[CSD]2013年8月4日号《ヘッドライン》

[CSD]2013年8月4日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
★参議院選 直前・直後集会 次世代を視野に問題を共有——信教の自由の危機迫る

 = 2 面 ニュース=
◎ネット解禁初の選挙戦 クリスチャン候補はこう戦い、訴えた——藤田幸久、牧山弘恵、羽田雄一郎候補ら当選
★なぜ世界宣教をするのか?——アンテオケ宣教会 世界宣教セミナー
★エジプト:相次ぐコプト教徒襲撃
★エジプト:コプト教徒3人が暫定内閣に入閣
★英国:国教会総会で女性聖職容認を決議——児童性虐待を正式謝罪
★<落ち穂>被災地の支援センターは心の拠り所

 = 3 面 =
★<フクシマの声を聴く>[12]母たちからの声?——シンプルな節電が一番の「脱原発」 記・中尾祐子
◎ヒロシマ 今も忘れない——高塚陽一牧師のライフワーク 写真展
★<オピニオン>日本教会のガラパゴス化を越える 記・宮本 憲
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5 面 特集/聖書関連ツール=
★対談:聖書ツールを生かすには——ビジュアル聖書ツール Glo(グロー)上陸
★聖書の流れ、広がり 立体的に——地図上で旅をした感覚『バイブル ワールド』

 = 6 面 仕事と信仰 =
★柳 準模さん([有]ログイン取締役 宮廷料理継承者)[上]——世界の食卓に福音とキムチを
★<サーバントリーダーシップ>[2]2千年前からの叡智をグリーンリーフが定義 記・真田茂人

 = 7 面 伝道・牧会を考える=
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>?[59]単立・藤野福音キリスト教会?——同じ人間として人格で関わる
★<憲法が変わるってホント?>[15]戦後憲法への道のり——自由民権以来の営みを無視する暴挙 記・饒平名長秀

 = 8 面 インサイド・ストーリー=
◎現代の奴隷制 性的人身売買——実態描くドキュメント映画「ネファリアス 売られる少女たちの叫び」 http://www.notforsalecampaign.org/japan/?langjp



◎ネット解禁初の選挙戦 クリスチャン候補はこう戦い、訴えた−−藤田幸久、牧山弘恵、羽田雄一郎候補ら当

 インターネットによる選挙運動解禁後初の選挙となった第23回参院選。クリスチャンでは選挙区の茨城から藤田幸久(民主)、神奈川から牧山弘恵(民主、カトリック)、長野から羽田雄一郎(民主)、埼玉から川上康正(社民)、比例区から瀬戸健一郎(維新)、ツルネン・マルテイ(民主)の各氏が立候補。自民党圧勝の中、藤田、牧山、羽田の3氏が当選し、瀬戸、川上、ツルネンの3氏は落選した。
 各立候補者は公式ウェブサイト(WS)に動画をアップし政策目標をアピールしたり、フェイスブック(FB)やtwitterなどのソーシャルネットワークサービス(SNS)で発信するなど、ネットを活用した選挙運動を展開した。
 2選を果たした藤田氏はWSで、「被災県茨城に、子育て世代やお年寄りに、働く人々に、農林水産業に、地球に、ふるさとに、笑顔を取り戻す」という政策目標をアピールし街頭演説の動画をアップ。街頭演説では安倍政権への対決姿勢を鮮明にし、「日本は平和憲法を持っているということで国際的な評価が高い。安倍政権は国民主権よりは国家主権、基本的人権よりは国家権力、平和主義よりは圧力といった政治に見える。日本国憲法の基本である国民主権、基本的人権、平和主義を、誇りをもって進めようではありませんか」と訴えた。
 同じく2選を果たした牧山氏は、WSで動画をアップし、「子どもを、暮らしを、健康を、神奈川を、いのちを、守ります」とアピール。特に7歳、9歳の子どもを育てる母親の立場から、「子どもを安心して産み、育てる環境をつくる」と強調した。FBやtwitterで街頭演説のスケジュール予定、街頭演説の写真などを随時アップしコメントを投稿するなど、SNSもフルに活用。その奮闘ぶりがうかがえた。
 4選を果たした羽田氏はWSで「原点からの挑戦。その原点は『国民の生活』です」と決意を表明。アベノミクスは、地方や中小零細企業を切り捨てた上で大きな組織、大企業、大都市を前面に押し立てた、偏った経済政策だと批判し、「年金制度改革、安定した医療保障制度改革を柱としたすべての世代を支援する社会制度の抜本改革を推進する。暮らしを、信州を元気にする」と公約した。FBでは、県内を飛び回って演説する写真を随時アップ。次の演説会場に向かって走る姿に懸命さが伝わった。
 瀬戸氏はWSに動画サイトYou Tube「瀬戸健一郎チャンネル」をアップ。街頭演説で語った政策目標を編集したもので、「道州制導入で地方自治を、外交を変える。首相公選制を導入し、一院制にして日本の政治を変える。この国の仕組みを変えていく。そんな仕事を私にさせてほしい」と訴えた。「雷雨の中でも街頭演説やるぞ! せと健」など、遊説中もtwitterで発信し続けた。
 キリスト者政治連盟常任委員、日本キリスト教協議会(NCC)平和核問題委書記も務める参院選初出馬の川上氏は、You Tubeで政治信条を発信。「日本国憲法はわが国の基礎。この平和憲法を生かし、平和主義、民主主義をもっとすばらしくしていく。クリスチャンとして小さき者の声に耳を傾け、しっかり政策に生かしていきたい」と述べた。
 3期目に挑戦したツルネン氏は、街頭演説とWSで「原発ゼロ社会の実現」「有機農業と食の安全・循環」「発想力を伸ばす参加型教育」「国会改革 未来委員会」の4つの政策を訴えた。

