ヘッドライン
[CSD]2013年12月22・29日号《ヘッドライン》
[CSD]2013年12月22・29日号《ヘッドライン》= 1面 第一部=
◎クリスマス・メッセージ:闇の深みに光を見よ 記・吉川直美
★仮設住宅で手作りキルトのクリスマスin石巻(関連記事18面)
= 2 面 ニュース=
◎特定秘密保護法 参院も強行採決——同日、廃案めざす牧師の会立ち上げ
★日本同盟基督教団:時代逆行に抗し 緊急祈祷会
★帝国主義化する国際環境にキリスト教の可能性を探る——聖学院大学でシンポジウム
★逝去:森文彦氏(日本イエス・垂水教会主管牧師、77歳)
★<落ち穂>「軍師 官兵衛」と戦場のクリスマス
= 3 面 =
★<フクシマの声を聴く>[30]母たちからの声——わたしも逃げたい! 記・中尾祐子
★特定秘密保護法衆院通過の日 国会クリスマスで石破自民党幹事長も挨拶
★<オピニオン>石が叫ぶ——特定秘密保護法強行採決に 記・榎本 恵
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
= 4・5 面 2013 回顧と展望=
★震災復興へ向け「包括的福音」注目——避難長期化、支援と宣教深まる
★フクシマ原発被害 うめきへ応答
★首都圏に防災ネット
★憲法の危機/特定秘密保護法強行採決——衆参 自民圧勝で改憲へ急展開
★ヘイトスピーチ/教育への圧迫増す——声高な排外、歴史認識の歪み
★異常気象で災害多発
★第6回日本伝道会議へ向け各地で宣教フォーラム——2016年神戸開催へ
★世界教会協議会(WCC) 韓国釜山で第10回総会
★イスラム圏でのキリスト教迫害なおも深刻
★「エンパワード21」全日本大会——プロテスタント教会の一致への提言
★NHK大河ドラマ「八重の桜」で新島八重ブーム
= 6・7 面 写真で見る2013年=
★異常気象で相次ぐ災害——竜巻、土砂、台風
★震災復興を願って
★ヘイトスピーチデモ頻繁 対抗のカウンターデモも
★参院選挙で憲法危機——初のネット選挙運動を実施
★エンパワード21 日本初開催
★セレブレーションオブラブ——イエスの出来事を映像と音楽で演出
★ハイデルベルク信仰問答450年
★ローザンヌ運動 新総裁にマイケル・オー氏
★チャック・スミス牧師逝く——70年代ジーザス・ムーブメントの源流
★大河ドラマ「八重の桜」で明治期キリスト教界の様子も演出
= 8 面 全面広告=
☆クリスチャン企業・医療機関・福祉施設ほか
= 9 面 関西だより=
★体動かし いやなものポイッ——「みんなを元気にしたい」ボディゴスペルで伝道
★ゆっくりお茶しませんか——高石市にスウェーデン風くつろぎカフェ「フィーカ・ヤンソン」開店
★映画「ふうけもん」 神戸で試写会—
★ニューイヤー・コンサート2014(新年1月11日、OCCホールで)
= 10 面 教会ルポ「ここも神の御国なれば」番外編=
★連載を振り返って——目の前の必要に応える姿勢
★連載を振り返って——牧師の思い 信徒も共有
★連載を振り返って——東日本大震災がつきつけたもの
= 11 面 伝道・牧会を考える=
★<見上げる空>[7]GTM(‘jjj’) 地元から日本を元気に——世界の回復へ大いなる可能性 記・米内宏明
★<迫られる宣教と教会の再構築>[9]これからの日本宣教——この世に定住しない寄留者の自覚をもつ 記・石田 学
= 12 面 インサイド/神学・歴史=
★マアルーラ 「アラム語」を話すシリアの村——内戦で危機に瀕する聖書ゆかり?の言語
= 13 面 第二部 隔ての壁を超えて/被災者に寄り添う韓国人牧師=
★石巻の人々に慕われ 絶え間ない訪問者——お茶っこはうすオアシス 趙泳相さん
= 14 面 隔ての壁を超えて/ネルソン・マンデラが遺したもの=
◎報復ではなく赦しと和解を——ネルソン・マンデラ元南アフリカ大統領死去
★私が出会ったマンデラと南アフリカの人々——和解の実り 確かな証言
= 15 面 隔ての壁を超えて/東アジアキリスト青年大会=
★中国・日本・韓国 違いを超え、友になる——来年2月13~15日韓国・済州島で開催
★3国の一致は特別な恵み 記・朴樹民
★餃子とキムチと寿司 記・永井敏夫
