[CSD]2014年2月9日号《ヘッドライン》

[CSD]2014年2月9日号《ヘッドライン》

 = 1面 =
★涙こらえ台風の記憶を絵に——日本国際飢餓対策機構 フィリピン台風災害支援
★イスラエル:南部でビザンチン帝国時代の教会跡発見

 = 2 面 ニュース=
◎フィリピン台風支援長期化——医療・衛生状態を質的改善
★置かれた場所で責任を果たす——クリスチャン県人会・北海道
◎世界の日本人のためにも——第1回アジア在住の日本人を愛する集会
★世界がキリシタンに学ぶ——バチカンが日本と共同調査へ
★議員らの靖国神社参拝に抗議——日本キリスト者医科連盟 http://jpnews.org/pc/modules/mysection/item.php?itemid=760
★米国:人権団体が北朝鮮へ民主主義啓発文書を風船で飛ばす
★<落ち穂>被災地での伝道のあり方とは

 = 3 面 =
★JEA宣教フォーラムから[2]フクシマと生きる宣教——愛のかたちを見る
★神戸から「支援」でつなぐ——石巻市渡波地区の幼稚園で餅つき
★震災国際神学シンポジウム——100年見すえ次世代と共に
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか

 = 4・5 面 2・11信教の自由を守る日特集=
★戦争の恐怖、肌で感じた——「特定秘密保護法に反対する牧師の会」発案の安海和宣牧師
◎秘密がもたら不安 原発・教育・基地・天皇制…——キリスト者平和ネット
★「一億玉砕!」「それ何?」 記・石浜みかる
★2・11関連集会情報A

 = 6 面 仕事と信仰=
★信徒は眠れる巨人だ——ビジネスマンもミニストリーに召されている
★<サーバントリーダーシップ>[7]リーダーは常に謙虚でなければならない 記・真田茂人——

 = 7 面 伝道・牧会を考える=
★<見上げる空>[11・最終回]そこから見える教会の姿——聖書に聞き、世界に聞け 記・米内宏明
★<迫られる宣教と教会の再構築>[11]——体験的な喜び、感謝、満足を充足させる 記・石田 学

 = 8 面 神学・聖書考古学 =
★古代エジプト最大の遺跡——カルナック神殿と旧約聖書 記・鞭木由行




◎フィリピン台風支援長期化−−医療・衛生状態を質的改善=1402090201

 各キリスト教救援団体のフィリピン台風支援情報を伝える。 
   ◇   ◇
 80年代からフィリピンで活動し、フィリピン支部がある米国際NGO「オペレーション・ブレッシング・インターナショナル(OBI)」は、支援物資の提供、医療活動、漁業・建築支援と共に、フィリピンの水事情に応えるため飲み水を確保する活動に取り組んで来た。
 東レ株式会社から災害対策用小型造水機2台の寄贈を受けたOBIの日本支部、NPO法人「オペレーション・ブレッシング・ジャパン(OBJ)」(ドナルド・トムソン代表理事)は、その2台を現地に提供。小型造水機はあらゆる水源から不純物を除去し、安全性の高い水を作り出せるというもの。フィリピンでは台風による大波で水源が塩水に浸かり、井戸から塩水が出る場所があるが、この造水機で濾過すれば塩分を除去でき、飲料水として飲むことができる。また、日本企業からの寄贈によるペットボトル入り飲料水を、OBフィリピンを通じて、現地の人々に提供している。
 トムソン氏は「東レは初めてNGOを通じて、この造水機を寄贈しました。日本の技術が台風被害に遭ったフィリピンの人々の支援に役立っています」と語る。支援希望者はhttp://objapan.org/ を参照。
 救世軍は、被災者のために食事と水を供給する支援を集中的に行ってきた。また、キリスト教の医師、歯科医師からなるアメリカの組織「CMDA」と協力し、医師、看護師、士官、小隊のメンバーが一緒になって活動。最初の3週間で2千人近くの患者を診察し、900人以上の子どもに予防接種を受けさせた。また、歯科医師のクリニック・プログラムを始め、全部で2千669組の衛生用品(石けん、シャンプーなど)を配った。
 ディーン・パラン少佐は「1930年代からフィリピン人に仕えてきた救世軍の長所は『外国のNGO』ではないこと。これからも数年、タクロバンの人々と台風の影響を受けた地域の人々とパートナーを組み、仕えていく」と語った。
 世界中の救世軍はフィリピンの災害支援のために祈り、募金を送った。日本の救世軍からはまず300万円を送金した。http://www.salvationarmy.or.jp/
 国際NGOワールド・ビジョンは、12月までに水や食糧、衛生キットなどの物資を届け、子どもたちが安心して遊べる場所(チャイルド・フレンドリー・ス ペース)や母親向けに授乳スペースを設置。1月11日までに、セブ島、サマール島、レイテ島などで55万5千815人に支援を届けた。12月にはワールド・ビジョ ン・ジャパンの木内真理子スタッフが、日本のチャイルド・スポンサー約700人が支援しているレイテ、サマール両地域の被害状況を確認するため訪問。もと もと貧しかった両支援地域は、台風の被害を受けたことによってさらに経済状況、生活状況が厳しくなっている。フィリピンのチャイルド・スポンサーシップ支 援金は緊急支援活動のために優先的に使用されていく。http://www.worldvision.jp/campaign14e/
 米キリスト教支援団体サマリタンズパース(フランクリン・グラハム総裁)は、医療チームを派遣し、地元の病院と提携して医療活動、仮設病院テントなども設置し、5千200人以上が治療。予防対策のトレーニングや衛生のための講習会などを実地した。
 台風で井戸が打撃を受けたため、井戸の掘削や、水容器、家庭用の水ろ過器の配布、各地に大型水ろ過装置を設置。食糧と防水シートや毛布、蚊帳のほか、4千家族以上に「仮設住宅キット」を配布した。
 クリスマス直前には、毎年実施していたクリスマス靴箱プロジェクトで子どもたちに、6万5千箱プレゼントした。
 今後も地域教会、団体と協力しながら、長期支援を展開する。教会を含む倒壊した建物の再建設と、健康(仮設医療所の設置)、仕事の提供(貧しい人々の現金収入プログラム)、食糧確保(畑プロジェクト)と公衆衛生の対策が中心になる。
 寄付支援窓口を設けている。http://www.samaritanspurse.jp/

