二重被害の爪痕生々しく 「ポンプのおかげで地域の人たちがお風呂に入れた」 能登半島地震
(1面から続き)梶山直樹氏(ニュータウンカルバリーフェローシップ牧師)は、発災直後から物資支援を続けていた。ホテル海楽荘もその一つだった。「ここは9月の豪雨前も水がストップしたままだった。珠洲からの水道水ではなく、山の水を三つの建物に分けていた。トンネルも土砂崩れで埋まったままで、復旧が1年以上できていない状態。2、3日前、奥様に聞いたら、やっと電気が通ったと言っていた」
「お風呂を数千万円かけて直し、入浴再開の準備を進めていた矢先の豪雨災害だった」とも語る。「オーナーのご主人が泥水に巻き込まれた。松の木にしがみついた奥様が懸命に右手を差し伸ばしたが、あと10㎝及ばず、ご主人は流されていった。4日後、ご主人は近くの岸壁で遺体で発見された」

ホテル脇に流れる小川には、流木が無造作に散乱したままで、海岸には、土石流に押し流され、つぶれた倉庫がそのまま置いてあった。
真浦海岸には、断崖の上から海に流れ落ちる垂水の滝があるが、地震の影響で変形してしまったと、梶山氏は言う。
ホテルのある真浦海岸は、輪島市から珠洲市に抜ける249号線沿いにある。左に日本海、右に断崖絶壁を眺めながら車は海岸線をひた走ったが、道中、至る所で崩落現場を目撃した。トンネルは土砂で埋まったままなので、その周りに迂回路を造っているという。しかも、地震によるよりも、豪雨災害による崩落のほうが圧倒的に多いと聞いた。能登の二重被害のすさまじさを肌で感じた視察となった。
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視察当日は、午前8時に内灘聖書教会に集合。大塚史明氏(同盟基督・福岡めぐみ教会牧師)が、詩篇133篇から奨励。「1節に『見よ。なんという幸せ なんという楽しさだろう。兄弟たちが一つになって ともに生きることは』とある。私たちは、同じ親(神)から生まれた兄弟姉妹だ。今日一日、神様を礼拝するように、一緒に歩みましょう」と語った。
その後、参加者は4、5台の車に分乗し、被災地と支援現場視察、被災教会慰問へと向かった。

最初に訪問したのは輪島市門前町の聖書教会連盟・門前聖書教会。まず、「誰も見たことのないことが」(長沢崇史作詞・作曲)を皆で賛美。以後、訪問先ではこの賛美が歌われた。続いて、能登ヘルプの岡田仰代表から、ブルース、美保トラス宣教師夫妻が支援の働きとして仮設に入って、カフェを行っていることが紹介された。ブルース宣教師は「カフェはいろんな仮設でやれるチャンスがある。穴水でも同じようなことをしようとしてる。だが、私たちだけでは時間が足りない。働き人が必要だ。他のカップルができるなら素晴らしい」と語った。
その話を聞いて、小泉創氏(日本イエス・仙台国見教会牧師)が代表し、「カフェに関われる働き人が送られるように。トラス夫妻の疲れを癒やし、教会の信徒の皆様を支えてほしい。疲れを覚える被災者たちが、ボランティアを通して励まされ、生きて働かれる神様と出会って元気になるように」と、祈った。
次は、輪島聖書教会へ。荒川康司、美千子夫妻が、美味しい手作りのケーキとクッキーでもてなしてくれた。賛美の後、荒川氏は「仮設を回って被災者の話に耳を傾けてほしい。これはキリスト者にしかできない奉仕だと思っている」と、、、、、
(2025年02月23日号 04・05面掲載記事)