[CSD]2013年9月22日号《ヘッドライン》

[CSD]2013年9月22日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎2013年教会教勢データ:教会数微減 さらに信徒減——人口減少社会、教会維持がカギ
★合唱で結ぶ復興の絆——明治学院高校グリー

 = 2 面 ニュース=
◎高校生は居場所がほしい——日本青年伝道会議セミナー
★ 教界 シリア攻撃回避願う——バチカン「世界戦争の懸念」も
★米国福音派指導者軍事介入反対6割
★ 第45回 日本伝道の幻を語る会 森新会長「教会が教会らしく」
★<落ち穂>大河ドラマ「八重の桜」伝道的な展開

 = 3 面 =
★<フクシマの声を聴く>[18]母たちからの声?——私の「かわいそう」より事実知って 記・中尾祐子
★仙台で「全国教会教育フェスティバル」——喜ぶ者と共に祈りでつなぐ
★国際:聖書全巻訳出は484言語——翻訳推進に電子技術活用
★<オピニオン>「戦争と宗教」について考える(下) 記・安藤能成
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4 面 全面広告=
★近放伝創立40周年記念大会


 = 5 面 特集 支援はこれから/東日本大震災から2年半=
★合唱で心のケアを——夏休み 明治学院高生が被災地交流
★叫びに応える者になりたい(クラッシュ・ジャパン仙台 佐々木歩さん)
★弱い立場に寄り添い仕える(東北ヘルプ顧問、アジア学院評議員 長嶋清さん)

 = 6 面 関西だより =
★放送伝道という「絆」で前進——近放伝座談会で協力の力再確認
★マートン&スタンリッジ熱血指導——ベースボールクリニック
★上方演芸殿堂入りで「伝道」——五郎兵衛と八っちゃんの娘たち記者会見
★大阪・京都・愛知・三重で創造セミナー開催
★大阪クリスチャンセンターでミニ聖書展開催

 = 7 面 伝道・牧会を考える=
★教会ルポ<ここも神の御国なれば>?[74]コミテッド・ジャパン浜松?
★<憲法が変わるってホント?>[21]—— 記・内藤新吾[4]

 = 8 面 ひと・証し=
◎五十嵐義隆さん(いわき市長選に出馬した伝道者)——市民の声なき声の代弁者に

◎2013年教会教勢データ:教会数微減 さらに信徒減−−人口減少社会、教会維持がカギ=1309220


 クリスチャン新聞が毎年実施している全国の教会教勢調査結果を掲載した『クリスチャン情報ブック2014』(A5判、5千円税込)が9月15日に発売された。今回の調査結果によると、全国のプロテスタント教会・伝道所(以下、教会)数は7千940教会、1教会あたりの平均教会員数は63・4人、平均礼拝者数は40・6人であった。また、推定信徒数は50万3千626人で、総人口のおよそ0・4%にあたる。前回の調査では33教会減だったが、今回は8教会減にとどまり、1教会あたりの平均礼拝者数は0・2ポイント微増している。
 
  全国の人口は2010年をピークに、減少の加速傾向が進んでいる。12年3月末現在の総人口は1億2千665万9千683人で、前年比26万3千727人減少しほぼ10年前の水準にまで戻りつつある。少子高齢状況の中で人口増加率は全国でマイナス0・21%(12年3月末)、地域別で見ても東日本大震災で被災した東北地方はマイナス1・18%と大きく後退している。人口の動態は、宣教方策や教会形成の実際にも重要な要因を持っており、今後の動向が注目される。
 今回の『クリスチャン情報ブック2014』では、5年前、10年前と今回の調査結果(人口・教会数・推計教会員数・推計礼拝者数)の比較表が巻頭の特集と各都道府県別「キリスト教案内」に掲載されている(左掲)。これらの比較を踏まえて、今回の調査結果を概観すると、教会数は10年前よりも134教会増だが、教会員数と礼拝者数はともに減少している。内訳をみると03年と08年の5年では181教会増加しているが、08年と今回調査の5年では47教会減少している。
 この傾向は、推計教会員数と推計礼拝者数でも同様の結果を示している。推計教会員数では、03年と08年の5年で1千565人増だが08年と今回調査の5年では9千828人減で、10年前に比べ8千262人減少。推計礼拝者数をみると、03年から08年の5年は843人増加に対して08年と今回調査では3千813人減で、10年前より2千971人減少という結果だった。
 今回の調査で教会数は、前回よりも8教会減であったが、その内訳は新規登録教会数53教会に対して、閉鎖・合併・活動休止などが61教会あった。教会数の増減を地域別に見ると、増加しているのは東北と中国・四国で、減少している地域は大きい順に、九州・沖縄の5減、ついで関東の4減、以下、中部、近畿と続く。人口減少の1位と2位の地域である東北、中国・四国で教会数が増加し、人口が増加している関東で教会数が減少していることが目を引く。県別でみても、人口が増加しているのに教会減、または人口が減少しているのに教会増という逆転的な結果を示しているところが多い。
 都市部では教会数の増減がともに大きい。教会の増減の県別集計では、教会数増は多い順に大阪府7、東京都6、兵庫県5、神奈川県3と続き、教会数減が大阪府9、東京都7、神奈川県6、北海道・沖縄県5となっている。これら教会増減の県別集計で上位にある都道府県は、全体の教会数の増減では減少となっているところがほとんどである。これは、新規登録教会数がないためではなく、むしろ多いのだが、新規登録よりも閉鎖・合併・活動休止の方が多いという事由がある。教会数が増加となっている東北や中国・四国は、教会増加数が上位にあるわけではなく、教会数減の数値が少ないため結果として教会数増となっている。教会が維持継続されていくことが、特に人口減少社会においては、宣教推進の一つの鍵であるということができるかもしれない。