◎世界の日本人のためにも−−第1回アジア在住の日本人を愛する集会=1402090203

 都道府県県人会は海外在住の日本人のために祈る集会も世界の地域ごとに開催する。第1回の「アジア在住の日本人を愛する集会」は2月8日(土)午後2時から、東京・杉並区のJECA・永福南キリスト教会で。講師は長谷川さん、音楽ゲストはピアニストの菅野万利子さん。
 3月8日(土)午後2時からは、「『東北』を愛する集会」を開く。場所は東京・千代田区のお茶の水クリスチャン・センターで。講師に福島県郡山市から三箇義生さん(アッセンブリー・郡山キリスト教会牧師)を招く。ゲストは菅野さん。問い合わせは090・7015・4246(井上)

◎秘密がもたらす不安 原発・教育・基地・天皇制…−−キリスト者平和ネット

 憲法や平和について学び活動する超教派のネットワーク、平和を実現するキリスト者ネット全国集会が「日本はどこに行くのか・憲法の危機」をテーマに1月12、13日、東京・千代田区のイエズス会岐部ホールで開かれた。憲法や特定秘密保護法が焦点になったが、戦争体験、米軍基地問題、都立高校問題、原発問題についての発題から、秘密や情報の操作がもたらす悲劇が浮き彫りになった。
 弁護士の植竹和弘さんは、特定秘密保護法について「何が秘密か、それも秘密。分からないまま秘密にされる」と危惧する。共謀、教唆、煽動も罰則になる。「実際に秘密がもれなくても犯罪が成立するということだ。新聞記者が情報を求める際に、それが特定秘密となっていれば、処罰されるかもしれない。ある日、取り調べの対象になるかもしれない。そうすると取材が萎縮する。正しい知識、必要な知識で政治に関与することができなくなる。情報が与えられないまま、主権者としての国民がよい決断をみちびきだせるのか」と問うた。
 マスコミ配慮規定については、「こういうことを書かないといけない法律であることが問題だ。秘密保護については、今の秘密保護制度で対処できる。なぜこのような法律ができるかというと、アメリカとの情報の一体化、軍事行動を強化するため、『集団的自衛権』行使の基盤をつくることにある。マスコミが政府に都合のいい記事を流す。情報コントロールが起こるだろう」
 都立高校教員の岡田明さんは「国民がお国のために生き、結果的に戦争ができる国にするような学校制度ができている」と言う。教員の人事や給与体制の仕組みから、教員が都教委の監視下におかれ、教員は本音と建て前を使い分けている状態を報告。「生徒をだまして、臣民をつくっていくことになる。恐ろしいことだ。団塊の世代が抜けて、多く入ってくる若い教員との対話も大変になっている」と話した。
 放射能不安がある福島県南相馬市の日基教団・原町教会牧師の朴貞蓮さんは、「国や行政は『ふるさとに帰ろう』とうながすが、多くの人は、多くの選択肢の中で、自分の町に戻るための正しい判断ができたのか」と疑問視した。家庭に日常生活の支援が必要な人がいて仮設住宅にいづらい人、新しい場所で人生を切り開くことが難しい人、「いつまでも危ないと言うのは、風評被害になる」と周囲の冷たい視線に追い込まれて、帰る人の例を挙げた。
「本当に誰のための復興なのか。行政、国のためのような気がする。戻った人への必要な支援はしていく。しかし人を戻すための支援はしない。支援が問題を無頓着にさせることもある。支援する側も支援される側もよくよく考えてほしい」と訴えた。
 広島県岩国市の市議会議員の田村順玄さんは、RIMPEACE共同代表として、岩国米軍基地問題に取り組む。「沖縄から米軍基地が県外移設となれば、岩国に移設することになる。日米安保の縮図のような町があることを知ってほしい」と語った。
 前衆議院議員の服部良一さんは、格差問題や沖縄問題の市民活動と国会議員の経験から、現政権の法案や経済政策の問題を指摘し、抗議活動や、東アジアの若者たちの交流の機会をつくる働きを紹介した。
 村瀬俊夫さん(日本長老教会)、渡辺信夫さん(日キ教会・東京告白教会前牧師)は自身の戦争体験と天皇観に触れ、安倍政権下の愛国心教育の問題や太平洋戦争における天皇の戦争責任の重さを訴えかけた。