9月6日未明に発生した北海道胆振東部地震では、災害時の緊急支援等を通し、仕え合い、一致して働く道内教会・クリスチャンによる「北海道クリスチャンネットワーク」(通称・ホクミン)が、地震発生直後から道内にある教会の被害状況を調査し、支援に動いている。ホクミン災害緊急支援本部の三橋恵理哉氏(単立・札幌キリスト福音館牧師)に話を聞いた。
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 2008年に立ち上げ、東日本大震災や熊本・大分地震の時の災害支援活動を行って来たホクミンは、北海道胆振東部地震発生直後から、札幌キリスト福音館(札幌市北区北二十七条西15ノ1ノ28)に「ホクミン 北海道胆振東部地震 災害支援対策本部」を設置し情報を集めてきた。そのため、「9月11日時点ではすでに各教会の状況は把握できていました」。クラッシュジャパン、ハンガーゼロ、オペレーション・ブレッシング・ジャパン、ワールド・ビジョン・ジャパンなどキリスト教支援団体のスタッフも訪れ、すでに協力を始めている、ボランティアの問い合わせも多数来ているという。
 被害を受けている教会として、単立・穂別キリスト教会(金森俊徳牧師、勇払郡むかわ町)、ウェスレアン・追分めぐみチャペル(菅原ひかり牧師、勇払郡安平町)、同盟基督・富川福音教会(本多民生牧師、沙流郡日高町)などを挙げた。
 宿泊を含めたボランティア受け入れのためのベースが立ち上がったとも話す。ベースは基本的に2か所で、一つは本部の札幌キリスト福音館。もう一つは、震源地から比較的近い所にある富川(沙流郡日高町、宿泊場所・富川グロリアホーム)だ。「キリスト教主義の介護事業所があり、そこの代表の方の好意でボランティア受け入れも含めたベースが立ち上がった。窓口は本部で今日からでも受け入れができる。ホクミンのウェブサイトからも登録ができます」
「すでにホクミンを通じて先生方が動いている。富川は海に面し、むかわ町は山側、海側があってかなり広い範囲。富川ベースは南から北に向かって支援をしていく。長期ボランティアになる方は富川ベースになります」
 液状化の被害が甚大な札幌市清田区には約10教会ほどがあり、「教会の被害、影響はゼロではない」と語る。だが、「清田区に関しては、本当にひどい場所は素人が関われる段階ではない。倒壊の危険があるので中に入れない」。「東日本大震災や熊本・大分地震に比べて見た目の被害は少ないが、局所的に被害に遭っている」と、今回の地震の特徴について語った。
 もう一つの課題は道内に住む人々が抱える不安について。「余震は今も続いている。熊本の時のように、もう一つ大きな地震が来るのではないか、という不安を住民は抱えており、夜も眠れない。そのストレスが大きい」
 比較的、ライフラインの復旧は早かったが、今も断水が続いたり、携帯電話がつながらない地域があるとも言う。「ホクミンとしても、持っているものを全部支援物資として配ったので、今は備蓄はゼロの状態。流通は動き始めているが、まだ麻痺している所が多く、品薄状態だ」
 教会を避難所に開放し被災者や足止めされた旅行客を泊めたり、炊き出しを行ったり、携帯電話の充電サービスを行った教会があると話す。「札幌キリスト福音館には今も何人か泊まっている。多い時には40人以上いた。近所の人たちのために教会内で炊き出しもした。『教会に行くと食事にありつける』と、40人以上が来てくれた。冷蔵庫が使えないので食材を提供してくれた方もおりました」
 最後に被害に遭った教会のため、不安を抱えている住民のために、ぜひ祈ってほしいと要請した。URL https://sites.google.com/site/godsavesjapan/
 【義援金窓口】◇ゆうちょ銀行 記号19000番号101511 ◇各金融機関から 普通 店名908 番号0010151。名義:サッポロキリストフクインカン
 振り込みの際はEメールinfo@hocmin.net まで連絡を。

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 【被害状況】▽穂別キリスト教会=教会の建物が土台から陥没し、モルタルの壁がはがれ落ちた。崩れた壁に電気のメーターがあり危険な状態。牧師は避難所で2日過ごしたが、電気が復旧したので、今は自宅に戻っている。「今は物資もある。来ていただくよりはお祈りを」と金森牧師。
 ▽追分めぐみチャペル=礼拝堂は、壁に亀裂が入る、ピアノが動く、講壇後ろの椅子が倒れる、花瓶が倒れ散乱する、入口近くの本棚が倒れるなどの被害。2階の牧師の住居部分も棚が倒れる、棚にあったものがみな落ちる。▽祈りの課題①余震がまだ続いているので大きな余震が来ないように、②被害の大きかった厚真町に教会学校の卒業生がいる。彼は親と一緒に避難所から介護の仕事に出かけている。彼らのために、③台風21号、今回の地震と二重の被害に遭い不安を覚えている町民のために。