ヘッドライン
[CSD]2012年7月15日号《ヘッドライン》
[CSD]2012年7月15日号《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
◎ホーリネス弾圧70年 獄中経験を反省の機会に——記念聖会20年「伝えられた信仰の継承」を確認
★アフリカから被災地に希望の歌声届けに——ワトト・チルドレンズクワイアー
= 2 面 ニュース=
◎クリスチャン都道府県県人会が発足——同郷の絆深め 宣教ネットワーク化
◎内部被ばく軽視に警鐘——ドイツの放射線専門家ら招きNCC平和・核委主催で講演会
★一般財団法人ジャパンミッションセンター(JMC)が発足——関西F・グラハム大会機に諸教会が宣教協力
★<落ち穂>小山宗佑の遺体を引き取った伊藤馨
= 3 面 =
★<いのちへのまなざし>[18]悲嘆のケア 記・柏木哲夫
★地域の憩いの場にと オーガニックな教会併設カフェ——神の家族主イエスキリスト教会
★<逝去>長橋晴子氏(日基教団・日野原記念上尾栄光教会牧師、62歳)
★<オピニオン>真にキリストの弟子とされる 記・根田祥一
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
= 4・5 面 カウンセリング特集=
★心の傷を理解する——人を知り、生かすために 記・斉藤善樹
★子どもの気持ちを知って——幼い心を傷つける言葉、育む言葉 記・村上純子
= 6 面 仕事と信仰 =
★聖書的リーダーシップ[2]——神の義がエネルギーの源
★<定年後の挑戦>[15 最終回]定年後の家族?——これからの家族の物語 記・星野隆三
= 7 面 伝道・牧会を考える =
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>[14]JECA・帯広栄光キリスト教会?——芸術性・音楽性豊かな教会
★ケープタウン決意表明(35)パート?解説——私たちが仕える世のために(14)
= 8 面 レビュー =
★安武玄晃(やすたけ・もとあき)さん(ゴスペル・サックス奏者)——本物の音楽から本物の愛に
◎ホーリネス弾圧70年 獄中経験を反省の機会に−−記念聖会20年「伝えられた信仰の継承」を確認=12
戦中の1942年(昭和17)6月26日早朝、当時、日本基督教団第6部と第9部に属していた全国のホーリネス系教会の牧師が治安維持法違反容疑で一斉検挙され、教会は解散させられた。同派が強調する再臨信仰が、天皇が世界を治める現人神であるとした当時の国体に反すると見られた。この昭和史に残る宗教弾圧事件から今年で70年。弾圧50周年を期してホーリネス系諸教団有志が開始した弾圧同志会主催による「ホーリネス弾圧記念聖会」が第21回を迎え、今年も検挙当日に直近の日曜日の6月24日午後、東京・新宿区のウェスレアン・淀橋教会を会場に開催された。テーマは「伝えられた信仰の継承」。講演会では日基教団・仙台青葉荘教会の島隆三牧師が「先達の信仰に倣う」と題して北海道の弾圧事例を考察。聖会ではホーリネス・八王子教会員の島千代子氏が、父の森五郎牧師が逮捕された幼い日の記憶を立証。聖協団・目黒教会の横山聖司牧師が「きたえられた信仰の継承」と題しテーマ聖句の黙示録2章10節から「死に至るまで忠実であれ。そうすれば、あなたに命の冠を授けよう」(新共同訳)というこの句の背景にある初代教会時代の皇帝礼拝とホーリネス弾圧を対比させ、両者が共に「イエスかカイザルか」という命題のための死闘だったことを指摘。「弾圧の歴史に組み込まれた者としての苦しみを共にする生き方」が求められていると述べた。
