聖書と教育が結びつく様々な本が出版されている。聖書は断片章句でも慰めを与えるが、生活への適用をより深めるためには、その文脈や聖書の全体像の理解が大切になる。『1冊でわかる聖書66巻+旧約続編』(小友聡・木原桂二共著、日本キリスト教団出版局、2千200円税込、四六判)は、心を捉えた聖書の言葉が「どのような状況の中で誰に向けて何のために語られたか」に注意を向ける。各書巻について各3頁ほどで、その概要や背景を解説。最後には生き方や教会の在り方について奨励する。それぞれの解説が伝道メッセージとなっている。

 

より各書巻の輪郭をとらえるのは、『聖書の輪郭 文脈と構造から読む各書のメッセージ』(岩上敬人著、インマヌエル出版局、3千300円税込、A5判)。近年の聖書学の成果を踏まえつつ、チャートやアウトラインと解説で全体構造を明解にする。それ以前に著者が勧めるのは、「まず聖書各書を何度も読んで、自分なりにアウトラインを作成して、整理できない点を洗い出したうえで本書を整理のために役立ててもらうこと」。それは著者が学んだ「帰納的聖書の学び方」に由来する。聖書記述にそった解説とともに、著者が読み取ったメッセージがある。

 

さらに進んで聖書学の入門書ともなりえるのは『新約聖書の基本 各書の内容・著者・執筆場所・年代・読者・目的・貢献』(D・A・カーソン、ダグラス・J・ムー共著、池田基宣、千田俊昭訳、いのちのことば社、2千750円税込、四六判)。各書巻約10頁ほどで内容・成立の背景・読者・目的・信仰理解への貢献を解説。また聖書全体の中での各書巻の位置づけも明確にする。共観福音書や批評学の問題、近年のパウロの新しい視点など、聖書学上の論点も紹介する。振り返りとディスカッションの問いや入門から上級までの推薦図書(主に英文)も紹介され、発展的な学習に役立つ。

 

新約聖書の時代と社会背景を網羅的に解説し、問いを投げかけるのは『新約聖書の時代 アイデンティティを模索するキリスト共同体』(浅野淳博著、教文館、4千620円、A5判)。「ユダヤ教」の一部だった共同体が、いかに「キリスト教」としてのアイデンティティーを明確にしていったか。その歴史・社会背景をたどる。ギリシア、ローマなど列強支配下の時代から、イエスの神の国運動と共同体形成、パウロによる宣教、第二神殿の崩壊、新約聖書の正典化など。

各章末尾には必ず現代への教訓がまとめられ、主に憲法の平和主義、国民主権、基本的人権の尊重が脅かされているという現代的課題を憂慮する。「共同体アイデンティティ」は連帯を生む一方、排除をもたらすという二面性に注目する。著者によれば周縁者の連帯と愛敵から出発したキリスト教が、どう人権意識と越境性をアップデートできるかが課題になる。現在のイスラエル・パレスチナ問題理解にも役立ちそうだ。

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