ヘッドライン
[CSD]2001年4月29日号《ヘッドライン》
[CSD]2001年4月29日号《ヘッドライン》
= 1面 =
◎自民党次期総裁4候補の「信教の自由」度は?——いずれも「靖国参拝は当然」発言に、「政教分離の会」が警告 記・西川 重則
★金泳鎮(韓国国会)議員の国会前断食祈祷6日で終える——祈りの火を日本にバトンタッチ
★<講壇に立つ女性たち>[15]四国福音キリスト教会牧師 河崎倫子さん(上)
★<落穂抄>聖書はイエスの顔かたちには触れていない
= 2 面 =
★筑波キングス・ガーデンが20年——福音派教会のビジョンから創設
★お茶の水クリスチャンセンター(OCC)がバブル崩壊でリストラ策
★お茶の水聖書学院がOCCから独立し新理事会組織に
★同盟基督:「日の丸・君が代使わない」表明——偶像礼拝かの解釈には幅
★韓国教界指導者ら連盟で金泳鎮議員の断食に同調
★ナザレン:「国際援助」「職制検討」委設置——教職者不足にユースキャンプ取り組み
★在日大韓もつくる会教科書の検定合格「撤回」を要求
★日本キリスト教連合会:献金課税問題を継続協議
★ベトナム:宗教省が福音教会の自治を承認
◎<論説>歴史教科書と歴史の歪曲 記・油井 義昭
★<あかし文学>神様いのちをありがとう[2] 作・山口かおる
= 3 面 =
★ものみの塔救出カウンセラー「草刈裁判」判決の意味 解説・中澤 啓介
★「保護説得されてよかった」——元信者ら心の監禁からの解放を証言
= 4 面 「日本宣教と(天皇制)」論争をめぐって=
★「天皇制を肯定すれば宣教が進展する」は論拠に危うさ 記・櫻井圀郎(1)
★天皇は日本文化の中心ではない、国家軸を王キリストのものに 記・瀧浦 滋(1)
= 5 面 PRのページ=
★教育座談会:創造主を教える教育が鍵——堀越暢治/井森隆司
= 6・7 面 建築特集=
★コスト削減は会堂使用の意識転換から 一粒社ヴォーリズ建築事務所・片桐郁夫さん
★限られた予算内で教会堂の精神性を追求 『光の教会 安藤忠雄の現場』
★「教会堂手がけてみたい」 恵和建設が教会建築部開設
★音響から問われる教会のビジョン (有)MAG・谷川憲一さん
★天井から吊り下げる音響装置が有効 (株)クロダオルガン・黒田一郎さん
★光の粒子が十字架浮かび上がらせる 相生めぐみキリスト教会
= 8 面 関西だより=
★中途退学者に高卒資格と国家資格—大阪・弟子教会「フリースクールライトハウス」
★主婦らがクリスチャンホームづくりの後押し—ウェディング・サークル「カナの会」発足
★文化財登録で教会堂の化粧直し——大阪日本橋キリスト教会
★宣教活動25年を機に『神のマスタープランの行くへ』を出版した黒田禎一郎氏
★日基教団部落解放センター:大阪で「解放劇」を上演
★大阪府民イースター:受難から復活を聖歌でたどる
★グラミー賞歌手ラーネル・ハリス招き八尾市でコンサート
= 9 面 =
◎渋谷・モヤイ像の前で伝道礼拝——久能木さん夫妻が毎月路傍伝道
★多忙の中でもクリスチャンとの交わり求めるP・ゲルシンガー氏(米インテル副社長)
★<北から南から>沖縄:気楽で楽しい手作り人形教室 山里隣人キリスト教会
★中高生にイエス様を——お茶の水クリスチャンセンター英語クラス「マスタード・シード」
★この学生寮で聖書の価値観を——登戸学寮の新入生歓迎会
★米国:ロット(掛けゲーム)と教会 意見さまざま
= 10 面 =
★<聖書66巻>テサロニケ人への手紙第2 キリストの再臨を待ち望む 記・伊藤 淑美
★<書評>『心の渇望』ジェームズ・フーストン著(いのちのことば社、2200円)
