「即位の礼・大嘗祭違憲訴訟」で本人尋問 天皇制問題は信仰とは不可分
「即位の礼・大嘗祭違憲訴訟」の原告本人尋問が5月31日、東京地裁(東京・千代田区霞が関)で開かれ、6人の原告(うちクリスチャン4人)が証言台に立った。
即位の礼・大嘗祭違憲訴訟は、2019年の徳仁天皇への「代替わり」を前に、一連の即位儀式の差し止めを求め、18年に東京地裁に提訴され始まった。差し止め訴訟部分などは却下されたが、国家賠償請求部分は現在までに14回の口頭弁論が行われ、今も審理が続いている。
証言台に立った原告の一人、星出卓也氏(長老教会・西武柳沢キリスト教会牧師)は、22年1月に東京地裁に陳述書を提出。内容の概略は以下の通り。─明治維新政府が「国民を統合し」「帰一」させるという目的に「宗教なるもの」、具体的には天皇を「統合の機軸」としたこと、その意に適わない者を排除することが同時に前提となったこと、その影響は内村鑑三不敬事件、美濃ミッション事件、ホーリネス弾圧事件、また日本国憲法下にあっても君が代斉唱の義務付け、斉唱を拒む公立学校教師を職務命令違反によって処罰、と続いている。このたびの登極令に基づいた即位儀式に政府が固執し、天皇による国民統合が進めば、戦前の事例のように少数者の排除、基本的人権の侵害が起こる可能性がある。─
星出氏に対しては、この陳述書をもとに本人尋問が行われた。「この問題は信仰とは不可分である」と訴えた原告が多かったと言う。
本人尋問の後、報告集会が日比谷図書文化館(東京・千代田区日比谷公園)で行われた。証言台に立った原告からは、「祖父母が神社参拝を拒否し迫害を受け、天皇にあらがうとはこういうものかと思った。一緒に憲法9条、立憲主義を守っていきたい、新しい日本の国家観を創っていかないといけない」、「裁判所の原告席で書かされる誓約書の生年月日が元号だった。私は×して西暦を書いた。すでに天国に行かれた方々と一緒に闘っていきたい」、「国も裁判所も内心の自由を理解していない。そこがいちばん難しいなと思った」などの声が聞かれた。
(2023年06月18日号 02面掲載記事)