ヘッドライン
[CSD]2013年1月27日号《ヘッドライン》
[CSD]2013年1月27日号《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
◎若者の自死予防 生きる意味模索で——電話+面接相談「クリニック絆」設立
★『いのちより大切なもの』被災地へ——「試練の中で慰め、励ましに」
= 2 面 ニュース=
◎アーバナ学生宣教大会:中国、アフガン 迫害の現場からも証し——日本語集会で震災復興へ祈り合う
★ゴスペルリンキング仙台でクリスチャン歌手ら集合——レーナ・マリア 被災地で歌う
★<逝去>呉在植氏(韓国の民主化運動家、牧師。79歳)
★エジプト:新憲法はイスラム色が濃厚
★<落ち穂>山本覚馬 隠れた幕末維新のヒーロー
= 3 面 =
★<いのちへのまなざし>[41]試練と課題 記・柏木哲夫
★<逝去>榊原康夫氏(改革派・東京恩寵教会名誉牧師、旧約聖書学者。81歳)
★<逝去>安齋政威氏(同盟基督・市原平安教会名誉牧師。100歳)
★<オピニオン>上海・中国での日本人伝道の現状と課題 記・新納真司
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
= 4・5 面 教会ルポ「ここも神の御国なれば」番外編=
★閉塞感を超え 主を証しする教会群像——2月から第2部寄り添う教会を追う
★取材記者は見た——地域のニーズ見出すとき宣教の扉が開かれる
= 6 面 関西だより =
★被災癒すハープの音色——音楽で愛伝えるキャサリン・ポーター宣教師
★阪神淡路大震災から18年——祈念集会で東北のため祈りも
★ヨガで心身生命力を強化——堺市の「こひつじヨガ教室」
★貧しい国の人々を絵画で表現——個展開いた吉田恵利子宣教師
= 7 面 伝道・牧会を考える =
◎石川県白山市の教会がパン・菓子製造販売で支援——NPO設立記念イベント「サフラン祭り」開催
★<神の宣教>神のことばを神の世界へ[14]—— クリストファー・ライト講演抄録
= 8 面 ひと・証し =
★横田早紀江さん(北朝鮮の拉致問題と戦う)——私の小さな考えと違う神様の視点
◎若者の自死予防 生きる意味模索で−−電話+面接相談「クリニック絆」設立=1301270101
日本の自殺者数は近年減少傾向で、2012年では3万人を切る見込みだ。だが自殺未遂者数や未公表者数は想像を絶する。また中年層の減少に対して若年層で自殺が増加し、いまだ問題は深刻だ。昨年3月には若者の自殺予防のための電話相談、面接相談を組み合わせた働き「クリニック絆」が設立された。同クリニックを運営する特例民法法人青少年健康センターの代表で、長年「いのちの電話」に関わる斎藤友紀雄氏に自殺問題とケアの実情を聞いた。◇
近年の自殺者の数減少について、斎藤氏は政府の取り組みを評価する。「従来政府はメディカル・モデルと称し精神医療方面に力を入れていたが、近年はコミュニティー・レベルと言い、いのちの電話など、民間の働きを支援したり、『自殺予防はみんなの仕事』という意識を広めてきた。前者はうつ病の早期発見などで成果があった」と見る。さらに「もう一つ、実存的、宗教的なケアが必要だ。特定の宗教もあるが、東日本大震災後よく言われた『絆』も、それに近い。自殺問題で大切なことは、生きる意味をしっかり持ってもらうことです」と語る。
同クリニックはすでに実績がある青少年とその家族を支援する目的で連携する3団体が母体。不登校・社会的ひきこもりに悩む青少年と家族を支援する青少年健康センター、思春期外来診療所の医療法人社団北の丸会北の丸クリニック、企業従業員のメンタルヘルスをケアする北の丸カウンセリングセンターだ。
これらは東京いのちの電話関係者が1985年に創設し、若者の相談診療、自立や回復支援、保護者向けセミナーなどを実施する。「クリニック絆」は企業からの支援で、25人の相談員と6人の精神科医を交代で備える。
「クリニック絆」の名称は青少年健康センター創始者稲村博氏が提唱した「心の絆療法」から。「一言で言うと、丁寧に根気よく、生きる意味を一緒に模索する療法」と斎藤氏は言う。「精神医療では、治療者の生き様も大事。稲村氏は口ではあまり言わなかったが、キリスト者としての生き様で生き方を示しました」
設立10か月を経て、相談は電話で約150件、面接で十数件。「まだまだ相談が少ないので、働きが認知される必要がある。いのちの電話とも連携できればと考えています」
引きこもり、統合失調症、うつ病などの精神疾患、アスペルガー、性格障害、対人恐怖、家族問題、生きがい喪失、孤独などの相談があった。
中には精神科治療中だが、薬の副作用など治療への不安の相談もあった。医師の診断や薬の処方に問題がありそうな場合は、総合病院や大学病院などをセカンドオピニオンとして薦めることもある。「電話相談では自殺者の約8割が精神科を診療していたというデータがある。一方精神科であまりよく聴いてもらえず、薬だけ、ということもあります。電話で話を聴くだけでも、その人にとって慰めと癒しに繋がることがあります」
教会の役割は何か。「キリスト教会では、自殺は容認しないが、最近は自殺を裁く前に、背後の危機的状況をケアすることこそ教会の使命だと認識されてきた。自死遺族ケアの働きも教会から始まっている。このような精神的風土の形成が遺族の励ましになり、そこから自殺も減ります」。
◎アーバナ学生宣教大会:中国、アフガン 迫害の現場からも証し−−日本語集会で震災復興へ祈り合う=13