★<新刊書紹介>『イエスの生涯 エゴー・エイミ』内田和彦著(いのちのことば社、2800円)
★<新刊書紹介>『アダムよどこにいるのか』ハ・ヨンジョ著(ツラノ書院、1429円)
★<情報クリップ>催し情報ほか
自民党次期総裁4候補の「信教の自由」度は?−−いずれも「靖国参拝は当然」発言に、「政教分離の会」が警
事実上の次期首相が決まる自民党総裁選に、橋本龍太郎、小泉純一郎、亀井静香、麻生太郎の四氏が立候補。論戦の焦点はもっぱら経済再建だが、それでは信教の自由のかかわりで四氏はどのような主張の持ち主なのか。
4月17日、遊説で候補者らがそろって靖国神社「公式」参拝を当然視する発言をし、「政教分離の会」(西川重則事務局長)は「信教の自由・政教分離など日本国憲法の根幹にかかわる重大な侵害行為であり、アジアの信頼の回復にもとる挑戦的発言」と強く抗議した。
西川氏に解説してもらった。
異常なほどの報道が、4人の立候補に対してなされている。
その理由のひとつは、森内閣の失政、とくに「失われた10年」と言われる経済問題を解決し得ないことに対する失望の表れであり、新しい総裁への期待感であろう。
第2に、自民党総裁即首相という従来のパターンからくる国民の関心があるからだろう。
しかし、森氏を首班とする森内閣の失政は、何も経済問題に尽きるものではない。
内閣が発足して間もない出来事「天皇を中心とする神の国」発言(2000年5月15日)問題は今日に至るまで、根本的には何も解決していない。
それどころか、昨年の8月15日、閣僚の中でも、憲法原則を順守すべきはずの保岡興治法務大臣(当時)始め3人の閣僚が靖国神社「公式」参拝を行っている。
首相始め閣僚が、日本国憲法の下にあって、憲法を尊重し、擁護する義務を負っており(九九条)、法律を誠実に執行することを内閣の職務としている(73条1項)ことは言うまでもない。
したがって、20条の信教の自由・政教分離規定を順守すべき責任を負っていることは自明と言わねばならない。
右に述べたことは、今回立候補した4人にとってもそのまま適用されるべき憲法の大原則である。
にもかかわらず、遊説中としてはかつてない出来事に、私たちは直面させられている。
麻生太郎氏は、首相に就任した場合の靖国神社参拝に積極的な姿勢を示したし、小泉純一郎氏は「首相になれば公式参拝をする」との意向を示しているし、亀井静香氏は、早々と靖国神社に参拝し、同時に「首相であろうと大臣であろうと(参拝する)」と明言している。
橋本龍太郎氏は、首相の時のにがい経験がある立場から、「こういう問題を争点にするのはいいことなのか」と言いながら、「私はもともと行きたい方だ。
ただ、騒ぎを起こすことが良いことなのかと思う」と述べている(「朝日新聞」4月17日付夕刊参照)。
「騒ぎ」の問題として片づけているに過ぎない。
以上4人の発言でわかるように自民党総裁の立候補は例外なく首相に任命されることを前提に発言している。
そして経済問題の解決を総裁選の柱としながら、靖国問題にかかわる無責任な発言をして恥じないのである。
私は、日本の指導者として、とくに歴史の「負」の遺産を一日も早く清算すべき為政者として、失格であることを強調したい。
なぜか。
21世紀にあって依然として重要な課題である精神的自由、思想・良心・信教の自由、政教分離の問題に留意しない為政者は、21世紀の国政担当者として、最も重要な歴史の事実に基づく諸問題に責任を負うことができないからである。
橋本龍太郎氏は、かつての靖国神社法案提出者のひとりであり、靖国神社は宗教か、なぜ千鳥ヶ渕戦没者墓苑と区別するのかといった理解の持ち主である。