◎高校生は居場所がほしい−−日本青年伝道会議セミナー=1309220201


 昨年9月に開かれた初の日本青年伝道会議(NSD)を受け、フォローアップとしてのNSDセミナー(日本福音同盟=JEA=青年委員会[西村敬憲委員長]主催)が、9月2日、東京・千代田区のお茶の水クリスチャン・センターで開催された。「高校生とのコミュニケーションの取り方」と題して川口竜太郎氏(hi-b.a.[高校生聖書伝道協会]代表スタッフ)が語ったのち、小グループでのディスカッションと発表があった。
 「こうすれば上手くいくという方法があるわけではありません。動員、後継者のことが気になりますが、大切なことは一人ひとりが救われ、成長していくことです」と川口氏は語る。
 「高校生と接するときに大事にしていることは、伝えることではなく、話しを聞いて、相手の状況を把握すること。聞いてもらえると相手は精神的居場所があると感じます。聞き手に年齢は関係ありません」
 「高校生たちの状況は悪化しているように感じます」と現状を伝える。孤独感が蔓延して心休まる居場所がないと言う。目立つ面白い子でも、心からの親友がいない。虐待が増えている。自分の腕を傷つけて血を見る自傷行為で自分の存在を確認する子がいる。
 一方、高校生のいい面もたくさんある。教団教派を超えて一致できる。表現力、行動力、クリエイティブさがある。好きなことを任せると大人以上の能力を発揮する。
 「信仰面では熱しやすく冷めやすい傾向にあり、嫌いなことは打ち込めないことがあります。悩みをうまく説明できないことがあり、異性に依存しやすく、しっかりとケアしていく必要があります」
 ディスカッションでは㈰理想の相談相手、㈪何ができていないか、㈫すぐ実践できること、などが話された。㈰では「声かけしてくれる、グチを聞ける、芯がある、上から目線ではない」、㈪では「時間かけられない、いろんな子に対応できない、祈りこんでいない」、㈫では「時間をつくる、声かけする、小さなプレゼントする、ほめる、聖書知識を高める、自分の霊性を養う」などの発言があった。川口氏は「『ほめると傲慢になってしまう』と思うかもしれないが、心が開いてパフォーマンスが上がります。また一方的に話すだけでなく、ディスカッションをし、発表をすると集会の定着率が上がります」と励ました。
 NSDセミナーは来年2月にも開催を予定。以降も継続し、2016年の日本伝道会議につなげていく。西村委員長は、
「JEAの中には、青年伝道へのノウハウと人材が豊富にある。ひとつの教会では若者が少なくても、このネットワークに青年や子どもを送り出すことで励ましになります」と話す。フェイスブックで情報を発信している。https://www.facebook.com/nsdjea

