TMRI講演に岩田氏

岩田氏

 

夫である賀川豊彦とともにスラム街に住み、労働者運動、農民運動、生協組合運動など様々社会運動に取り組んだ賀川ハル。その信仰と活動を学ぶ講演会「賀川ハル―分断化した社会の痛みの中で」(主催・東京ミッション研究所)が2月26日、東京聖書学院(対面とオンライン)で開催された。講師は岩田三枝子氏(東京基督教大学教授)。ハルの日記を紐解(ひもと)き、その歩みを紹介した。

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ハルは、24歳の時に信仰を持つ。キリスト者であった伯母が亡くなり、「愛の神がなぜ伯母を苦しめたのか」と悩む。そんなときに後に夫となる賀川豊彦の説教を聞き、「…神は愛だから試練がある、…愛する人をより立派なものにするために鍛えられることそれが神の愛である。…その神の愛こそ私を恵みのうちに置かれたのだ」と悟り、信仰を持つ。以来「イエスに捕らえられた。もう離れることが出来なくなっ」てしまった。25歳で豊彦と結婚するも、夫は単身でアメリカへ留学。その間、ハルは共立女子神学校で学ぶ。

岩田氏は、ハルの活動の一つ覚醒婦人協会を取り上げ紹介。覚醒婦人協会とは、女性労働者の権利を守るため1921年に立ち上げられた運動で、中心的な発起人として、ハルのほか、長谷川初音、織田やすの2人がいる。会員は当時の朝日新聞の記事によると800人ほどいたようだ。

この時代、女性の社会進出が進み、女性運動の機運が高まっていた。男女の分断がある中で、同協会は「労働者当事者意識」「男女の共同」「組合の強調」「キリスト教的価値観」を前面に表明し活動していた。ただ関東大震災を機に、賀川夫妻が関西から上京したため、活動は2年で終わっている。

岩田氏は「主の恵みのうちにある我々は社会に良い働きを尽くしたい」とのハルの言葉を紹介し、「これこそがハルの活動の核心」だったと述べた。

バックホルツ美穂氏

講演のレスポンスとして登壇した、バックホルツ美穂氏(日本聖契キリスト教団・東京ライフチャーチ共同主任牧師)は、池袋で路上生活者へ食事を提供する「大人食堂」の経験を踏まえ、「分断化した社会の痛みに届く―ハルに学ぶ教会の在り方」と題し、①全人的に②多様性のある共同体として③教会外の場で④宣教の現場で弟子訓練される必要がある、と四つのテーマについて語った。(桑原優子

2024年04月14日号 06面掲載記事)