「日本独自の政教分離の由来と展開」国を主語とした天皇型人権の危うさ 森島豊氏
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森島氏は、日本独特の政教分離の由来として、明治政府の宗教政策について説明した。「キリスト者は神という絶対的存在に従っているので、人間、国家を相対化できる。王が神に背くようなことをしたら、その時人々は抵抗する。一方、日本の為政者たちは抵抗思想に敏感だ。キリスト教はこの抵抗思想を育むものを持っていることを政治的センスによって分かっていたので、徹底的に弾圧した」
「幕末、外圧に対抗するため、日本は一つになる必要があった。その統一原理が一君万民だった。明治政府はこの統一原理の下に旧体制を解散させ、四民平等となった人々はみな一人の君主(天皇)に仕えることになった」
日本型政教分離の成立については、こう語った。「明治政府は幕末に結んでしまった不平等条約を撤廃したかった。だが、欧米からは信教の自由と政教分離を要求され、日本の国体(祭政一致の天皇神権)と衝突することになる。そこで、神社神道は宗教でなく国家儀礼(文化)であり、宗教より上にあるとした。そうして、天皇神権を維持しながら政教分離と信教の自由を両立させた。これが日本型政教分離だ」
日本独自の人権についても触れた。「日本独自の人権は明治の徴兵制の中で生まれた。それは一君万民の平等思想(平準化、平均化)、人間の尊厳よりも君主(天皇)への忠誠心を意味した。ここには抵抗権はなく、キリスト教が骨抜きにされている。私はこれを天皇型人権と呼んでいる」
「この天皇型人権は今日、危うい傾向を持っている、、、、、
(クリスチャン新聞2022年7月10日号掲載記事)