第四回ローザンヌ世界宣教会議(昨年9月)の内容を紹介。全体集会のみならず、多様な交流の機会、個別の集会があった。そこで聞かれた様々な声を届ける。

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メディアと社会で影響する 第四回 ローザンヌ世界宣教会議より ⑯

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ホテルから会場まで往復するシャトルバス、食堂でのテーブル、など同会議では、集会のあいまに、様々な交流の機会があった。ケニアで移民支援をする人、英国で留学支援をする人、カナダで移民支援をするインド人牧師、台湾のIT起業家、ナイジェリアの経済学者…。一つの国籍、民族、肩書に止まらない多様な働きをする人たちと出会った。食堂でブルキナファソの話を聞いた翌日には、「西アフリカはなぜ世界のテロリズムのホットスポットなのか」(ロイター通信、2024年9月25日)という記事が目に止まった。

アフリカは、2050年を視野に入れた今回の会議で、最も注目を集めた地域だ。会議資料「大宣教命令の現状報告」(URLlausanne.org/report)では、50年にはクリスチャンの人口のうち、アフリカ人が最大になると予測する。全体としては、民主主義、経済成長、人口、都市化の拡大も急速だが、治安や神学的な課題にも直面している(同「報告」内の「アフリカの台頭」参照)。

 

 悪魔的な暴力がはびこる

「暴力と残虐さのレベルは、人間性と合理性を超えている。私はそれを悪魔と呼んでいる…」。分科会「Arise Africa」には、アフリカ関係者や同地の宣教に関心がある人たちが集ったが、紛争状態の厳しい現実が語られた。「23年に、焼失・破壊された教会は670、前年は千700、ある年は3千近くあった」と言う。

「だが、教会には希望が必要だ。ローマ帝国下で教会が始まってからの最初の千年間は、今アフリカで起こっていることと同じくらい、いや、それ以上に暴力的な時代だった。にもかかわらず、教会は大きく成長した。暴力を止めることは不可能だろうか。私たちは止めたい。私たちは何も不可能ではない神に仕えているから…」

質疑応答では、多様なアフリカの声が聴かれた。ある人は「センシティブな話だが」と前置きして、「最も困難な状況において、外国勢力が助けるどころか、人々が殺されている状況で、金儲けを進めているというのは、本当に悲劇的なことだ」と述べた。これに続き、「外国による資源の搾取という現実があり、それが暴力をあおることも間違いなくある」、「アフリカをめぐる新たな争奪戦がある。西側諸国といった典型的な国家主体のみならず、中東各国の国家主体、中国、トルコ、ロシアといった新たな国家主体も存在する。非国家主体も台頭し、アフリカは、民間軍事会社ワグネルやイスラム教過激派の新たな震源地となった。ラテンアメリカからの国際的な麻薬カルテルもいる。これらすべての主体が暴力の一部となっている」といった声があった。

最後に教会に次のような祈りの呼びかけがあった。「説教壇で迫害のテーマが再び取り上げられるよう呼びかけなければならない。私たちはあまりに多くのことを聞いていないからだ。繁栄と癒やしが訪れて健康になるまでには、多くの困難が伴う。だが迫害は、模範となるためにも備えられている。神を畏れ敬う心を持った正しい指導者たちが国を導くことができるように。そして迫害されている信者たちがそれぞれの状況の中で創造的にキリストの人生を生きることができるように祈ってください」(つづく)【高橋良知】

2025年04月06日号 07面掲載記事)