ヘッドライン
[CSD]2012年11月11日号《ヘッドライン》
[CSD]2012年11月11日号《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
◎震災で問われるまるごとの福音——JEA宣教フォーラム 仙台で「支援と伝道」討議
★収穫はでっかいぞお!——支援教会の子ら 南三陸町で芋掘り
= 2 面 ニュース=
◎教会で福祉の働きを ——TCUケアチャーチプロジェクト始動
★第2バチカン公会議から50年——カトリック教会「信仰年」を開始
◎グラハム父子 ロムニー候補支持——モルモン教「カルト指定」削除で物議
★<落ち穂>日本の男女格差の現実
= 3 面 =
★<いのちへのまなざし>[34]愛と思いやりの現実的な表現 記・柏木哲夫
★日本青年伝道会議レポート[6]:超教派賛美ミニストリー各地で続々
★JEA宣教フォーラム仙台基調講演〈要約〉 ——被災地から問われる包括的福音
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
= 4 面 全面広告 =
★第53回バックストン聖会
= 5 面 仕事と信仰 =
★島民と共に汗流し支えたい——東北公益文科大学准教授 呉 尚浩さん(下)
★首都圏大震災に備える[3]——他教会との連帯が薄い大都市の教会
= 6 面 全面広告 =
★第48回教役者大会 日本ペンテコステ親交会主催
= 7 面 伝道・牧会を考える =
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>[30]JECA・つがる福音キリスト教会?——地域でも教会でも関係つくり
★<神の宣教>神のことばを神の世界へ[7]—— クリストファー・ライト講演抄録
= 8 面 ひと/証し =
★ゴスペルで子ども虐待防止支援——音楽&イベントプロデューサー 打木 希瑤子さん
◎震災で問われるまるごとの福音−−JEA宣教フォーラム 仙台で「支援と伝道」討議=121111010
日本福音同盟=JEA=宣教委員会(末松隆太郎委員長)は、09年に札幌で開催した第5回日本伝道会議から16年に神戸で予定している第6回日本伝道会議に向け、各地で宣教フォーラムを重ねているが、今年は東日本大震災の被災地域での支援活動に関わる中で日本宣教の根幹が問われているとして10月29日、30日、宮城県仙台市青葉区の日基教団・仙台青葉荘教会を会場に「JEA宣教フォーラム・仙台」を開いた。「震災で問われるまるごとの福音」を主題に、被災地教会の生の声と、包括的な宣教を目指す世界宣教の流れから、本質的な問題をあぶり出した。2日間で3つのシンポジウムで、?東北の教会として震災をどう受け止めているか、?地域の再生と福音の浸透、?世界と地域の教会ネットワークによる働きをテーマに、
岩手・宮城・福島各県の被災教会、支援ネットワーク関係者らが発題。各地からの参加者と被災地の牧師・信徒らが小グループで討議した(写真下)。
また、フォーラムの主題に沿って宣教学者の西岡義行氏(東京聖書学院教授、東京ミッション研究所総主事)が基調講演。20世紀以来の世界宣教運動の流れを概観し、「包括的福音」で焦点となる伝道と社会的責任の理解が東日本大震災被災地での経験とどう関わるかを論じた(3面に講演概要)。
シンポジウム?で岩塚和男氏(単立・宮古コミュニティーチャーチ牧師)は、「震災の直後に直感的に痛感したのは今までの考えが通用しない」ことだったと話した。被災者の立場に立たされてみて、「正しいことを主張しているが被災者の立場に立っていない、上を通り過ぎるような違和感」を感じてきた。教会の伝道はただ自己集団の拡張と改宗者獲得を目指すべきではなく、世界全体の救いを目標とするものではないのか。従来のように伝道を教会の諸活動への招きとして教会中心に考えていたのでは、この世における教会の派遣の使命を十分に果たすことはできない…これまで考えていたよりも、もっと前線で宣教活動がなされるべきだと思った。伝道を主として言葉による宣教(ケリュグマ)と捉え、交わり(コイノニア)や奉仕(ディアコニア)は教会の中で満足する従来のスタイルから、宣教と交わりと奉仕を一つと捉え、世に出て行って交わりを持つあり方を提起した。それは宣教を「この世界に神のシャロームを樹立する働き」「神の国をもたらす働き」と捉えることにほかならない。
そのような理解をもって長期的な活動を続ける中で、「教会や求道者を取り巻く環境、家族の理解といった宣教の土壌が変えられてきた」と岩塚氏は報告した。求道者が、以前は家族に反対され隠れて教会に来ていたのが、最近教会に来るようになった人は家族が喜んで送り出してくれる。
教会中心を改め、教会に招こうとするのでなく外に向かって出て行って交わりを持つことで、出会った人たちが「教会に来たい」と言うようになった。そうした中で今年は新来者が20人ほどあり、
4人が洗礼準備をしている。「クリスチャンが言葉だけでなく教会の交わりも含めて出て行くのは非常に有効だと思う」と、岩塚氏は感じている。
