[CSD]2007年12月9日号《ヘッドライン》

[CSD]2007年12月9日号《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
◎スピリチュアルブームの被害深刻——弁護士らが電話相談110番
★夜空を彩るイルミネーション——東京・聖学院でクリスマスツリー点灯式

 = 2 面 ニュース=
★地球規模のキリスト者フォーラム——広範囲の諸教派共通の課題に取り組む
★いのちの詩画と書の世界——「星野富弘・相田みつを展」開幕
★日本基督教団:「『米軍再編成』に反対する声明」を採択
◎議員と統一協会との関係を断て——対策弁連が民主党に申し入れ
★<教界ニュース>日本長老教会、カンバーランド長老
★<落ち穂>祈りこそ信仰生活の生命線

 = 3 面 =
★<戦争を知らないあなたへ>[15]広島の自宅で被爆、ただ一人残された——木村 弘美さん
★錦絵に見る日韓の歴史——姜徳相コレクション展での明治の東アジア観
★<オピニオン>「偽証してはならない」、と 記・村田 充八

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★「誇りを持てる会社」が目標——橋本 明元さん[上]([株]王宮 道頓堀ホテル常務取締役)
★<コミュニケーションのヒント>[1]伝わる表現、吟味して 記・森宗秀敏

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『あすかとあいのバイブル百貨店』渡辺明日香・飯島淳代著(フォレストブックス、1,260円税込)
★BOOK:『ストーリーオブマリア』アンジェラ・ハント著(フォレストブックス、1,575円税込)
★REVIEW:『説教塾ブックレット6 礼拝を問い、説教を問う』加藤常昭著(キリスト新聞社、1,890円税込)

 = 6・7 面 特集/東京キリスト教学園 =
★アジア的趣も演出——国際宣教センター竣工
★介護の現場で「隣人」に——公共福祉棟竣工

 = 8・9 面 地域宣教/北海道宣教の昨日・今日・明日 =
★座談会:地域教会から考える教会の閉塞感——視点を変えることで次の道へ
★教会を取り巻く現状・課題・展望——教会の協力体制を築くこと 記・八尋 勝
★札幌バンド誕生物語——「イエスを信じる者の契約」 記・守部喜雅

 = 10 面 教会学校 =
★ほくほく焼き芋に子どもたち歓声——単立・ジョイチャペル「キリストこども会」
★降誕劇とゲームが一度に楽しめる——AVACOから「アドベントキット」発売
★<CS分級アイデア>準備は簡単!スリルは満点——あっちっちボール 記・みどり野教会JFキッズ

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★信仰継承を今に——同盟基督・中野教会の宣教100年
★ドイツ:「日曜営業は憲法違反」——教会が安息日順守求めて提訴
★<私の子育て失敗談>カリスマ主婦でない理由 記・斎藤 望

 = 12 面 教会 =
◎38年間の無牧に終止符——日本キリスト教会夕張伝道所

◎スピリチュアルブームの被害深刻−−弁護士らが電話相談110番=0712090101

 自称「スピリチュアル・カウンセラー」や「霊能力者」がテレビや雑誌でもてはやされる風潮の中、占いや気学で人生の悩みが解決するかのように思いこまされ、不当に高額を支払わされるなどの被害が急増している。全国霊感商法対策弁護士連絡会(事務局長・山口広弁護士)では、こうした「宗教トラブル」に対応して12月4日、電話で被害相談に応じる「スピリチュアル・霊感被害110番」を実施する。東京の3弁護士会のほかキリスト教関係者ら宗教家も協力し、心の問題につけ込む悪用に法律と宗教カウンセリングの両面から対処する。

