[CSD]2013年7月7日号《ヘッドライン》

[CSD]2013年7月7日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎友愛平和の風:憲法論を友愛で論じ合う——異なる考えの他者と対話して熟議
★JECA:キリストの平和で一致が大事——「改憲の危機」講演会

 = 2 面 ニュース=
★バチカンとルーテル派が共に記念——2017年 プロテスタント宗教改革500周年で誓約

★バチカン:伝統塗り替える異例ずくめの振る舞い——新教皇フランシコ着座3か月
★バチカン:『ケセン語聖書』著者の山浦玄嗣さんに有功十字勲章を授与
★原発と私たちの責任——福音主義の立場から初の神学的論考[下]
★<落ち穂>西郷隆盛と山本覚馬

 = 3 面 =
★<フクシマの声を聴く>[8]母たちからの声?——家族で決めた自主避難のリスク 記・中尾祐子
★ホーリネス教団:「立憲政治の遵守を」——弾圧受けた立場から首相に要請
◎「爆発伝道」(EE)日本でも機能——東京・お茶の水クリスチャンセンターで7月8日に講習会
★<オピニオン>国のあり方にまず神の御心を 記・末松健一
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4 面 特集/日本宣教のチャレンジ=
★「日本の教会に希望がある」——崔世雄著『残りの民』出版記念講演会
★BOOK:『イエスの言葉100選』河合祐志著(日本キリスト教出版局、1,575円税込)
★BOOK:『キリスト教入門』矢内原忠雄著(中公文庫、680円税込)

 = 5 面 特集/被災地宣教にチャレンジ=
◎被災地には被災地の心で——宮城の牧師たちが欲しいトラクトを作ったら…
★BOOK:『マンガ ジェネシス 天地創造』ケリー篠沢著(フォレストブックス、1,260円税込)——
★BOOK:『空の鳥を見なさい』岩佐めぐみ著(わんしーぷ.com、600円税込)——

 = 6 面 仕事と信仰=
★シリーズ売上部数60万部の坂本光司著『日本でいちばん大切にしたい会社』——社員の幸せ愚直に願う
★新連載<サーバントリーダーシップ>[1]今必要なのは奉仕し支援するリーダー 記・真田茂人

 = 7 面 伝道・牧会を考える=
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>?[56]単立・アドラムキリスト教会?——「自分みたいな人を更生させたい」
★<憲法が変わるってホント?>[13]学ばなければ平和諮られない——日本国憲法は押し付けではなかった 記・片岡 輝美

 = 8 面 インサイド・ニュース=
★翻弄され続けた国に「光」を——アフガン支援「燈台」25年余



◎友愛平和の風:憲法論を友愛で論じ合う−−異なる考えの他者と対話して熟議=1307070101

 キリスト教会は歴史的に憲法、平和問題を重視してきた。一方で従来、平和運動は闘争的・攻撃的というイメージが強く、敬遠される場合があった。キリスト者を含む宗教家、学者、活動家らで昨年立ち上げた運動「友愛平和の風」は既存の左右のイデオロギーを越えて平和を追求する人たちが異なる意見を持ちながら対話し、意見の相違を認識しつつ互いの意見を深め、共通の大きな目標の達成に向けて行動している。改憲問題が一つの争点となる参院選(7月21日)が近づく中、6月23日に対話型の集会を開き、白熱した話し合いを展開した。

 題は「『友愛平和の風』第2回対話型集会 これからの国のかたちを考えよう~文明と憲法~ 『右』とか『左』を越えて『前』を目指そう!」。青山学院大学総合研究所が共催し、東京・渋谷区の同所に88人が集った。
 「友愛平和の風」は地球的友愛(愛・慈悲・仁など)ないし人類愛(兄弟愛・姉妹愛)を根本的な理念として、人種・民族・宗教などの相違を越え、地球人として、地上に恒久平和と良い環境・福祉という共通の善と正義を実現すること(友愛平和)を目指す。
 呼びかけ文では「予め設定された目標や行動を行うのではなく、このような対話によって誕生する考え方を尊重し、実践的行動を行うことによって、新しいダイナミック(動態的)な運動を展開することが可能」と言う。
反核脱原発・非戦、グローカル(地球規模かつ地域的)な環境、福祉などを議論してきた。
 スピリチュアルな友愛に基づいた非暴力的・平和的な方法(アート・オブ・ピース)として対話、祈り(瞑想)、芸術を用いる。今回は対話のほか、宗教家たちによる連祷、久世望氏(日本リードオルガン協会会長、日本基督教団引退教師)によるオルガン演奏があった。
対話は対話型教授法で注目を集めたNHK「白熱教室」の小林正弥氏(千葉大学教授)が議論を整理しながら進めた。
 まず小スピーチとして神道側から芳村正徳氏(神道神習教教主、教派神道連合会理事長)、キリスト教側から東方敬信氏(青山学院大学名誉教授)が発題した。
 芳村氏は?天皇は国の平和安寧を祈る祭祀王、?国土の隅々に神々がおり、踏み込まれたくない気持ちがある、?日本人が自らの手で憲法をつくりたい、?同盟国を守るのは人の筋、?外国が侵略する気が起きないような防備を日本が持つことで平和をつくる、などの意見を述べた。
 東方氏は?創造主に託された自然と人格の尊厳に対する責任(スチュワードシップ)、?平和(シャローム)は個人と社会の充実のことであり、現実から出発して平和に向かうための批判的な隣人愛がいる、?第二次世界大戦後、圧倒的多数の民間人が亡くなり、正しい戦争は破綻した、?日本は政治家任せのお任せ民主主義。教育に危機感を覚える、?日本は唯一の被爆国として歴史的役割がある。憲法9条を持つゆえに軍縮会議で議長となり功績がある、などを話し、「日本は経済大国だが、憲法を見れば平和大国だ。今後は教育などで文化大国としてやるべきことがあるのではないか」と問いかけた。
 その後、会場から発言があり、大きく?国のかたち、?義務と人権、?平和のテーマで、▽天皇が日本文化の中心▽権力を制限する立憲主義は人類の知恵▽権利ばかりが主張され義務が軽んじられている▽自衛隊と国防軍は違う▽日本をよくするための改憲が必要▽公共の福祉と「公益・秩序」は違う▽地球の公共的な利益も大事、など多様な議論が交わされた。
 稲垣久和氏(東京基督教大学教授)は閉会の挨拶で「改憲が極めて現実的になったにもかかわらず、市民サイドの議論は始まったばかり。一人ひとりが自分で責任をとり、異なる考えの他者と対話して熟議することを続けていきたい」と結んだ。  