◎“ヒロシマ 今も忘れない”−−高塚陽一牧師のライフワーク 写真展=1308040302

 ―私は一人の宗教家(牧師)として、また写真を通しての表現者として、微力ながら、自分のできることを自分なりの形で、あの悲劇の記憶をとどめ、継承していこうと願い、ここにヒロシマ3作目として「川の記憶」を発表させていただきます。―
 日本キリスト教団相武台教会牧師の塚陽一さん(神奈川県相模原市)は、2005年以降4回の写真展(個展)を開き、そのうち2回は「ヒロシマ」を題材にしてきた。それにつづく3作目として「川の記憶 ~ヒロシマ 今も忘れない~」を、新宿で開催する。
 大学卒業後、2年間プロの商業カメラマンとして働いた経験を持つ塚さんだが、献身の意志が明確になるにつれ、いつの間にかカメラから遠ざかっていた。牧師となって10年以上もたってから、あることがきっかけで手に入れることになったデジタルカメラを持って広島を訪れたところ、それまで内側に溜まっていたものが一気にあふれ出るかのように、写真を撮ったという。
 その時の作品が、05年新宿ニコンサロンで開いた個展「光と影の軌跡 60年目のひろしま」となった。以来、いくつかのテーマで写真を撮り続けているが、ヒロシマは生涯の課題と定めている。
 写真展はコニカミノルタプラザ ギャラリーB(東京都新宿区新宿3ノ26ノ11、新宿高野ビル4階)で、8月3日(土)~13日(火)まで。10時30分~19時(最終日は15時まで)。Tel.03・3225・5001(コニカミノルタプラザ)。

