3月に開催された、ローザンヌ運動の若手リーダー大会「JAPAN YLG 2024」。本連載では大会の内容を伝える。今回は全体集会②での篠原基章さんの講演「ロ ーザンヌ運動とは」。

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19世紀は、近代海外宣教の父ウィリアム・ケアリーが率いた世界宣教の世紀と呼ばれる。一方で20世紀は危機の時代。欧米による帝国主義と植民地支配が終わるという大転換と、二度の世界大戦が起こった。宣教地であったアジア・アフリカの若い教会は成長の時代を迎え、宣教師を送り出してきた西洋の教会は、キリスト教社会から、世俗化されたポストキリスト教社会へ、転換が起こった。

篠原基章さん

1910年のエディンバラ世界宣教会議では、19世紀の宣教運動を受け継ぎ完遂することが目指された。これは、今日まで続くエキュメニカルな宣教協力と教会合同運動の出発点となった。

20世紀半ばには、エキュメニカル陣営と福音派で宣教観の違いが顕著になる。前者は、おもな関心を社会的・政治的課題に集中させた。後者は、一致協力して福音的信仰に根ざした宣教理論を明確にする必要に迫られ、福音派独自の宣教会議が開催され始める。

1974年、ビリー・グラハムが呼びかけ、スイス・ローザンヌで第1回ローザンヌ世界宣教会議が開催。ジョン・ストットを中心に起草され、後に福音派の大憲章と評される、「ローザンヌ誓約」が生み出された。宣教理解が二極化、混乱している時代に、聖書の教えにより宣教理論を神学的に捉え直し、その取り組みへの決意を新たにすることが誓われた。

また、「伝道の第一義性」として、「人間同士の和解即神との和解ではない」、「社会的行動即伝道ではない」、「政治的解放即救いではない」と主張。伝道が教会の第一の使命であり、伝道と社会的働きを混同してはならず、それらの間には質的な違いがある、と訴えた。

一方で、キリスト者の社会的責任についても明言したのは革新的なこと。「伝道と社会的責任とを互いに相容れないものと見なしてきたことに対し懺悔」、「両方がともに私たちキリスト者の務めであることを確認」した。その理由は「それらはともに私たちの神観、人間観、隣人愛の教理、イエス・キリストへの従順から発する当然の表現に他ならないから」。

これは包括的な宣教、ホーリスティック・ミッションと呼ばれ、以降の福音派の宣教理論と実践を牽引した。89年にマニラで第2回、2010年にケープタウンで第3回、そして今年ソウルで第4回のローザンヌ世界宣教会議が開催される。運動は受け継がれている、、、、、

2024年04月28日号 03面掲載記事)

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