[CSD]2014年1月5・12日号《ヘッドライン》

[CSD]2014年1月5・12日号《ヘッドライン》

 = 1面 第一部=
★新年メッセージ:どうかもう一年待ってください 記・大嶋重徳
★花の宴と音楽のコラボ——CD付写真集を出版した佐々木潤さん・静さん

 = 2 面 ニュース=
◎歴史超えた民が祈る責任——KGKキボコク2ネットで千人超連帯
★日本バプテスト連盟:「憲法改悪許さない」決意
★バックストン聖会:「心の底岩を砕かれよ」——聖化のパリサイ化を警戒
★<落ち穂>戦国時代に誕生したキリシタン大名たち

 = 3 面 =
★<フクシマの声を聴く>[31 最終回]母たちからの声——希望はどこにあるのか 記・中尾祐子
★東京基督教大学:次期学長に小林高徳神学部校——
★<オピニオン>汚染水漏れの海はつながっている 記・雀部真理
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5 面 キリシタン、その信仰と足あと/黒田官兵衛 =
★キリシタンの信仰と闘い——生活で信仰を実践した官兵衛 記・山口陽一
★震災復興と東北キリスタン王国の夢——慶長遣欧使節関係資料がユネスコ世界記憶遺産に登録
★長崎教会群を世界遺産に——世界に類のない布教史
★BOOK:『キリシタン黒田官兵衛』雑賀信行著(雑賀編集工房、1,470円税込)

 = 6・7 面 シリーズ・対談=
★藤谷吉春(神戸板金工業株式会社会長) vs. 中野雄一郎(伝道者)
 与えられた仕事は天職だと思え——社員は決して解雇はしない

 = 8・9 面 集会ルポ/主のみ顔を慕い求める祈り会=
★ひたすらに主を求める——6時間ぶっ通しの祈り会

 = 10 面 全面広告=
☆各種団体

 = 11 面 伝道・牧会を考える=
★<見上げる空>[8]隔ての壁を壊して——ミニストリーとしての教会 記・米内宏明
★<迫られる宣教と教会の再構築>[10]これからの日本宣教——主の弟子として生きる「対抗的共同体」 記・石田 学

 = 12 面 レビュー/お正月映画特集=
★映画:「自由と壁とヒップホップ」 http://jpnews.org/pc/modules/smartsection/item.php?itemid=321
★映画:「鉄くず拾いの物語」 http://jpnews.org/pc/modules/smartsection/item.php?itemid=329
★映画:「ゼロ・グラビティ」 http://jpnews.org/pc/modules/smartsection/item.php?itemid=320
★映画:「ソウルガールズ」 http://jpnews.org/pc/modules/smartsection/item.php?itemid=324
★映画:「ノア 約束の舟」——6月公開へ http://jpnews.org/pc/modules/smartsection/item.php?itemid=323

 = 13 面 第二部 被災地は今/石巻=
★新館、浦屋敷地区を支援「希望の家」開設——ディーン&リンダ・ベンソン宣教師夫妻
★必要なものを必要な人に必要なだけ——石巻祈りの家

 = 14 面 被災地は今/現地ルポ・石巻=
★教会のない地に福音を——石巻クリスチャンセンター
★みな特長生かしつつ助け合い——渡波地区 各キリスト教支援団体・教会が祈りを共に

 = 15 面 被災地は今/働き人=
★主の宣教地へ働き人を送る——3・11いわて教会ネットワーク 記・近藤愛哉
★次世代 出会い、愛して壁越える——JEA宣教フォーラム福島分科会

 = 16・17 面 環境特集=
★潜在能力ある風力発電——エネルギー狩猟型から栽培型文明へ
◎太平洋諸国の「気候難民」——海面上昇で移住迫られ信仰にも影響 「正義はどこに?」「教会の役割は?」
 

 = 18・19 面 特集/小さないのちを守る会=
★何とかしていのちを救いたい——「小さないのちを守る会 宮崎」設立記念講演会から
★会場で紹介された中学生の養子A子さんの証し
★プログラムで紹介された 出産を決断したB子さんの手紙
★いのちを守り育てる家庭を 記・花岡甲一
★傷ついた若者を助けたい 記・花岡聖子
★アンケートの寄せられた参加者の声より