島氏は出身教会である札幌新生教会で逮捕投獄された伊藤馨牧師について話した。伊藤牧師は弾圧を受けた中で最も長く獄中にあった経験者。実刑4年の判決を受け、敗戦後の1945年10月7日にGHQの命令で治安維持法が撤廃され「免訴」の形で出獄した。
出獄後間もなく伊藤牧師が、肺結核末期だった島氏の兄を見舞いに訪れた時のことを当時6歳だった島氏は覚えている。ひどい凍傷にかかった獄中生活からまだ回復していない中で、杖をついて長い石段を登り島家を訪れた伊藤牧師は、祈りと共に「主および其大なる力によりて剛健くなるべし」とエペソ6・10の言葉を書き残して励ました。「このみ言葉は、先生ご自身が獄中で何度も自分に言い聞かせていたみ言葉ではないか」と島氏は思いを馳せる。
北海道では真冬に氷点下10020度になる酷寒の中、薄い布団だけで暖房もない3畳の独房での生活。「聖書の差し入れも許されず、孤独の中で黙想と祈りに励まれたが、先生の最大の闘いは寒さとの闘いであった」と島氏は見る。
島氏は、伊藤牧師の証言に繰り返し出てくるのは獄中の経験を「修行」と捉えて自分に言い聞かせ、自らの反省の機会としていることだという。獄中記からこう引用した。
〈取り調べを受けている9ヶ月間に私に利益となったことは数々ある。第一に問題となった私の信条、信仰、行動について取り調べられて再検討となり、結論として「信条」については、一つの訂正も要せず、聖書的にこの信条は真理であり、救いの道であることを確認することになった。次に「信仰」について、知識でなく思想でもなく、それを信じて仰ぐという信仰を鮮明にする機会となった。これは上よりの指導を頂いた結果と信ずる。「我らの信ずるは神の大なる能力によりてなり」(エペソ1・19元訳)とあるが、その通りで、私の信仰も私が信じたのでなく、信じさせて頂いたもので、正しく賜物であったと、ここで太鼓判を押されたようなことになったのである。そして「行動」については、私は泣いてざんげをせねばならぬ…何故もっと率直に大胆に神の導きの許に行動しなかったか。…これまでは如何に臆病で、足踏みしていたかと、この取調中にしみじみ発見した…私は取り調べられる立場にあって、実は福音真理の証しが出来ることになった。福音使のお役を意外な道で果たすことにもなったわけであった〉
伊藤牧師は晩年まで弱い体にむち打って、全国はもとより北米にまで伝道し続けた。
◎クリスチャン都道府県県人会が発足−−同郷の絆深め 宣教ネットワーク化=1207150201
岩手出身の牧師が発案
同郷の人々との絆を深め、故郷の人々や教会とつながる働き「クリスチャン都道府県県人会」が6月16日発足し、記念集会が横浜市青葉区の青葉台ナザレン教会で開かれた。この会は岩手県出身の長谷川与志充牧師(東京JCF)が発案し、同県出身の米内宏明牧師(バプ教会連合・国分寺バプテスト教会)の協力を得て立ち上がった。各都道府県出身者で県人会をつくり、全国的なネットワークをつなぐ試みだ。
三浦綾子読書会(以下、読書会)顧問でもある長谷川牧師はクリスチャン都道府県県人会の趣旨と経緯について「読書会を立ち上げて10年が過ぎ、全国に広がった。しかし日本の宣教のために、もっと多くの人を救いに導ける方法はないかと祈り、県人会を思いついた」と語る。「出身地、在住地で絆を結びネットワーク化をすれば、すごい力になるのでは。読書会や教会関係を中心に加わる人が集められました」
記念集会の説教で米内牧師はマタイ6章19021節を引用して、「宝があるところに心がある。神様は宝であるイエス・キリストを地上に送った。神様の心はこの地上にもある。それぞれのふるさと、人々にも心を置いてくれる。ふるさとの人々と宝と心を共有して一緒に分かち合うものとなりたい」と期待を語った。
