ヘッドライン
[CSD]2012年11月18日号《ヘッドライン》
[CSD]2012年11月18日号《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
◎「孤児のない世界」を願った田内千鶴子——生誕100年を機に国連へ「世界孤児の日」制定を請願
= 2 面 ニュース=
◎星野富弘 花の詩画展開幕——「いのちより大切なもの」テーマにお茶の水で4か月間開催
★倉松 功氏、西原由記子氏に「キリスト教功労者」
★森郷キャンプ場が「復興支援ボランティアセンター」開始
★<落ち穂>震災後に慰めと希望を
= 3 面 =
★<いのちへのまなざし>[35]イエスの笑い 記・柏木哲夫
★JEAフォーラム仙台 発題から<要約>——被災地から問われる包括的福音
◎ビリー・グラハム伝道協会:異なる信仰の候補でも建国の信条のため——カルトリスト削除の真相は?
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
= 4・5 面 全面広告=
☆クリスマス・スペシャル
= 6 面 関西だより =
★『空が微笑むから』著者の坂直子さん天へ——「私を用いてください」と使命果たして
★信仰継承と伝道の祭典——キッズ&ファミリーフェスティバル 80人決心
★一筋に主に向かって賛美——CD「My Prayer」をリリースした菅原早樹さん
★協力と祈りが支えた放送伝道40年——近放伝1年前大会で働きの意義新たに
= 7 面 伝道・牧会を考える =
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>[31]JECA・つがる福音キリスト教会?——子どもを大切な存在として教育
★<神の宣教>神のことばを神の世界へ[8]—— クリストファー・ライト講演抄録
= 8 面 全面広告 =
☆2012 西日本クリスマス集会ガイド
◎「孤児のない世界」を願った田内千鶴子−−生誕100年を機に国連へ「世界孤児の日」制定を請願=121
木浦共生園で3千人の孤児を育て上げ、韓国孤児のオモニ(母)と呼ばれたクリスチャンの田内千鶴子の生誕から100周年。この記念の年に「World Orphans Day(世界孤児の日)」制定を国連に請願しようと「田内千鶴子生誕100周年記念 国連『World Orphans Day』制定推進大会」(同事業会主催)が10月29日から31日まで、韓国ソウル市のソウル女性プラザ(29日)、木浦市の木浦市民文化体育センター(30、31日)で開催。国際シンポジウム、記念式前夜祭「愛と平和の祭典」、記念式及び国連「World Orphans Day」制定推進宣言大会など、日韓文化交流も兼ねた様々な催しが行われた。宣言大会では、国連World Orphans Day制定請願決議文が宣言された。国連「World Orphans Day」の制定は、千鶴子の長男で社会福祉法人こころの家族理事長の田内基氏の長年の宿題だった。「母は孤児のない世の中を願っていたという話を何度も聞かされてきた。44年前、母が木浦市で亡くなった時、市民葬をしてくださった代表の方々が『ぜひ世界孤児の日を作りなさい』と大きな宿題をくださった。それで母の生誕100周年を機に国連『World Orphans Day』の制定の必要性を訴えようと大会を計画した」と、その経緯を語る。
大会には日本の訪韓団約500人を含め延べ千人以上が参加。木浦では、千鶴子の故郷・高知から尾正直知事、岡誠也市長が、木浦市からは丁鍾得市長が祝辞を述べた。
尾氏は、千鶴子は夫の尹致浩が朝鮮動乱の中で行方不明になっても孤児に一生を捧げるその決意は揺らぐことなく共生園の運営に尽力されたとし、「この信念と、共生園と千鶴子さんを温かく見守る木浦市民の皆様の包容力が歴史に残る偉業を達成し、その遺志が受け継がれていることを心強く思う」と語った。