◎教会で福祉の働きを −−TCUケアチャーチプロジェクト始動=1211110201
介護保険利用者が500万人を突破するなど超高齢社会に突入した日本において、教会にも地域社会の高齢化が抱える様々な課題が押し寄せている。信徒や牧師の高齢化に伴う深刻な問題も指摘されているが、一方で地域の福祉に関わる必要にも迫られ、そのような取り組みを始める教会も出てきている。そうした中でキリスト教福祉学専攻を開設した東京基督教大学(TCU=千葉県印西市、倉沢正則学長)では、教会で福祉のミニストリーを始めることを応援し共に考えていこうと「ケアチャーチプロジェクト」を始動。そのオープンセミナーを11月17日午前10時から、東京・千代田区のお茶の水クリスチャン・センター811号室で開く。「これからの福祉と教会を考える」を主題に超高齢社会に仕える地域教会の取り組みを探る。
ケアチャーチプロジェクトでは地域をケアできる教会を目指して、?福祉を行う教会のネットワーク作り、?教会で福祉を行うためのノウハウの蓄積とシェア、?教会で福祉を行う神学的・宣教学的な意義付け、?教会で福祉を担う人材の育成を行う。ネットワーク作りの一環として、フェイスブックのグループ「これからの福祉と教会を考える会」も立ち上げた。
準備委員には、稲垣久和教授(国際キリスト教福祉学科長)ら同大の教職員・学生、すでに福祉の働きを始めている教会の牧師や福祉施設関係者らが加わっている。オープンセミナーではその中から吉持日輪生氏(同盟基督・高麗聖書教会牧師)が「福祉作業所コミュニティーハウス」の取り組みを、漆間一英氏(同・青葉キリスト教会牧師)がグループホーム「シオン相模原」の取り組みなどを話す。参加費は500円。参加申し込みはTCUのホームページで受付中(http://kokucheese.com/event/index/51932/)。問い合わせはTel:0476・46・1131、東京基督教大学ケアチャーチプロジェクト推進委員会。
◎グラハム父子 ロムニー候補支持−−モルモン教「カルト指定」削除で物議=1211110203
【CJC=東京】米国の著名な大衆伝道者ビリー・グラハム氏と子息でビリー・グラハム伝道協会(BGEA)総裁のフランクリン・グラハム氏が10月11日、共和党の大統領候補者ミット・ロムニー氏(マサチューセッツ州知事)とノースカロライナ州モントリートの自宅で会見した。93歳と高齢のビリー・グラハム氏は会談後、声明を発表。「我が家でロムニー知事と会い、もてなすことができてありがたい。特に彼の父、故ジョージ・ロムニー・ミシガン州知事と知り合い友人と思っていたこともあり思いは格別だ」として、「ロムニー知事と彼の家族と我が国のために祈ることは恵みだった。今アメリカは岐路に立っていると思う。アメリカ人多数が我が国のために祈り、結婚に関する聖書の教えを支持し、生命の尊厳を保護し、信教の自由を守る候補者に投票するよう願う」と、ロムニー氏支持を明らかにした。
ロムニー氏の選挙広報担当リック・ゴルカ氏によると、グラハム氏は「あなたを助けられることは何でもする」と語った。
ただBGEAのウエブサイトでは、モルモン教徒を、ユニテリアン、エホバの証人、サイエントロジスト、スピリティスト、統一教会信徒などと共に「カルト」のメンバーとしていた。子息のフランクリン氏も「キリスト者のほとんどはモルモン教をキリスト教だとは認めないだろう」と語っていた。しかし同氏は、「同性婚を支持し、中絶を擁護する候補者には投票できない」と述べている。オバマ大統領は、中絶する権利を支持、個人的には同性婚を認める、と語っている。
ビリー・グラハム伝道協会のウエブサイトが、モルモン教を「カルト」としていた表現をやめたことも明らかになった。
◇
これを受けて米メディアは、BGEAが「ロムニー候補の訪問によってカルトに関する意見を変えた」などと報じた。グラハム氏は歴代大統領の就任式で祈りをささげた牧師として知られ、米国福音派を代表する伝道者がモルモン教容認に転じたのかと憶測を呼んだのだ。このためBGEAは10月18日、「モルモン教をカルトでないと宣言したわけではない。フランクリン・グラハム氏がロムニー候補にへつらうため譲歩したのでもない」などとする声明を発表した。
同声明によると、ビリー・グラハム博士のもとには過去に何度も大統領候補者や政治的指導者が訪れている。グラハム氏はその人物の宗教や背景がどうであれ裁くことをせず、だれでもイエス・キリストにある信仰を持つ機会が与えられるよう真実の愛をもって迎え、共に祈る時を持ってきた。
グラハム博士は国の方向性や倫理観が悪化している米国の現状を憂慮しており、妊娠中絶や結婚について聖書に基づいた指針の候補に投票するよう国民を励ましたいのだという。ロムニー候補は妊娠中絶に反対で、結婚は男女の間で高潔を保たれるものとの信念を表明している。しかしロムニー候補がモルモン教徒であり、BGEAのサイトでカルトのリストにモルモン教が掲げられていることで論争に巻き込まれる危険を避けようと同リストをサイトから削除した。ところが期せずしてロムニー候補の訪問が削除決定の直後に重なったため「とてもタイミングが悪かった」としている。