[CSD]2013年2月24日号《ヘッドライン》

[CSD]2013年2月24日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎日本軍が中国でしたことは「略奪、強盗、強姦」——従軍慰安婦の身体検査を行った元衛生兵が証言
★映画「わすれない ふくしま」——放射能で、いのちと絆が壊されていく

 = 2 面 ニュース=
★条例施行後の大阪 学校への圧迫に危機感——2・11祈祷集会
◎宗教改革から学ぶ抵抗の道——JECA関東集会
★英国:新カンタベリー大主教にジャスティン・ウェルビー氏が就任——女性主教を支持、同性婚には反対
★<落ち穂>霊的共同体である教会

 = 3 面 =
★<いのちへのまなざし>[45]死の準備 記・柏木哲夫
◎国際:ローマ教皇ベネディクト16世の生前引退発表に反響
★<オピニオン>アベノミックスの落とし穴——持続可能な社会と聖書 記・住田 裕
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5 面 シリーズ対談・この人この天職=
★佐々木秀一さん(佐々木電気工業[(株]創業者)vs 聞き手・中野雄一郎(伝道者) 雪国の生活を守るロードヒーティング

 = 6 面 関西だより =
★茶道発祥の地に新会堂——キリスト教の生活化象徴する茶室設置 単立 主イエス・キリスト教会
★香港に「ノアの箱舟」実物大テーマパークNoah's ark——日本でも実物大資料館建設の動き 記・孫 斉賢
★歌って踊って主を喜ぼう——元気ふりまくゴスペルユニットKamicoco
★お父さんのためのダンス教室——親子でHIP HOPダンス踊ろう

 = 7 面 伝道・牧会を考える =
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>?[39]JBBF・港北ニュータウン聖書バプテスト教会?——神さまのための生き方が育つ
★<神の宣教>神のことばを神の世界へ[18]—— クリストファー・ライト講演抄録

 = 8 面 ひと =
★柴橋正直さん(前衆議院議員)——落選も次に繋がる橋渡しだと…



◎日本軍が中国でしたことは「略奪、強盗、強姦」−−“従軍慰安婦”の身体検査を行った元衛生兵が証言=1

 戦時中、植民地、占領地などから日本陸海軍がつくった慰安所(売買春施設)に集められ、軍人・軍属の相手をさせられた従軍慰安婦。安倍晋三首相は1月7日の衆院予算委員会で「(旧日本軍が)人さらいのように人の家に入っていって、慰安婦にしたことを示すものはなかった」と述べ、93年の河野洋平官房長官談話で示した慰安婦に対する強制性について、軍による直接関与を示す証拠の存在を改めて否定した。そんな中、かつて中国・山西省で衛生兵として「従軍慰安婦」の身体検査を行った経験をもつ引退牧師の松本栄好氏(91)が2月8日、「信教の自由を守る日記念講演会」(日キ教会・東京告白教会主催)で証言した。

 松本氏は福岡県柳川市出身。1942年、日基教会・柳川教会で受洗し、その翌年、久留米48連隊に衛生兵として入営。教育・訓練の後中国・山西省孟県へ出征した。所属する大隊は7大隊からなる、固兵団と称する7千人程の独立旅団。「報国女子挺身隊」の名目で、朝鮮総督府が各市町村から集めた40~50人の慰安婦が連行されていたという。
 松本氏は「慰安婦は大隊本部にしかいなかったため、将校や下士官以下の兵隊たちが接触することは難しかったのではないか」と回想する。「だから兵隊たちは、中国人の部落を襲うごとに『ユウ ハオ クーニャン(いい娘はおらんか)』と叫び続けることになる。ある部落を急襲した時、逃げ遅れた7、8人の女性たちを連行して兵舎に閉じ込め、慰安婦にした」と証言。隊長も、軍紀があってないような前線の兵隊たちのそんな行為を止めることはできなかった。「衛生兵としての私の仕事は、彼女たちの性病検査をし、(性病に)気をつけろよ、と言って医務室に山ほどあったコンドームを配ることでしかなかった」と語った。
 8月15日敗戦以後のことにも触れた。「その日の記憶は全くない。その後、私たちは第一軍司令官澄田 四郎の命令で、山西軍閥閻錫山の軍隊に編入され、何かしてきた共産軍と戦わされた。戦死者550人は犬死、捕虜として山西戦犯収容所に収容された700人は、数年後、戦犯の刑期を終えて帰国したが、脱走兵扱いで警察につけ回され、職にも就けなかった。これが日本という国の実態だった」
 「私たちが孟県でしたことはまさに強盗、殺人、強姦。だから私には戦争犯罪人の自覚がある」と松本氏。「では、何がこのようなモラル喪失の日本人をつくり上げたのか? その根源は天皇制にある」と指摘。「大日本帝国憲法にも教育勅語にも『国民』という言葉はひと言もない。あるのは『爾臣民』だ。自民党改憲草案の第一条、『天皇は、日本国の元首であり』との記述は、天皇あって国民なしを意味していないか」と警鐘を鳴らした。
 「中国での戦争の実態を証言するのは、私にとって辛いこと。しかし、もう戦後ではなく戦前であると言わざるをえないような今日、私も90歳を過ぎた年寄りだが、生きている限りこの体験を語り続けることが使命だと思っている」と結んだ。

