東京・町田市の桜美林中学校・高等学校は、創立者清水安三が1921年、北京に設立した崇貞学園が源流だ。戦前戦中から中国人・朝鮮人・日本人という民族をこえる教育をしていた。

 

現在も「キリスト教精神に基づく国際人の育成」を建学の精神とし、国際交流の機会は多い。中学3年生のオーストラリア研修旅行(修学旅行)ほか、複数の国で短期留学、中長期留学の道も開かれている。「キリスト教教育は、聖書を土台に人間を育てる教育だと思う。いろいろな体験をして世界につながってほしい」と堂本陽子校長は言う。

コロナ禍で、昨年の研修旅行はできなかったが、地元の商店などを生徒が取材し、日本語版、英語版の地図をつくった。この取り組みには大学の地域連携部門にも助言や協力をしてもらった。「本当の異文化理解は海外訪問だけではない。まず自分たちの国、まちを理解することから始まる」と考えた。キャンパスを共有する桜美林大学とも連携して、地域の国際交流のハブとなることもめざしている。

さらに「語学や知識だけの問題ではない」と言う。「そもそも国際教育の目的が大事。創立者は『パシフィック精神』を掲げた。これは、世界の架け橋となって、この世界に平和をもたらすということ。聖書の語る『平和』はシャロームという言葉。これは単に戦争がない状況だけではなく、社会の秩序、自然との調和、恵みがあふれ、安心と喜びがあふれた世界で、人々が互いに尊重される状態を意味している。私たちの生活の身近なところからシャロームの実現を目指して、神と人を愛する『ピースメーカー』になることが大切です」

東日本大震災以後、復興支援活動を行い、東北の高校などとの交流が今も続く。卒業生もツアーに参加して後輩に経験を語るなど、生徒同士で学び合う。「このような経験は特に社会に出たときに大いに役立つ。学校の中での学びを、自分が何をしたいのかを明確にし、社会には何が求められているのか、をつなげて考え行動することが重要です」

礼拝説教に聞き入る生徒たち

コロナ禍となり、礼拝の説教は「慰め、励まし、癒し」などのテーマが増えた。生徒の説教を聞く姿勢については「主体的積極的になり、説教のメッセージがダイレクトに届いている」という実感がある。

さらにスクールモットーの「学而事人(がくじじじん)」の言葉のように、、、、、、、

クリスチャン新聞2022年6月19日号掲載記事)