[CSD]2012年12月2日号《ヘッドライン》

[CSD]2012年12月2日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎地域が頼れる教会へ——TCU・ケアチャーチプロジェクトで協力関係構築
★寮に泊まって学生生活を体験——TCUとHi-b.a.が協力しキャンプ型オープンキャンパス

 = 2 面 ニュース=
◎ガザ抗争激化——WCC総幹事 イスラエルとパレスチナ双方に暴力停止を要請
◎昭和天皇葬儀時も平常授業で良心示す——シンポジウム「信教の自由と明治学院」
★<召天>天田 繋氏(作曲家、東京基督教大学名誉教授、74歳)
★<召天>渡辺暢雄氏(伝道者、仏教研究者、元バプ連盟・大久保バプテスト教会牧師、82歳)
★<召天>川崎経子氏(NPO小諸いずみ会「いのちの家」所長、元日基教団・谷村教会牧師、82歳)
★<落ち穂>上から目線のキリスト教会

 = 3 面 =
★<いのちへのまなざし>[37]神の証し人 記・柏木哲夫
★JEAフォーラム仙台 発題から<要約>——放射能の不安とストレス
★<オピニオン>今だからこそ中国に観光旅行を 記・守部喜雅
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5 面 聖書デボーション特集=
★毎日悔い改め、感謝教えられ——今年から始め、今では習慣化
★時間帯は違っていても——家族の「絆が強まった」
★修養会場入る前に——信仰詩読んで講演に備える
★支店長室での静まり——聖書を読んでから行員が働く場に臨む
★「みことばの光」誌リニューアル——高齢化見据えて判型・文字も大きく
★祝福を共に分かち合う——在ドイツでのデボーションライフ
★自分の状況変わっても必要な御言葉が示される——日常生活の中での恵み

 = 6 面 仕事と信仰 =
★総務が変わると会社が変わる——クレイグ・カックスさん(上)
★<もしドラ>[25]教会の使命の本質:——失敗は避けて通れないが成長、勝利への一歩 記・千葉雄志

 = 7 面 伝道・牧会を考える =
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>[33]単立ペンテコステ・ブンキョーゴスペルセンター?——お腹と心を満たすピザパーティー
★<神の宣教>神のことばを神の世界へ[10]—— クリストファー・ライト講演抄録

 = 8 面 ひと =
★原発に危機感覚えデモの常連に——しばまたわーくす代表 DRCnetウェブ担当 松浦 賢さん




◎地域が頼れる教会へ−−TCU・ケアチャーチプロジェクトで協力関係構築=1212020101

 超高齢社会の中、高まる福祉のニーズに、教会が本来持っていた福音を実践する働きが生かされる。キリスト教福祉学専攻を開設した東京基督教大学(TCU=千葉県印西市、倉沢正則学長)は地域ケアをできる教会を目指す働きとしてケアチャーチプロジェクトを始動し、11月17日、東京・千代田区のお茶の水クリスチャン・センターでオープンセミナーを開いた。

