ヘッドライン
[CSD]2012年8月19日号《ヘッドライン》
[CSD]2012年8月19日号《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
◎67年目の「原爆の日」 被爆者も原発被害注視——「被造物のうめき」聞く責任
★福井で教会キャンプの川遊び中に水難事故——子どもらを助けようとして信徒2人が犠牲に
= 2 面 ニュース=
◎戦後5番目の礼拝公用賛美歌集『教会福音讃美歌』発刊——創作賛美歌生む受け皿に
★JEA:心のオアシスリトリート——被災地に身を寄せ祈り合い
★<落ち穂>ロンドン五輪の表彰曲「炎のランナー」秘話
= 3 面 =
★<いのちへのまなざし>[23]存在そのものが大切 記・柏木哲夫
◎平和の継承 「100年でも続けたい」——英連邦戦没捕虜追悼礼拝
★<オピニオン>3・11が迫る「平和つくり」の再出発 記・正田眞次
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
= 4 面 関西だより=
★恵み実感 楽しい開拓ライフ——関西カルバリーフェローシップ2周年
★「今こそ大いなる方に目を向ける時」——シスター高木慶子2012年特別後援シリーズ生きる
★韓国ミス・スマイル・クィーン来日——VIP大阪に女優ソン・ウリムさん
★シンガー・ソングライター泉 堅さん——OCCで森祐理さんとコラボ出演
= 5 面 インサイド・ニュース=
★93年前の堤岩教会虐殺事件 悲しい歴史を語り継ぐ——31代牧師姜信範氏 基督教共助会で講演
★各時代の問題と向き合う信仰の歩み——『基督教共助会九十年—その歩みに想う』
= 6 面 全面広告 =
☆日本福音学校
= 7 面 伝道・牧会を考える =
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>[13]JECA・帯広栄光キリスト教会?——「神の家族」となっていく教会
★ケープタウン決意表明(30)パート?解説——私たちが仕える世のために(13)
= 8 面 全面広告 =
☆『教会福音讃美歌』刊行 福音讃美歌協会編、3,990円
URL http://www.wlpm.or.jp/fukuinsanbika/
◎67年目の「原爆の日」 被爆者も原発被害注視−−「被造物のうめき」聞く責任=1208190101
原爆投下から67年。福島第一原子力発電所事故後の不安から、原発再稼働反対・脱原発の世論が高まる中で迎えた8月6日 「原爆の日」、広島市では松井一実市長が平和宣言で、市民の暮らしと安全を守るためのエネルギー政策の早期確立を政府に求めるなどしたが、教会主催の平和祈念行事でも、被爆者の証言や牧師の説教で?原発?を含め核廃絶への思いが述べられた。「原爆の核も原発の核も同じ核。人類は核と共存できない」。6日夜、広島市中区の平和記念公園で開かれたキリスト者平和の集いで、主催した広島市キリスト教連盟代表月下美孝牧師(日基教団・広島東部教会)はそう語り、原発事故で不安にさいなまれている人々が一日も早く平安に暮らせるように、と祈った。
被爆体験を話した塩冶節子さん(同・広島南部教会員)も、自身の経験を若い世代に語り継ぐ思いとともに、「原発のことも語っていって」と話した。塩冶さんは5歳の時、爆心地から1・6キロの自宅で被爆。屋根と天井が落ちて真っ暗な中を助けられ、周りの家が全部なくなって驚いたことなど、鮮明な記憶がある。「それだけ衝撃的だった。近所のお母さんが『うちの子が柱の下敷きになって助けられないんです』と泣きながら訴えていたのを覚えています」