◎「爆発伝道」(EE)日本でも機能−−東京・お茶の水クリスチャンセンターで7月8日に講習会=1307

 1960年代に米国で始まり83年に日本でも活動を始めたが休眠状態になっていた「爆発伝道(Evangelism Explosion=EE)」をもう一度立ち上げようと、「日本爆発伝道協会」がその内容を紹介する集会を7月8日夜7~9時、東京・千代田区のお茶の水クリスチャン・センターで開く。
 現在EEの日本の窓口を務める山中知義氏(日本爆発伝道協会代表)は16歳の時にTEAM宣教師から個人伝道を受けて信仰告白し、数年後に米国留学中EE訓練会に参加して新生体験をした。献身後もEEで教えられた「個人伝道」のノウハウと経験が伝道牧会のいのちをつないだといい、京都オンヌリ教会開拓の当初からEEを導入し、2年半で約100人が集う教会へと成長した。集会にはEE国際本部会長のジョン・ソレンセン氏、アジア代表のレネ・アティエンザ氏が来日する予定。教材を無料で贈呈。

◎被災地には被災地の心で−−宮城の牧師たちが欲しいトラクトを作ったら…=1307070501

 「ユダヤ人にはユダヤ人のように…」(?コリント9・20)とは、相手の立場に立って何とか福音を伝えようとしたパウロの熱い思いが伝わってくる聖句だが、東日本大震災で被災した宮城県の牧師たちが被災地域の人々に福音を伝えたいと熱い思いを込めたトラクト(伝道パンフレット)がある。昨年、新生宣教団が製作し、被災各県で無料配布した。
 「あなたをささえる聖書のことば」(B5判、64頁カラー)は、保守バプ・塩釜聖書バプテスト教会(多賀城市笠神)の大友幸一牧師のアイデアによる書き込み式。右ページに大きな活字で印刷された聖書のことばと同じものが、左ページに薄く印刷されており、なぞって書くことで覚えられる。例えば「はじめに神は天と地とを創造された」という創世記1章1節には、「これは聖書の冒頭のことばです。聖書の神様は、この世界のすべてを創造された唯一の神様です」など、それぞれに短い説明が付く。
 良いことばをなぞり書きすることは、クリスチャンでない一般の日本人にもなじみやすい。仮設住宅では何かすることで孤独から免れたり、生きがいを得るといった面もある。
 「創造の7日間」(A5判、32頁カラー)は、保守バプ・気仙沼第一聖書バプテスト教会(気仙沼市本郷)の嶺岸浩牧師の要望で実現した。創世記1章1節から2章3、4節までの創造の7日間の聖句を、それぞれの場面にふさわしいカラー写真とともにレイアウト。後半には各日ごとの聖句と短い説明に加えて、自分で疑問や感じたことを書く欄も設けてある。
 震災被災者たちに積極的に伝道している嶺岸氏は、「神様といっても日本人の場合はどうしても偶像礼拝になってしまう。港町など船が出て行くときには神社に安全祈願する。聖書が神様についてどう言っているのか、もっともっと知ってもらう必要がある」と痛感した。そこで、聖書が示す創造の神を理解してほしいとこの企画になった。
 やさしい色調のハートを両手で包み込むような表紙のデザインが?揺るぐことのない人生のために?というキャッチフレーズとともに印象的な「本当の絆」(A5判、16頁カラー)は、福音の群・東北中央教会(黒川郡大衡村)の永井信義牧師のショートメッセージ。東日本大震災を受け、「私たちはここで立ち止まり、今必要な、『本当の絆』について考えてみたいと思います」という語りかけで始まり、震災時の自分の経験や思いを導入に、天災は忘れたころにやって来ること、お金や「もの」に頼る生き方の限界に直面させられ、私たちの価値観が揺らぐときに「絆」の大切さに気づかされることに話を進める。震災支援で人と人の絆の大切さを知った人々に、「人が、ひとりでいるのは良くない」(創世記2・18)という聖句から、「私たちはそもそもひとりで生きる者として創造されたのではない」ことや、ヨブの苦しみから教えられることを説き、「イエス・キリストこそが、私たちと神との関係をつなぐ『絆』となってくださるお方です」と、神との「絆」が与える永遠のいのちを示し、祈りへと導く。
 新生宣教団では第2弾として福島県の牧師たちの意見を聞き、家族向けのトラクトを製作中。秋に被災地で配布する。