[CSD]2003年5月18日《ヘッドライン》

[CSD]2003年5月18日《ヘッドライン》
 = 1面 =
★祖母に歌を聞かせたい——荒巻小百合さん故郷で凱旋公演
◎イラク:重要な粘土板が流失——博物館収蔵品略奪
★イタリア:ホームズで福音理解?——犯罪学で原罪探る
★新連載<復活——中嶋常幸プロ>[5]妻の信仰が家を代えた
★<落穂抄>SARS蔓延の中でも真に恐れなければならないお方は

 = 2 面 =
★絶対平和主義のはずだが・・・——米メノナイト派内にも「イラク戦争支持」
★注目の気鋭神学者アリスター・マグラス氏来日
★ローザンヌ運動の研究会議「2004フォーラム」参加者募集
★<論説>戦争と疾病のはざまで——神のいやしを求めて 記・津村春英
★<神のかたち>[40]妻たちよ、自分の夫に対して 記・稲垣緋紗子
★<今週の本棚>『科学と宗教』A・E・マグラス著(教文館、2500円) 評・ボイル・ティモシー
★<今週の本棚>『一人の重さ』金井由信著(CLC出版、1200円)
★<今週の本棚>『白紙の契約』山元ロイ耕一著(いのちのことば社、円)
<情報クリップ>催し情報ほか
☆祈りは日本を代える:新潟・長野・山梨

 = 3 面 =
★「白装束の集団」の正体は・・・——騒動は他山の石か 記・桜井圀郎
★豪ヒルソング・ウーマンズ・カンファレンス参加レポート 記・高 叡華

 = 4 面 特集・多彩な伝道者、伝道方法=
★スポーツは未信者が来やすい、若者は海外に連れて行き伝道 宮本俊一さん
★「死と信仰」を語る巡回伝道者として立つ 佃 和男さん
★熟年トリオが伝道チーム「アウンの会」結成——安藤英世・右近勝吉・中野雄一郎さんら
★美術伝道師として立つ B&Aの町田俊之さん

 = 5 面 =
◎「十代の子は傷ついている」——性と人格の深い関係、富永国比古医師語る
◎北から南から:秋田・羽後町教会 水野源三の詩をCDにして開拓牧師が開拓教会を支援
★オランダ:ペンテコステ運動の研究センター開設
★<召天>田村 剛氏(明治学院大学名誉教授)
★<今月の試写会>「神に選ばれし無敵の男」——ナチス進出の時代自分を偽らないで生きた主人公 評・高梨 大
★<恵みのどんでん返し>イエスの十字架は変わることなくそこに 記・鄭 盛範

 = 6 面 ビジネスマンのページ=
★<信仰人スピリッツ>今の苦労は将来のため——青木 秀雄
★<クリスチャンのための経営塾>[9]「アイドマ理論 上」 記・鹿嶋春平太
★<BUSINESS BOOK REVIEW>『私の人生を変えた 黄金の言葉』マーロ・トーマス&フレンズ著(主婦と生活社、1500円) 評・中野 雄一郎
★<私の信仰とビジネス>[9]サービスが先、利益は後 記・小倉 昌男(ヤマト福祉財団理事長)

イラク:重要な粘土板が流失−−博物館収蔵品略奪0305180102

イラク戦争に伴う略奪のため、中東地域有数のコレクションを誇っていたバグダッドのイラク国立博物館が壊滅的な被害を受けたことが、世界の研究者たちに衝撃を与えている。この地域はバビロン、アッシリアなど、旧約聖書の舞台ともかかわりが深い。
 CJC通信がジャバビル・イブラヒム館長の話として伝えたところによると、同博物館の収蔵品には「目には目、歯には歯」と聖書にも引用された「ハムラビ法典」が刻み込まれた粘土板や、シュメール時代の王墓から発掘された冠や首輪などが収蔵されており、これらも盗まれたと見られる。略奪された収蔵品は数万点に上るとされる。
 中でも重要なのが粘土板文書だと、聖書考古学資料館協力会理事の津村俊夫氏(聖書宣教会教師)は言う。粘土板文書は、古代の人々の様々な生活の記録や文学などを、手のひらに乗るくらいの大きさからノート大の粘土板に刻みつけたもの。世界で約100万点が見つかっているが、そのうち少なくとも10万点がバグダッド博物館に保管されていた。しかしそのほとんどが失われたと見られている。
 粘土板は400点ずつ木の箱に収められていた。もし略奪者がトラックで運んでいたら粉々になっているはずという。「粘土板文書は小さなものでもそれひとつしかない。研究者にとっては目の前が真っ暗になる絶望的な状況です」
 中でも貴重なのが、バグダッドの南西32キロのシッパールで1986年、神殿の廃墟から見つかった800点の粘土板文書。焼けたり一部が壊れて出土する例が多い中で、シッパール・コレクションは世界で唯一、きちんと並べられた形で発掘された。紀元前6世紀の後期バビロニアの言語で書かれた洪水物語の断片などが含まれ、旧約聖書に記されているバビロン捕囚の時期と重なる。
 湾岸戦争以後、イラク国内の学者が国外に流出し、欧米の学者も同国に入りにくくなり、800点のうちこれまで研究に手が着けられたのは20~30点に過ぎないという。
 「これから面白い研究になると、学者たちが注目していました。今回、それらがどうなったか分からない。学者たちは悲鳴を上げています」

