10月8日号1面:祈って行動を「はじめる」 第七回日本伝道会議『宣教ガイド』と「宣言」
9月に開かれた第七回日本伝道会議(JCE7)は『第7回日本伝道会議 宣教ガイド2023「おわり」から「はじめる」宣教協力』(いのちのことば社)に収録された日本の宣教状況の分析・提言と宣言(祈り)を軸に進んだ(10月1日号で一部既報、4、5面に関連記事)。
初日セッション1では、『宣教ガイド』2章「増える在留外国人と在日外国語教会との宣教協力」、3章「海外日本語教会・集会」について、松沢実喜男さん(ホーリネス・神戸教会牧師)はグローバル化対応の緊急性を強調した。「在留外国人の増加は日本人の人口減少と同時に起きている。外国人は外国語教会に任せればいいという時代ではない。具体的な取り組みはまだ先でも、今から考えておきたい」と勧めた。
5章「次世代育成」は中西健彦さん(JECA・北栄キリスト教会牧師)。「直近10年の神学校卒業生数は、40年前よりも約3割減少している」と指摘し、教職者不足への対応を求めた。次世代育成の視点から、四つの基本的な教会の営み(礼拝・交わり・教育・祈り)の再吟味・提言を紹介した。
4章「地方宣教の課題と解決に向けた模索」は佐々木宏光さん(ルーテル同胞・愛子中央キリスト教会牧師)。首都圏への人口流入や、年齢構成比を比べ、地方で進む教会の少子高齢化をあらわにした。アンケートからは教会に「人的交流」のニーズがあることが分かり、協力を勧めた。高齢化が進む地域だからこそ、教会が地域に貢献できる例も挙げた。
応答として、日本基督教団から、野田沢(たく)さん(日本基督教団学生・青年センター総主事・牧師)が同教団の状況を説明。高齢化や神学校卒業生減少の現実とともに、教師経験者の再任用などの対策を述べた。地方で教団をこえた信徒間の交流があること、災害支援での協力に触れて「日本の宣教課題を共に担っている」と語った。
最終日セッション4「『おわり』から『はじめる』私たちの祈り」。宣言文作成委員会の青木義紀さん(同盟基督・和泉福音教会牧師)、近藤愛哉さん(保守バプ・盛岡聖書バプテスト教会牧師)が、対談形式でJCE7宣言文「おわりからはじめる私たちの祈り」を解説した。
今回の宣言文作成に当たっては、諸教会の声を集め、「課題が多様で複雑化・深刻化している」と認識した。「人や社会に対する『宣言』ではなく、神様に対する『誓約』を表わす上で『祈り』がふさわしいと考えた。感謝や賛美もあるが、悔い改め、執り成し、嘆きも込められた。そこには神様への期待・確信がある」
「過去・現在・未来を見つめる視点を大事にした。今回を機会に、身近に感じない課題についても祈りの射程を広げてほしい。『宣教ガイド』での解説も参考にしてほしい。祈りから具体的な行動につながることも願う」と述べた。
メッセージは「神の御旨への献身」と題して、マタイの福音書14章13~21節から小山健さん(単立・岐阜純福音教会牧師)。忙しさの中でも「あわれみの心」を失わなかったイエスの姿を示し、「コロナ禍で何が大切で、何を終わらせるべきかに気づかされた。キリストのあわれみの心を通して、遣わされていきたい」と話した。
「主は、あえて弟子たちを用い、『あなたがた』と複数形で呼んだ」とも指摘。「キリストの弟子たちは、職業も政治的背景も違うが、主の招きに応じたとき、福音宣教で一つになった」と語った。詩篇133篇を引用し、会場前を流れる長良川を例にして「露一滴では消えてしまうが、合わされたとき大きな豊かな流れになる」と述べた。
「一つとなるためには、他者への裁きや、壁をつくっていたことへの悔い改めが必要」とも戒め、「この日本で、国籍を越えて知恵と力を主の前に捧げたい。わずかであっても捧げ、不足を補い合いたい。共に献身し、主の栄光を仰ぎ見たい」と勧めた。【高橋良知】
(2023年10月08日号 01面掲載記事)