小学2年生の朝、仲良しの朝子ちゃんが「クレヨンみたいな血を吐いて」亡くなった。妹の悦子ちゃんも、被爆から7年後の小学3年の秋、突然40度の熱が出て亡くなった。「どういう病気か分かりません。その頃はプレスコードがあり、原爆のせいで亡くなったと言ってはいけなかった」
後に市役所に問い合わせると、朝子さんや悦子さんの名前は原爆死没者名簿になかった。言論規制時代の忘れられた死。家族が他界した朝子さんの名前は登録のすべもないと知った。今も新たに関連死が確認されるなどして、広島の原爆死没者名簿は28万959人と発表された。だが、塩冶さんは、「原因が解明されないまま亡くなった人はもっといる」と実感している。
東日本大震災の被災者に思いを馳せる。「地震、津波、放射能汚染…そこに住めないということはどんなに悲しいでしょう。朝子ちゃんや妹のことを考えると、今大丈夫でも子どもに放射能の影響が出てくることが怖い。解決しないまま原発が再稼働したことを見据えていかないと」
同日午後、東区の日基教団・広島牛田教会を会場に開かれた「8・6キリスト者平和の祈り」では、17歳の時に市内大手町の職場で被爆した小湊玲子さんが、初めて体験を話した。全身に受けたガラスの破片が、最近も体から出てくる。「多くの若い命が失われ、残念でなりません。もう二度とこんなことが起こらないよう切に願います」
ローマ8・18025から説教した広島牛田教会の西嶋佳弘牧師は、被爆樹木を例に「人間の自己中心的な活動が、被造物を破壊しつつあり、調和をゆがめている現実を目の当たりにする時、私たちは他の命からも学び取る責任があるように思います。放射能の被害はその地域のあらゆる生き物に及ぶし、それは簡単に回復できない」として、福島に限らず、世界中の原子力施設が、本来地球上に存在しなかった、強い毒性を持った命を奪う力をつくり出してしまったことを指摘。「被造物への破壊的関わりは神に対する罪では」として、声にならない?被造物全体の呻き?を聞き、それに応える責任を強調した。
◎戦後5番目の礼拝公用賛美歌集『教会福音讃美歌』発刊−−創作賛美歌生む受け皿に=1208190201
「福音派諸教会の手で新しい讃美歌集を」と讃美歌委員会を構成し選曲、翻訳、編曲作詞、作曲など編さん作業を進めてきた一般社団法人福音讃美歌協会(JEACS)は7月、『教会福音讃美歌』(発行者・JEACS、発行所・いのちのことば社)を発売した。これからの時代、幅広い世代に歌いつがれる讃美歌集として注目を集めている。JEACSは聖書的福音信仰に立つ諸教団・教派・団体の協力により「キリスト教会における会衆賛美に寄与すること」を目的に05年発足した団体。『教会福音讃美歌』は教団教派によらず、日本の教会の礼拝で広く用いられることを目的に編さんされたもので、戦後では『讃美歌』(54年)『聖歌』(58年)『讃美歌21』(97年)『新聖歌』(01年)に続く公用讃美歌集。「歌詞が福音的であること」「礼拝において会衆が声を合わせて歌うのにふさわしいもの」という方向性のもと、収録506曲中、歌詞については従来の歌集からそのまま受け継いだもの約300曲、改訳されたもの約150曲、従来の日本語の歌集になかった海外の歌集から選ばれた新訳のもの約30曲、この讃美歌集のため創作された新曲歌詞のもの約20曲が収められている。
歌い継がれてきた曲は文語を口語訳に移す作業に取り組みつつも古くてもいい歌詞や表現はできるだけ残すよう心がけた。オルガンやピアノだけでなくギター伴奏もできるよう多くの曲にコードをつけるなど、教会暦や諸行事など様々な場面で使える工夫もこらす。
発行に当たり、讃美歌委員会委員長の田中進氏(インマヌエル大宮キリスト教会牧師)は「一つの教団でなく日本同盟基督教団、日本福音キリスト教会連合(JECA)、イムマヌエル綜合伝道団の3教団が協力して讃美歌集を出せた意義は大きい」と語る。「それぞれの信仰を受け止めながら、教派色を出すよりも福音主義信仰に立ち『キリストにあって一つ』となって作業ができた祝福は大きい」。教会では『教会福音讃美歌』を第一讃美歌集とし、同教団発行の『インマヌエル讃美歌』『ひむなる』も併用して使っていきたいと語る。