 = 20 面 全面広告=
☆各種団体

 = 21—23 面 神学校特集/多様な働き人を育てる=
★バリア越えいっしょに学ぶ喜び 記・保田広樹
★博士課程で多様な神学課題に応える 記・山口陽一
★被災地で神学する教会を再生——神学教育のパラダイム転換 記・森谷正志
★聖書的な自己像を確立——柔軟さと忍耐力を育む 記・鍜治川利文
★統合・新設で信徒を強める 記・藤原導夫
★信徒も一緒に学んで変わる 記・錦織 寛

 = 24 面 レビュー=
★CD:「LYRE2013めぐみのしずく~今生きること~」LYRE(ライフ・クリエイション、全15曲、2,100円税込)
★CD:「NOBODY KNOWS」小坂 忠(ミクタムレコード、全10曲、3,150円税込)
★CD:「ダビデの幕屋—主の足もとに—」長沢崇史+S.H.O.P(ゼネラル・ギバーズ、全10曲、2,100円税込)
◎じっくり音楽を味わえるCD付写真集『STYLE Jun』『Shizuka Living』
★BOOK:『岩村 昇 ネパールの人々と共に歩んだ医師』田村光三著(日本キリスト教団出版局、1,260円税込)
★BOOK:『3377票の奇跡~キリスト道のすすめ~』五十嵐義隆著(sHin corporation、1,000円税込)
★BOOK:『聖書人物伝 これだけは知っておきたい127人』千代崎秀雄ほか共著(いのちのことば社、1,890円税込)


◎歴史超えた民が祈る責任−−KGK“キボコク2”ネットで千人超連帯=1401050201

 特定秘密保護法成立を受けて、キリスト者学生会[KGK]・学生宣教局主催の「希望を告白する夜2」(キボコク2)が、12月12日、東京・千代田区のお茶の水クリスチャン・センターで開かれた。キボコクは2013年7月の参院選直後にも開催された。
 高校生、大学生、神学生からなるバンドスタイルの賛美に続き、大学生の大畑茜さん、吉村直人さん、KGK関東地区主事の塚本良樹さんが信仰と政治、特定秘密保護法の問題について説明した。
 大畑さんは、かつて政治にほとんど関心がなかったが、KGKで教会と国家について学んだ。知ることが信仰の成長につながると思った。20歳になり、選挙を迎え、各政党の政策を調べた。「自分でも理解できる」と興味がわき、政治との距離が近くなった。 「特定秘密保護法については、賛成意見、反対意見、どちらも納得してしまう。知識がなく意見ができなくても、この地を支配し、愛している神様がいる。可決になり、不安があるが、神様がよしとされた計画だ。為政者のためにも祈りたい」と述べた。
 吉村さんは同法について整理。「確かにアメリカとの関係や安全保障について真剣に考えなくてはならない。だがもし必要という立場でも多くの問題がある」と言い、明らかな問題点として、条文のあいまいさと、時の指導者によって秘密の指定が変わる危険を話した。
 塚本主事は、同法がもたらすかもしれない未来について語った。国家安全保障会議(日本版NSC)と、集団的自衛権との流れでとらえ、戦争を危惧。知る権利の問題にも触れた。国歌・国旗法のように最初の答弁が時代とともに忘れられる例を挙げた。
 吉村さんはキリスト者の応答として、「政治を含めたあらゆる領域でイエスが主であると確認し、告白したい」と述べた。
 山口陽一東京基督教大学教授はダニエル6・10から「窓はエルサレムに向かって開いていた」と題して説教した。バビロンにおいて悪法が成立した中でのダニエルの祈りに触れ、「世界と時代を保つ忍耐の神がおり、私たちの祈りを覚えている。『祈ることしかできません』ではない。命がけで行動するのにも勝るのは祈り。そこから私たちの歩みが始まる」と勧めた。
 さらに9章でダニエルが父祖たちの罪を悔い改めた祈りに注目した。「歴史を超えて、一つである神の民が責任を共有した。特定秘密保護法に疑問を持つのは過去に苦い過ちを経験したからです」と話し、戦前、教会が治安維持法などで弾圧する政府の恐ろしさを見抜けなかったこと、神社参拝や戦争協力をしたことに言及。 「今はまだ始まり。このときをよく見抜き、日本のため、世界のために警戒を強めて祈る必要がある。戦後新しく伝道でき、教会が生まれたのは神のあわれみ。私たちの希望は神にかかっている。祈り、罪を悔い改めて、新しく生きる証しをしたい」と励ました。
 最後に、全体で日本と為政者のため、教会がイエスを告白して希望をもつため、特定秘密保護法廃棄のために祈った。230人以上の参加者に加え、各地で中継の集会も開かれ、インターネット動画サイト「Ustream」での視聴者は千件以上あった。

