ヘッドライン
[CSD]2011年11月20日号《ヘッドライン》
[CSD]2011年11月20日号《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
◎冊子で被災者・支援者をケア——クリスチャン臨床心理士、精神科医らが執筆
★巨大な輪転機にビックリ——新生宣教団の聖書印刷工場見学会
= 2 面 ニュース=
◎大阪府「君が代」強制条例に危機感募る——教界6教派が反対集会開催
◎福音功労賞に日野原重明、泉田 明両氏——キリスト教功労者に加藤常昭、西野和子両氏が受賞=
★<落ち穂>
= 3 面 =
★<竜馬をめぐる人々>[67]坂本直寛の章:26——原野開拓から聖園教会へ 記・守部喜雅
★信徒ら草の根で超教派のフリーマーケット——いのり☆フェスティバル2011
★<オピニオン>社会と教会の課題に仕える人材育成 記・小林高徳
★情報クリップ
= 4・5 面 クリスマス・スペシャル=
広告スポンサーからのクリスマスプレゼント!
= 6 面 神学・聖書・考古学 =
★預言者ホセア、アモスのメッセージとカナンの宗教——聖書考古学資料館が連続セミナー
★死海写本中『創世記外典』の意義を講演——村岡崇光氏、日本聖書協会「聖書セミナー」で
= 7 面 伝道・牧会を考える =
★ケープタウン決意表明(7)——私たちが愛する主のために?
★解説:聖霊のホリスティックな理解
★<小さき人々のパラダイス>[7]共働学舎の挑戦?——可能性を引き出す社会的企業 記・佐原俊幸
= 8 面 全面広告 =
☆2011 西日本クリスマス集会ガイド
◎冊子で被災者・支援者をケア−−クリスチャン臨床心理士、精神科医らが執筆=1111200101
東日本大震災から8か月が過ぎ、被災者支援は物資の支援から心の支援へと重心が移りつつある。そんな中、「被災者と支援者の心のケアに役立つものを」と臨床心理士や精神科医、牧会カウンセラー、スピリチュアルケアの専門家が執筆し、まとめた冊子が2冊制作された。一つは聖学院大学総合研究所カウンセリング研究センター編『被災者と支援者のための心のケア』(聖学院大学出版会発行)で、もう一つは新生宣教団発行の『マンガミッション』に織り込まれた「親愛なるあなたへ…」。「震災後、聖学院大学総合研究所カウンセリング研究センターのクリスチャンの先生方が、心のケアについてそれぞれの専門分野で発言できることを発言しようということで今年6月、本の出版を決定しました」。企画提案者で執筆者の一人でもある藤掛明氏(臨床心理士)は言う。
執筆者は同大学や大学院で教える村上純子(臨床心理士)、平山正実(精神科医)、窪寺俊之(元淀川キリスト教病院チャプレン)、堀肇(伝道福音・鶴瀬恵みキリスト教会牧師、)、藤掛の各氏。藤掛氏、村上氏はカウンセラー、堀氏は牧会パストラルカウンセラーでもある。
村上氏は阪神淡路大震災での被災者支援の臨床体験から、平山氏は自殺予防とグリーフケアの視点から、窪寺氏はスピリチュアルケアの視点から、堀氏は牧師、カウンセラーの視点から、藤掛氏は被災地支援者や被災地から離れて住む人へのメンタルヘルスの視点から執筆。「村上、藤掛が全体の地図を指し示し、平山、窪寺、堀がテーマを深めるといった構成。被災者、支援者、被災地から離れた所に住む人々のメンタルヘルスも取り上げ、具体的、実際的で幅広く、深みもある」と藤掛氏。バランスがよく、クリスチャンでない人にも読んで理解できる内容だ。
また被災者と接する時に注意すべき言葉を取り上げたコラムや、心のケアや悲嘆からの立ち直り、グリーフケアの助けとなる絵本や書籍紹介、「電話(無料)による心の相談窓口」を紹介するなど、心のケアに役立つ情報も掲載。負担なく読めるようにと約100頁に抑え、値段も630円税込と手頃。「自分用だけでなく、被災地の友人にプレゼントしたい」と複数冊購入する人もいる。「被災者を細く長く支援していくためにもこの本が読まれ、2、3年後に新たな企画が生まれることを願っている」という。