小泉純一郎氏は靖国神社法案の賛同者のひとりであり、亀井静香氏は、中曽根康弘首相(当時)に、靖国神社「公式」参拝を迫ったことで有名であり、麻生太郎氏は、最近日本会議国会議員懇談会の会長に就任している。
日本会議は、今年「憲法」と「教育」を国民運動の2本柱としている。
憲法調査会への提言を始め、教育基本法の見直しその他に深く関わっている団体に、国会議員の立場から、その具体化に尽力している会長ということである。
その他のひとつだけ挙げれば、9条2項削除・自衛隊明記ということである。
なお、4人とも「国旗国歌法」の成立に賛成している。
私は、衆議院前において、「血に染められた憤怒と恨み」を日本人に直接伝えようと断食祈祷された金泳鎮氏の思いを心に刻みつつ、日本国憲法の核心である9条・19条・20条などを歪曲し、改憲に道を開く為政者の言動に厳しく警告したい。
(「政教分離の会」事務局長)
<論説>歴史教科書と歴史の歪曲 記・油井 義昭0104290210
4月3日「新しい教科書をつくる会」(以下「つくる会」)の中学歴史教科書が文部科学省の検定に合格したことが公表され、国の内外に波紋が広がった。「つくる会」の教科書検定合格に抗議し、日本の国会近くで4月11日から6日間韓国キリスト者国会議員金泳鎮氏がハンガーストライキを行った。
議員の背後には韓国の全議員と福音派を含む韓国キリスト教界全体と1千万人のキリスト者の抗議と祈りがある。
日本で広範な層を巻き込み右翼的運動を繰り広げてきた「つくる会」は日本の教育現場に大きな橋頭堡を築くことに成功した。
この検定合格は日本政府の新ガイドライン、日の丸・君が代法制化、教育基本法改定の動きと密接に連携する。
この教科書の底本は西尾幹二著『国民の歴史』であり、4つの特色を持つ。
?天皇制にもとづく歴史観(皇国史観)。
神話を物語として紹介する域を超え、神武天皇は橿原の地で初代天皇に即位したと述べる。
大和朝廷と神話を混同しやすいようにする。
「東征」をルート地図まで入れて載せ、「九州から近畿地方へ移った勢力が大和朝廷を作ったという史実の反映の可能性が考えられる」との記述と地図によって神武天皇を実在の人にする。
まさに歴史と神話の融合、神話の歴史化である。
?アジアへの加害責任を欠落させた無反省史観。
現在の検定基準には「近隣のアジア諸国との間の近現代史の歴史的事象の扱いには国際理解と国際協調の見地から必要な配慮をする」との近隣諸国事項があるが、教科書はこれに違反するだけでなく、現実に様々な障害をアジア諸国との間に持ち込むことになった。
これはサンフランシスコ講和条約、1998年の日韓共同宣言、日中共同宣言への明白な違反である。
「自虐史観の克服」の名の下に、戦争の加害などの負の部分を覆い隠す。
朝鮮・台湾の植民地支配の実態は全く書かない。
関東大震災時の朝鮮人・中国人などの虐殺事件も書かない。
何という「教育的配慮」であろうか。
第2次大戦中の日本の戦争犯罪も書かない。
植民地での皇民化政策である日本語の強要や神社参拝、創氏改名、宮城遥拝など、強制連行や従軍慰安婦にも言及しない。
中国での731部隊の毒ガス・細菌戦、三光作戦、平頂山事件など、全く記述がない。
?人権・個人などの価値を否定する超越的国家主義。
「つくる会」は、戦後民主主義を忌み嫌い、米国の占領下の民主化政策を批判し、日本国憲法を激しく攻撃する。
戦力不保持条項の否定だけを考える。
特攻隊員の遺書など、国家への献身を強調する。
まず国家秩序ありきの考え方が色濃い。