岡氏はこの記念式を契機に、千鶴子の偉大な功績をより多くの人々に知ってもらうと共に、「その遺志と崇高な慈愛の精神が未来を担う若い世代に受け継がれていくことが、生前千鶴子が望んだ『孤児のいない社会』の一日も早い実現につながる」と語った。
丁氏は、韓国はかつて孤児が多く世界各国の支援を受けてきたが、今は支援する国に成長したとし、「差別と偏見で苦しんでいる孤児を助けるため、日韓は先頭に立っている。国連『世界孤児の日』制定推進大会は私たちの力強い第一歩でもあり、愛と真実に基づいた国際協力事業だ。地球村の子どもや青少年に夢と希望を与えるメッセージを一緒に伝えていきましょう」と語りかけた。
また田内千鶴子生誕100周年記念事業会会長でもある阿部志郎氏(神奈川県立保健福祉大学名誉学長)が祝辞で「戦争後、反日の厳しい時代に千鶴子は日本人として攻撃を受けたが、共生園の子どもたちが千鶴子を守った。愛された子どもたちが愛する人になった。愛し愛される、助け助けられる。この美しい人と人との関係を世界に広げようというのが『世界孤児の日』制定だ。お互いに力を合わせましょう」と語りかけた。
10月31日は、千鶴子の誕生日であり56歳で亡くなった日。この日に日韓の共同代表者50人が舞台に上がり、柳在乾ユネスコ協会連盟会長、辻恵衆議院議員、趙聖鐵韓国社会福祉士会会長が日韓を代表し、国連World Orphans Day制定請願決議文を朗読。読み終わると会場から割れんばかりの拍手があった。
「世界孤児の日」(world Orphans Day)制定請願決議文
〈前 文〉
人間は皆、孤児です。幼い時になるか、大人になってなるかの違いがあるだけです。幼い時に孤児となった子どもに隣人と社会の関心と愛が必要です。(中略)日本人女性でありながら、愛と犠牲の精神で韓国の孤児3千余人を育て上げた田内千鶴子女史(1912~1968)がいました。彼女の生涯の願いは「孤児のいない社会」の実現でした。今、田内女史の生誕100周年を迎え、地球村のすべての人々が、孤児に対する認識を新たにし、彼らが健康な国際人として成長できるよう、国連に「世界孤児の日」(World Orphans Day)を制定することを請願し、次の通り決議します。
〈決 議〉
?子どもは、祝福されて生まれ、国籍・人種・宗教・文化など、出身背景に関係なく、愛で養育されなければなりません。?家庭崩壊・貧困・疾病・戦争などで父母の愛に育まれない子どもに対しては、当該国家と社会は、法を制度で、安全と養育を保証しなければならない責任があります。?父母の世話が不可能な場合、当該国家と社会は、子どもが愛の溢れる家庭で幸せに成長できるよう、養子縁組文化の定着を積極的に推進し、実行しなければなりません。
?孤児養育のための収容施設は、一般家庭と区別や差別されて運用されてはなりません。?孤児は、普通の児童と全く同じ夢を持って、自身の意志で自立できなければなりません。民主市民として成長できる教育の機会が、提供されなければなりません。これが、国連が明らかにした子どもたちの人権であります。?天災地変や疾病、国家間の紛争などで発生する孤児に対して、救護機関の特別援助が優先的になされなければなりません。?孤児は、大義名分のない犯罪や不当な労働などの反教育的な仕事に動員されてはなりません。
?国連をはじめ、すべての国際機構は、地球村で発生している孤児に対する制度と処遇に対して、人権的な次元で優先的に迅速な救護と国際間の協調がなされるように緊密に調整して行かなければなりません。
◎星野富弘 花の詩画展開幕−−「いのちより大切なもの」テーマにお茶の水で4か月間開催=1211180
