12月24・31日号紙面:「迫害」「被爆」の地で一緒に宗教改革500年記念 分裂・対立乗り越え共生の一歩 ルーテル、カトリックが共同記念礼拝 平和を語り継ぐ役割担い礼拝から派遣
日本福音ルーテル教会、日本カトリック司教協議会は11月23日、「平和を実現する人は幸い」をテーマに宗教改革500年を記念する共同記念礼拝とシンポジウムを、キリシタン迫害、原子力爆弾による被爆など苛酷な悲しみと痛みを経験してきた地、長崎県長崎市のカトリック浦上教会で開催した。日本福音ルーテル教会広報室のレポートを届ける。
マルティン・ルターの投げかけに端を発し、世界のキリスト教会に分裂を引き起こすことになった宗教改革の始まりから500年。「すべての人を一つにしてください」とのイエスの祈りを歩もうと、第二バチカン公会議を契機として始められた対話の積み重ねにより、日本福音ルーテル教会と日本カトリック司教協議会が共同で宗教改革を記念することへ導かれました。
会場として備えられたのは、長崎県のカトリック浦上教会。キリシタンへの苛烈な迫害、そして原子力爆弾による被爆に代表される様々な悲しみと苦しみを負い、そこから平和の祈りを紡いできた祈りの地。この地において、両教会が過去の分裂と対立を乗り越え、交わりと共生の一歩を踏み出す祈りをささげました。
ローマ・カトリック教会とルーテル教会の関係者を中心に、長崎のキリスト教と諸宗教の代表者、国内の関係キリスト教団体の代表・教派の代表、平和のカンナ・プロジェクトの代表、宗教改革の始まりの地であるドイツから大統領の意向によるティース・グンドラッハ牧師(ドイツ福音主義教会副議長)やフランク・ロンゲ博士(ドイツ・カトリック司教協議会事務局長代行)、駐日ローマ教皇大使ジョセフ・チェノットゥ大司教などの来賓、千300人の会衆が、浦上教会の聖堂を埋め尽くしました。
2部構成となった、今回の共同記念は、記念シンポジウム「平和を実現する人は幸い」から始まりました。共同記念に至る宗教改革から500年の歴史が短い動画で紹介され(Shttps://youtu.be/O
atmnvGSb0U)、はじめに長崎の地から、橋本勲神父(カトリック中町教会主任司祭)により、「長崎からの声―苦難の歴史を踏まえて―」との講演が行われました。続いて、石居基夫牧師(日本福音ルーテル教会牧師、ルーテル/ローマ・カトリック共同委員会委員)より、「『罪について』~それにも拘わらずをいただく福音」、最後に、光延一郎神父(イエズス会司祭、ルーテル/ローマ・カトリック共同委員会委員)により、「エキュメニズム、わたしたちの祈り求める平和と共生の未来」との講演がなされました。司会は小泉基牧師(日本福音ルーテル教会九州教区長)が務めました。
浦上教会のご厚意により参加者全員に対して提供された、昼食を頂いた後、「すべての人を一つにしてください」をテーマに共同記念礼拝が行われました。前田万葉大司教(日本カトリック司教協議会副会長)と大柴譲治牧師(日本福音ルーテル教会エキュメニズム委員会委員長)をはじめ、両教会の牧師、司教、司祭の100人以上が司式の任を負いました。ヨハネの福音書15、17章の朗読の後、説教を髙見三明大司教(日本カトリック司教協議会会長)と立山忠浩牧師(日本福音ルーテル教会総会議長)が行い、回心の祈りに続いて「共同声明」の分かち合いが行われました。
この「共同声明」は昨年10月31日にスウェーデンのルンド大聖堂で行われたルーテル・カトリックの宗教改革共同記念礼拝においてルーテル世界連盟ユナン議長とフランシスコ教皇が署名したものであり、両教会の姿勢が表されているものです。続く共同祈願では、ドイツからのゲスト、教皇大使などが、教会の一致と世界の平和のために祈りました。讃美歌作者でもあるルターのコラール、またエキュメニカルの背景を持つ多くの歌により賛美を共にし、参列者と全国からの祈りを込めた折り鳩も奉納され、平和への決意を確認し合いました。
平和を実現するための具体的なしるしとして、広島の原爆投下ひと月後に真っ赤な花が咲いたカンナの事実を語り伝える球根が分かち合われました。これを祈りと共に育て、育てることと増えたものをさらに分かち合うことで、戦争とその後の平和を語り継ぐ役割を担い、礼拝から派遣されました。
シンポジウムと共同記念礼拝は、ライブ配信されましたが、終了後も公開されています。URL https://youtu.be/CkLUSYOPZoA