◎五十嵐義隆さん(いわき市長選に出馬した伝道者)−−市民の声なき声の代弁者に=1309220801


 「声を出したくても出せない人がいっぱいいる。だったら、自分が代わりにその声なき声を吸い上げ、市政に反映させ、市民の皆様の代弁者になろうと思ったのです」。そう語るのは、このほどいわき市長選挙に出馬した五十嵐義隆さん(35)=五十嵐義隆ミニストリー代表(グローバルミッションチャペル所属)=だ。五十嵐さんは、公示日の9月1日に出馬を表明。震災復興支援活動を一緒にしてきた教会の牧師、信徒、いわき市民らの支援を受けながら、9月8日の選挙に向け街頭演説やインターネットで「たった一人の誰かのために。いわき市から日本と世界の変革を」と訴えた。結果は落選だったが、「手応えを感じた。被災者目線の復興案を公に訴えることができた」と語る。

復興支援活動する中で考え
生まれてきたマニフェスト
 「今、原発から大量の汚染水が漏れ、いわきの漁業が大きなダメージを受けています。私自身、若輩者でたいした力はありませんが、皆様と一緒に立ち上がることで、いわきが新しく変わると信じています」。街頭演説は、江名地区の漁港から始めた。復興支援の原点がここにあるからだと五十嵐さんは言う。「震災後、江名町で救援活動をし、ここの人たちと苦労を共にしてきた。だからここを第一声の場所に決めました」
 マニフェストは、次の通りだ。㈰市政=市長給を50%削減。第三者機関による監査で正しく有効な税金の使い方をする。㈪復興=被災者の声が十分に反映される復興案への見直し。㈫未来の宝たち(子ども)への有効活用=150億円以上の予算が組まれる競輪事業を廃止し、税金を復興と子どもたちへの未来に投資する。㈬除染=子どものいる家庭や放射線に不安を持つ家庭を優先しスピードアップする。そのほか、原発に代わるエネルギー産業の導入と実施実現化、漁業や農業の復興などが掲げられている。
 これらのマニフェストはすべて、復興支援活動をしながら被災者と関わり、いわき市民の声なき声に耳を傾け、国や市の復興案の中に矛盾点や問題点を見つけていく中で、自分で考え、生まれてきたものだという。その背後には「サーバントリーダーシップで仕える」「市長も市民も同じ目線」「市民が主役の市政」「箱もの、コンクリートでなく人が大切にされる市政」といった、聖書の価値観に沿った理念も反映されている。また、原発廃炉や競輪事業の廃止を訴えるが、ただ反対するだけでなく原発や競輪場で働く人たちの雇用を守るための、代わりとなる産業についても具体的な方策を提示している。

同郷の田中角栄の箱物行政
にノーと言う覚悟を決めた
 「いつか政治にチャレンジしたい」という思いはあった。実際に「うちの党から出ないか」と勧められたこともあった。だが、まだ政治家として立つだけの実績や説得するものがないと感じていた。今回も、「同じ考えをもったある学校の校長先生が立候補しようとしていたので、その方の応援に回ろうと考えていました」。だが、その校長が出馬できなくなり、「先生が出られなければ私が出ようと決めていた」五十嵐さんが、代わりに出馬した。
 新潟県三条市出身。新潟県と言えば、「日本列島改造論」を唱え、建物や道路、新幹線をどんどん建設していく箱物行政、コンクリート行政を推進した政治家、田中角栄を生んだ県だ。だからこそ、「箱物行政を推進する政治にノーと言い、人が優先される町を造ろうと覚悟を決めた」と語る。「田中角栄も、『冬、兼業農家の家族が一緒に生活できるように』という動機から政治家を志した。最初の動機はすばらしかったが、終わりは金儲けの政治、人でなく建物に金を使う政治になりさがった。その箱物行政は今も日本の政治を支配しているのです」
 競輪事業廃止に関しては、「初代市長の妻がクリスチャンで、すでに『競輪事業やめたら』と語っていた。また、教会に祖父が競輪依存症の子が来ていた。その子の祖父は生活保護を受けていたのに競輪でお金を使ってしまうので、その子は学校に行けなかった。競輪はダメな大人を生むだけ、その予算を有効活用しなければと考えたのです」
 選挙中は選挙用の公式ウェブサイトに街頭演説や演説会の動画を載せたり、ツイッターやフェイスブックを使って選挙活動の模様を随時アップ。得票数は3千377票だったが、「何人もが『お前に入れるよ』と言ってくれた。クリスチャンから励ましのメールをいっぱいいただいた」と喜ぶ。五十嵐さんは伝道者、被災者の人たちへの支援活動を続けながら、機会があればまた選挙に出馬したいと願っている。