東日本大震災で深い喪失感と嘆きの中にある人々に慰めと希望のメッセージを伝えたい……そんな願いが結実して、東京都心のお茶の水クリスチャン・センター(千代田区神田駿河台2ノ1)で初の「星野富弘花の詩画展」が実現、11月2日開幕した。4か月の長期開催も初めて。12月30日までの前期は特別企画「悲しみも苦しみも」、来年1月4日03月2日の後期は特別企画「あなたに逢ってから」で、初公開作品11点を含め、詩画作家の星野富弘さん自身が選んだそれぞれ70点余り(延べ101点)を公開する。開催時間、入場料など詳細はhttp://www.wlpm.or.jp/shigaten/初日には星野さんが妻昌子さんとともに出席、同詩画展のテーマとなった作品「いのちより大切なもの」が生まれたエピソードや、事故で手足の自由を失いながら口に筆をくわえて30年以上にわたり詩画を描き続けてきた思いなどを述べた。
「星野富弘花の詩画展inお茶の水」(同開く会主催=榊原寛会長)開催のきっかけは、星野さんが新作を発表してきた月刊「百万人の福音」誌上の連載が30年を迎え、発行元であるいのちのことば社の多胡元喜会長が群馬県桐生市の星野さん宅を訪ねたことから。「震災で喪失感の中にある人々に生きる勇気を与える花の詩画展をお茶の水で開催したい」という提案に星野さんは即座に賛同。新たな詩画集の刊行も快諾し、今回の詩画展に合わせて同じテーマの詩画集『いのちより大切なもの』が同社から刊行された。
開会式で実行委員長の多胡氏はその経過を報告、
「星野さんの作品の根底には聖書の言葉がある。聖書の神に対する信仰、創造のすばらしさ、神に生かされるすばらしさを皆さんに味わっていただきたい」と挨拶した。
中学の体育教師だった星野さんは1970年、体操中の事故で首から下が動かなくなった。入院生活でもらう見舞いの手紙に何とか返事を書きたいと、口にペンをくわえて字を書く練習をした。そうして書いたはがきの余白に、見舞いでもらった病室の花の絵を描き始めたのが「詩画」の原点。
今回、星野さんがテーマに選んだ「いのちより大切なもの」は、清楚なオダマキの花の絵にこんな言葉を添えた作品だ。
〈いのちが一番大切だと思っていたころ 生きるのが苦しかった/いのちより大切なものがあると知った日 生きているのが嬉しかった〉
この作品が生まれた背景を星野さんが明かした。
「入院中にいろいろ悩みまして、もう生きていても仕方がないと思ったことがありました。そんな時、友達を通して聖書を読むようになりました。その中からだんだん生きる喜びを知るようになって…すべて人の手を借りなければやっていけない人間が生きていていいのかと思いながら入院していましたが、聖書に生かされている人たちの生きざまを見ると、私のような者でも胸を張って生きていていいんだと思うようになりました。そして聖書の中から教えられた?いのち?を考えるようになり、そんな中からこの詩が生まれました」
この詩が発表されると多くの人から「いのちより大切なものって何ですか」と質問が来た。最初は自分の考えを返事に書いたが、自分で見つけて初めて意味があると思い直し答えを言わないようになった。その質問が、東日本大震災以降ピタッとなくなったという。「たくさんの人が大切な人を亡くして、『いのちより大切なもの』を考えたんではないかと思います」
昨年3月11日の震災当日、星野さんは自宅で車いすに乗っていた。揺れが大きくなり物が落ち、「大変だ」と思いながら逃げることもできず、何もしないで揺れに任せていた。やがてテレビで凄まじい津波の被害を知り、「全くなすがままに何もできない中で、自分の描くものなんか何の役に立つのか」と、しばらく絵が描けなかった。「でも被災地で倒れた木から花が咲き始めたのを瓦礫の中でたくさんの人が囲んでいるのを見て、『ああ、花を描いてきてよかった。これからも人々に希望を与える花を描いていこう』と思いました」
