CLC解散 文書伝道の灯火を次代へ お茶の水、金沢、名古屋、京都、岡山、広島各店は独立・継承

1950年に日本での働きを開始し、現在全国6店舗のキリスト教書店CLC BOOKSを展開するクリスチャン文書伝道団(CLC)は、12月での解散を決定した。昨今の出版不況に加え、今年の新型コロナウイルスによる経営的な打撃が主な要因となる。各店舗(お茶の水、金沢、名古屋、京都、岡山、広島)は、個人店としての独立、他法人への引継ぎなどで継承される予定だ。各地で文書伝道の存在を再認識する新たな展開もみられる。CLCや関係者に思いと今後の祈りの課題を聞いた。(2、3面に関連記事)【高橋良知】

中野覚代表(お茶の水店店長):解散に至るまでは、役員会でも何度も話し合い、悩み、祈り合ってきた。解散することは残念だが、文書伝道の働きが形は変わっても継続されていくことは神さまの豊かな導き、守りに感謝しています。
日本にCLCの働きが始まった時は、まさに伝道! 宣教師とともに、トラクト、印刷物を作成し、頒布して回った。当初から車で各地を回り、教会の伝道の働きを支えた。トラクト配布、映写機をもって映画会を開いたりすることもより重要な働きだった。近年では書店の働きが中心となってきたが、その働きにより間接伝道として教会の宣教の支えをしてきた。一般書店でも同様だが、紙文化、文字離れ、書店離れ、経済的余裕の減少、様々なことが考えられる。その一方で売り上げ好調の書籍もある。まだまだニーズに合った書籍が発刊されれば、需要はありそうです。
コロナ過により、より書店離れが進んだように思う。欲しい本はネットで購入する傾向が進んだ。書店としては、やっぱり書店に来ていただき、いろいろ手に取って見てほしい。そこで、本との出会いを経験してもらいたいと思います。
お茶の水店は来年1月より「オアシスお茶の水店」として、リオープンする。お茶の水の地にて、お茶の水クリスチャン・センターと共に宣教の業が、途切れることなく、継続できることを感謝している。CLCの各店はそれぞれの形態にて働きを続けることになった。どうか、CLCだけでなく、全国の書店、文書伝道の働きが継続していくために、お祈りとお支えをお願いいたします。
金沢店・藤尾光彦さん:このままいったん終わりにしようと思っていたが、地元の先生方が立ち上がり、何とか残そうと文書伝道委員会を立ち上げてくださった。個人事業になるかと思ったが、地元の教会が共同体として運営していこうとしてくださっている。店としてもありがたい。
9月に地元の放送伝道協力会で閉店をお伝えすると、その場で先生方が一言ずつ応援の言葉をいただき、再建の話し合いになった。北陸三県に唯一のキリスト教書店が無くなれば、本の実物は東京や名古屋、大阪で見にいくしかなくなります。
CLCは直接の文書伝道とともに、教会のニーズをキャッチして、教会の働きを側面から支える働きです。経営環境は厳しい中にありますが、かぎりない文書の可能性を信じ、これからも神と教会に仕え、伝道のお役に少しでも立てれば嬉しく思います。
名古屋店・奥西信之さん:解散は残念だが、すべての店舗に存続の道が与えられたことは、大変感謝。今回の解散は、「終わり」ではなく、新たな「始まり」の時でもあるように思う。11月2日から、いのちのことば社直営店「オアシス名古屋店」として、同じ場所で営業再開する。皆様のご来店をお待ちしております。
岡山店・今中千里さん:個人としてもたくさんの方に出会え、交わりが豊かにされた。お客様同士がここで出会い友人になることもあった。時にには教会では話せないことを話して「聞いてくれてありがとう」と言っていただくこともあった。著者の思い、心、言葉が一冊の本になる。本も出会いになると思います。
時々「クリスチャンになる気はないが、聖書を読みたい」という人が来店する。そういう人には、「ぜひ教会に行ってほしい」と伝えてきた。「やはりこれは信仰の書物なので、本当に豊かな聖書の読み方は教会でできる。礼拝を守り、信仰もって読むと全く違いますよ」と勧めた。書店は教会に行く一歩手前の人が来る場にもなる。キリスト教の香りをちょっとでも感じてもらえれば。書店は、毎日来る所ではないけれども、無くなっていい所ではない。新しく若い方が個人経営で引き継ぐが、今後も人と人とをつなぐ場として残っていってほしい。今までの良い部分を残しつつ、新しい部分にも挑戦していただければと願います。
広島店・石内千尋さん:淋しく、大変残念に思うとともに、長い間厳しい状態だったので、ついにこの時が来たという思い。CLCは書籍を通しての伝道、信仰の成長のための働きはもちろん、超教派の立場で教会と教会、人と教会、人と人の架け橋のような働きだ。また店に立ってお客さまの信仰生活の喜びや悩みをお聞きする場としても用いられたかと思う。特に書店の無い外販先や小さな教会の先生方が残念に思っておられるようだ。インターネット販売では得られない交わり、人や本との出会いがあり、自分の言葉では伝えられない福音を書籍や用品を通して伝えるために用いられる大切な働きだと思う。ただ近年は″時代遅れ”と思われて取り残されている感じがして難しいという思いがある。店の継続に向けて調整中だ。多くの方々が文書伝道に関心を持ってくださり、ご利用いただけますように。

(追加)京都店・森下環さん:文書伝道の拠点であるキリスト教書店は、地元の教会にとって必要な存在である。しかし、ネット通販の拡大が書店経営を苦しくしている。「社会福祉法人ミッションからしだね」の理事長、坂岡夫妻から「書店の引き継ぎ」をしたいとの申し出、急な展開だった。 「書店の火」を消してはいけないとの使命感から来るものである。からしだねは、自社ビルのため店舗のためのテナント代不要。スタッフが多く、複数のスタッフで書店業務。一階にて、カフェを開いておられ「ブックカフェ」というコンセプト。社会福祉のコーナーも新設。京都に新しい書店の風が吹いて来ました。

2面につづく