問い合わせTel.048・725・9801、press@seigakuin-univ.ac.jp
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新生宣教団(ロアルド・リーダル総支配人)は、伝道文書による被災地・東北支援「HOPE FOR LIVING」の活動の一環として、小冊子「マンガ・メサイア」に被災者の心のケアのためアンディ・ミーコ氏(カウンセラー、神学博士)が書いた「親愛なるあなたへ…」を折り込み、仮設住宅などに住む人々にまず5万冊配る。目標は20万冊。
「親愛なるあなたへ…」は「泣いてもいい。泣きたいだけ泣くことだ」、「失ったものに絶望するのでなく、今あるものに感謝しよう」、「もし私たちが神のもとに立ち返るなら、神はすべてを変えられる。災いさえも意味のあるものになる」など、励ましに満ちた内容。またストレスを解決するための対処法やより良い眠りのための9か条、不安への対処法など、かわいいイラスト入りで紹介。最後に「イエス・キリストや救いについて興味をもったなら、教会を訪ねてほしい」と勧めている。
同宣教団の尾山謙仁氏は「被災者約800万人のうち1割(80万人)がPTSDと言われている。これから雪の季節になり、自問自答する人も増え、自殺を考える人も出てくる。しかし、活字は負担でもマンガなら読んでくれる。この冊子で心のケアを行っていきたい」と願っている。
同プロジェクトの詳細はhttp://www.nlljapan.com、またはfacebook 「HOPE FOR LIVING」サイトで
◎大阪府「君が代」強制条例に危機感募る−−教界6教派が反対集会開催=1111200201
今年6月、大阪府議会は「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」を成立させた。橋下知事率いる「大阪維新の会」は、9月にこの条例に違反した教職員への懲戒や処分を明文化した「大阪府教育基本条例」案を府議会に提出した。これは憲法が保障する「思想及び良心の自由」「信教の自由」を侵害するものだとして危機感を抱く諸教派の関係委員会が共同で、宗教改革記念日の10月31日、大阪市内の日基教団・東梅田教会を会場に「大阪府の『君が代』強制条例に反対するキリスト者の集い」を開いた(写真上)。日本キリスト改革派西部中会・世と教会に関する委員会、日本基督教団大阪教区社会委員会、日本長老教会社会委員会、日本同盟基督教団「教会と国家」委員会、日本ホーリネス教団福音による和解委員会、福音交友会社会部による幅広い共催で、日本福音同盟社会委員会、キリスト者学生会関西地区も後援。約170人が参加し、危機感の高さを映し出した。申命記6・4~9から「キリスト者として日の丸・君が代を考える」をテーマに、改革派西部中会・世と教会に関する委員会委員長で園田教会牧師の袴田康裕牧師が講演した。
初めに大阪府立支援学校教員で福音主義キリスト者平和市民の会の奥野泰孝さんが証言。奥野さんは条例撤廃を呼びかけるデモや集会も、マスメディアによる報道がない逆風の中で運動を進めている。しかし現場の教員らからは賛同の声が上がっているといい、「私たちが黙っていてはいけない」と訴えた。
袴田牧師は、現在維新の会は選挙をおもんぱかって積極的に動いていないが、選挙が終われば本格始動するだろうと前置きし、「なぜキリスト者は条例に反対なのか、根拠を持たなければならない」と語った。