◎宗教改革から学ぶ抵抗の道−−JECA関東集会=1302240202

 日本キリスト福音教会連合(JECA)関東三地区2・11集会「信教の自由を覚える集い」(同主催)が東京・世田谷区のキリスト教朝顔教会で開かれ、「服従と抵抗の道?宗教改革から学ぶ教会と国家」と題して、星出卓也氏(日本長老教会西武柳沢キリスト教会牧師)が講演した。
「政治的社会的な問題のようだが、目に見えるところの背後にある神の言葉への服従と、神の言葉に逆らわせようとするサタンへの抵抗、という霊的な問題です」と話す。
 ルターはローマ人への手紙を読んだとき、今までのカトリックの教義と違う恵みによる道が見えた。そして聖書と並列にされていた聖人の伝承などを退け、「聖書のみ」を打ち出す。「ルターは教会制度を神のみことばに逆らうものとした。地上の教会の権威の背後にある、みことばに逆らう霊的な存在への抵抗でした」
 宗教改革以降から教会と国家の権限が明確になる。中世はキリスト教の中に国家があり、教会と国家の境があいまいだった。カルヴァンは聖書から教会だけを論じるのではなく、創造に基づく世界観から、世界において霊的統治をする存在として教会を位置づけた。
 カルヴァンが教会建設をしたジュネーブでは、市議会が警察権、徴税権のほか戒規執行、倍餐停止も担った。カルヴァンは市議会と別に教会の中に戒規、倍餐停止などを決めることができる長老制度を作り、教会の権限を規定した。
 「『教会は政治、国の問題に関わるべきではない』という言葉はある面で正しい。教会は国家の職務を代行しない。だが国家がみことばによる本来の約束と責任を果たしているかどうか、御国の鍵を握る教会がみことばに基づいて教え続ける必要がある」と勧める。
 「国家は国民を守るために神に立てられたしもべだ。国家がその権限を越えて自らを神格化し、悪しきことをなそうとするとき、必ず理論武装をして、国民をだましていく。真実なものをみことばから見抜く学習が必要だ。ベトナム戦争時にアメリカの教会の中で、良心的兵役拒否を主張した教会があった。現代日本の改憲や軍備増強の動きの中で今の時代の教会も学ばなくてはならない」

◎国際:ローマ教皇ベネディクト16世の生前引退発表に反響=1302240302

【CJC=東京】教皇べネディクト16世が2月末で教皇職を退くと2月11日発表したことが、全世界の教会内外に大きな反響を呼んでいる。
 「教会への要請が特に高まっている時に、高齢で自らの宣教の責任と重荷を担っていることを、深い尊敬の念をもって見てきた。教会とエキュメニカル運動への愛と関わりに感謝する。ベネディクト教皇はWCC(世界教会協議会)のことをよく知っていた」(オラフ・フィクセ=トゥヴェイト=WCC総幹事)
 「わたしたち他のキリスト者家族に属するものは、今回の証しの重要さを快く認め、ベネディクト教皇の宣教に関する霊感と挑戦について、カトリック教会の兄弟姉妹と共に、神に感謝する」(ジャスティン・ウエルビー=英国国教会カンタベリー大主教)
 「わたしたちとの対話や会合で、教皇が温かくかつ正統な人であることを知った。それに加えて信念についての勇気を、最近の姿勢にはそれと相容れないことがあった時でも、わたしは評価する。倫理的相対主義と自己中心的思想の横行に断固とした姿勢を示したことには特に感銘を受けた」(ジョン・タニクリフ=世界福音同盟総主事)
 「べネディクト16世は、カトリック教会がユダヤ人を改宗に導くべきではないと語った。障害はあったものの、彼はわたしたちの懸念に耳を傾け、二つの共同体がこの半世紀に緊密になったこと、破壊された世界を修復するために共になすべきことについて語ろうとしてきた」(エイブラハム・フォックスマン=反誹謗同盟全米部長)
 「教皇自身が、慎重に考慮した上で、もはや職務を遂行するために十分な力がないという結論に達したのなら、最高の敬意を払う。長生きになった時代に、教皇が高齢化の重荷に耐えて行かねばならないのかを多くの人は理解するだろう」(アンゲラ・メルケル=独首相)
 「教皇はただの人ではない。キリストの代理だ。最後まで留まって、その十字架を背負って前進すべきだった。今回のことは世界の不安定の大きなサインであり、それは教会を弱体化させよう」(アレッサンドラ・ムッソリーニ=イタリアの政治家、独裁者ベニト・ムッソリーニの孫)