★第4回東アジアキリスト青年大会 参加要項
= 16・17 面 エンパワード21 総括座談会=
★新たな教会協力に光
座談会出席者:村上好伸氏(大会会長)、高田義三氏(ジャパンミッションセンター代表理事)、菅原亘氏(大会実行委員長)、大久保みどり氏(大会副実行委員長)、富浦好之氏(エンパワード21財務局)、古林寿真子氏(ジャパンミッションセンター理事)、金子道仁氏(エンパワード21プログラム局)
= 18・19 面 クリスマスの喜び=
★繕うことで心が安らぐ——石巻・仮設住宅 キルトでクリスマス会
★銀座にキャロル響かせたい——教文館ハウス・オブ・クリスマス
★キャンパス・ツリー点灯——京都・同志社、埼玉・聖学院
★最高の幸せ与えよう——CEFクリスマス講習会
= 20 面 DVからの解放=
★破綻した夫婦関係が回復——ドメスティックヴァイオレンス(DV)加害者は更生できる
★ゴスペルで子ども虐待防止を支援——全国20か所でワークショップ開催
= 21 面 地元に生きるキリスト者の責任=
★GMT(地元)まちとともに教会をつくる——戸田市での教会とまちの関係問い直す
= 22・23 面 読書特集=
★きらめくことばに出合う
★親子でいっしょに読もう
★思いを音楽にたくして
★物語をたっぷりと味わう
★BOOK:『愛する人の永遠に想いを馳せて』安藤能成著(いのちのことば社、判、945円税込)評・八尋 勝
★BOOK:『揺るぎない結婚 すれ違いから触れ合いへ』キース・ポッター著(あめんどう、四六判、1,575円税込)評・大嶋重徳
★BOOK:『ゆるしの道——ルワンダ虐殺から射してくる、ひとすじの光』イマキュレー・イリバギザ、スティーヴ・アーウン共著(女子パウロ会、四六判、1,470円税込)
★BOOK:『甦りと記憶 アウシュヴィッツからイスラエルへ』イジク・メンデル・ボルンシュタイン著(ミルトス、四六判、1,890円税込)
★BOOK:『私は戦争のない世界を望む』アルノ・グリューン著(ヨベル、四六判変形、945円税込)
★BOOK:『新装 しあわせな結婚レッスン12』ジョナサン・ウィルソン著(いのちのことば社、B6判、1,365円税込)
= 24 面 ひと・証し=
★松岡葉子さん(車いすのゴスペルシンガー)——「死んでもいいと思っていたのに」
◎クリスマス・メッセージ:闇の深みに光を見よ 記・吉川直美=1312220101
クリスマスは教会の内と外とがつながる貴重なあであると同時に、主のごあの恵みを深く味わう大切な時期です。先の見えない3あ・11からの復興、秘密保護法案の可決、世界各地を襲う自然災害と、ますます世の闇が深まり、混迷を極め、痛みと不安に襲われて希望が見えなくなっているただ中にあって、私たちはせめて心を静めてイエス様をお迎えしよう、心を込めてお祝いしようと願うものです。イエス様がその誕生から人々に拒まれたことに胸を痛め、この貧しい心にどうぞいらしてください、そこにこそ私たちの希望があると告白します。そう願いながらも、昨年もこの世の忙しさに流されてしまった、今年こそは有意義に過ごせるようにと祈ったりもします。
ところが、必ずしも思い通りにいかないことを思い知るのもこの時期ではないでしょうか。主を待ち望もうとすればするほど、光を見ようとすればするほど、目を覚まして待つことのできない自分、現実の問題に心ふさがれる自分、主の栄光ではなく、自分の栄光に心奪われる自分を見いだすのです。
世の闇もさることながら、期待とは裏腹に、実は幼子を歓迎できない自分の内なる影──王座を下りたくないからと、幼子の存在に脅威を抱くヘロデ王──が私の中に巣くっています。救いにあずかって光の子とされているはずなのに、相変わらず闇の力に押されっぱなしの自分に気付かされることもしばしばです。
私はクリスマス礼拝の日に受洗しましたが、その日の自分が最低であったことをまざまざと思い出します。洗礼式の日だというのに、礼拝にぎりぎりで滑り込んだ朝からはじまって、著名な人を知っていることを誇り、物の欲に目を奪われ、自分の居心地のよさを優先して家族を二の次にしてしまった夜に至るまで──それまでは、過去の大きな失敗や過ちにばかり目を向けていましたが、日常生活において自分がいかに闇に支配されているかを思い知り愕然としました。けれども、そのようなみじめな私のうちにイエス様が生まれてくださったことこそがクリスマスの恵みだと知り、最低の一日が人生で最高の日に変わりました。