◎“現代の奴隷制” 性的人身売買−−実態描くドキュメント映画「ネファリアス 売られる少女たちの叫び」

 ― 19世紀に終止符を打たれたはずの人身売買・奴隷制が、21世紀、過去に引けを取らない残忍性と力を持って、再び現れた―そんなショッキングな字幕で、映画「ネファリアス 売られる少女たちの叫び」(2011年アメリカ作品、1時間36分、制作:エクソダスクライ、脚本・監督:ベンジャミン・ノロ)は始まる。年間320億ドル(約2兆6千億円)以上を稼ぎ、犯罪産業の中でも急成長している人身売買。その多くを占める性産業の実態と、その犠牲になっている子どもや女性たちの現実を、欧州・アジア・米国の現地ルポと被害者・加害者へのインタビュー、再現映像で描き出したドキュメンタリーだ。
 このような現代の奴隷制人身売買の撲滅を目指して活動している国際NGOの日本支部「ノット・フォー・セール・ジャパン(Not For Sale Japan=NFSJ)」では同作品の2013年国内上映権を取得し、上映会&トークイベントを開催。現在、会場提供など上映イベントを共催する団体・教会などを募っている。連絡先はjapan@notforsalecampaign.org 〒180-0022東京都武蔵野市境1ノ3ノ4ノ105、武蔵野境郵便局留め。 http://www.notforsalecampaign.org/japan/
 映画「ネファリアス」は冒頭、セルビアのベオグラードで暴力におびえ買い手を待つ少女たちを映し出す。やがて登場する買い手の男たちは、家畜の品定めをするように少女たちを選んでいく。彼女たちは街角で連れ去られたり、だまされて連れてこられたりした。薬でおとなしくさせられ、逃げようとすればなぐられ、家族を殺すと脅される。そうして心も体も破壊され、少女たちは?市場?に出される。
 取材チームはヨーロッパ人身売買の中心地モルドバへ飛ぶ。共産主義の崩壊後、経済が混乱した東欧では多くの出稼ぎが生じた。子どもたちは孤児院に預けられるが、その院長らが人身売買業者と通じ、成長して出ていく少女の情報を漏らす。業者は言葉巧みに「仕事を紹介する」と近づく。外の世界へ出れば、孤児たちがいなくなっても誰も気しない。入国管理官も警察官もわいろで見ぬふり。犠牲者はシステム化されたネットワークで世界に輸出されていく。ナレーションは、笑みを浮かべて客を誘う「いかがわしい娼婦」と蔑まれる女性たちの背後に、人間の尊厳の破壊によって完全に服従させてしまう売春組織のメカニズムがあることを暴露する。
 カメラは売春が合法化された都市、アムステルダムの「赤線地帯」を訪ねる。飾り窓に展示されているのは、そうして連れてこられた東欧の女性が多い。売春宿のオーナーは「客が黒髪がいい、茶髪がいいと言えばそういう子が来る。ピザを注文するようなもんさ。同じだろ?」とうそぶく。客は、彼女たちが自分で選んだ道だろうと思っているが、誰一人として自分で望んで娼婦になった女性はいないと専門家は言う。飾り窓を見張る犯罪組織が女性たちの収入を巻き上げている。
 東南アジアではどうか。カメラは「ドリアンよりも甘いもの、それは若い女」というタイの看板広告に焦点を合わせる。タイでは貧しい農村の少女たちが、親を養うため都会へ働きに出て売春に携わる例が多い。まともな仕事は賃金が安く、そこに性産業が入り込む。経済・社会的条件が職業選択の自由を奪う。
 業者は貧困につけ込み親から娘を買う。カンボジアの小さな村では8~9割の家庭が娘を売るという驚くべき数字もある。
娘たちは「どうか自分が選ばれませんように。でも選ばれなかったらどうやって家族を養うの?」と複雑な気持ちだ。生んでくれたお礼にと、年頃になると売られることを知って準備する。だが娘を売るのは極貧家庭ではなく携帯やテレビが欲しいから。仕事のない男たちは昼間からビールを飲みギャンブルに興じる。「人身売買に加担する文化なのです」と、子どもの売春に立ち向かう国際宣教団の代表は嘆く。
 一転、華やかな米国ラスベガス。そこには富に魅せられ性産業に吸い寄せられる女性たちがいる。富も力も夢も手に入る、と。だが現実は全然違う。女性たちは性産業によって麻薬や暴力で縛られて「売春婦」という別の人格に作り上げられる。自分は誰からも愛されない、誰も愛せないという思いにさいなまれている。
 売春婦になる最大の原因は家族などから受けた性的虐待だ。「ほとんどのケースで少女が自分で売春を選んだというより、売春が少女を選んだと言った方がいい」という心理専門家の言葉は示唆的だ。売春婦は常に身の危険にさらされ、死亡率は一般人の40倍。それでも売春をやめないのは、生き残るため監視者の保護を求めてしまう、いわゆるストックホルム症候群による囚われだという。
 元売春婦たちがインタビューに答える。「自分は人間以下の存在だと思っていた。でも今は、私は愛されていることを知りました」と。救出に取り組むキリスト教NGOは、「世界からおまえはゴミだと言われ続けてきた女性たちには、あなたは大切だと言ってくれる人が必要だ」という。主イエスを受け入れた元売春婦たちが回復プログラムで自分を取り戻し、幸せな結婚をして今は同じ境遇の売春婦を助けているという報告に救われる。
 NFSJの山岡万里子代表は、「日本も、アジアの女性をブローカーが騙して不当な借金を負わせ売春を強要、家出少女を風俗業者が絡め取る、児童ポルノが蔓延など、人身売買大国だ」と指摘している。