[CSD]2014年2月2日号《ヘッドライン》

[CSD]2014年2月2日号《ヘッドライン》

 = 1面 =
★断食祈祷聖会2014:福音宣教阻む教会、指導者の問題——悔い改めから対処始まる
★南三陸で星野富弘詩画展——元避難所でオープニング

 = 2 面 ニュース=
★失った人、壊された故郷思う19年——阪神・淡路大震災メモリアル集会 森祐理さんと
◎「憲法9条は人類史的意味もつ」——明治学院「平和学」連続講座で浅井基文氏
★断食祈祷聖会2014:緊張関係の東アジアで神の民として生きる——菅家庄一郎氏、アジア宣教を語る
★イラン:クリスマスに光と影——クリスチャンの迫害強まる
★<人事>ルーテル学院大学学長に江藤直純氏
★<人事>日本ルーテル神学校校長に石居基夫氏
★<落ち穂>ルイス・フロイス「日本史」原稿秘話

 = 3 面 =
◎<フクシマの声を聴く>取材を終えて(後)——福島の子どもたちはいま… 記・中尾祐子
★JEA宣教フォーラムから[1]フクシマと生きる宣教——伝道の見返りにしない
★重複障がい者の夫婦愛をメルヘンで——韓国映画「渚のふたり」——イ・スンジョン監督に聞く
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5 面 特集/教会教育=
◎子どもは宣教のパートナー——4/14運動日本でも
★教案誌「成長」4月から新サイクル——イエスの生涯に焦点
★次世代スタイル尊重し仕えたい願いを励ます——ユース中心の礼拝を語る
★来ないなら出て行った福音を——日本CEF 3日間子ども会セミナー

 = 6 面 全面広告=
☆東京聖書学院 2014年度学生募集 HP http://www.jhc.or.jp/tbs/

 = 7 面 伝道・牧会を考える=
★<見上げる空>[10]贈る言葉——ましてキリスト者であれば 記・米内宏明
★<迫られる宣教と教会の再構築>[12]——世の支配と権威に霊的闘い 記・石田 学

 = 8 面 レビュー =
★映画:「ザ・イースト」(1月31日公開)大企業を告発する環境保護テロに潜入調査 http://jpnews.org/pc/modules/smartsection/item.php?itemid=328
★Book:『終わらないフクシマ』中尾祐子著(いのちのことば社、945円税込) 評・野中宏樹
★Book:『折られた花』マルゲリート・ハーマー著(新教出版社社、1,995円税込) 評・渡辺信夫
★Book:『小畑 進著作集 第8巻 神道儒教・宗教論』小畑 進著(いのちのことば社、5,880円税込)
★Book:『山本秀煌とその時代』岡部一興著(教文館、3,990円税込)
★Book:『祈りの小路』小島誠志著(日本キリスト教団出版局、1,890円税込)
★Book:『八ヶ岳12か月の食卓』松村登世著(いのちのことば社、1,155円税込)
★CD:「露のききょうの 福音落語でケセラセラ」露のききょう(OFFICEきょうふみ、60分、2,500円税込)