主催者は、被災地でも詩画展を開けたらと願っている。また、同書を被災地に贈るための募金を募っている。【募金宛先】郵便振込00130・5・377952、いのちのことば社東日本大震災復興支援(「いのちより大切なもの」と指定)。問い合わせ事務局=Tel:03・5341・6911。
◎ビリー・グラハム伝道協会:異なる信仰の候補でも建国の信条のため−−“カルトリスト削除”の真相は?=
米大統領選挙は11月6日投開票が行われ現職のバラク・オバマ氏が再選されたが、この選挙期間中、著名な伝道者ビリー・グラハム氏と息子のフランクリン氏が共和党のミット・ロムニー候補を支援していると受け取られた動きが、日本では?異端?とされビリー・グラハム伝道協会(BGEA)も?カルト?扱いしてきたモルモン教徒の候補者をなぜ支持するのかと波紋を呼んでいる。特に来年フランクリン氏を招いて計画中の伝道大会の関係者らは戸惑いを隠せない。BGEAアジア地区ディレクターのチャド・ハモンド氏が説明に追われているが、背景には信仰と政治に関する日米の違いや、誤解を避けようとして取った行動が裏目に出た面もあるようだ。発端は10月11日、グラハム氏父子がロムニー氏の訪問を受け、「結婚に関する聖書の教えを支持し、生命の尊厳を保護し、信教の自由を守る候補に投票するように願う」と表明したこと。
グラハム氏は共和党であれ民主党であれ歴代の大統領や候補者の訪問を丁重に受け入れ牧師として祈ってきたのであり、特定の候補者を支援したことはない、というのがBGEAの公式見解。だが今回、オバマ氏は中絶の権利を支持し同性婚を認める立場、ロムニー氏は妊娠中絶や同性婚に反対の立場だ。後者は従前から福音派が主張してきたことでもあるが、グラハム氏が事実上ロムニー氏支持を明らかにしたと見られたことは否めない。
BGEAがウェブサイト上からモルモンを含む?カルトリスト?を削除したと報じられ、疑念はさらに膨らんだ。BGEAはモルモン教を?カルト?としてきた判断を大統領選で変えたのか、と。「判断を変えたのでも妥協したのでもない」とハモンド氏は言う。「BGEAが牧師・指導者や電話カウンセラーの指針として出版した書籍『クリスチャンワーカーズハンドブック』にはカルトとは何かという項目があり、世界の主要なカルトと共にモルモン教もその中に分類されています。神・聖書・罪・救いなど主要な教えについて、聖句の裏付けと共にキリスト教とモルモン教の違いを比較して掲載してある」
そして?ウェブ上からカルトリストを削除?は誤報だと主張する。「もともとウェブ上に?カルトリスト?などなかった」というのだ。前述のキャンペーンにあたり、サイトの過去の記事中に今回のキャンペーンとの矛盾を指摘される恐れがある記事がないか点検したところ、担当者が質問に答えてカルトについて説明した中にモルモン教も含まれている記事が一つあった。削除したのはその記事で、それを目ざとく見つけた勢力が突いてきたのが真相だという。
それにしてもモルモン教徒の候補を支持することに違和感はないのか。この点については、10月22日にフランクリン・グラハム氏が「神の正道に立つ側に投票することを私は祈る」と題してサイト上に発表した声明が端的に示している。
「この疑問は扇動されて多くの論議を呼んできた。歴史上クリスチャンはモルモン教徒を含め異なる信仰の政治家にも投票してきたのであり、それは彼らがどのように生き、合衆国憲法をいかに深く擁護してきたかに基づいてのことだ。神が政府を秩序づけたのであり、私たちは主任牧師を選ぶのではなく最高司令官を選ぶのだ。この国が信心深い信条によって建国されたことを思い起こさなければならない。私たちの世俗化した社会は、その初めの信仰を揺さぶられているのだ」
ハモンド氏は「これは単なる大統領選挙ではなく国と州レベルの?聖書的な価値への投票?だった」と説明する。