JEACS副理事長、讃美歌委員会委員の中山信児氏(JECA・菅生キリスト教会牧師)は、日本において新しい賛美を生み出す契機になることを期待する。「今の日本は20世紀イギリスの賛美歌創作ムーブメントが起きる直前の状況に似ている。時代が絶えず移り変わり言葉も変化している中、歌い継がれてきた賛美を現代の言葉に置き換え次世代に引き継ぐと共に、日本人がこの国の現場で福音に立った創作賛美歌をどんどん生み出すための受け皿として用いられることを願っています」
歌詞の新訳・改訳作業に携わった齋藤一誠氏(JECA・浜田山キリスト教会員)は、「現代の言語感覚と親和性をもつ簡素で深い意味を湛えた言葉遣いを心がけたが、それが信仰の歌声としてどう歌われるのか、手にとって確かめてほしい」と語った。
JEACS代表理事の安藤能成氏(同盟基督・世田谷中央教会牧師)は、讃美歌セミナーや『教会福音讃美歌』の賛美を歌う会といった活発な啓発活動を通じ、JEACS正会員の3教団以外の教会、神学校、キリスト教主義学校にも広がっていくことを期待する。
11月12日には「『教会福音讃美歌』奉献礼拝」(JEACS主催)が午後7時から、東京・世田谷区奥沢の玉川聖学院で開催される。また「教会福音讃美歌セミナー」(お茶の水聖書学院主催)の第3回目が10月27日午前10時30分から、東京・千代田区神田駿河台のお茶の水クリスチャン・センターで開かれる。
問い合わせはTel:03・5341・6920。URL:http://www.jeacs.org/
◎平和の継承 「100年でも続けたい」−−英連邦戦没捕虜追悼礼拝=1208190302
太平洋戦争時、日本軍の捕虜として戦没した英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、インド、パキスタンなどの人々を追悼する第18回英連邦戦没捕虜追悼礼拝(同実行委員会主催)が横浜市保土ヶ谷区の英連邦戦没者墓地で8月4日、開かれた。戦後50年の1995年に元陸軍通訳の永瀬隆氏、斎藤和明氏(国際基督教大学名誉教授)、雨宮剛氏(青山学院大学名誉教授)により始められ、毎年8月の第1土曜日に開く。斎藤氏、永瀬氏は故人となったが、実行委員は若い世代の代表を迎え、謝罪、和解、追悼、不戦、平和の継承の働きに強い意志を示している。
追悼の辞として、幼少時に太平洋戦争を経験し、反戦平和活動に取り組む岩井健作氏(単立・明治学院教会牧師)は「戦没者の方々に『安らかにお眠りください』と言うためにも、戦争への方向、力による支配への道をたどるような国家、経済、政治、文化、社会、企業、メディアなどの在り方にはノーを言える勇気を持ちたい」と語った。
来賓としてオーストラリア大使館付武官のマルコム・セルカーク空軍大佐、イギリス大使館付武官のアンディー・エドニー海軍大佐、駐日オランダ大使館政治部一等書記官のロヒア・ヘッキング氏が訪れた。それぞれ戦争の非人間性について振り返り、今も世界で起こる紛争の被害に思いを馳せる重要性を語った。
現在77歳の雨宮氏は挨拶で、戦没捕虜について考えるきっかけとなった英国留学での反日感情について話した。「加害の歴史は語られにくい。和解には時間がかかる。100年でも200年でも続けたい」と願う。
現代表の奥津隆雄氏(45)=新宿ホライズンチャペル牧師=は「子どもたちや若者が戦争に巻き込まれないよう、平和な世界を引き継いでいきたい。一人ひとり、なぜこの礼拝が続いているのか、なぜここに来ているのか、問いながら来てほしい」と平和への思いを強調した。