80年代、出稼ぎ労働者として、年8万人のフィリピン人が来日。うち7割が「ジャパゆきさん」と呼ばれるフィリピン人女性だった。彼女たちの多くは、フィリピンパブなどの風俗関係の仕事に就き、国に住む家族に送金し支えていた。日本人との同棲・愛人関係、国際結婚も多く、正式に結婚したが離婚に至るケースも少なくない。
 その結果、現在日本には22万人(うち約16万人が女性)の在留フィリピン人と34万人のハーフの子どもたちがいる。うち54%の世帯が貧困レベル(生活保護受給レベル)で、30〜50歳は定職を持たず、社会保障を受けられない状態だ。またシングルマザーになるケースも多く、その数は6万人に上る。
 そんな在留フィリピン人女性の現状に心を痛めたのが、フィリピン人のセサール・V・サントヨさんだ。サントヨさんは彼女たちを英語教師として養成し、自立の道を開くための実践的トレーニングプログラムを企画。独自に開発したモンテッソーリ教授法などに基づいた英語教師育成の1年間コースで、そのプログラムを実践する場として2011年、SEELS株式会社(以下・シールズ)を設立した。(9月9日号で詳細)