?平和への追求を軽視した好戦的・利己的大国主義。
「つくる会」は前近代史では天皇中心の皇国史観を強調し、近代史では中国・朝鮮蔑視史観と反米史観を展開し、唯我独尊的国際的孤立史観に陥っている。
皇国史観的拝外主義的国家主義の復権を目指す、反中国・朝鮮、反米を煽る歴史教科書にどんな展望があるのか。
教育は、いつの時代も政府が国民を一定の方向に向けようとするものである。
教育を学問から分離することは、子供たちから科学的精神、創造性の芽を摘むことになる。
エデュケーション(引き出す)とは逆の道である。
それが最も顕著に現れたのは、戦前の日本の歴史教育であった。
天皇制支配の価値体系が実証的・批判的研究の対象にさらされないためであった。
日の丸・君が代を強制され、偏った歴史教科書で特定の価値概念を子供の内面に流入し、それで生き方の方向性を決めるのは、個性・自発性を抑圧する全体主義教育と言わざるをえない。
この歴史教科書の問題は、日本の教会が唯一神信仰を否定して神社参拝に屈したことと繋がり、信仰の根幹にも関わる。
教育の現場が脅かされ、自由に教育が出来ない戦前と同じ時代を黙って来させてよいであろうか。
「ああ、悪を善、善を悪と言っている者たち」イザヤ書5章20節
渋谷・モヤイ像の前で伝道礼拝−−久能木さん夫妻が毎月路傍伝道0104290901
「10代の若者が大勢集まる渋谷の町で、何とか若者に福音を伝えたい」という諸橋秀行氏(桜新町キリストの教会牧師)の発案から、ピリポ聖書研究会代表の久能木信宏さん夫妻(同教会員)は、東京・渋谷区のJR渋谷駅西口にある新島モヤイ像の前で、毎月第2、第3週の月曜日から金曜日、午後2時から約1時間立ち続け、路傍伝道を行っている。名前も「モヤイ青空教会」と名づけた。
久能木さんは、「やり続けることが大事。
とにかく1年間は続けていきたい」と語る。
妻の浩子さんがオカリナを吹き、信宏さんがそれに合わせて賛美する。
折りたたみ式のいすには聖書とピリポ聖書研究会が発行している祈りのポケットブック『シドゥール』と小冊子「十字架の救い」など、伝道用ツールが置いてある。
「ほとんどは目の前を通り過ぎたり、遠くでながめているが、中には興味を持って近づいて来る人がいる。
そういった人にあげている。
時には近くの喫茶店で個人伝道もする」と久能木さん。
昨年6月に試験的に行い、11月から定期的に行うようになった。
最初は説教したり、トラクトを配ったが、「賛美が一番効果的」と今は1時間まるまる賛美している。
曲はゴスペルフォークソング集「友よ歌おう」の曲や有名な賛美歌、イスラエルの曲など。
「モヤイ青空教会」は、警察の許可をもらって行っている。
月の第2、第3の週日に活動を行う理由は「1回の申請で2週間だけ許可がもらえるから」。
初めは「忠犬はち公前で」と考えていたが使用許可が下りず、モヤイ像前では許可がおりた。
「拡声器はダメ、人数は3人まで、といろいろ条件があったが、とにかく伝道できることがわかった」 無許可で活動する宗教団体が多いなか、警察の許可証を見せて逆に驚かれたこともあった。
路傍伝道への情熱は、久能木さんの体験にもよる。
「最初にキリスト教に接したのが路傍伝道。
それもモルモン教だった」。
一方で、「仕事で約250教会を訪問したが、教会のとびらが平日ほとんど閉まっていた。
ほかの宗教が外に出て熱心に伝道しているのに、プロテスタントの教会は外で伝道していないことに驚いた」。
「幸いプロテスタントの信仰へと導かれたが、私のような人もいる。
だからもっと教会が外に出ていって欲しい」と久能木さんは願う。