2月11日は「建国記念の日」とされている。これは、神話を根拠として戦前に設定された「紀元節」を、戦後の日本政府が復活させたものである。キリスト教界ではこの日を「信教の自由を守る日」として覚え続け、今年も全国各地で集会・講演が行われた。今号と次号以降で、各集会の内容を紹介する。

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日本キリスト改革派教会は2月11日、東部中会社会問題委員会と東関東中会伝道委員会の共催による「2・11 平和のつどい」を開催した。東京・渋谷区の東京恩寵教会に約100人が集まった。
開会礼拝では学生らが証しした。身近な人間関係で感じている、相手を理解すること、赦しあうことの難しさを率直に話した。このような小さな対立が平和を妨げている、との考えを話し、「神様が求めておられる平和のかたちを祈り求めたい」、「イエス様の愛に希望を持ちたい」と証しした。

 

「平和へのはじめの一歩」

朝岡氏

講師の朝岡勝氏(日本同盟基督教団・市原平安教会牧師)は、「平和へのはじめの一歩」と題して講演した。信教の自由に関して直接的に論説するのではなく、「自分たちの身近なところから、足元から、平和について考えたい」と語りかけた。「自分自身から平和を創り出すため、今まで話したことのなかった方々と話し合い、お互いの考えを聞き合う、対話のきっかけに」との趣旨を話した。

朝岡氏は、「平和を希求しながら、恐れと不安に覆われている」とこの時代を評価。自然災害、疫病、戦争などが恐れと不安をもたらすこと。それをあおり立てる「脅威論」はやがて実際の脅威に変化すること。その脅威に対抗するように、はっきりした敵意が生まれることを論じた。
ヒトラー政権に抵抗したドイツ告白教会の神学者ボンヘッファーの講演から引用した。「平和は安全保障の反対である。安全を求めるということは、(相手に対する)不信感を持っているということである」。さらに、『ボンヘッファーに出会う旅 宮田光雄講演録』(宮田光雄、CBS仙台、2025年)から、「互いに相手に不安と恐れを投影し合う『敵対関係』のイメ ージが国家の政策として再生産される限り、軍事力による『抑止の論理』が生きつづけ」、「こうして操作される不安と恐れこそ、民衆動員のための不可欠な手段」との引用を重ねた。

朝岡氏はこれらを、「国家間の問題にとどまらず、私たちの人間関係にも当てはまる大事な指摘」と評価。また、今日重視されるようにな ってきた「非暴力コミュニケーション」や「修復的正義(司法)」などのアプローチについて、「キリスト者の個人倫理のみならず、共同体の倫理構築とその行使に期待されるものが大きく、重要な意味を帯びるようになっている」と論じた。
その上で、「テーマを個人レベルに矮小化しないよう留意しつつも、まず自分でできることを確認し、その一つひとつに心を込めて取り組むことで、恐れを越える道をたどりたい」と呼びかけ、そのために「自分でできること」、「人々の間でできること」の二面から実践例を、、、、

2025年02月23日号 01面掲載記事)