 福祉に取り組む3つの教会から実際の働きや福祉についての考え方の紹介があり、教会での福祉に関心を持つ参加者らと活発な議論が交わされた。
 TCUは2008年からキリスト教福祉学専攻を開設している。倉沢学長は、福祉行政の変化の中で「教会の役割が大きくなる」と展望する。さらに東日本大震災後、「教会が地域とともに苦しみ、地域に開かれた。教会は地域に頼れる存在となるべき。TCUは教会と協力し、ともに考え、祈れるのではないか」とケアチャーチプロジェクトの発足の経緯を語った。
 ケアチャーチプロジェクトでは?福祉を行う教会のネットワーク作り、?教会で福祉を行うためのノウハウの蓄積とシェア、?教会で福祉を行う神学的・宣教学的な意義付け、?教会で福祉を担う人材の育成を行う。
 稲垣久和氏(国際キリスト教福祉学科長)は「国や行政だけではなく、私たち一人ひとりが福祉に関わることが大切」と言う。日本が要介護500万人超の介護大国である現状をふまえ、地域をケアできる教会の必要、キリスト教会が少ない日本では自らがまずは地域ごとに協働し、その後に他宗教団体などと協働して社会資源となっていく必要を述べた。
 30人規模教会による法人格を持たない活動の事例として、埼玉県日高市の同盟基督・高麗聖書教会(吉持日輪生牧師)を挙げた。同教会は1人のホームレス男性との関わりから、教会に住み込みで就労支援をする「福祉作業所コミュニティーハウス」を設置。当時福祉関係で働く教会役員がおり、教会の働きとして進んだ。現在はホームレス男性を含む3人が住み込み、数人が通所する。NPO法人ではないことで、制度に縛られない。短期の受け入れなど公的な施設では難しい部分を補える。行政からも重宝されて、利用者を紹介されることもある。
 吉持牧師は「教会の社会的責任のためにするというのではなく、2千年前にキリストがどういう生き方をされたかを高麗で実践する」と姿勢を語る。「救われる人が出たかどうかで判断するのではなく、使徒20・35のように弱さがある人のために労苦する必要があります」
 地域の教会とのネットワークを構築した事例としては、神奈川県相模原市にある同盟基督・青葉キリスト教会(漆間一英牧師)のNPO法人「シオン相模原」を紹介。
 漆間牧師は児童福祉に関心を持ち、学習塾、保育園と働きを展開した。相模原市では40以上の教会による牧師会が続いている。教会で高齢者の問題が目立ち、98年に問題提起すると、市内の教会の協力を得て「シオン相模原」を設立。認知症高齢者対応グループホーム、障がい者就労支援事業など働きを広げた。
 最も悩む人材については市内の教会の協力が得られる利点があった。「地域の1教会だけではなく、共同の宣教体制」と漆間牧師は強調した。
 教会でNPO法人を取得した事例としてはNPO法人「ホッとスペース中原」を運営するNSKK・中原キリスト教会(佐々木炎牧師)がある。
 佐々木牧師は福音宣教と福祉の関係を語った。「一方的に福音を語るだけでは伝わらない。具体的な日常の共通理解が大切だ。老い、病、死、喪失などすべての人が共通に認識する人生の危機的状況の中で隣人愛、人格的なコミュニケーションを持つ。関わる中でだんだんとイエス・キリストが見えてくる。これが教会の福祉です」
 現在高齢者の訪問介護や通所介護、障がい者のグループホーム、子育て世代支援のほか、無料塾、介護職員基礎研修、後見人制度などに取り組む。
 TCUは今後もネットワークづくりに努めながら、セミナーなどの催しを実施する予定だ。また様々な奨学金を用意してキリスト教福祉学専攻の学生を募集している。交流サイト、フェイスブックの「これからの福祉と教会を考える会」で情報共有ができる。
 

◎ガザ抗争激化−−WCC総幹事 イスラエルとパレスチナ双方に暴力停止を要請=1212020201

 【CJC=東京】イスラエルとパレスチナ自治区の間の抗争激化に、世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ=トゥベイト総幹事は11月16日、「市民の保護」を確実にするため「敵対行為の停止」を双方に要請する声明を発表した。
 WCCは、ガザとイスラエルの事態展開を注視している、としてトゥベイト総幹事は「暴力を即時停止しなければ、いつも被害者とされる市民の生命が救われない」と指摘。「人々の貴重な生命の損失は、神の目からすれば、双方に未解決の政治課題や問題のために支払われるべきものとはされない」として、「国連安保理とアラブ連盟に、双方のために暴力の拡大を阻止するよう、即時決断と方策を立てることを呼び掛ける」と述べた。
 総幹事は声明で、イスラエルがガザに対して6年間続けてきた封鎖を解除するようにとのWCCの呼び掛けを改めて強調した。一方、「ガザ地区からイスラエルの市民社会に向けたロケット攻撃は非難されるべきものであり、決して正当化されないこと、また将来実現可能な隣国となることを、国際社会に支持され認められるようパレスチナ市民が求めている時に、ロケット攻撃は非常にネガティブな効果をもたらす、とWCCは宣言する」と結論で述べている。
 イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザ各地への空爆を続行している。作戦開始から5日目の11月18日、ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの広報を担うテレビ局2局の事務所や、イスラエルに向けロケット弾を発射する武装勢力の潜伏先と見られる北部のベイトラヒヤやベイトハヌーンの家屋が空爆の標的となった。ガザ市の沖合に展開するイスラエル艦船は、沿岸部に砲撃を繰り返した。
 民間人の犠牲が増えており、パレスチナ側の死者は同日、31人が死亡、空爆開始からでは72人に上った。うち21人が子どもで、女性数人も含まれており、負傷者は700人近くに上るという。
 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ハマスへの攻撃に際しては市民の犠牲を出さないよう最大限の注意を払うと説明していた。ただそれはハマス側の攻撃停止を条件としていた。
 ハマスの軍事部門は声明を出し、イスラエル軍による今回の一家殺害に対する報復を行うと表明した。ネタニヤフ首相は18日の閣議で「軍事作戦を大幅に拡大する用意がある」と表明した。

