日本列島を図示したとき、省略されてしまうような小さな島々。それらから日本の在り方を見直す論集だ。「奄美におけるキリスト教の宣教」(中村敬子)では、キリスト教諸派の宣教と協力の様子を紹介。「潜伏キリシタンの島々の信仰の現在」(加藤久雄)では五島列島の「カクレキリシタン」の風習に目を留める。論集全体から学べることも多い。地球全体に普遍的にある「島々」にも視野は及び、国境とは何かを考えさせられる。中央集権的な日本観が行き詰まりを見せつつある現在、自然、文化、社会再生に取り組む島々は、「しなやかで強靭な回復力をもつ持続可能社会の模範」になると言う。

 「島」は海に囲まれた場所だけではない。東京でみても、渋谷、新宿、丸の内、それぞれが「島」と言えるような独自の文化で発展してきた。海上の島々を学ぶことで、陸にある「島々」の在り方も考えさせられる。

『別冊「環」25号「日本ネシア論」』長嶋俊介編、藤原書店、4千536円税込、菊変型判

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