この痛ましくも喜ばしい恵みは洗礼式で終わったわけでなく、むしろ年を重ねるごとに、クリスマスは自分自身と隣人、社会の闇を見せられる時、暗黒を見据える時ではないかと思うようになりました。
洗礼者ヨハネは、イエス様の道備えとして誕生し、人々に悔い改めを迫りました。私たちが実はみじめに裸で暗黒の死の陰に座していることを見せるのがヨハネの役割であり、それが神の「あわれみ」(ヨハネの名前の意味)でした。あなたがたは豊かである、愛がある、信仰があると言っているけれど、みじめで、裸で、人を押しのけなければ生きていけない者にすぎないと。
この世界の闇の深さを見せられれば見せられるほど、自分の内なる闇に怖気をふるうからこそ、あの、小さな点のような幼子の誕生を、東方の博士のように待ち望み、羊飼いのように駆けつけて跪くのです。闇があってこその光、ヨハネに真の姿を示されてこそ待ち望む「救い」(イエス様の名前の意味)なのだと思わされています。
そしてこの幼子は、まったく希望のないところに来られたのです。400年間神のことばが絶え、祈りも応えられず、私たちがあきらめ忘れ、不信と絶望でいっぱいになっていても、主は誓いを忘れることなく覚えておられたのです。
私たちの社会を覆う闇も私の内なる闇も、決して生やさしいものではなく、歯が立たないと思わされることばかりですが、主イエスは闇にすでに打ち勝たれています。底なしの闇であろうと、一千億年の神の沈黙があろうと、解決不能な破壊であろうと、主はそこに来られるのです。
愛する者を喪って立ち上がれない人々のもとに、切り裂かれるような痛みに呻く人々の上に、いのちを終わりにしたいほど絶望の淵にある人の内に、そしてクリスマスの意味を知らずに騒ぐ人たちのところにも、愛の欠片もなく権力を振りかざす人の戸口にも、傷つきやすい柔らかな嬰児として来られるのです。
それはあまりに思いがけなく、お迎えする準備のないところに価値のない者であるかのように来られるので、待ち望んだ約束の成就、祈りの応えであるとも知らず、うろたえ恐れて閉め出そうとすることが多いのです。そんな愚かな私たちにも、かけがえのない約束の子を託してくださり、その手で守り愛おしむようにと招いてくださっているのです。
平和の道は、この幼子に膝を折るところからはじまるのだと。だから、闇の深みに恐れずに降りてゆけ。そこに光を見よ。──闇を光に変える幼子イエスが安らいでおられる。
◎特定秘密保護法 参院も強行採決−−同日、廃案めざす牧師の会立ち上げ=1312220201
国民の知る権利や表現の自由が侵害され、戦前の治安維持法の再来になることなどが懸念された「特定秘密保護法案」が、衆議院に続き12月6日深夜、参議院でも強行採決され可決成立した。この動きに危機感を募らせたプロテスタント諸教派の牧師32人が呼びかけ(呼びかけ人代表/朝岡勝牧師=同盟基督・徳丸町キリスト教会、安海和宣牧師=東京めぐみ教会)、同日「特定秘密保護法に反対する牧師の会」を立ち上げた。インターネットでの賛同呼びかけに対し12月9日午前9時までに合わせて311人の牧師が署名、賛同者の主な所属教団は約40に及ぶ。同会は、「多くの国民の不安の声に謙虚に耳を傾けることのないままの一方的な法案審議と採決に抗議」し、「憲法の保障する基本的人権を踏みにじるばかりか、信教の自由、表現の自由、思想信条・良心の自由、結社の自由を著しく侵害する恐れを含んでおり、明らかな憲法違反」と指摘。同法の無効を主張し、ただちに廃止するよう訴えている。また、「牧師として委ねられた大切なひとりひとりを守り、導き、養う責任がある。神から与えられた人々の自由が脅かされ、良心が傷つけられ、尊厳が損なわれることには、『たとい法令にそむいても』(エステル記4・16)、非暴力を貫きつつ抵抗し、断固として否の声を挙げる」としている。
賛同署名は今後も募っていく。http://anti-secret-law-pastors.blogspot.jp/ 事務局=徳丸町キリスト教会気付。