「十代の子は傷ついている」−−性と人格の深い関係、富永国比古医師語る0305180501

テレクラ、ヘルス、アダルトビデオ、ポルノコミック・。80年代から急増し、今や数兆円規模と言われる日本の性風俗産業。一方、ここ数年間で急速に広がってきている十代の性行為感染症(クラミジア、ヘルペス、HPV〔ヒトパピローマウイルス〕など)。産婦人科医の富永国比古氏(ロマリンダクリニック院長)は、性暴力や妊娠中絶によるトラウマ、性行為感染症などで苦しむ十代の多くの子どもたちと臨床の現場で接してきた。東京・千代田区のお茶の水クリスチャンセンターで4月26日に開かれた小さないのちを守る会(辻岡健象代表)主催の特別講演で富永氏は、「十代の子どもたちは現代の日本版性革命によって非常に傷ついている」と警鐘を鳴らした。
 富永氏は「若い世代では、短期間でパートナーを変えたり、同時に多数のパートナーと付き合うことが半ば常習化しつつあり、この性行動の劇的な変容が、性感染症流行の大きな要因となっている」と語る。
 幼小児期にレイプや虐待などによってトラウマを受けてしまった若者たちが、人格障害やPTSD(心的外傷後ストレス障害)などに陥るケースも多いという。性的トラウマを受けた子どもがそれを癒すために、短期間でパートナーを替えたり、一度に複数の人と交渉を持つなど、セックス依存症に陥ることも。その実体は、あまりに重く深刻だと語る。
 富永氏が臨床体験から一番強調したい点は?性は人格と深く結びついていること?結婚関係外での性行為は、人格を傷つけるということ。
 ところが今の日本社会は、この問題に対し何も対応しないばかりか「性的モラルについて否定的見解を持っている学者も多い」。
 その1人に、今若い人たちに人気がある宮台真司氏(東京都立大学助教授)を挙げる。「宮台氏の問題は、人間の性の本質は人格とは関係がないと主張する点にある。?性的自己決定権?を重視し、13歳の子どもでも性の自己決定権があり、性行為をしたいと言えばしてもいいと勧める。発育途上にある子どもを無視した荒唐無稽な議論だ」
 そのほか、性と人格を切り離すべきだと主張するフェミニズム研究の第一人者上野千鶴子氏(東京大学教授)、「性の自己決定権」を主張する性教育プログラムの提案者村瀬幸浩氏(一橋大学、津田塾大学講師)を挙げ、「彼らの性教育思想が学校教育の現場に与えてきた影響は、決して小さくない」と強調した。
 性行為感染症はコンドームにより100%防げる、という考え方は誤りだとも。「エイズ(HIV)はコンドームで85%防げるが、クラミジア、ヘルペス、パピローマウイルスは防げるという根拠はない。コンドームを促進する性教育が普及すればするほど、危険な性行動が増える可能性があると、医学雑誌『ランネット』誌上でリチェンス博士らが指摘しており、性教育に関して真に学問的な根拠に基づいた議論が必要だ。学問的にも根拠を持たないセーフセックス推進一辺倒の性教育がどれだけたくさんの子どもを犠牲にしているか」と語った。
 富永氏は、「マタイの福音書24章に『多くの人たちの愛は冷たくなる』と書いてあるが、その終わりの時代の兆候があちこちで見られる」と指摘。性は人格と深く結びついているばかりでなく、人格の中枢的な場所を占めているという聖書的、科学的なメッセージを伝えなければならない。性的トラウマをもった十代の子どもを癒すには、ローマ人への手紙7章でパウロが語っているように、ハイヤーパワー(神の力)にすがるしかない」と結んだ。
 富永氏は、十代の子どもたちを救うためのプロジェクト、NPO法人「ACTS」を立ち上げた。Eメールtominaga@lomalinda-jp.com 、ホームページ http://www.lomalinda-jp.com

北から南から:秋田・羽後町教会 水野源三の詩をCDにして開拓牧師が開拓教会を支援0305180502

「自作CDで、教会を開拓中の牧師に協力したい」と、やはり教会を開拓中の福井潔さん(保守バプ・羽後町聖書教会牧師)が、水野源三さん(1937~84)の詩に曲をつけたCDを使って伝道協力を展開している。水野さんは少年時代、赤痢がもとで重度の小児まひになり、寝たきりの生活の中、瞬きの合図で詩を作り続け「瞬きの詩人」として知られている。
 福井さんは秋田県出身。7年前から現在の羽後町で、平日はパソコン関係の仕事をしながら自給開拓伝道をしている。自宅の8畳間が礼拝堂だ。
 羽後町は年間を通じて祭りが多く、因習の強い地域。同教会は神社とも隣接しているという。そのような中、福井さんは「サポートされる牧師から、与える牧師になり、聖書に出てくるパウロのように、働きながら伝道していきたい」と語る。
 具体的には、制作したCD10枚1セットを2千円で教会に提供し、それを1枚千200円で販売。売り上げの1万2千円のうち、仕入れの2千円を差し引いた1万円を、開拓教会のさまざまな経済的必要に使ってもらうというものだ。
 CDは福井さんが作曲し、長女の愛喜さんと共に歌う。水野さんの詩集『私は私らしく』(いのちのことば社)に収録されている22の詩に、曲がついている。「できあがりは素人の域を出ないが、少しでも全国の教会の方に聞いていただき、伝道の働きに使ってほしい」と福井さんは語る。
 CDの申し込みはFAXかEメールで。電話:0183-62-5723、Eメールfukui@voraxed.co.jpまで。1セット10枚単位の購入で、送料は実費負担。ホームページから全曲視聴可能。 http://fukuikiyoshi.hp.infoseek.co.jp/