◎太平洋諸国の「気候難民」−−海面上昇で移住迫られ信仰にも影響 「正義はどこに?」「教会の役割は?」

 地球温暖化による海面上昇で太平洋諸国の島民が移住を迫られている現実。教会はその不正義にどう応えるのか? 2013年11月7日、「気候によって引き起こされた強制移住 気候に関する正義はどこにあるのか?」というワークショップ=写真下=が、太平洋教会協議会(PCC)とドイツのキリスト教開発協力・援助団体「ブロット・フュア・ディ・ヴェルト(世界のためにパンを)」、世界教会協議会(WCC)の共催により、韓国の釜山で開催されたWCC第10回総会の中で行われた。

 「太平洋の諸民族は、歴史的な不正義を通じて強大な利権集団や国々によって搾取され、今もなお自らの権利やアイデンティティーを否定され、気候変動とその影響によって脆弱な状態にある」―PCC総幹事のフランソワ・ピハーテ牧師は開会の言葉で、植民地支配や核実験などを受けてきた自分たちを、エルサレムからエリコへ下って行く途中に追いはぎに襲われた人(ルカ10・27~35)にたとえて、そう表現した。その大多数はクリスチャンだ。
 地球温暖化による気候変動は主に先進工業諸国が温室効果ガスの排出によって引き起こしてきたものであり、それは正義の問題だと、WCCは20年以上にわたって訴えてきた。
 「気候に関する正義(climate justice)とは、気候変動に対する責任が最も小さい人たちがその大きな影響を体験していることを念頭に、気候変動との関連における平等や人権、政治的権利、歴史的責任を問い直すものだ」と、PCC気候変動と再定住担当職員のピーター・エンバーソン氏は説明した。
 09年に太平洋の島国の教会指導者たちが発表した「モアナ宣言」には、気候変動によって移住を余儀なくされた人たちの権利の尊重や保護、そして再定住の支援を訴える文言がうたわれている。PCCやブロット・フュア・ディ・ヴェルトは、こうした観点から気候変動によって移住を余儀なくされた人たちを支援している。
 移住の経緯と現状について、PCCとフィジー・メソジスト教会のミッション・パートナーとして気候変動や土地利用の研究と助言を行っている英国メソジスト教会のジュリア・エドワーズ博士は、このワークショップで、バヌアツ共和国のテグア島に住んでいた100人の島民が05年に移住を余儀なくされたほか、07年にはパプアニューギニアのカルテレット島が同国政府に移住を訴えたと述べた。
 同博士はさらに、ソロモン諸島のオントン・ジャワ環礁や、キリバス共和国のタラワ環礁ブアリキ村、フィジー共和国のヴァヌア・レヴ島ヴニドゴロア村とオノ島ナリコソ村が現在、移住を余儀なくされつつあると語った。
  ◇  ◆  ◇
 そうした人々の典型例の一つが南太平洋のツバル国だ。1万619人の全人口(12年7月の推計)のうち、WCCによると9千715人、つまり全人口の約92パーセントがツバル・キリスト教会(会衆派)の会員や牧師であるという。海抜は最高点でも4mB細長い環礁の陸地は海岸浸食が進み、地面の幅が数mオかないところも多い。サンゴの白化現象で食料の魚が激減し、タロイモの根っこが海水で枯れ、輸入食品が増えた。
 ニュージーランドは毎年限られた人数の移住労働者をツバルから受け入れているが、「気候難民」として受け入れる条約は結んでいない。政治や宗教的迫害などを理由とした「難民の地位に関する条約」(1951年)では、難民として認められていないからだ。
 同教会総幹事のタフエ・M・ルサマ牧師=写真左下=は、私とのインタビューの中で、「状況はより悪くなりつつある」と答えた。
 私が04年に取材でツバルの首都フナフチを訪れた頃、キング・タイドと呼ばれる大潮が年に1回、2月から3月に起き、海水が地下から吹き出て地面にあふれ、沿岸が高波をかぶっていた=写真左上=。それが、「今では毎月起こっている」とルサマ総幹事はいう。
 旧約聖書のノアの方舟物語で神は二度と洪水を起こさないと契約の虹で約束したのだから、ツバルが沈むことは絶対にないと信じる人たちが同国の高齢者には多い。
 しかし、「気候変動の影響のために、国民は神の摂理や愛を疑うようになってしまった」とルサマ総幹事はいう。「今や私たちは気候変動の文脈の中でノアの物語を読み直さなければならない」
 「これ(海面上昇)は私たちの霊性を脅かしている。なぜなら、洪水の物語を見る時、海で泳いでいたのは問題を引き起こしたほうであることがわかるからだ。被害者たち、つまりこの問題を生み出すのに関わりのなかった人たちは、救いの方舟に乗っていた人たちだった」と、ルサマ総幹事はこのワークショップの前日にWCC第10回総会で行われた「正義に関する全体会議」で語った。
 「気候変動に直面して、次の疑問が常に出てくる。『なぜ私たちが? 私たちが関わりのないことの結果になぜ私たちが直面しなければならないのか? なぜ私たちが罰を受けなければならないのか? そしてこの中で正義はどこにあるのか?』と」。同総幹事はそう述べた。
 「気候変動や海面上昇によって影響を受けているこの民族が、いのちを確保し、自らの尊厳やアイデンティティーを保ち続けるにはどうすればよいのか?」と、ルサマ総幹事は問いかけた。「私は、個人的には、世界の同情がほしいわけじゃない。私たちがあなた方にしてほしいのは、立ち上がって連帯し行動することなのだ」
 (レポート・行本尚史=アジア・パシフィック・エキュメニカル・ニュース〔APEN〕英文記者)