 全国霊感商法対策弁護士連絡会(対策弁連)はこれまでおもに、キリスト教を名乗る異端カルト統一協会による詐欺的な霊感商法など、いわゆる「宗教トラブル」の被害救済に取り組んできた。ところが最近のスピリチュアルブームに伴い、統一協会以外の宗教団体や、宗教に限らず街の占い師や気功師、印鑑・仏具の販売会社、自己啓発セミナーなど、多様な団体・個人による被害の相談が増えているという。このような傾向に対し、経済産業省は今年7月、特定商取引法の規制対象に、「商品先物取引」などに加え「易断などの結果に基づき助言、指導その他の援助を行うサービス」を加えた。
 対策弁連では事務所の電話(Tel03・3358・6179、Fax03・3353・4679、月・水・金)やEメール( reikan@mx7.mesh.ne.jp )でこうした相談を受けてきたが、最近は全国各地で協力する弁護士が数百人いても手に負いきれないほど相談がある。統一協会が正体を隠して勧誘する窓口のビデオセンターでも「オーラの泉」などスピリチュアル番組を収録したビデオを見せており、被害を助長しているという。
 「悪霊がついている」などと言って不安をあおり、除霊や先祖供養をうたって印鑑や表札などを高額で買わせる「開運商法」の被害相談が、全国の消費者相談窓口に寄せられる件数は06年度に約3千件(27億円相当)に上り、過去最多になったことが国民生活センター(東京)のまとめで分かっている。
 対策弁連の紀藤正樹弁護士は、「最近のスピリチュアルブームは、従来のキリスト教や仏教のスピリチュアル(霊性)とは異質なもの。断定調の短絡思考で支配の道具になっており、乱用の危険がある。(前世の因縁や霊界、守護霊など)断定的に何かのせいにすれば、悩んでいる人はいやされたような気になるが、悪用されれば金銭的な被害になる」と警告する。金銭的被害は弁護士の守備範囲だが、実際には精神的被害も深刻だといい、「本来は宗教団体の自浄作用でやるべきことだが、宗教家と法律家の協力が必要」。「110番」時には弁護士のほかカルト問題に明るい牧師ら宗教者も待機し、カウンセリングが必要な場合に連携する。
 今回の「110番」は12月4日(火)午後1~5時のみだが、対策弁連では全国の消費者問題対策委員会などに各地で同様の被害相談「110番」を実施するよう協力を呼びかけている。
 ●スピリチュアル・霊感被害110番=Tel03・3501・7071。

◎議員と統一協会との関係を断て−−対策弁連が民主党に申し入れ=0712090204

 週刊誌報道で統一協会と民主党の一部議員とのかかわりが問題視されていることに対して、全国霊感商法対策弁護士連絡会(対策弁連、山口広事務局長)はこのほど、同党の小沢一郎代表と兵庫県総支部連合会に事態を憂慮し適切な措置を講じるよう申し入れた。
 問題とされたのは今年の参議院選挙で比例区の民主党公認で当選した室井邦彦氏。同氏は、統一協会が05年10月6日に神戸のホテルで主催した「天宙平和連合創設記念神戸大会」に来賓として出席、文鮮明教祖の35年間の活動に賛辞を送った。参院選で配布したビラには、日本の統一協会の実質的責任者にネクタイを結んでもらっている姿や、韓国チョンピョンにある統一協会の施設、天正宮博物館を背景に撮影した自らの写真を掲載するなどした。
 対策弁連は申入書で、室井氏のこれらの行動を「統一協会の反社会的な活動を援助、助長している。国民から選ばれ、国民の身体の安全、財産を守る使命を有する国会議員として許されないもの」と指摘。室井氏と統一協会の関係について早急に調査を行い明らかにするとともに、今後一切かかわりをもたないよう指導することを求めた。
 統一協会の行事にはこれまで、安倍前首相ら自民党の政治家も祝辞を送るなどしており、政界との深いかかわりが依然として続いていることが問題化している。