◎昭和天皇葬儀時も平常授業で良心示す−−シンポジウム「信教の自由と明治学院」=1212020202

 戦時下神社参拝にくみしつつも、昭和天皇逝去時は平常授業を続けた明治学院で10月23日、シンポジウム「信教の自由と明治学院」(明治学院大学宗教部主催)が開かれた。
 学院長の大西晴樹氏が戦前のキリスト教学校全体の動向を、同学院高等学校聖書科教諭、同大学キリスト教学講師を務めた陶山義雄氏(東洋英和女学院大学名誉教授)が昭和天皇逝去前後の同学院の動向を語った。
     ◇
 明治政府は欧化主義からの転換をはかり、1899年文部省訓令第12号で学校内での宗教的な教育を禁じる。これに対し、明治学院のように各種学校として宗教教育を続ける学校、あるいはキリスト教教育をやめる学校など対応が分かれた。各種学校では上級学校の進学、
徴兵猶予という特権を行使できなかったため、当時のキリスト教学校は意見書を出し、特権を徐々に回復させた。これらの活動から1910年にプロテスタント諸学校の間で基督教教育同盟会が発足した。
 政府による神社参拝、天皇の「御真影」奉安所設置要請については、初め基督教教育同盟会は反対していたが、満州事変に突入するとともに、宗教行事ではなく国民道徳の一手段とする文部省の方針に従うようになった。明治学院も礼拝堂の一隅ではあるが奉安所を設置。学院長は外国人宣教師による代行から日本人に代わり、神社参拝など戦時体制の国策に従うようになった。
 カトリックでは1932年、靖国神社参拝を拒否した学生の問題をきっかけに上智大学が「国民道徳の目的達成手段」として参拝を認めた。1934年には奄美大島の大島高等女学校が、住民の排撃運動により廃校となるなどの弾圧があった。
 日本の植民地下にあった台湾のキリスト教学校は神社不参拝問題への排撃のため、校長はイギリス人から元海軍軍人に交代させられた。朝鮮では長老派信徒を中心に神社参拝反対運動があったが、
教会への弾圧とともに10校のキリスト教学校が廃校になった。
 戦後の1988年9月に昭和天皇の病状が悪化し、各学校で学園祭を自粛するなどの動きがある中、明治学院大学は通常通り実施。同大学は同年11月、12月に「天皇制を考える1週間」、シンポジウムなどを開き、問題を考えるとともに、教職員で対応を検討した。
 翌年1月7日に天皇が逝去すると、文部省は各教育機関に弔意奉表を通達。明治学院高校は神道儀式による天皇の葬儀「大喪の礼」を国葬としたことに対して、憲法20条に抵触し、信教の自由を侵すと判断。2月24日「大喪の礼」事前に保護者、生徒へ、当日は平常授業をするとともに、学校の立場を通知した。生徒、保護者からの反対はなかったが、当日は抗議、脅迫の電話が数件来た。11月12日の「即位の礼」でも同様の対応をした。
 これらの対応には、戦中の反省と日頃から重視する「良心」の教育があった。陶山氏は「宗教は良心と関わる。正しいことを正しいとし、正しくないことを正しくないとする」と強調した。
 シンポジウムに参加した卒業生(60代)は「明治学院は良心を問いかける姿勢があり、卒業後もそこに立ち返って考える姿勢がついた。『大喪の礼』時に平常授業をしていたことは不思議には思わない。やることやったなと思った」と語った。