故郷の証しとして、 高知県出身の池川豊吉さんは、「故郷は子ども時代を思い出させ、感動がある。クリスチャンではない人も巻き込み、日本中が結ばれれば」と願った。北海道出身の坂根礼子さんは「10年前から郷里の母のもとに通い、今年、4月に母が信仰告白をすることができた」とふるさととの関係を紹介した。
長谷川牧師は「失望して帰省したとき、故郷が強く抱きしめてくれるように思えた。ヘブル書11章16節に『さらにすぐれた故郷』とある。地上の故郷もすばらしい。それを覚えられれば、天の故郷がどれだけすばらしいか分かる」と働きの魅力を語った。
今後は8月8、9日に岩手県の盛岡市周辺と沿岸被災地を訪ねる企画(申し込み締め切り7月20日)などのツアーや全国大会、諸集会のほか、同郷の人が出身地とも絆を深める窓口を設けたり、教会の情報を共有して、宣教を励ます働きなどを計画している。
連絡先Tel&Fax.04・2939・8470、Email:toyoshi@io.ocn.ne.jp 。URL:http://todouhukenjinkai.com (近日開設予定)。
◎内部被ばく軽視に警鐘−−ドイツの放射線専門家ら招きNCC平和・核委主催で講演会=120715020
日本キリスト教協議会(NCC)平和・核問題委員会の主催する「内部被曝からいのちを守る講演会&シンポジウム」が、東京・千代田区の日比谷コンベンションホールで6月30日と7月1日の2日間にわたって開催された。講師はドイツ放射線防護協会会長のセバスチャン・プフルークバイル博士と欧州放射線リスク委員会委員長のインゲ・シュミッツ・フォイヤーハーケ博士。30日の講演では、プフルークバイル博士が、放射線の健康に対する影響を隠蔽して、これを意図的に無視しようとするIAEA(国際原子力機関)などの国際機関を批判し、チェルノブイリ後のウクライナ、ベラルーシおよびドイツをはじめとする西、北ヨーロッパの人々にもあらわれている健康被害―癌、白血病、甲状腺異常、先天性障がいなど―の実態を、具体的な数値を挙げて紹介。日本を含む一部専門家の、科学者・医療者らしからぬ無責任な発言を激しく非難した。さらに、ドイツにある原子力発電所周辺に住む5歳児以下の小児癌と白血病の発症状況を調査した結果から、発症の危険性は、原発から離れれば離れるほど低くなったと言及。
フォイヤーハーケ博士は、人間の身体に健康被害を与えない放射線量領域、すなわち「しきい値」というものはなく、妊娠検診時のレントゲンによって小児癌の発生率が2倍に上がること、住居内で空気に含まれる放射性ガス・ラドンを日常的に吸収することによって肺癌罹患率が上昇することを確認したと報告。低線量の放射線に慢性的にさらされることで、癌および腫瘍、遺伝疾患以外にも様々な病が発症し、母体に対して大きな影響を与えると警告した。
質疑応答では、3歳の子どもを放射能からどう守ったらよいのかといった切実で具体的な質問も出たが、2人の講師は、食物に細心の注意を払うこと、子どものいる環境の放射線量を調べることなどと答えるとともに、「すべての人にとって年間1ミリシーベルトが大丈夫であるとは言えない」と述べた。会場から、井戸川克隆・福島県双葉町町長が、全国各地に避難している町民の健康への懸念を語り、国と県に対して身体からの「除染」を推し進めるよう訴えた。プフルークバイル博士が最後に、事故が起きたときに対応ができないのであれば、原発を稼働すべきではないと強調した。
翌1日のシンポジウムには、2人の講師に、子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク代表の山田真氏、市民放射能測定所理事の岩田渉氏、福島避難母子の会in関東の深川美子氏、富塚千秋氏が加わり、低線量内部被曝の影響を軽視するように導いてきた日本の原子力産業の実態について、避難してきた人々と、今も福島にとどまって生活している人たちの苦悩についての報告があった。