公民権運動時代、アフリカ系アメリカ人の魂の「嘆き」を代弁していたのはゴスペル音楽やブルースだったが、その次の世代の声となったのがヒップホップだった。今や民族や国境を超え、ストリート文化とともに世界に広がり、日本でも「日本語ラップ」が注目されている。

 ラップには反社会的、反道徳的な言葉が頻出するが、「神」や「十字架」という言葉も歌われるということに著者は注目した。本書はこのヒップホップの宗教性に、キリスト教的観点から迫った。著者は神学者で牧師だが、自身がその文化にはまり込んだ「ヒップホップヘッズ」でもある。奴隷時代のアフリカ系アメリカ人の歴史から現代のヒップホップシーンまで膨大な知識で全体像を示す。

 「ゴスペル・ラップ」について、CCM(白人系)とアフリカ系の二つの系譜を調べその時代背景と特徴を解説する。教会での普及には理解を示すが、「救い」の名のもとに現実社会の課題が見過ごされることには注意を促す。

 むしろ現代の「世俗的霊歌」としての一般ヒップホップを詳しく見ることで、「地上の教会VS一般社会」という安易な聖俗二元論を超え、人々の「嘆き」や世界の「破れ」「争い」を直視することが重要になる。そのとき、「神のみが聖」であることが尊ばれ、「変化し続ける現実に対する救済は、神が共にいるそれぞれの生の中に見出される」(226項)。

『ヒップホップ・レザレクション ラップ・ミュージックとキリスト教
山下壮起著、3,456円税込、新教出版社 A5判変型

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