【書評】知識・解釈方法のみならず、心燃やす書 『みことばを深く読むために はじめての聖書解釈』評・竹林一志
本書の著者、米川氏は日本語学の研究者(梅花女子大学名誉教授)であり、牧師でもある。私は四半世紀ほど前、日本語学専攻の大学院生だったときから米川氏の多くの著作物をとおして学恩に浴し、信仰の励まし・教えを受けてきた。氏のキリスト教関係の著書を読むとき、私は自分の信仰のあり方を省み、襟を正さずにはいられない。
この度の新刊書は、聖書を正しく理解・解釈するために必要な知識や方法を、分かりやすく簡潔にまとめた入門書である。「1 聖書解釈学と聖書釈義」「2 聖書解釈学総論」「3 聖書解釈学各論」「4 聖書釈義例」という大枠の中で、聖書解釈の原則・方法などの重要事項について、豊富な具体例(特に新約聖書の例)を挙げて体系的に説明されている。
本書のキー概念は「時間、空間、文化の隔たり」である。聖書の世界と時空間・文化を異にする人が聖書を適切に読み解くためには、聖書の言葉の背景にある時空間・文化を知らなければならない。たとえば、ヨハネの福音書13章にイエス・キリストが弟子たちの足を洗ったことが記されているが、「足を洗う」とは当時どういう生活環境において、いかなる意味を有する行為であったのか、というようなことである。
また、聖書を深く理解するためには、その原語についての知識も必要である。米川氏は聖書の重要語を数多く取り上げ、丁寧に解説している。たとえば、日本語の聖書で「罪」と訳されている言葉は、原語のヘブル語・ギリシア語でどういう意味を表すのか、といったことである。
本書は、聖書についての知識や聖書解釈の方法を記すのみの本ではなく、伝道の書でもある。聖書に基づく直截(せつ)なメッセージが随所で語られている。私は本書を熟読しながら、今まで学んできたことを整理し、新たな知識を得るとともに、心が熱く燃やされた。聖書の理解・解釈や信仰に必ずや裨益(ひえき)する一冊である。ぜひ多くの方に読んでいただきたい。
(評・竹林一志=日本大学教授)
『みことばを深く読むために はじめての聖書解釈』米川明彦、いのちのことば社、1,650円税込、B6判
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