「教会がいかに国家と対峙するかが基本的な問題。今回焦点は二つ。『良心』と『教育権』です。ウェストミンスター信仰告白20章に『ただ神のみが良心の主である』とあります。過去に教会は国家におもねった歴史があります。内心への公権力の介入には、キリスト者は戦うべきです。神以外が良心の主になってはならないのです」
「子どもを教育する権利を国家が持てば、国家の欲する人間をつくることになります。条例は親の教育権を脅かし、教育委員会を政治権力に屈服させようとしています」
「救世主的アピールをする橋下人気の背後には大阪の閉塞感がある」とも指摘。そのような中で「子どもたちの内心に公権力が力を及ぼし、国家権力が良心の主になる、この動きを聖書信仰に立って反対していかなければなりません。ただ、我々キリスト者は彼らを悪の側に置いて批判するばかりではなく、教会の責任、キリスト者の責任を背負っていかなければなりません。霊性を持ち、祈りを持ってこの問題に関わることは、キリスト者のみができることです」。
袴田牧師は最後に、第二次大戦中ヒトラーと論争して迫害された教会指導者マルティン・ニーメラーのことばを引用して締めくくった。ニーメラーは夢の中である声を聞く。「お前はなぜ、この男に福音を語らなかったのか。お前はかつてたっぷり1時間もこの男と一緒にいて、口論し、罵倒し合ったではないか。それなのに、お前はこの男に福音を告げはしなかったのだ」
最後に「教会とキリスト者が、なすべきことをなしていけますように」との祈りが捧げられた。反対集会は今後も、大阪府の動きを見ながら続けて行われる見通しだ。
集会はヨハネ8・31、32を掲げたアピールを採択。戦時下、日本の教会が、皇民化教育によって「イエスは主である」との信仰告白を貫くことをせず、隣人の自由を蔑ろにし、戦争に加担する罪を犯したことを悔い改めたことに触れ、信仰の良心に基づいて歩む決意を新たに表明。「府知事はじめ、府政に携わる人々は、教育現場における『君が代』の強制を、『組織マネジメントの問題』にすり替えることをせず、権威を付託された者として、憲法に謳われている市民の『思想と良心の自由』を守るために労すること」などを求めた。
◎福音功労賞に日野原重明、泉田 昭両氏−−キリスト教功労者に加藤常昭、西野和子両氏が受賞=11112
第42回キリスト教功労者顕彰式([財]日本キリスト教文化協会主催)が10月24日に開催され、説教塾主宰の加藤常昭氏(82)、英語教育を通してキリスト教教育に貢献した西野和子氏(83)が顕彰された。西野氏は挨拶で、「教えるのが好きだから一生懸命やったまで」と語った。東京女子大学名誉教授(英語・言語学担当)、同大学のほかキリスト教系大学および日本YWCAの理事、評議員を歴任。「好きだからと責任感とで何とかできた。多くのよき出合いに感謝」
西野氏から学んだ眞田雅子氏(同大学学長)は大学院時代、西野氏が学会で自分を「友だち」と紹介した話などを披露。「イエスが弟子たちを友と呼んだように、上から目線にならず、一人ひとりを見た。ふるまい、生き方すべてが顕彰につながった」と話した。
加藤氏は日基教団・鎌倉雪ノ下教会牧師、東京神学大学教授などを務め、説教学、実践神学に関する著作を多数執筆。主宰する説教塾は、全国13か所、20を超える教派から約200人が参加する。
式で花束を贈呈されると、「今日まで支え続けてくれた方々に花を贈りたい」と話し、師であり親友の神学者ボーレン氏、イエスの愛を体現した母、病気療養中の妻、教会の仲間に感謝した。説教塾に触れ、「教会にとって一番大事なことは、説教者が力あることばを持つこと」と語った。
大学以来、加藤氏から学んできた平野克己氏(日基教団・代田教会牧師)は、「説教塾の温かい指導が無ければ、今の自分は無い」と感謝した。ボーレン氏の著書を引用し、「教会と結びつき、人を豊かにする強い自我があった。この方がいて今の日本の教会がある」と語った。