◎「憲法9条は人類史的意味もつ」−−明治学院「平和学」連続講座で浅井基文氏=1402020202

 明治学院大学平和研究所(PRIME)=勝俣誠所長=は、同学院創立150周年記念企画 「変動期における平和学の課題」連続講演会の第7回目を、東京・港区白金台の同大学白金キャンパスで開催した。安倍政権となり、日本国憲法、特に憲法9条を改正しようという動きが活発化する中、政治学者で元PRIME所長の浅井基文氏が、「『第9条の人類史的意味』?戦争を違法化するということ?」の題で講演した。
 浅井氏は「9条を含めた日本国憲法は私の見るところ、これからますます輝きを放ち、人類の歴史を導く役割を担っている中身のあるものだ。それを変えられてしまったら、私たち日本人は世界、人類に対してとんでもない過ちを犯したことになる。何としても食い止めなければ、という思いがある」と語る。その上で、日本国憲法と9条の思想的源泉について語った。
 日本国憲法の前文には、アメリカ独立宣言の影響があると指摘する。「前文の最初の部分は過去の戦争の反省に基づく内容で、続いてこの憲法は人類普遍の原理に基づいていることを記す。これはまさにアメリカ独立宣言のくだり。人間の普遍の原理とは人間の尊厳で、その尊厳をもっていることですべての人間が生まれながらに平等、対等である。その人間の尊厳を実現するために生まれたものが基本的人権だ」
 9条の思想的源泉は、アメリカのルーズベルト大統領とイギリスのチャーチル首相により調印された大西洋憲章(1941年8月)、アメリカ、中国、イギリスの各首脳の名において日本に降伏を迫るポツダム宣言(45年7月)、またマッカーサー3原則だと指摘する。「マッカーサー3原則には『国権の発動たる戦争は、廃止する。日本は紛争解決のための手段としての戦争、さらに自己の安全を保持するための手段としての戦争をも、放棄する』とある。さらに幣原喜重郎首相が広島・長崎に対する原爆投下を重く受け止めたことが9条の根拠となっている」
 浅井氏は「結局、人類史とは、?人間の尊厳?を実現する歴史だというのが私の理解。平和には、力による平和観と力によらない平和観があるが、人間の尊厳を物差しに考えれば、力による平和観はありえない」と言う。「力による平和観は戦争や暴力を使う。安倍首相が言う積極的平和主義はまさにそれだ。それに対し、力によらない平和観は戦争、暴力を一切使わない。この2つの平和観がこれまでずっとせめぎあってきたが、人を殺めずにいられない力による平和観と人間の尊厳は両立しない。一方、力によらない平和観は人間の尊厳と非常に親和性がある。人類は力によらない平和観へ移行しなければならないと考える。だから第9条は人類史的意味をもつ」
「9条を含む日本国憲法は決して日本だけのものではない」とも強調。「他の国々も今後、自分たちの憲法を見直す時、日本国憲法が比較材料になる。それだけ国際的にも誇れる憲法だ。それを自分たちの時代に失ってしまったら、人類社会に対して大変申し訳ない。私たちはひるむことなく、改憲運動に異議申し立てをしていかなければならない」と力を込めた。

◎<フクシマの声を聴く>取材を終えて(後)−−福島の子どもたちはいま… 記・中尾祐子=1402020

 東京電力福島第一原発事故による被災者は大勢いるが、その中でも子どもたちの受けた影響は大きい。子どもは本来遊ぶことで体も心も育つ。でもいま福島の子どもたちは外で思い切り遊べない。家の中でゲームをしたりする子どもが増えた。狭い家の中に長時間顔をつきあわせていればけんかも起きる。そのけんかは震災前よりずっとヒステリックで「見ていると辛い」ともらした人がいた。外で遊ばせるか否か、体育を外でやるかどうか、など判断する大人の意見もまちまちで、それが問題を複雑化する。ある人は「もう大丈夫」と言い、ある人は「心配だから外でやらないで」と対立する。ある幼稚園では除染などの放射能対策を取ってこなかった。国が安全だと言っているのだから除染の必要はない、という姿勢でいた。しかし、あるときに園庭を計測すると子どもたちが探検ごっこと称してよく遊んでいた庭の隅っこの放射線量にかなり高い値が出た。慌ててその場所を立ち入り禁止にしたが、それまで子どもたちがどのくらい被ばくしたか。 
 幼稚園での遊び方もずいぶん変わった。これまでは木の実など拾い集めて工作をしていたけれど、それもできなくなったし、近くの山の散歩もなくなった。ある幼稚園では少ない時間でも外で遊ぶことが子どもの心身に大切だ、と30分だけという決まりで外で遊ばせている。砂場の砂も安全な地域のものに入れ替えた。
 中学や高校では外での部活や体育など行っているところもある。放射能が不安な親は言う。「あなたのためを思って」。それに対し、「どうしてもやりたい」「ママはそればっかり言う」と子どもが訴える。親の気持ちもわかるけれど震災からもう3年。子どもにも限界がある。
 福島に行くと何もかもが普通にみえる。東京の空気と変わらないように思える。しかし測ると明らかに線量が高い。放射能は見えない、だからタチが悪い。静かに健康に影響を与えていくのだろう。
 取材で福島に行き、帰るとき無力感に襲われる。小さな子が線量の高い地域で遊んでいる。その子はそこで暮らしていかないといけない。どうしたらいいんだろうと思うが、答えがない。この国は何かを忘れようとしている。いまも解決していないフクシマを忘れ、常に経済を優先していこうという。なぜそんなことができるのか。
 自分の身に同じことが起きるかもしれないのに。息をするところから放射能を気にして、子どもの、また自分の健康不安におびえないといけないかもしれないのに。そんな世界はいつか滅びるだろう。ただ今も私たちはこの答えの出ない世界を生きていかねばならない。わたしにできることは記録していくことだけ。たくさんのしがらみに囲まれて声に出せない福島の人の思いを、またどこに向かって話したらいいかわからない戸惑いを、代わりに記録して残すことが仕事だと思う。 
 これまでは福島の女性たちを中心に取材してきたが、次に福島の子どもたち、若い世代の声を聞いていこうと思っている。【フリーライター・中尾祐子】
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 「フクシマの声を聴く第二部『若者たちの声』(仮第)」は3月16日号から開始予定。