3年に一度、全米と世界各地から若者たちを集めて宣教のビジョンを与えてきた「アーバナ学生宣教大会2012」が、昨年12月27~31日、セントルイスのエドワード・ジョーンズ・ドームを主会場に開催され、約1万6千人が参加した。参加者の国籍は北米在住の大学生・留学生を中心に、高校生から社会人、宣教師・牧師など100か国に及び、日本からはキリスト者学生会(KGK)の25人をはじめ30人以上が参加した。同大会は、カナダと米国のインターバーシティー(InterVersity Christian Fellowship=IVCF)によって1946年、カナダのトロントで第1回が開かれ、48?03年まで米国・イリノイ州のアーバナで開催。06年から会場をセントルイスに移した。第24回を迎えた今大会のディレクターでインターバーシティー副総裁のトム・リン氏は、「あなたの計画を神が驚かせて下さることに明け渡しなさい。神は期待していないことにあなたを招くかもしれません」と、世界のどこででも御国を分かち合うために神が若者たちを召していることをチャレンジした。
プログラムではルカの福音書からの学びを主軸に、セミナー、分科会、祈りの奉仕、夜の全体集会、聖餐式などがあり、宣教団体や神学校、書店のブースも開設され、宣教に関わる情報を多面的に提供した。分科会では、世界を変えるビジネス、都市の貧困、国際的な学生、牧師と教会指導者など、今日的な宣教課題を含む諸問題が扱われた。
90年のアーバナ大会では、日本人の参加者有志により、JCFN(Japanese Christian Fellowship Netwark)が発足し、海外から帰国するクリスチャンのフォローアップなどの面で海外在住日本人宣教に大きな広がりを見せている。今大会ではJCFNが国際的な学生伝道団体IFES(International Fellowship of Evangelical Students)や現地日本語教会の協力で会期中に日本語集会を開き、北米に留学中の学生らを含む約100人が参集した。これは留学生の集まりとしては最大規模。この中で東日本大震災からの復旧・復興・再生の状況と将来予測などを分かち合い、祈り合った。
アラバマ州バーミンガムのデビッド・プラット牧師は講演で、「すべての人がそれぞれの働きの分野において神の国の建設を告げ知らせよう」と述べた中で、北朝鮮や中国と並んで日本への思いに触れた。
また、亡命した天安門事件の女性指導者チャイ・リンさんや、アフガニスタンで活動中に殺害された医療宣教師トム・リトルさんの妻リビーさんの証しが感動を呼んだ。
アーバナ学生宣教大会は各国の青年宣教にも感化を与えてきた。韓国では90年代以降、超教派の大会「宣教韓国(Mission Korea)」が隔年で開催。日本でも刺激を受け様々な青年宣教大会が開かれるようになった。日本福音同盟では03年に青年宣教大会「すっと青山」の分科会でアーバナを紹介。近年は加盟会員に大会参加の情報を提供するなどしている。
◎石川県白山市の教会がパン・菓子製造販売で支援−−NPO設立記念イベント「サフラン祭り」開催=130
石川県白山市にある単立・活けるキリスト栄光教会の五十嵐正到牧師は昨年8月、障害者の就労支援、生活困窮者や高齢者の就業・生活支援、子どもたちの健全な育成支援などのために愛の手を差し伸べ、心身の回復と生活の自立を目指す事業を行い、社会全体の福祉の増進に寄与することを目的としたNPO法人シオンを設立。NPO法人認可記念イベント「サフラン祭り」を9月から11月まで、月の後半の土曜日に、白山市内にあるビル1階を会場に開いた。◇ ◆ ◇
サフラン祭りでは、精神や身体に障害をもった人たちの手により作られた天然酵母パン、ワッフル、クッキーなどを販売。カフェも設けられ、その場で味わいくつろぐ人で賑わった。
サフラン自慢の商品は「白山ロール」。地鳥卵など地元の素材をベースに作った生地で生クリームを包んだシフォンケーキだ。「パン、ケーキ作りを教えてくれる職人さんが開発したもので、とても美味しいと評判です。地域の方々や支援してくださる方々が多く足を運んでくださり、毎回大盛況でした」と、副理事長で営業担当の山瀬立春さんは喜ぶ。
NPO法人シオン設立の経緯は01年、五十嵐夫妻がハウスクリーニングの下請けの仕事を始めたことから。「妻の周囲に心病んでいる人が多かったことから、心の痛みや病を負った人たちと一緒に仕事をすることで回復を図ろうとしてやってきた。1年もたたないうちに数人になり、そのうちボランティアとして協力してくださる方も現れた。中には自立していった人もいるが、多くは今に至るまで共に働いている。良くなったり落ち込んだり波はあるが、それでも次第に安定してきているのは明らかです」と五十嵐さんは語る。
09年からパンやクッキーの製造販売を取り入れ、自宅兼教会の場所でパン屋「サフラン」(Shttp://zionsafran.web.fc2.com/)を開始。「保健所やケアセンターからの紹介で社会適応訓練の精神障害者の方々が増え、10人を超えた。今後もますます増えると思われます」
職場の特徴は、誰でも自由にいられること。「無理強いさせられることがなく、またその人の与えられている能力が開かれ、仕事が自由にできるように配慮していることです」
3年間の社会適応訓練終了後も働き続けられる職場作りをしていく必要に迫られ、「資金にも限界があり、さらに永続していくため、NPO法人を設立する運びとなりました」。
「サフランで働く人の約八割は教会につながっている」と山瀬さん。自身も、精神的な病を抱えている一人だ。五十嵐さんは「今年もまた場所を変えて、サフラン祭りをしたい」と願う。
NPO法人シオンの問い合わせはTel&Fax:076・274・3574(代表者・五十嵐正到)。