映画「天国は、ほんとうにある」――4歳の少年が天国に行って見てきたという実話の映画化

 2004年当時4歳だったコルトン少年が、手術中に天国に行きイエス様に会ってきたという証言と、それを聞いた町の大人たちの出来事を記した実話本の映画化。少年の父親が7年後に出版され、全米で100万部、35か国語に翻訳され1000万部を超えるベストセラーが原作(書名は本作タイトルと同名同じ)。実話とは州や都市名などの設定は脚色されているが、少年の素直な証言に戸惑い、騒動へと発展していく大人たちの姿が、信仰の驚きと揺らぎを問いかけてくる。

ネブラスカ州インペリアル市で牧師を務めるトッド(グレッグ・キニア)は、高校でバスケとボールを指導し、妻ソーニャ(ケリー・ライリー)と小さいながら修理会社を経営している。子どもも3人授かり充実した人生を送っていた。
ある日、4歳のコルトン(コナール・コラム)が穿孔(せんこう)虫垂炎で危篤状態で病院に運ばれ、そのまま手術を受けることになった。控室で一人トッドは、「神よ、なぜですか!。これが、あなたに仕えてきた報いなのですか」と、牧師でありながらも激高し、祈りとも怒りともつかぬ苦痛の言葉を神に向ける。
間もなくコルトンは奇蹟的に回復した。元気を回復したコルトンは、両親に「天国でイエス様に会った。お母さんのお腹の中で死んだお姉ちゃんと会ってきた…」と話し始める。戸惑うソーニャ。コルトンは、トッドにも「ポップ爺さんにも会ったよ」と話し、トッドが差し出した写真から若いときのお爺さんを指さす。ソーニャもトッドも、幼いコルトンには話していなかった内容だ。
噂は町から広がり、マスコミも取材に来るようになる。だが、町の教会の信徒たちは疑念を隠さない。始めは半信半疑だったトッドだが、臨死体験者や医学者らを訪ね客観的な検証も始める。そして、コルトンが話していることは真実で、「天国は、ほんとうにある」と考えるようになるのだが…。

コルトン役のコナール・コラムくんの演技がなんとも素直で引き付けられる

コルトンは、ただ天国で見てきたことを語るだけだが、信仰生活を送ってきた教会の信徒たちが「まさか、何を言っているのか」と、トッドを解任しようとする動きにまで発展する。見ていないことを聞いて信じるのは、やはり難しいこと。だが、信仰はいつもその問い掛けを、信じる者にも信じるに至っていない人にも何らかの形で提示している。 【遠山清一】

監督:ランドール・ウォレス 2014年/アメリカ/99分/原題:Heaven Is for Real 配給:ソニー・ピクチャーズエンターテイメント 2014年12月13日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー。
公式サイト:http://www.heaven-is-for-real.jp/
Twitter:http://www.heaven-is-for-real.jp/