設立記念交流会で山尾氏

「杉並・中野・練馬(SNN)キリスト者防災ネットワーク設立記念交流会(以下・SNN)」(同主催)が4月21日、東京・杉並区和田の救世軍杉並小隊・総合センター別館の会場とオンライン併用で開催された。
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SNNは、首都圏教会防災ネットワークとしては九つ目。世話人はSNN世話人代表の三浦真信氏(久遠キリスト教会牧師)をはじめ杉並区、中野区、練馬区の教会から8人の牧師・信徒が名を連ねる。サポーターは永井敏夫氏(クラッシュジャパン代表理事)、事務局はキングス・ガーデン東京から中島真樹氏(統括責任者)、渡部憲一氏(事務員)。
最初に三浦氏が設立経緯を説明。「私が牧会する教会のある杉並区阿佐ヶ谷周辺でも作ってほしいとの話をいただき、時々、集まっていたが、なかなか広がらなかった。そんな中、キングス・ガーデン東京が練馬と中野にあり、それぞれの協力牧師会がすでにあり、そのことがきっかけで『では杉並、中野、練馬の教会が協力しよう』と話がとんとん拍子に進み、昨年9月、SNNが発足した」

三浦真信氏

「ゆるくていいので、普段からつながり、互いの顔を知り、何かあったらすぐ連絡が取れる、そんな関係づくりができればいい。災害支援協力だけでなく、地域宣教協力につながっていくことも願っている」と抱負を語った。
続いて、山尾研一氏(クラッシュジャパン副代表理事)が「地域で教会防災ネットワークを始めるとは」と題して記念講演。キリスト教支援団体「クラッシュジャパン」の設立経緯、目標、活動について説明した後、日本が災害大国であり、1995年の阪神淡路大震災以降、震度7の巨大地震が起きている点を指摘。「巨大地震や豪雨災害時における防災(減災)に大事なのは想像力だ」とし、「家が無くなる、ライフラインが止まるとはどういうことなのか、普段から想像しておくことが大事だ」と話した。

また、防災(減災)の三つのキーワードとして、⑴地域を「知る」こと、⑵自助・共(教)助・公助~自分のいのちは自分で守る~、⑶「つながり」は「備え」、を挙げる。特に⑶に関しては、「普段から教会同士が地域でつながり、教会が地元とつながることが、災害時の初動協力へとつながり、災害時の受援力、支援力となる」と強調。防災のために地域教会の集まりを持ち、地元のコミュニティーや行政、キーパーソンとつながり、様々な「壁」を取り除くことが重要だとし、「平時の関係(温度差)が災害時、特に初動の働きを大きく左右する」と指摘。「教団教派を超え教会が、また教会が地域と一緒に取り組める防災は、『プレ宣教』のチャンスでもある」と語った。

パネルトークでは、石川一由紀(救世軍本営社会福祉部長)、永井、山尾の三氏が登壇。司会者の「顔の見える関係とは」の質問に対し、「顔が見えない(相手を知らない)と、なかなか物事が進まない。知っていれば、会話は3分で終わる」(石川)、「支援する側と受ける側の温度差がある。相手を知っていれば、支援の仕方、受け方が見えてくる」(永井)、「地域につながるとは」に対しては、「私も数年前に町内会の会長になってから、地域の様々な課題を知ることになり、災害時の対応をはじめ近隣の方々と共に向き合うようになった」(山尾)、「町で出会った高齢者、困窮者などと気軽に話をするが、それぞれにストーリーがある。自分はクリスチャンだと構えず、でもキリストの視点をもって話を聞いていくと、そこで初めて見えてくるものがある」(石川)、「牧師同士が仲良くなるのは、イエス様がとても喜ばれること。その中で、防災だけでなく、防災の先に見えてくるものがある」(永井)と答えた。

パネルディスカッションで。左から石川氏、永井氏、山尾氏、司会者

パネルディスカッションの後は、参加者が小グループに分れてディスカッションをした。当日は、救世軍のキャンティーンカー(移動給食車両)による、お茶のサービスもあった。

小グループに分かれてディスカッション
キャンティーンカー