と恵賜氏は言う。
そんな中、石巻市では避難せずに半壊の家に住んでいる多くの人たちが何の支援も受けていないと聞き、スタッフ3人が石巻を視察。その時、移動中に車がパンクした。仕方なく救援物資として車に積んで来たミカンを地域の人々に配ったところ、人々に大変喜ばれた。「これで地域の人々の心が開かれ、いい関係ができた」とスタッフの月井博氏は語る。
また、市で民生委員の仕事をしている蟻坂隆氏との出会いも大きかったと恵賜氏。「蟻坂さんは、『石巻市復興のためならば、この建物を使ってほしい』と、お茶っこはすの建物を提供してくれました。実は、その建物は車がパンクした場所の真ん前でした」
だが物件も被災した建物で、補修が必要だった。そこで6月に2年間の契約を結んだ後、開所式に向け、オアシスのメンバーとアメリカから来た40人のボランティアでヘドロのかき出しや壊れた個所の修復作業を行った。だがそれでも追いつかず、「最後はJIFHにお願いし、大工3人を送ってもらった」。「彼らが夜を徹して作業し、蟻坂さん紹介の電気屋さんが配線工事をしてくれたおかげで何とか間に合った」と恵賜氏は感謝する。
開所式で蟻坂氏は、「私たちは寄り添い、助け合わなければならない存在。この場所が、地域の皆さんが自立していく上での大きな支えとなることを願っています」と挨拶。池田博氏(本郷台キリスト教会牧師)は「昨年10月に立ち上げたオアシスはこの時のためだった、という思いがある。なぜ石巻なのか、お茶っこはうすの前で車がパンクしたのか、蟻坂さんとの出会いがあったのか?そこには不思議な神様の導きがあったと思う。ここが石巻の灯台になるようにと心から願っています」と奨励した。
当日は、石巻市主催の「石巻川開き祭り」に本郷台キリスト教会、バプ教会連合・国分寺バプテスト教会、JIFH、ひきこもりや不登校などの子どもを支援する(株)K2インターナショナルジャパンなどが出店。お好み焼き、たこ焼き、焼きそばなどの屋台に地元の人が大勢立ち寄り、賑わった。
屋台隣りでは、津波の被害を受けた魚の加工工場でコンサートが開催され、盲目のゴスペルシンガー大和田広美さんが、被災者が書いた詞に曲をつけた歌を歌い、地元の人の涙を誘った。コンサート後は石巻の復興を願い、皆で風船を飛ばした。
お茶っこはうすは2年間、石巻復興支援活動の拠点として用いられる。
◎外国人の安否情報が欠落――第15回外登法問題国際シンポ=1108210201
被災地の外国人に支援の手が届いていない…。「外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会」は、「東日本大震災と外国人 日・韓・在日教会の宣教課題」をテーマに7月25、26日、第15回外登法問題国際シンポジウムを、東京・千代田区猿楽町の在日本韓国YMCAで開催。 そこでの発題・協議の中で、東日本大震災の被災地では外国人の安否情報が困難を極め、支援の手が高齢者や子ども、障がい者、外国人など「震災弱者」のところまで届いていないことが取り上げられた。同シンポジウムは日韓のNCC関係の人権や平和に関わる機関が協力。日本・在日教会から31人、韓国教会から8人が参加し、発題と共に被災地での外国人の人権問題について協議した。
報告で在日韓国人問題研究所の佐藤信行氏は、「日本社会は90年代以降、多国籍化・多民族化が進む半面、諸外国では設けられている基本的な人権法制度が未整備。そうした中で東日本大震災が起きたために、『永住者』『日本人の配偶者等』のほとんどは日本に生活基盤をもっているが、多言語による正確な情報伝達がなされない中で出国、一時避難を余儀なくされた」と語った。
また「被災した青森、岩手、宮城、福島、茨城の5県で在日外国人の安否確認が困難を極めた」と指摘。「警視庁によると、1万4千人を超える死者のうち、身元確認された外国人は23人のみ。一方、宮城県警の相談窓口には、少なくとも100人以上の外国人についての安否確認の相談が寄せられている」