◎“報復ではなく赦しと和解を”−−ネルソン・マンデラ元南アフリカ大統領死去=1312221401
南アフリカでアパルトヘイト(人種隔離)政策と闘い、27年もの獄中生活を送ったが、出獄後は報復ではなく赦しと和解の道を選択、黒人と白人の融和に尽力したノーベル平和賞受賞者ネルソン・マンデラ元大統領が12 月5日、ヨハネスブルグの自宅で亡くなった。95歳だった。今年8月、日本サーバント・リーダーシップ協会(真田茂人理事長)のプログラム「近代の優れたリーダーに学ぶサーバント・リーダーシップ研究会」(ファシリテーター・広崎仁一=同協会理事)で取り上げられたネルソン・マンデラ氏のリーダーシップや生き様、参加者の感想について紹介する。「マンデラ氏は27年間も刑務所に入れられていたのに、黒人と白人を赦しと和解へと導けた。これは世界でも希有なケース。なぜそれができたのかといった関心から、マンデラ氏が示した『和解』『対話』『赦し』の姿勢に焦点を当てて学びました」。広崎さんは、そう語る。
参加者は14人。当日は、1995年に自国開催の南アメリカのラグビーチームがワールドカップで優勝した実話を映画化した「インビクタス・負けざる者たち」の予行編やマンデラに関する動画を通して、かつての敵に対して示した「赦し」の実例が紹介された。マンデラ氏が大統領になった時、大統領府で働いていた白人のボディーガードは絶対、報復人事があると思い、荷物をまとめていた。ところがマンデラ氏はこう言う。『君たちは残って協力してくれ。君たちは私の功績(赦しと和解)を象徴する存在なんだ』と」
ラグビー国家代表チームのユニフォームのエピソードも紹介。ユニフォームの色はアパルトヘイトの象徴である緑と金だった。だが、マンデラ氏は言う。「変えてはいけない。白人は南アフリカにとって宝だ。これを奪ったら彼らの支持が得られない。もっと大らかさを示そう」。参加者は、マンデラ氏がラグビーに民族融和の希望の光を見いだしていたことを知った。
マンデラ氏の重要な政策である真実和解委員会(TRC)にも触れた。TRCの目的は、アパルトヘイト政策のもと、激しい虐待と人権侵害が行われた過去の真実を明らかにし、将来への和解へと続く処方箋を描くというもの。「復讐ではなく理解すること、報復ではなく償うこと、処罰ではなく赦し(ウブントゥ)が必要である」という精神で過去と向き合うことを決定した。
最大の特徴は「恩赦」だ。マンデラ氏は「差別した罪を正直に告白する者には恩赦を与える」と発表。そんな中、アドリアン・フロック氏はアパルトヘイト政権の大臣の中でただ一人、罪を告白した。
そのフロック氏に対し、マンデラ氏は子どもの命を奪われた母親10人の前にひざまずき、足を洗うようにと促した。彼は手に石けんとブラシとタオルを持ってひざまずいた。すると松葉杖の女性が履いていた靴と靴下を脱ぎ、足を差し出した。彼は泣き、彼女も泣き、皆泣いた。「その時、和解の手応えを感じた」とフロック氏は告白する。
広崎氏は「今回の学びのテーマの中には癒しも含まれている」と語る。「サーバントリーダーには、マンデラ氏のようた大きな心で包むリーダーシップが必要。叱ったり裁いたりすることがリーダーの仕事ではなく、失敗をした人を赦すことも大切。赦された時、受けた傷は癒されるのです」
参加者からは、「スケールの大きなマンデラの人間性に圧倒された」「敵に仕返しするのでなく、赦すこと、対話することを教わった」「怒りを強化していくのでなく、感謝といったポジティブなアクションを心がけていきたい」などの感想が聞かれた。
◇ ◆ ◇
マンデラ氏は1918年、ウムタタ地方のクヌ村で、テンブ族首長の息子として誕生。44年、黒人解放組織「アフリカ民族会議(ANC)に入党。60年、ANC非合法化を受け、非暴力闘争から武装闘争へと転換。62年に逮捕。リヴォニア裁判で終身刑を宣告された後、ケープタウン沖のロベン島に収監された。以後、釈放されるまでの27年間、刑務所で服役した。90年、デクラーク大統領の黒人融和政策で釈放され、91年、アパルトヘイト終結が宣言されるとANC議長に就任。93年、デクラーク大統領と共にノーベル平和賞を受賞。94年、初の全人種参加の選挙が実施され、ANCは勝利。大統領に就任し、99年まで務めた。