◎子どもは宣教のパートナー−−4/14運動日本でも=1402020401

 信仰決心者の71%が4歳から14歳までであるという統計を踏まえ、この年代層へのミニストリーを優先的に考えようと、宣教学者のルイス・ブッシュ氏ら3人の提唱者により始まり、世界に広がる「4/14ウィンドウ運動(以下・4/14運動)」。昨年10月、タイの首都バンコクで「第4回4/14ウィンドウ・グローバルサミット」が開かれ、日本からも8人が参加。この運動を日本でも始めようと、参加メンバーを中心に「しもべ」準備委員会が立ち上がり、今年11月に日本でカンファレンスを開くための準備が進められている。「しもべ」準備委員会の一人、杉本玲子氏(町田クリスチャンセンター教育主事)に話を聞いた。

 ブッシュ氏は、北緯10度から40度地域での宣教を重視する「10─40ウィンドウ運動」の提唱者でもある。「4/14運動」は、地域ではなく世代へのアプローチだ。「この世代は救われるだけでなく成長する可能性がある。社会的、霊的、精神的、肉体的、道徳的にも、あらゆる面で成長の著しい時期。だから教会全体でもう少しこの世代層に優先順位を上げよう」というのが、ブッシュ氏の主張だ。
 バンコクで開かれたグローバルサミットには世界11地域、92か国から800人以上が参加。日本からも、援助団体スタッフ、学校教員、教会キッズ・ユーススタッフ、宣教師、牧師、メディア関係者など様々な立場の人が参加した。
 目的は、?子どもたち及びユース世代が奉仕し、リードすることができるように整える、?子どもたち及びユース世代に奉仕、またリードする機会を与え、今の世代において大宣教命令が実現するために、彼らが宣教に加わっていくことの重要性を確認する、こと。
 杉本氏は、サミットを通じてチャレンジを受けたと語る。「今までは、ただの子ども伝道だった。子どもだけを見ては、一部の教会の教会学校(CS)教師にお願いすればいい、とあまり関わってこなかった。しかし、このサミットを通し、教会全体としてもっと子どもたちの優先順位を上げ取り組むべきではないか、子どもを受け身の存在と考えるのでなく子どもたちもミニストリー・パートナーとして受け止めるべきではないか、という示唆を受けた。CS教師だけ、牧師だけが頑張るのでなく、大人も子どもも一緒にミニストリーをする。『全教会が全世界に全福音をもたらす』(CT2010)というローザンヌ運動と同じ理念を共有している包括的な活動でもあります」
 「4/14運動はあくまでムーブメントであって、プログラムやハウ・トゥーではない。『こうでないといけない』というモデルはなく、形にこだわらない。方法はいろいろあっていい」とも言う。「4歳から14歳までは非常に可能性を秘めているから、もう少しその年代層の子どもやユースをパートナーとして歩んで行こう」という意識を共有することが重要で、教育内容、技術、方法などは、各国、各教会の状況によって自由だ。
 4/14運動では、リーチ(伝道)、レスキュー(救う、貧しい子に救いの手を差し伸べる)、ルート(教育、弟子訓練)、リリース(派遣、子どもがミニストリーをする)の4つのRも強調する。
 杉本氏は、「4/14運動には、自分たちの教会だけが栄えればいいではなく、貧しい国、自由が与えられていない国と分かち合うという発想がある。優先順位は子どもに置き、世界中の教会とつながって世界を変えて行くという点に惹かれる」と言う。「これまで30年近くCSで奉仕してきたが、このムーブメントは、日本で積み上げて来た子ども伝道に全く新しい視野を提供してくれる。子どもが少なくて、元気がなくなった日本のCSが、もう一度立ち上がるきっかけになれるのでは」と期待を込める。
 「しもべ」準備委員会では4月11日に立ち上げのための祈り会、7月12日にチルドレンズ・ミニストリー・リーダーサミット、11月23、24日に「4/14ウィンドウ・カンファレンス」を、東京で開催する予定だ。