◎38年間の無牧に終止符−−日本キリスト教会夕張伝道所=0712091201

困難な地域へ赴任を希望し
 北海道夕張市にある日本キリスト教会夕張伝道所は今年、38年ぶりに常駐の牧師を迎えた。着任したのは渡辺輝夫氏。9月に就職式を行った。
 渡辺氏は、牧師として札幌市内の教会で10年間牧師を勤めた後、平日に造園業の現場で働きながら伝道活動をし、無任所牧師として10年間、道内数か所の教会で説教をしてきた。今回の着任以前から同教会にも月1回赴き、説教を担当していた。今回、「困難な地域においての宣教こそ召し」との確信を得て、赴任を希望したという。
 渡辺氏が「困難な地」と表現する夕張市は、かつては炭鉱の街として栄えた。同伝道所も炭鉱の町・夕張と栄枯を共にしてきた。

石炭から石油へ 時代の波に呑まれ
 1926年、日本聖公会・夕張教会として開設したのが始まりだった。
42年に戦時下の宗教政策で日本基督教団に加盟し、夕張聖公会と改称するも、主管牧師だった故・高橋俊夫氏が徴用され、教会は休止状態となった。
 戦後、旧日本基督教会牧師らの応援により活動を再開し、52年、教団離脱と日本基督教会加入を決議。日本基督教会夕張鹿ノ谷教会となった。
 同伝道所は炭鉱の社宅があった地域の目抜き通りに面しており、「地域産業社会の一端」を担っていた。石炭粉によって黒い川となっていた夕張川の源流シホロカベツ川を挟んだ川向こうには、朝鮮人、日本人労働者が住むハモニカ長屋があったが、「あくまでも上流階級や比較的教育程度の高い人たちの集まる教会だった」
 しかし「石炭から石油へ」のエネルギー政策転換により、次々と炭鉱が閉山。これが引き金となり、夕張市は深刻な財政難に陥っていくことになる。石炭産業の最盛期には12万人に及ぶ勢いで増加した人口も、炭鉱の衰退と共に年々減少し、今や1万2千人台に。同伝道所の教会員もこれに伴って減少し、69年からは無牧の状態が続いていた。現在の礼拝出席者数は10人に満たない。

「教会も逃げ出していいのか」
 昨年には、夕張市の財政破綻がニュースで報じられた。市は今後18年間で353億円の赤字解消を柱とする財政再建計画を実行していく模様だ。最盛期には、谷間に沿って開けた各集落、地域にほかの教団・教派の教会があったが、「町の衰退と共に、やがて教会もその支えを失い退出していった」。
 このような現状の中にあって、同伝道所が属する北海道中会では、渡辺氏の派遣にあたって賛否両論の意見が交わされた。「なぜ今、夕張なのか」、「派遣しても牧師を支えられるのか」、「ほかにも優先すべき無牧教会があるのではないか」などの意見も含め、様々な議論が交わされた。
 しかし、「財政破綻・人口流出の中にあって教会も逃げ出していいのか」、「今だからこそ、夕張に赴くべき」など、派遣に賛成する意見も多かった。「キリスト教会が目指すところはどこなのか。今顧みられないような所にこそ、イエス様は目を注いでおられるのでは」という渡辺氏の熱意が伝わったこともあり、赴任が承認された。

定住してみて生活の厳しさ実感
 38年ぶりの常駐牧師の着任は、教会員にとって喜びもひとしお。渡辺氏は現在も造園業のアルバイトをしながら牧会に携わる。
 「着任後、大きな変化はありませんが、今年のクリスマスには1人の女性が洗礼を受けることが決まっています。この女性は、少人数で礼拝を守ってきた教会員の信仰生活をずっと見てきて、教会へと導かれました。日常の信仰生活の大切さを改めて思わされています」
 「市内に定住してみて、少しずつ夕張での生活の厳しさが想像以上であることを実感しています。今後も、地域の人たちの労苦を理解し、共に歩んでいきたいと願っています」と語る。
 
 日本キリスト教会夕張伝道所=北海道夕張市鹿の谷1ノ61。Tel0123・52・2433。ホームページ http://www6.ocn.ne.jp/~nikki-h/yuubari.html