Prot.SC-JP 14-02
2014年6月27日
内閣総理大臣     
安倍晋三殿
                       日本カトリック正義と平和協議会
                               会長 勝谷太司
安倍晋三内閣の集団的自衛権の行使容認の閣議決定に反対します

 わたしたちは戦後70年、日本国憲法、特に、国際平和の創造を呼びかけ、恒久平和を誓った憲法前文と戦争放棄を定めた憲法第9条を信じ、尊重し、守ってきました。それによって日本は、依然として武力紛争の絶えない国際社会にあって、自国民についても、他国の人びとに対しても、戦死者をひとりも出すことがありませんでした。しかし現安倍内閣は、解釈改憲によって集団的自衛権の行使を容認し、この平和な70
年に幕を引こうとしています。
 これまでの政府の憲法解釈では、憲法9条の下で許容される自衛権の行使は、専守防衛に徹するものとし、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず武力行使を可能にする集団的自衛権の行使は、その範囲を超え、憲法上許されない、とされてきました。ところが現政権は、 これを憲法の範囲内とする、大幅な解釈変更を行おうとして
います。
 憲法の基本理念に抵触するこのような解釈の変更を、一内閣の決定によって行うことは、立憲主義の否定であり、断じて許されることではありません。
 また、与党自民党は、集団的自衛権行使の前提条件のひとつとして、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるがあること」を挙げました。しかし、どれほどの「限定」条件を挙げようとも、政治家の判断ひとつで参戦を決め、国際社会に宣戦布告をすることにかわりはありません。ひとたび戦争に加われば、武力行使はさらなる反撃を招き、戦禍は拡大することになります。それはもはや「自衛」とはかけ離れた事態です。
 さらに政府は、集団的自衛権発動の事例としてホルムズ海峡での機雷除去作業を挙げています。その理由として安倍首相は、ホルムズ海峡が「機雷で封鎖されれば、死活的な利益が損なわれる」からだと語りました。しかし、かつて日本は「満蒙は我が国の生命線」というスローガンで日中戦争に突入し、軍や商社の特殊権益確保と引き換えに、東アジア全域に多大な犠牲者を出したことを、今こそ思い出すべきです。
 集団的自衛権行使の容認は、経済利益重視の日本による、国際紛争への武力参加の意思表明と見るべきであり、日本国内と周辺国を恐怖に陥れ、東アジアを一層不安定にするものです。世界の恒久平和を訴える日本国憲法に背き、これまで積み重ねられ形成された、立憲国家としての日本に対する国民、および国際社会からの信頼を覆し、踏みにじる行為です。
 1981年に来日した教皇ヨハネパウロ二世は、広島を訪問した際行った「平和アピール」において、次