被災5県に住んでいた在日韓国・朝鮮人の15%近くが65歳以上の高齢者で、その多くが無年金で放置されてきたとし、被災地ではとりわけ在日韓国・朝鮮人の高齢者の自立生活と介護が大きな課題となってきている点も指摘。嫁不足に悩む農村や漁村に90年代以降日本人と結婚して暮らしていたフィリピン人、タイ人、中国人、韓国人の女性たちが多数いたが、これら外国人女性も多数被災し、また日本人夫とも死別して孤立しているケースも多くあると報告した。
共同声明では「震災発生から今日までの報道において、欠落してきたものは被災した外国人の安否情報です。その事実は、日本社会が外国人住民を日常的に周縁化してきたことを物語っている」と確認。各教派・団体、各市民団体、各関係機関の支援活動と連携し、「?被災した在日韓国・朝鮮人高齢者に対して、生活支援を行う、?日本人と結婚あるいは死別し、孤立している外国人被災女性に対して、精神的ケアと生活支援を行う、?被災した外国人住民の子どもに対して、就学支援を行う」。政府・自治体・関係機関に対しては、「?被災者に対するあらゆる支援措置において、多言語による情報提供、通訳をつけての説明と手続きを行うこと、?震災復興政策の策定と実施においては、これまでの経済成長主義をやめ、被災者一人ひとりの住まいと生活の再建を第一とする地域社会の復興、その中での外国籍の子どもたちの就学確保などを行う」と表明した。
◎和解の遺志継ぐ決意――第17回 英連邦戦没捕虜追悼礼拝=1108210302
第17回英連邦戦没捕虜追悼礼拝(同実行委員会主催)が8月6日、横浜市保土ヶ谷区の英連邦戦没者墓地で開かれた。同礼拝は1995年から永瀬隆氏(元日本陸軍通訳)、斉藤和明氏(国際基督教大学名誉教授)、雨宮剛氏(青山学院大学名誉教授)の呼びかけで開始した。「憎しみの消えない犠牲者と日本人との和解のきっかけが与えられる」ために毎年開催される。今年6月に永瀬氏が亡くなり、今回は遺影での参加。出席者からも哀悼のことばがあり、同氏の遺志が確認された。永瀬氏は戦時中、泰緬鉄道工事で通訳に従事。同工事は英国など連合国からの捕虜や、アジアから労務者を強制労働させ、数万人の死者を出した。戦後は謝罪活動に努め、タイ訪問は134回に及び、現地の福祉事業にも取り組んだ。08年には斎藤氏も亡くなり、今回雨宮氏は夫人の緊急入院のため欠席だった。現代表の奥津隆雄氏(新宿ホライズンチャペル伝道師)は礼拝後の献花の際、「永瀬さんの写真を見ると涙が出てしまいます」と故人をしのんだ。
追悼礼拝では旧連合国の戦没捕虜約千800人が眠る広大な敷地で、戦没者を追悼し賛美と祈りをささげた。
追悼の辞で岡田仁氏(基督教イースト・エイジャ・ミッション富坂キリスト教センター総主事)は原爆や原発事故に触れ、「21世紀に入ってもなお公害や環境破壊、戦争や紛争はやまないどころかエスカレートしている。赦しと命の力によって罪と死を克服する力を持つイエスは私たちの命の主、平和と和解の主。一人ひとりが平和主義者として生き、戦争をしたくてもできない新しい世の中につくり変えていく。この決意を、戦没者とご遺族、そして永瀬さんの前で改めて表明します」と語った。
来賓のロバート・ヴァンレント氏(ニュージーランド空軍大佐)は戦時中、両親が日本軍の捕虜となった。挨拶で「時間が経つにつれて彼らの誤解は少なくなってきたが、彼らの記憶は消え去らない。ここに私が立つのは和解の証しだ。しかし私たちは忘却をゆるされるべきではない。そのようにして過去の教訓を学び、同じようなことを二度と繰り返さないよう努力することができるのです」と述べた。
礼拝後、横浜商業高等学校の生徒と来賓、主催者らによって、英国人墓地、オランダ人納骨堂、オーストラリア人墓地、カナダ・ニュージーランド人墓地、インド・パキスタン人墓地でそれぞれ献花が行われた。同礼拝は毎年8月の第1土曜日に行われる。