◎じっくり音楽を味わえるCD付写真集『STYLE Jun』『Shizuka Living』=1401

 新感覚のCD付写真集『STYLE Jun』(佐々木潤著)、『Shizuka Living』(佐々木静著)が2013年12月、グロリア・アーツ株式会社アートミッション事業部から発売された。各2千310円税込。企画・編集は同事業部の大嶋英知さん。
 CD付写真集というのはこれまで、あるようでなかった形ではないだろうか? 佐々木潤さんは「写真を見ながら聴く」がコンセプトと語る。「昔は自宅で1枚のアルバムをじっくり聴いていたけれど、今は電車の中や移動中に聴く時代。でも、忙しい毎日だからこそゆったりとした時間をもってほしい。ではどうしたらいいかと考えた時に思いついたのが、写真集とCDをセットにすることでした」
 また、大嶋さんとの出会いがなかったら、この2冊は誕生しなかったと感謝する。
 『STYLE Jun』は、潤さんがフラワーアレンジメントやインテリア、風景の写真を収録。それからイメージし、即興でピアノ演奏したインストゥルメンタル20曲を収めている。収録曲には、あえてライブ感を残していると潤さんは言う。「実は最近CDを聴かなくなったんです。完璧に直され、作られた音楽に魅力を感じなくなったんですね。でもライブ演奏には、多少、ミスタッチはあっても気持ちが込められている。だから、インスピレーションを大事にし、修正を加えず即興の生演奏にこだわりました」
 『Shizuka Living』は、姉の静さんのライフスタイルを写真と共に紹介。ケーキやクッキーなどの写真とレシピ、静さんが描いたトールペイントやフラワーアレンジメントの写真を収録。CDには、主に2人が作詞・作曲したゴスペルソング5曲を静さんが透明感のある歌声で歌う。
 詩画作家の星野富弘さんは、「眼に映るものが直ちにメロディーになってしまうなんて、眼と手の指がどんなふうに繋がっているのか」(『STYLE Jun』)、「芸術家が何人も集まって、一人になったような佐々木静さん。歌うこと、それだけでも凄いことなのに、フラワーアレンジメント、トールペイント、オリジナルケーキ作りなど、みなプロの域なのだ」(『Shizuka Living』)と絶賛。コーヒーや紅茶を飲みながら、じっくり音楽を楽しめる豊かな時間、空間を与えてくれるCD付写真集だ。